№2772 「オーバーツーリズム」 ちょっとだけ考えてみた

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 コロナ禍が何とか終わった途端、円安基調もあって外国人旅行者が一気にあふれてきて、いわゆる「オーバーツーリズム」の問題が、ニュースでも頻繁に取り上げられるようになってきました。
 そんな中、これは「国際興業バスまつり2024in飯能」の帰り道、電車の中で見つけた、お馴染みの日能研の広告に記された、私立中学校の問題です。深くはないけれど、私自身もちょっとばかり考えてみました。

 でも、これは日本人だって同じ、ですよね?コロナ禍前で今ほど円安ではなかった頃には、私も含めて日本人もバンバン海の外に飛び出していったけれど、特に団体ツアーだと、行く場所って、ある程度は決まってくるものではないですか?パリだったらエッフェル塔に凱旋門、ルーブル美術館、火事で焼けちゃったけれどノートルダム寺院、そしてヴェルサイユ宮殿という所に、ある程度落ち着いてくるのではないだろうか。私は団体旅行には参加しないし、まあ定番の場所に行かない、という事もないが(エッフェル塔には上がったし)、それよりもやはり「乗り物中心主義者」としては、メトロとか、バスとか、なにより近年相次いで開業していたLRTとかの方に、関心が行っていましたけれどね。特に欧州ではコロナ禍前から「オーバーツーリズム」が問題になっていて、ヴェネチアなど、日帰り観光客は金を取る、なんて話も聞いています。

 日本がそういう事態に陥らないためにはどうしたら良いですか?という事、そして問1も問2も、「〇〇〇以外」という問い方をしていて、「〇〇〇」の部分は真っ先に思い浮かびそうな事だから、それ以外の事を、頭をひねって考えてみてください、というのが、設問の趣旨なのだろうと思う。
 じゃあ私は?この問題を解く事になる小学生に勝てるのかどうか正直覚束ないが、無い知恵を絞って、記してみます。。

 問1は…「時間がかかる」という以前に、観光客が集中してバス等を利用するために、地元の住人たちが利用し辛くなっている、という事があるだろうか。これは先日の京都市長選挙でも争点として挙げられていたようで、当選した候補は、観光客向けの、やや割高な急行便の設定を検討したいとしているようだった。しかし増便というのも、特に昨今はドライバー不足が深刻化している状況では、厳しいものがあるのではないか。その他では、現実化しているかどうかは分からないが、国による文化の違いによる見解の違いからくるトラブル、みたいなものは起きていないだろうか。

 問2は…問1にも関わってくると思うが、結局、特定の著名観光地に(日本人も含めて)集中して押し寄せてくる事が根本的な原因になっている。設問の「〇〇〇以外」の「〇〇〇」は、先述のヴェネチアを想定しているのだと思うが、それがNGなら、他の観光地への誘導を図るしかない。もちろん、日本に来るな!などとは言えない(一部の極右は言うかも知れないが)。しかし、地元の人の憩いの場、というレベルの場所が、わざわざ遠くから来るインバウンドを惹きつけられるだろうか?

 実はこの点に関して、先日飯能に行った際に、何かしらヒントがあるような気がしました。

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 これは「バスまつり」の時にもらった、「ヤマノススメ」とコラボの、「飯能舞台探訪マップ」(「聖地巡礼」のガイド)です。飯能は近年、郊外に「メッツァ」のオープンはあったけれど、西武線飯能駅やJR東飯能駅周辺のスポットは、あまり注目されないだろう。最近は天覧山あたりにスポットが生まれつつあるようだが。だから、アニメの力を借りる。近年のインバウンドは日本のアニメが好きな人が多くて、だから成田空港には「成田アニメデッキ」なるものがあって、「聖地巡礼」の舞台の紹介まであるくらいだ。この空気を活用したい。マップも多言語化して、海外に向けて発信する、というのもあるだろう。飯能市中心部だけでは難しくても、メッツァからの帰り道に立ち寄ってもらえる、くらいの効果は出るのではないか。それは飯能市などだけでは手に余るかも知れないが。ここだったら、「あの花」などの秩父とタッグを組むことだって、可能ではないか?埼玉県は意外にインバウンド来訪が(川越あたりを除くと)少ないらしいので、是非アニメの力で、インバウンドを引っ張ってきたい。まあ多すぎて鎌倉高校前の踏切みたいになってしまっても本末転倒になるが。
 とにかく、(国内でもだが)外部への発信力がモノをいう事になると思います。

 私の頭では、この程度の発想しか生まれないが、皆様は私の解答、そしてオーバーツーリズム対策をどのように思われますでしょうか?

 それにしても、10年以上前の№984でも日能研の広告の私立中学校受験問題について書いたが、他にも(勉強以外でも)多岐に渡って学んで、それを身に着ける事が必要な時期だと思う小学生時代に、ここまで考えさせて解答させるというのは、やっぱりちょっと違うんじゃないの?というのが率直な感想です。中学受験をした事がない、親をやった事もない者の発言だから、「それは甘いよ」と言われるのかも知れないが。

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《What's New》
18日 取引価格を協議せず据え置き 公正取引委員会 10社の企業名公表
19日 日立製新型地下鉄車両 米ワシントンDCでお披露目
20日 韓国船籍ケミカルンカー 下関沖で転覆
 公正取引委員会が公表した10社の中には三菱ふそうトラック・バスがあるが、これに対する同社の反応は、今日時点では確認できなかった。
 ロシアの大統領選挙とか、日銀の金利政策転換とかという大きなニュースがあったが、私個人にはほぼ関係ない。
 ただ、ロシア大統領選に関しては、この結果そのものはこうなるだろうというものは見えていたけれど、ここまでの流れを見ていると、正直日本の「反戦・反核・平和運動」には、改めて「こんなものか」と、選挙結果もその流れの中のもの、と思ってしまう。いずれ状況を見ながら思った事を書いていくが、結局この運動は裏に「反米・反NATO・反自民党政権」がないと成り立たず、海の向こうの軍事独裁政権(露以外も)には、何の影響も与えられない事がはっきりしてしまった。やるべき事が誤っていたのではないか。
 金利政策については、交通事業者、特に第3セクター鉄道の運営には、何か影響が出るのだろうか。

№2721 千歳相互観光バス 路線譲渡と経営問題

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「2024年問題」がいよいよすぐそこ、という段階になり、各バス会社からは、4月1日に向けたダイヤ改正のリリースがぞくぞく出されて、どこもかしこも芳しくないなあ、と思っている所へ、北海道の千歳相互観光バスが、4月1日より2路線の運行が他社に変更になると、昨日16日リリースしました。
 同社に関しては昨年から労使間のゴタゴタがだいぶ先鋭化しているらしく、労働組合側は「36協定」を締結していないのに残業を強要されているとか、バスの整備で不正があったとか訴えて、会社側に路線バス事業の譲渡を要求していると報道されていたようです(新聞社の有料記事引用でカネ払っていないから全部は読めていない)。昨年の4月と11月にはそれぞれ24時間ストライキも実施されたそう。事業譲渡のいきさつについては、同社の公式WEBでも代表取締役名でリリースが出されているが、これを読んだ感触として、同社内部では、労使間の信頼関係がかなり損なわれている事が窺えます。その直後の12月より、全路線で減便も行われていました。
 今回の2路線の事業者変更がその事業譲渡の一環なのかどうかは分からない。が、私は地元の住民でもないし、労働者でも経営幹部でもないヨソ者がどうのこうの言えないが、運行に関わる立場にあるものが毎日毎日ツンツン角突き合わせながら、ギスギスした空気の職場の中で職務をこなそうとしたって、間違いなく全ての人にとって、何一つ良い事にはならない(それは過去の交通事業者各社の事例で明らか)。どういう決着になれば皆納得できる環境になるのか分からないが、ともかく関係する皆が一度冷静になって、会社、ひいては他社も含めた千歳地域のバス路線の維持のためになるか、考えてもらえればと思います。

 ところで、この2路線の4月1日からの運行だが、「市民プール線」は富士交通となっていて、これは恵庭市にある会社だが、「富士ハイヤー」が正式社名のようです。タクシーが主力だが、近年は貸切バスも運行しているそう(市民プール線は土休日運休)。
 驚いたのが「図書館青葉線」で、十勝バス?帯広の会社、だよね?記されている問い合わせ先の電話番号も、間違いなく帯広の本社になっています。十勝バスは千歳市にも営業所があり、貸切バスの配置があるよう。新千歳空港に降り立つ団体客の送り迎えのために設けられている営業所だと思うが、ここが新たに路線バスを運行する、という事だろうか。
 土曜日のリリースであり、富士ハイヤー、十勝バス両社とも、正式なリリースはまだ出されていないし、新聞・TV等のニュースにもなっていないようです(少なくとも、当方のネット検索には引っかからなかった)。ともあれ、現行の路線・便数は維持されるのか、そして千歳相互観光バスの経営の行方はどうなるのか、注視していきたいと思います。

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《What's New》
15日 ホンダ・日産自動車 EV開発等包括的協業の覚書締結発表
16日 殺人事件遺族団体が会合 代執行制度導入など活動方針確認
17日 JR芸備線志和口駅 ネコ駅長「やまと」・副ネコ駅長「ちどり」就任

 いよいよ北陸新幹線が、敦賀へ延伸開業しました。まずは盛業のようで何より、直接は関わらないかも知れないが、地震で傷ついた能登半島へのエールにもなればいいと思います。私は、今年中には乗りに行くと宣言しておきます。もう少し落ち着いたら、夏以降、かな(というか、上越妙高~金沢間もまだ、なんだよなあ)。その場合は、七尾線・のと鉄道とセットにしたいと考えています。
 一方で、JR北海道に関しては、斎藤国土交通大臣が、3年間で1000億円の支援を行う一方で、経営改善を求める「監督命令」を出すと発表しました。前にも書いた事だが、JR北海道に関しては、どういう事をすれば「経営改善」になるのか、この辺が明らかになっていない。単にJR北海道の経営が黒字になったりするとかすれば良いのなら、ローカル線や、「秘境駅」をバンバン廃止して、北海道新幹線や函館本線、千歳線などの運営だけに集中すれば、そうなるかも知れない。そう単純はいかないから問題なのであって、この辺の方向性も、誰かが示さなければならないと思う。

№2757 氷見線・城端線 再生への道 始まる

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 JR西日本は8日、富山県・高岡市・氷見市・砺波市・南砺市、それにあいの風とやま鉄道と連名で、「城端線・氷見線鉄道事業再構築実施計画」の申請が認定されたと、リリースを出しました。国土交通省から、実施計画が認定された事を受けてのものです。
 ここに至るまでの間、協議会では、当初は富山ライトレールのようなLRT化を想定していたようだが、結局普通鉄道の形態で再生を目指す事になります。
 10年スパンの計画になるが、一番大きなポイントは、計画開始から5年後をめどに、運営がJRからあいの風に転換されるという事です。あいの風自体が第一種鉄道事業者、つまり営業も、線路・施設・車両の保有も、あいの風が行う事になります。このために県と4市が基金を創設し、JRは基金と鉄道施設整備費として150億円を拠出。新型車両(電気式DCも想定にある)の導入やICカードへの対応(あいの風自体は既にICOCAを導入済み)、列車の増便(毎時2本のパターンダイヤを目指す)、さらに城端線と氷見線の直通運転を行うという事で、これらにかかる費用341億2000万円は、社会資本整備総合交付金という事。JR西日本は、あいの風転換後も、要員確保の協力を行うとしています(出向などか?)。本当は、電化という所まで行って欲しかったかなと思うが(あいの風の電車列車の直通運転も可能になる)、そこまではやはり難しかったでしょうか。少なくとも、線路設備の抜本的な近代化は必須だと思う。
 ソフト面でも様々施策を行うようで、この中には、「アニメや漫画を活用したまちづくり」という項目もあります。氷見市は藤子 不二雄Ⓐ先生の出身地で、「花咲くいろは」などのアニメを作っているP.A.WORKSは南砺市にあります。なかなか楽しみ?「べるもんた」はどうなるのだろう?あいの風自身で、新しい観光列車を作る、という方向になるのか。
 現在の氷見線・城端線の輸送密度は共に、民営化時点でも既に4,400人/日程度、令和になって以降は3,000人/日を割り込んでいます。これを、計画終了時には12,000人/日となるように目標を立てていて、結構野心的です。
 計画通りなら2029(R11)年には、あいの風の路線として転換される事になるが、整備新幹線の並行在来線を運行するために設立された第3セクター鉄道が、並行在来線以外の鉄道を引き受けるのは、これが初めてになります。
 氷見線城端線とも以前乗って、当ブログでも簡単に感想を記しているが、やりようによっては、高岡近郊の通勤鉄道として再生できる可能性を大いに秘めているように感じました。それには自身の経営努力ももちろん必要だが、、加えてやはり他交通事業者等、北陸新幹線もそうだし、万葉線や加越能バス、その他自治体が運行するバス等との連携も、欠かせないはずです。
 ともかく、15日にスタートするこの計画が順調に進行し、富山県西部の公共交通の柱として成長する事が、大いに期待されます。他地域の地方交通にも、刺激になるでしょう。

 なお、両路線があいの風に転換されると、富山県内のJR西日本の在来線は、高山本線・猪谷~富山間のみになります。いっそこちらもあいの風、あるいJR東海に任せても良いのではないか?(〔ひだ〕の直通があるからJR東海の方が良いのか?もう民営化時点で決められたスキームに従い続ける必要はなかろう)。そんな事も考えてみたりします。

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《What's New》
 9日 韓国 二大政党離党者政治家 新党「改革新党」立ち上げ発表
10日 サンフレッチェ広島新スタジアム「エディオンピースウィング広島」 プレシーズンマッチ開催
11日 国立科学博物館・民間施設が連携 「科博廣澤航空博物館」筑西市にオープン

 広島の新スタジアムに関しては、№2754で「23日のサンフレッチェvsレッズ戦がこけら落とし」なんて書いてしまったが、プレシーズンマッチの存在を忘れていました。ウソ書いてしまってスミマセン。

№2702 大阪・金剛バス 12月で事業廃止

 富田林を中心に路線バス事業を運営してきた金剛自動車(金剛バス)が、12月20日の運行を持って事業を廃止すると、昨日発表しました。
 金剛バスは現在、近鉄の富田林駅と喜志駅、上ノ太子駅を起点とした路線を運行しており、便数はやや少なめながら住宅地を循環する路線や、金剛山の登山口やロープウェイの駅への路線も運行しています。しかし報道によると同社の社長は、「慢性的な赤字の上に運転手不足などが重なり、自治体からの補助金をもらっても運転手不足が解消されるわけではなく、来年に残業規制が入ると、相当な減便を行わざるを得ない。もうムリ」と話しているという事です。
 これを受けて、地元自治体の富田林市・太子町・河南町・千早赤阪村が、代替交通の確保に向けた協力要請を行うとしています。

 まいったなあ、寒いなあ、というのが、率直な印象です。私は沿線の利用者でも経営者でもないからあまりああだこうだとは言えないが、影響が少し大きすぎるなあ、と感じました。大阪市から電車で30分程度の地域なのに。路線を絞ってでも、無理のない範囲で運行を継続できないのか、とも思ったが、それすら不可能なほど、追い詰められてしまっているのでしょうか。いきなり運行停止ではなく、3か月前に予告しているというのは誠意だと思うが。
 代替のバス会社を探すと言っても、その代替の会社にしても、どこも程度の差はあれ事情は同じでしょう。一部であっても、引き受け手があるのかどうか。
 運転手不足は日本全国どこでも同じで、減便はまだしも、一部の事業者では路線の廃止に追い込まれている所も、既にありました。しかし、一社まるまるが事業をやめるとなれば、日本のバス苦境の苦境は、いよいよ本格的で深刻なものになった、と言わざるを得ない。一部の外野は安易に「運転手の賃金を上げろ」と叫ぶけれど(もちろんそうなれば良いが)、事業者に原資がなければできない話だし、賃金アップの必要が他の業界でも同じ、なら、結局、少ない人出の取り合いの構図は変わらない。といって私自身状況を好転させる妙案を持ち合わせているわけではないが、もういい加減、業界(労も使も)や関係自治体はもちろん、そして国レベルでも、バス(に限らず公共交通全体)の維持の在り方を、本格的に話し合うべき時ではないのか。

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《What's New》
10日 テニス全米OP ノバク・ジョコビッチ優勝 4大大会最多タイ24回目
11日 同性カップル 扶養手当認定賠償請求裁判 札幌地裁 請求棄却
12日 日産自動車 硬式野球部 活動再開発表

№2652 「マナー啓発」このままで良いのか

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 今日撮った、羽田空港第2ターミナルのエスカレーターの様子です。
 空港に限らず、駅でもデパートでもどこでも見られる光景だと思うが、エスカレーターは必ず右側(関西だと左側になるようだが)が「開けて」あります。そして利用者はことごとく、わざわざ行列まで作って、左側に立とうとしています。
 各交通機関などでは、「エスカレーターは右側を空けず、2列に並んで、歩かずに立って利用しましょう」とマナーの啓発を絶えず行っています。しかし、これを見た時、果たして啓発が有効に機能しているのか、かなり疑問に思えてなりません。利用者が知らず知らずのうちに「仲間内」で作ってしまう「暗黙のルール」の方が、啓発をする側の意識を上回ってしまう事例、他においくつもあります。
 啓発する側は、それを分かっているのでしょうか?両者の間には、かなり深刻な意識の「ズレ」の存在を感じずにはいられません。
 極端な主張かも知れないが、「ズレ」を放置したままの抑止力のないマナー啓発運動は、はっきり言ってムダなコストであり、まして放送・アナウンスでこれをやろうとすればムダな騒音となって、快適性を大きく損なう事になります。コロナ禍で利用が減少し、収入も減っている中で、自らの首を絞めるような事に回せるコストはないと思います。「ではこのままほおっておけと言うのか?」と問うなら、まず、なぜこのようなこういう事が起きるのか(駅構内のエスカレーターに関しては、駅そのものの構造に拠る所が大きい)、やるならどうしたら実効性のある対策になるのか、今一度現状を徹底的に分析して、その上で対策に乗り出すべきです。それができないなら、利用者の自主性・自己責任に任せ、コストは他の方向に向けるべきです。「お忘れ物のないようご注意ください」としつこくアナウンスしても、忘れ物が減る事はありません。それと同じです。

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 東武が先月28日、今年度の設備投資計画を発表しました。遅くなってしまったがここで記します。「スペーシアX」は、2024(R6)年度導入に向けて、あと2編成を製造。10050型7編成のリニューアルを進める(「佐野・小泉・桐生線において運行する車両」と記されており、800・850型の置き換えを促進するという事だろうか)。70000系10編成に車内防犯カメラを設置。高架化はとうきょうスカイツリー駅付近・春日部駅付近・清水公園~梅郷間・竹ノ塚駅付近・大山駅付近で推進し、竹ノ塚駅付近は引き上げ線等の整備を行って、事業の完了を目指す。七里駅の橋上駅舎は、今年度中の供用開始を目指す。可動式ホーム柵(ホームドア)は、五反野・谷塚・草加(3・4番線)・新田で整備し、小菅・梅島・西新井・草加(2・5番線)・蒲生・越谷(1・4番線)・東武練馬・下赤塚・成増で工事を実施する。「鉄道駅バリアフリー料金制度」の届出整備期間において「優先整備駅」を定め、本線は北春日部以南のスカイツリーライン(伊勢崎線)とアーバンパークライン(野田線)各駅及び久喜駅、東上線は川越市以南の各駅に整備する。大師線では添乗員乗務の自動運転(Go3)導入に向けた検証を行っているが、今年度は引き続きセンサー・システムの検証を行うとともに、車両の設計業務を開始する。なお今年度は、アーバンパークライン(野田線)の新型車両及び5連化については言及されていない。投資総額377億円。
 それから、前回書いた小田急の設備投資計画の総額を書き漏らしてしまいました。261億円です。 

《What's New》
 1日 PayPay PayPayカード以外の支払い 8月以降停止を発表
 2日 銚子沖貨物船衝突事故 航海士に執行猶予付き有罪判決
 3日 サイ・ヤング賞投手 DeNAバウアー 日本初先発・初勝利

№2607 何とかならないか 都営地下鉄デジタルスタンプ

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 都営地下鉄の各駅には現在、このようにスマホのカメラでQRコードを読み込む事によって収集する、デジタルスタンプがあります。
(都電荒川線にもある。日暮里・舎人ライナーにはない)
 都営地下鉄同士の乗換駅の場合、両路線にあります。また、他社管理の押上、目黒、白金台、白金高輪にはないが、新宿線の新宿にはあります。

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 右側がそのデジタルスタンプのシートで、QRコードが書かれています。
 左側にあるように、このコロナ禍の影響で本来のリアルスタンプが撤去されていて、その代替という位置づけ、と見えます。。

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 このシート、基本的には、駅長事務室の近くに貼られているらしい。この駅のように、事務室のすぐそばに貼られているならいいです。
 ところが、各駅を廻ってみると、いろいろ困った駅が、数多くありました。

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 浅草線の大門駅です。駅長事務室は改札内にあるが、まずそれがどこにあるかがすぐにわからない。ここでは、画像の右手になります。

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 ところが、駅長事務室の方を見ても、スタンプのシートはすぐには見えない。

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 近づくと、ようやく右手に小さく貼られているのがわかります。

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 新宿線の九段下です。ここは改札の外に駅長事務室があるが、ポスターが貼られたボードに遮られて、事務室自体を見つけるのが難しい。

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 奥に入っていくと、わかりますかねえ、入口の右手に小さくなってしまっているが、シートが張られています。
 まず、駅長事務室がどこにあるかを把握しなければならない。後述する通り、地下鉄の駅は構造が複雑なので、探し当てるのが人苦労です。ホームの構内案内図を見ればいいのだが。

 それでもその通り、各駅全て、駅長事務室に隣接して貼られているならまだいい。

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 大江戸線の牛込柳町。改札内の駅長事務室から離れていて、目立たない。

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 新宿線の小川町。メトロへの連絡用の精算機のそばです。駅長事務室からは遠い。

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 新宿線の瑞江。改札内の通路で、駅長事務室の反対側です。

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 大江戸線の東新宿。改札の外の通路で、右側の、大江戸線の乗り場を示すサインの、緑色のボードに貼られているのが、わかるでしょうか?

 このように、改札の内側だったり外側だったり、駅長事務室のすぐ隣だったり離れていたりと、実態はかなりてんでバラバラで、いちいち駅員に、「スタンプどこ?」と尋ねなければならなくてめんどくさい。駅員だって負担なのでは?

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 前述の通り、地下鉄の駅は構造が複雑になりがち。特に古い路線だと改札口が複数ある上、かなり遠く離れている事が多い。この浅草線蔵前駅の場合は、上下線それぞれ前後に改札口があり、乗ってきた車両によっては、スタンプのシートの場所が相当遠くなってしまう事も多々あります。この駅の場合は左下、1番線の泉岳寺方の改札口近くにシートがあるが、これでは、西馬込方に乗ってきた場合は、延々200m近く歩かされる事になる。また2番線からだとホーム下の階段を上り下りしなければならない(歴史が古い浅草線・三田線はこういう駅が少なくない)。

 デジタルスタンプが今後都営地下鉄の中で、どのような位置づけになるのかわからない。コロナ禍がある程度収束し、再びリアルスタンプ台が配置される事になるのだろうか。しかしアフターコロナの下のスマホ時代においては、そうはならないのではないかという気がする(スタンプではないが、近郊各社ではスマホQRコード読み込みタイプのデジタルラリーの開催が多数行われている)。そうであるなら、スタンプのシートの配置場所は、今一度考え直されなければならないのでは、ないだろうか?
 リアルスタンプと違って場所を取らないし、たぶん維持コストもかなり低いだろうと思われる。ならばリアルスタンプのあった場所にこだわる必要は、ないはず。全ての、少なくとも終日駅員を配置する改札口の近くに貼る。また、改札の内か外かも統一する。さらに、スタンプのシートも、もっと大きく、目立つようにして欲しい。

 今後都営地下鉄でも、デジタルスタンプを活用したラリーなどが企画される事になるかも知れない。なら、今すぐにスタンプのシートの配置場所を、見つけやすく、使いやすものにしなければならない。デジタルスタンプ自体は悪くない試みだと思う(スマホを持たない人は困る事になるだろうが)が、運用面での改善を、早急に期待したいと思います。

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《What's New》
23日 NBA 八村 塁 ロサンゼルス・レイカーズ移籍決定
24日 アダストリア 個人情報100万件超流出の可能性発表
25日 2021年衆議院選挙「1票の格差」 最高裁「合憲」判決
 西日本、特に滋賀~京都にかけては、JRの電車が雪の中長時間立ち往生するケースが相次ぎ、マヒ状態に陥っているらしい。JR西日本の判断が、今後問題になりそう。すぐ近くの新名神でもトラックが渋滞しているらしくて、琵琶湖のあたりが一番、雪が大変だったのか?関東地方も一時は雪の影響が懸念され、各交通機関からも運行への影響も予告されていたが、結局一部に積雪はあったものの、今日は全体的には青空が広がりました。風は冷たかったけれど。申し訳ない気もします。中国ではマイナス53℃を記録した所もあったそう。

№2530 JR東日本 ローカル線情報開示

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 JR東日本は先月28日、「ご利用の少ない線区の経営情報を開示します」と題したリリースを発表しました。簡単ながら、状況を分析してみます。
「ローカル線」と書いたが、今回公表された路線には、幹線と目される羽越本線や奥羽本線、上越線も含まれています。地域輸送の窮状は、路線の「格」を問わなくなっている事が窺われます。

 基本的な内容は、4月に公表されたJR西日本とほぼ同様で、輸送密度2,000人/日未満の路線・区間を対象としています。

【別紙1】は、線区ごとの収支データで、コロナ禍の影響が出る直前の2019(H31~R元)年度の状況です。
 先に平均通過人員を見ると、民営化初年度の1987(S62)年度との比較で、「32年でこんなに減っているんだ」と、少々ショックも感じられました。ほとんどの線区が半分以下、90%以下という路線もいくつかある。もっとも一部は、32年前は長距離列車が多数走っていた線区で、一番減少率が大きい津軽線・青森~中小国間(△93%)だと、1987年度末(1988(S63)年3月13日)に青函トンネルが開通、北海道を目指す寝台特急〔北斗星〕や特急〔はつかり〕、急行〔はまなす〕、快速〔海峡〕が多数運行を開始していました(だから津軽線のデータは、蟹田でなく中小国で分割しているのだろう)。わずか19日だったが、この年度の平均値に相当大きな影響を与えた事が解ります。奥羽本線・新庄~湯沢間(△90%)も、山形新幹線開業前だったから特急〔つばさ〕・寝台特急〔あけぼの〕といった長距離列車が多数ありました。だから単純には比較できない。
 しかし逆に言うと、長距離輸送を担う列車がないと、地域輸送は幹線でも元々大変だった、とも言えます。これはJR西日本と同じです。
 さらに、長距離輸送がない純粋なローカル線では、民営化時点で既に3ケタしか利用がなかった区間で、さらに1/10程度に減ってしまっている所が多い。花輪線は全線が1987年度でも特定地方交通線レベルしかなかったが、特に中間の荒屋新町~鹿角花輪間は915→78人/日(△91%)で、今回公表された区間では、平均通過人員が一番少ない。陸羽東線・鳴子温泉~最上間と、久留里線・久留里~上総亀山間も2ケタに落ち込んでいる。
 大糸線は、JR西日本の非電化区間がクローズアップされているが、東日本の電化区間でも、白馬より北は215人/日にしかならない(非電化区間は105人/日)。信濃大町~白馬間も△71%の762人/日。白馬岳を控えて〔あずさ〕が乗り入れていても、観光・行楽輸送だけでは支えるのは難しくなっている、という事か。小海線も、清里・野辺山を抱えた小淵沢~小海間が△57%の450人/日。観光路線も、現実は厳しい。
 営業係数は、一番悪いのが久留里線・久留里~上総亀山間の15,546。収支率が0.6%しかない。花輪線・荒屋新町~鹿角花輪間が10,196。5ケタなのはこの2線区。

【別紙2】は、コロナ禍の影響が出た2020(R2)年度の状況で、当然ながら状況はさらに悪化。北上線・ほっとゆだ~横手間が△91%・72人/日。飯山線・戸狩野沢温泉~津南間が対1987年度比で△91%・77人/日。飯山線・磐越西線・陸羽東線も、一部の区間は営業係数が5ケタに悪化している。
 今回公表されている線区で、平均通過人員が1987年度比の半分以上をなんとかキープしているのは、左沢線・寒河江~左沢間、只見線・会津若松~会津坂下間、この2線区しかない。

【別紙3】「在来線 線区別ご利用状況」は、2019年度の平均通過人員のランク毎に線区を色分けしている。全体的な印象としては、他社・他地域もそうだろうが、県境を跨ぐ区間の利用が目立って少なくなる。それとやはり、安定してまとまった長距離の利用がないと苦しくなるなあ、という印象は、JR東日本でも変わらない。2,000人/日以上とされる区間でも、田沢湖線や、奥羽本線・福島~米沢間は「新幹線」がなかったらどんな結果になるか、容易に想像がつくと思う。

(鹿島線は、鹿島神宮~鹿島サッカースタジアム間は、スタジアムでの行事がなかったら、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の列車のみ。だから対象は香取~鹿島神宮間とすべきではなかったか)

 これで、JR旅客6社の内5社で、「ローカル線」に関わる経営情報の情報が出そろった事になります。JR東海は出していないが、恐らく同社でも、名松線のみならず、飯田線や身延線、高山本線、紀勢本線あたりでも一部の区間は、似たような厳しい数字が並ぶと思う。本当はJR東海にも情報を開示してもらいたいが、数字に関係なく自社での運営を継続する心構えだ、とはっきり言えるなら、まあいいだろう。
 地方の交通の在り方が国レベルでも議論される事になり、今後は各地で、今回までに公表された数値を基に議論が進められる事になるのだろう。都会に住むヨソ者が軽々しくは言えないが、全部の路線がなくなるとは、さすがに思えない。JR東日本でも、羽越本線や奥羽本線は、旅客は希少でも貨物の動脈となっている路線もあるし、やはり観光客を呼び込むためには必要とされる線区もあるだろう。通学需要が多い路線もあるし。ただ一方で、逆に全部の路線が維持できるとも思えない。特に「営業係数5ケタ」「収支率1%未満」「平均通過人員2ケタ」、この3点がそろった線区(2020年度のJR東日本では5区間)は、覚悟を決めなければならないかも知れない。JRだから何とか残っているともいえる。純粋な民間企業だったら、「ビジネス」としてはいくら何でも数字としておかしいので。残念ながら、義務感・精神論だけでは残せるものではない、と思う。
 当然地元の反発は予想されるが、と言って40年くらい前の特定地方交通線問題の時のような、大規模な反対運動を行える体力があるかどうかは疑問だし(そもそも地域そのものの過疎化がさらに進んでいる)、既に暮らしの大半を道路交通(高速道路・高規格道路)に委ねていておいて、なおかつ鉄道を残せと言い切れるのか。10月には、平均通過人員500人/日以下の只見線が11年ぶりに全線の運行を再開するが、1日3往復しかない鉄道路線を、沿線の人々の日々の暮らしにどう組み込んでいくのか。只見線のケースは、今後全国各地の鉄道路線(JR以外も含めて)の維持・運営にとって、大きな試金石となるでしょう。ともかくJR各社も地元も、納得のいくまで(いかないよ、という人も少なくなかろうが)、誠意のある話し合いを重ねて、各路線の行方を決めて欲しいと思います。

 こんな事を書いている最中だが、昨日から今日にかけての豪雨で、またJR東日本の路線にダメージが与えられたようです。特に米坂線・磐越西線は、また鉄橋がやられてしまったようで、まだ被害の全体像が明らかになっていないが、これでまた、路線を残す廃止するの議論に発展してしまうのではないか、心配です。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
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 なお当ブログは、8月16日予定でSeesaaブログに移転します。11日が、BIGLOBEウエブリブログでの最後の更新となる予定です。詳しくは当日書ければと思います。


《What' New》 
 1日 ウクライナ 穀物輸送船 オデーサ港出航
 2日 日野自動車 データ不正問題 調査報告書公表
 3日 ガソリン価格 全国平均1リットル=169.9円 5週連続値下がり
 4日 駐日ロシア大使 広島原爆慰霊碑に献花

 日野の不正は20年にも渡って続けられていたそうだが、このあおりで、日野のエンジンを搭載したいすゞのバス(ガーラ・ガーラミオ・エルガハイブリッド・エルガデュオ)も出荷を停止したそう。幸か不幸か、コロナ禍でバスの需要が減っているからすぐにはバス業界全体への影響は出ないだろうとは思うが、ともかく、出荷が正常に行われるよう、早く事態が収束して欲しい。

№2499 JR西日本 ローカル線情報開示

 当ブログも2500回目の更新になります。長らくお付き合い頂き、ありがとうございます。
 前回ラストでも記したように、転職により勤務時間が遅くなり、帰宅が「午前様」になりますので、今回から更新体制を変更します。毎水・金・日の3日間、毎時22時更新とします。日曜日は休みだけれど、水・金は午後からの出勤になるので、出勤時刻前に記事を書き上げて出ていく事になります。なのでこれまで末尾に書いてきた「今日のできごとから」は、「What' New」と改め、前日までに起きた出来事を書いていきます。
 今後も、宜しくお願いいたします。

 本来なら今日は、GW期間中の国内航空各社の利用状況について書きたかったが、今回は各社のリリースが遅く、大半が昨日10日(ANAは今日昼現在ではまだ出ていない)になってしまって、今日の午後までにはまとめきれません。なので予定を変更して、別の事を書きます。

2016年9月6日.jpg
 JR西日本は先月4月11日、「ローカル線に関する課題認識と情報開示について」と題したリリースを発表しました。北海道に続く、JRグループのショッキングな報告なので、簡単だがまず記しておきます。
 このリリースでは冒頭、民営化(1987(S62)年4月1日)以降の35年で、ローカル線を巡る環境は大きく変化し、路線によっては厳しい厳しい利用状況になっている。大量輸送という鉄道の特性が十分に発揮できていないし、環境面においてもこれでは鉄道は優位に立てない。特に輸送密度2,000人/日未満の線区において、収支率などの情報を開示し、地域旅客サービスの確保に関する議論のたたき台としたい、旨記されています。
 今回、JR西日本から示されたデータ等を、特に「別紙」及び「参考資料」から、私なりに分析し、考えてみたいと思います。

【別紙1】 「在来線 線区別ご利用状況」は、ひと目で見て、予想以上に悪いというのが率直な印象。「アーバンネットワーク」(大阪からの直通列車が頻繁運行する区間)や山陽本線、北陸本線、紀勢本線、その他広島や岡山の近郊などの一部の線区を除くと、皆8,000人/日未満。特急がある程度フリークエントサービスを行っている福知山線や伯備線でも、大阪や山陽本線に接続する一部区間を除くと8,000人/日未満、伯備線の北部は4,000人/日未満で、利用の大半は特急だろうと思われるので、地域輸送は相当少ない事が伺われます。
 山陰本線に至っては、園部~小串間以外はまるまる8,000人/日未満、他はともかく、特急〔スーパーまつかぜ〕〔スーパーおき〕がある程度走る出雲市~益田間さえ2,000人/日未満で、「開示対象」になりました。出雲市~浜田間は24年前まで、東京へ行く寝台特急もあったのに。
 電化区間でも、小浜線・小野田線と、加古川線(西脇市~谷川間)は2,000人/日未満です(小野田線以外は民営化後の電化)。

 今回、輸送密度を「2,000人/日」「4,000人/日」「8,000人/日」で分けた上で利用状況を公表しているが、特に「2,000人/日」「4,000人/日」は、国鉄時代末期の特定地方交通線の線引きを意識したのではないかと思われる。この線引きを定めた、いわゆる「国鉄再建法」では、おおざっぱに言って、

1.第一次特定地方交通線 旅客輸送密度2,000人/日未満で、営業キロ30㎞以下(または旅客輸送密度500人/日未満で、営業キロ50㎞以下)のいわゆる「盲腸線」(終点で他鉄道への接続がない、行き止まりの路線)
2.第二次特定地方交通線 その他の輸送密度2,000人/日未満の路線
3.第三次特定地方交通線 輸送密度4,000人/日未満

で分類し、対策を講じる事になりました。
(他にも当時は貨物輸送でも基準があった)

 この基準で当てはめると、JR西日本の在来線2649.0㎞(「データで見るJR西日本 2019」より)のうち、約47%の1268.9㎞が、「第二次特定地方交通線」までには該当し、万が一全部廃線となると、特に中国地方の中部から山陰地方にかけては、鉄道ネットワークはほぼ壊滅します。

 続いて【別紙2】「 2019年度 輸送密度(平均通過人員)2,000人/日未満の線区の経営状況」(2017-2019平均)で、民営化から、コロナ禍の影響が出る直前の2019(H31~R2年)の比較も記されています。
 特に芸備線の東城~備後落合間が、衝撃的とさえいえる位悪い。収入が約100万円しかないのに、支出が2憶6000万円もかかっていて、桁が2つも違っている。収支率0.4%は、情報が開示された線区では最低(唯一1%を切っている)、「ビジネス」としてはおかしいだろ、とさえ感じる。収支係数で25,416などという数字、今回初めて見ました。国鉄時代末期、北海道の旧美幸線(美深~仁宇布間)が「日本一の赤字路線」と称され、地元ではこれを逆手に取って存続のためのPRも行ったりしたが、この時の数字でさえ、最高で4,780でした。この数値も極めて悪いが。今回、美幸線の数値とほぼ同等、あるいは上回るのは、ここと、同じ芸備線の備中神代~東城間(4,129)、備後落合~備後庄原間(4,127)、そして木次線の出雲横田~備後落合間(6,596)で、特に備後落合を巡る各路線・区間が、JR西日本の中でも図抜けて悪い事が、データでもはっきり示されています。6年前、2016(H28)年の9月に広島の方から来て、木次線に乗り換える旅を当ブログで書いたけれど、既に「秘境駅」化している状況がはっきり見えていて、そうだろうなあと思ってしまう。

 もう一つ、ちょっとショッキングだったのが、同じ芸備線の下深川~三次間。東側と違って、広島市と三次市(広島県では8番目の人口の市…と言っても2017(H29)年度が約5.36万人)を結ぶ、ある程度は幹線的な要素もある路線だと思っていた。備後落合と合わせて書いた№1576で、「線路の整備や新車両の導入も行って、積極策に出て欲しい」などと書いてしまったのだが、この数字では、そうもいっていられなくなったのかも知れない。

 とにかくこの【別紙2】に記された各線区の、33年間の利用の減り方が尋常ではない。姫新線・津山~中国勝山間の2019(H31~R元)年度の1987(S62)年度比60%、というのはまだ良い方で、他に50%以上をキープしているのは、越美北線しかない(全区間の平均なので、越前大野で分割して計算したら、九頭竜湖側が極めて悪い数字になるだろうというのは、容易に想像できる)。特急〔スーパーおき〕やSL〔やまぐち〕が走る山口線でさえ、宮野以北は30%以下。

2017年3月13日.jpg
 小浜線は37%、加古川線(西脇市~谷川間)は28%。どちらも民営化以降かなり経ってから電化されているにも関わらず、大幅に減少。そして、11線区で10%以下になっています。

 その左、「2017-2019収支(億円)」では、収入から支出を引いた額が示されていて、これが純粋な「赤字額」となるか。山陰本線・出雲市~益田間が34.5億円と赤字が図抜けて高いが、特急がある程度頻発している都市間区間でもあり、収入も開示各線区では一番多い(約10億円)。赤字額28.6億円の紀勢本線・白浜~新宮間も、収入が6.7億円と2番目に多く、特急運行区間では、ある程度の料金収入は見込める。言い換えれば、地域輸送では収入は見込めないという事になり、これ以外の開示各線区では、小浜線が3.1億円、播但線3.0億円(〔はまかぜ〕に竹田人気も加味しての数字だろう)の他は3億円未満、20線区は1億円にもならない。木次線・出雲横田~備後落合間など0.4億円でワースト2だ。

【別紙3】はさらに、コロナ禍の影響がはっきり出てきた、2018-2020平均を反映した数字が並んでいる。先に記した、「特急が走っているのでまだ収入が多い」区間でも影響が甚大だし、収入では10億円以上の線区がなくなり、芸備線・備中神代~東城間も、1,000万円を切ってしまった。利用の減少はさらに顕著になり、開示全線区で、利用が1987(S62)年度比の50%を割り込みました。大糸線(糸魚川~南小谷間)・木次線(出雲横田~備後落合間)は、コロナ禍とは言え2020(R2)年度は前年度比でも半分以下。大糸線は夏は白馬岳への登山、木次線は路線そのものの行楽(〔奥出雲おろち号〕など)の需要がわずかながらでもあったろうが、それらが失われた結果と思われる。

 そして【別紙4】では、「2019年度 輸送密度(平均通過人員)」が記され、1987(S62)~2017(H29)年は10年刻み、その後は1年刻み(参考なのか2020(R2)年度まで)の数字が並ぶ。開示各線区は全て、民営化の時点ですでに5,000人/日には達しておらず、3ケタの路線も少なくないが、それにしても、10年刻みで利用が激減しているのには驚かされる。大糸線は、平成時代までは関西からの〔シュプール号〕直通運転もあったが、短期間の行楽輸送では持ちこたえられないのか、昭和~平成の10年間ですでに、1/3に減少している。山陰本線の益田~長門市間及び長門市~小串(・仙崎)間も、特急〔いそかぜ〕がなくなった1997(H9)~2007(H19)年の10年間で、一気に半分程度に落ちている(むろん、特急1往復だけで支え切れるものでもないが)。因美線も、急行〔砂丘〕が1997(H19)年11月改正で特急〔いなば〕となり、智頭急行経由に変更された事があるはず、次の10年間で1/4強に落ち込んでいます。
 前述の芸備線・東城~備後落合間は、民営化時点でも476人/日と、すぐに廃止になってもおかしくなかった数字だった。芸備線の一部分だったから見過ごされてきたのだろう。当時は急行〔たいしゃく〕(備後落合より南だけ)の広島直通もあったりしたが、次の10年間で、一気に100人/日に落ちている。コロナ禍前の2018(H30)年で既に9人/日で、ひょっとしたら、北海道以上に深刻な区間、なのではないか?

 総合していうと、これらの線区は、民営化の時点で既に特定地方交通線レベルの利用しかなく、それでも一部は特急や、民営化時点ではまだ相当数残っていた急行による、長距離輸送によって何とか支えられても来れたが、これらがなくなったら、地域輸送では到底維持できなくなる線区がほとんど、という構図が見えてきました。

 別に参考資料があるが、「人口推移」は、JR西日本のエリア(近畿・北陸・中国)は全国平均を下回り、今後もそうなる、一方で自動車の保有台数は、近畿以外は1990(H2)年以降の3年間で全国平均を上回って増加し、北陸・中国は倍増したと。そして、高規格幹線(自動車専用道路など)の整備状況の図もあり、例えば中国地方は、民営化時点ではほぼ中国自動車道1本だけで、これだけでも中国山地の各線区には大打撃だが、その後山陽・山陰の路線や、それらを相互に結ぶ縦断道路が相次いで開通していて、低規格の鉄道では到底太刀打ちできない。これは近畿や北陸もそう。自動車専用道だけでなく、前述の木次線も、輸送量的には昔から輸送量が希少ながら特定地方交通線の対象から除外されたのは、並行する道路が未整備だったことがあった。が、1992(H4)年開通の「奥出雲おろちループ」を擁する国道314号線の整備は、木次線の維持の前提を壊してしまったのは、間違いないと考えられる。他にもこういう線区はあるでしょう。

 正直、ここまで書いてきた感触では、これら開示各線区に、明るい展望がほとんど感じられない。現在でも特急が走る幹線(紀勢本線・白浜~新宮間及び山口線+山陰本線・宮野~益田~出雲市間)は、ネットワーク維持のために必要と思われるから何とか維持の方策が建てられると思われる(思いたい)が、それ以外の路線は、どうなのだろう…。北海道と同じで、全路線が全てきれいさっぱり廃線になってしまうとも思わないが、逆に全路線が全て一転維持される事になるとも、ちょっと思いにくい。特に中国山地の各線区は、三江線の前例もあるだけに、覚悟を決めなければならないのではないかと思えます。

 今後はこのデータを踏まえて、沿線の自治体がどう出るか、が焦点になると思われる。「なくなったら困る」「反対」という声は大きくなるかもしれないが、と言って国鉄時代末期のような、大規模な反対闘争にまで展開できるほどの体力が、自治体にあるのか。それに、既に高速道路網の整備の恩恵を受けていて、大都市への移動にも高速道路の利用(マイカー・高速バス)が一般的になっていると思われるのに、なおも鉄道の存続に固執するだけの理由を示せるだろうか?例えば広島県庄原市東城は、広島まで高速バスで3時間弱、大阪まで約4時間20分、長距離輸送に関しては、鉄道は意味をなさなくなっていて、それでも、小型バスでも空気輸送になりそうな利用者数しかない鉄道に、しがみつき続ける事が、できるだろうか?他地域でも、そのような場所は多いと思われる。

 北海道の時にも書いたが、鉄道は大量輸送こそ最も得意な分野であり、少なくともある程度まとまった輸送量が、コンスタントに発生し続けないと(曜日や季節による変動はあるにしても)、具体的には「1時間に最低1本程度の運行本数が確保されるくらいの輸送量」がないと、設備投資に多額の費用が掛かる鉄道としては、維持が難しいのではないか?
 残念ながら、「乗って楽しい列車」的な観光列車が週末に走るとか、TVの紀行番組で取り上げられるとか、一部の「クルーズ列車」が立ち寄るだけ、程度では、ローカル線はもう残せない。その認識は持つべきだろう。JR側にはこの先、もう少し詳細な(北海道並みの)情報の開示も求められるし、自治体側は、本当に残して欲しいなら、どのような、鉄道を最大限有効活用するような「交通政策」を持ちうるのか、示されなければならないと思う。単純な赤字補填は、運営体制がどうであってもうムリ。それに人口が減少しているので、純粋に旅客数を増やすのはほぼ不可能と思われ、かなり画期的な(貨物まで含めた)交通政策の大転換の方策が示されない限り、今後5年から遅くとも10年以内には、開示各線区の廃止が相次ぐ事になるのではないか。とにかくJR西日本と関係する各自治体が納得するまで(納得できん…という声もあるに違いないが)、キチンと話し合って、行く末を決めて欲しいと思います。
 我々外野としては、その話し合いに口を出す権限はない。廃止されたら寂しい、残って欲しい、とは思うが、やはりそこまで。郷愁ではビジネスはやっていけないので。鉄道として乗れる今のうちに乗って(それも普通の列車で)、現実を確かめておこう、それしかないのでは、ないですかねえ。いずれにしろ、議論の行方をキチンと見守る必要があると思います。

 JR東日本も、今年中には地方路線の運営状況の情報を開示する方向になりました。残るJR3社も、どこかで情報を開示する事になるのではないか(東海は微妙だが)。当然問題はJRグループに限った事ではなく、令和の世は、地方鉄道路線にとっては、「冬の時代」となってしまうのかも知れません。哀しい事ではあるが、現実を受け止める覚悟が、我々鉄道趣味人にも求められています。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
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 BIGLOBEの「ウエブリブログ」が、来年2023(R5)年1月一杯でサービスを終了します。このため当ブログは今月以降どこかの時点、少なくとも半年以内には、「Seesaaブログ」に移転する予定です。その時期になったら、改めてお知らせします。


 ローカル線問題の一報で、いよいよ西九州新幹線の走行試験が始まりました。しかし今回は、武雄温泉~長崎間のみの「片肺」で武雄温泉での乗り換えが必要だし、佐賀県中心部の建設の問題のスッタモンダもあって、スッキリとはしない開業になりそうです。とはいえ、開業後の今年中には、博多~武雄温泉間の「リレー特急」と合わせて乗りに行くと、今のうちに宣言しておきます(コロナ禍の動向も見る必要があるが)。9月23日開業だが、在来線も含めたダイヤの詳細の発表は、6月中旬くらいになるのだろうか。

《What' New》 
 8日 ボルダリングW杯男子 藤井 快優勝 表彰台日本人独占
 9日 大谷 翔平 満塁ホームラン メジャーリーグでは初
10日 ラグビー女子15人制 日本代表 オーストラリアに初勝利

№2417 減少する 定期券発売窓口

小田急湘南台駅定期券発売窓口跡.jpg
小田急湘南台駅定期券発売窓口お知らせ.jpg
 お気づきの方、多いと思います。この数年で、大手を中心とした私鉄や地下鉄の定期券発売窓口が、かなりのペースで減少しています。
 特に大手私鉄の場合、定期券の発売は、旧国鉄のような各駅でその駅から、というのではなく、主要な駅に集約し、その窓口で大半の区間を発売するというのが一般的です。その窓口の閉鎖が、相次いでいるのです。

 ここで、関東地方の地下鉄や、大手を中心とした主な私鉄の、定期券発売窓口の現状をまとめてみます。今こうして書いている間にも、閉鎖や営業日・営業時間の短縮を発表している所もあります。(窓口の名称は各事業者で様々・共同使用駅で他社に委託する駅は除いた)

東京メトロ 7時40分~20時00分:赤坂見附・新橋・銀座・日本橋・上野・中野坂上・新宿・霞ケ関(土休日休業)・大手町・池袋(丸ノ内線・有楽町線共あり)・恵比寿・茅場町・高田馬場・飯田橋・浦安・明治神宮前・新御茶ノ水・北千住・綾瀬・小竹向原・豊洲・錦糸町・王子
 新橋・日本橋・霞ケ関・新御茶ノ水は2022(R4)年1月22日を持って終了 池袋(丸ノ内線)は2022(R4)年1月23日より土休日は休業

都営地下鉄 8時00分~20時00分:五反田・三田(土休日休業)・日本橋・東日本橋(土休日休業)・浅草橋・日比谷(土休日休業)・神保町(土休日休業)・巣鴨・高島平・新宿・馬喰横山(土休日休業)・大島・一之江・本八幡・上野御徒町・門前仲町(土休日休業)・練馬

京成 7時00分~20時00分:日暮里・京成高砂・京成船橋・八千代台・勝田台・京成成田・京成千葉

東武 7時30分~20時00分:浅草(駅旅行センター)・北千住・草加(12時00分~)・新越谷(12時00分~)・春日部・大宮(12時00分~)・柏・池袋・志木(12時00分~)・川越・坂戸
(伊勢崎線和戸・日光線栗橋以北では、一部の駅の窓口で、原則自駅発着分のみ発売)

西武 平日7時00分~20時00分・土休日10時00分~18時00分:池袋・大泉学園・西武新宿・高田馬場・田無・所沢

京王 7時30分~20時00分:新宿・千歳烏山・調布・高幡不動・京王八王子・京王多摩センター・渋谷・吉祥寺

小田急 6時30分~20時00分:新宿(7時30分~)・成城学園前・新百合ヶ丘・町田(7時30分~)・相模大野・海老名(8時~)・本厚木・秦野・小田原・大和・藤沢
 海老名は2022(R4)年2月28日を持って終了

東急(世田谷線除く) 13時00分~20時00分(コロナ禍のため短縮営業中):渋谷・自由が丘・日吉・横浜・三軒茶屋・二子玉川・溝の口・鷺沼・あざみ野・青葉台

京急 8時00分~20時00分:品川・横浜・上大岡・横須賀中央

相鉄 7時00分~20時00分:横浜・二俣川・三ツ境・大和・海老名

りんかい線 7時00分~20時00分:新木場・東京テレポート・品川シーサイド・大井町

つくばエクスプレス 7時00分~20時00分:浅草・北千住・守谷・つくば

北総 7時00分~20時00分:東松戸・新鎌ヶ谷・千葉ニュータウン中央

新京成 7時00分~20時00分:松戸・八柱・北習志野・新津田沼

東葉高速 7時00分~20時00分:北習志野・東葉勝田台

埼玉高速 7時00分~20時00分:鳩ヶ谷・東川口

横浜市営地下鉄 平日10時00分~20時00分:土休日10時00分~17時30分:センター南・新横浜・横浜・上大岡

横浜高速 線内にはない(横浜の東急の窓口に委託)

 その事業者にとっては主要と思われる駅でも、案外なかったりします。無論、最近閉鎖された所もあるでしょう。
 今年に入ってからここに来るまでにも各社で窓口の閉鎖が相次いでいて、東急では4月を持って、武蔵小杉・長津田など一気に6か所が閉鎖されているし、東武でも船橋・上福岡が4月に閉鎖されました。小田急の湘南台も、(上に掲げた如く)先月に閉鎖されたばかりです。

 理由ははっきりしていて、いくつかあるが、

1.自動券売機の多機能化 券売機でも定期券(ICも、磁気も)が購入できるようになった。クレジットカードも受け付ける(駅によっては発売時間、クレジットカード受付時間に制限がある所も)。

2.事前予約サービスの普及 例えば東急では、スマホ画面上から必要事項を入力して送信し、QRコードを入手、後日券売機でQRコードをかざし定期券を入手する。通学定期券の場合は通学証明書を駅係員に提示する必要があるが、京王の「定期券らくはやサービス」では、通学証明書の画像ファイルをアップロードすればよい。PASMOのアプリ定期券でも、今月から、通学証明書は電子ファイル形式での送信も可能になり、今後他社でも追従する所が多くなるだろう。

3.そもそも定期券利用者自体の減少 通学定期の場合は、少子化による生徒・学生の減少。通勤も、元々「働き方改革」やオリ・パラ対策で在宅勤務が推奨されていた所へ、コロナ禍でリモートワークが強力に要求されるようになった。いつかコロナ禍が完全に終息したとしても、以前のレベルに戻る事はないだろう。

 コロナ禍が決定打となって、対面での発売が敬遠されるようになったという事が、もちろん大きいでしょう。鉄道事業各社も、(定期券以外でも)モバイルの利用を強力に推奨している状況でもあるから。

 一方、JRの方は、「定期券発売窓口」というものは存在しないものの、みどりの窓口で定期券も対面の発売をするようになり、状況は私鉄に近づいているかもしれない。自動券売機の多機能化も同じだし、JR東日本は今後、みどりの窓口の大幅な削減を発表しています。みどりの窓口は長距離の特急券や乗車券もあって対面販売もある程度は残さなければならないと思うが、私鉄においては今後、そんな遠くない将来に、「定期券発売窓口は全て廃止します(自動券売機・モバイルに一本化)」という事業者が出てきそうな気がします。新年度・新学期の窓口の前の行列は、過去のものになりつつあるのでしょうか。

 ところで、廃止になる(なった)定期券発売窓口だけれど、その後はどのように活用されるべきか。東急では武蔵小杉や長津田の旧定期券発売窓口をシェアオフィスとして活用していて、今後他社も同様の方向に行くのかも知れない。しかし私は、もっと違う利用法を検討して欲しいと思う。だいぶ昔、ちょうど10年前の№422で、バスの案内所について考察していて、同じ駅からなのに事業者によって設置場所がてんでバラバラ、肝心のバスターミナルから遠いのは、何とか解消されなければならない、と書きました。残念ながら10年経ってもそのまんま、という所ばかりなのだが、廃止によって空いた定期券発売窓口(JRだと、みどりの窓口に併設されていた「びゅうプラザ」跡になるか)を活用し、事業者の垣根を超えたバス案内所を、駅の構内に集約する、という事は、できないでしょうか?Webとかも良いのだけれど、現地に着いてからのバスのインフォメーションがどこにあるのか解らない、不備な点があまりにも多いと思う。この点が、欧州とかに比べて劣っていると思われる点で、バスが鉄道のフィーダーサービスも担っている事を思えば、改札を出たすぐ目の前に、ワンストップで情報を得られる情報提供施設が整備される事は、首都圏以外でも是非、必要と思われます。特に観光需要が見込まれる場所だと、アフターコロナでインバウンドが戻ってきた時にも、必要になる機能です。定期券の窓口の縮小は時の流れでもあろうが、インフォメーションの必要性は変わらないはず。この機に、設備の整備の在り方を考えて頂ければ、と思っています。
 
 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
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 東武は今日、「スペーシア」の後継となる新特急車、N100系(6連×4本 24両)を、2023(R5)年より導入すると発表しました。概要はリリースに任せるとして、イメージイラストを見ると、コンパート車と思われる先頭車両は、江戸の工芸品をイメージしたとされる、X字状の窓枠が印象的です。カフェカウンターも置かれるという事です。愛称など、詳細は後日という事。アフターコロナの日光・鬼怒川路を引っ張る存在になって欲しい。

《今日のニュースから》 
10日 レギュラーガソリン 1リットル169円 約7年3か月ぶり高値水準
11日 ファイザーワクチン 厚生労働省 3回目接種を国内初承認

№2413 列車内連続刺傷事件 どう向き合えば良いのか

ご利用いただく皆様へ。ポスター掲示.jpg
 驚きました。
 前回、10月30日の更新はいつもより早く20時頃に行ったのだけれど、その後、ちょっとだけ総選挙の開票の状況を覗いてみようとニュースのサイトを開いたら、京王で起きた一件が、総選挙を差し置いて、速報でトップにありました。
 事件の詳細は、ニュース報道であれこれ伝えられている通りなのでここでは触れないけれど、ちょっとばかり私が感じた事を書いてみます。たぶん人によっては、私の意見・考えは「間違っている」と思われると思うが。
 それにしても鉄道の防犯対策は、26年前の地下鉄サリン事件に代表されるような、「組織的で、計画的な、大量殺戮を狙った(場合によっては国際的な)テロ」が起こる事を前提として、四半世紀の間で組み立てられてきた所があったが、今回の一件を含めた近年の事件は、その対策の根底にある考え方が通じなくなりつつあるかも知れない、と感じました。

 まず、この犯人。「死刑になりたかった」と供述しているそうで、この手の通り魔的事件ではこういう事を口走る犯人が多いけれど、そんなに自らに死を賜りたいなら、自分一人だけで死を選択すればいい。無関係な人を巻き添えにする必要はない。甘い。こんな事を軽く口にするのは、ひょっとしたら逆で、「裁判になったら責任能力云々という話になって、少なくとも死刑にはならないんじゃないか」という計算が働いているのではないか?下衆な勘繰りに過ぎないだろうが。
(通り魔事件の度に、こんな軽々しく「死刑」という言葉が口にされるから、日本から死刑制度がなくならないのではないか、と思ってしまう)
 とはいえ、ひょっとしたら、本当に精神的に何かを抱えていたのかも知れない。コロナ禍の最中、本当に自殺を選択してしまう人も増加していて、その辺の関連を指摘する専門家もいるようです。8月には小田急の快速急行で同様な事件があって、私は先月の総選挙の公示の日、政党・候補者に対して、小田急や、その前の〔のぞみ〕の放火事件のような「通り魔」的犯行に対して、何か防止・抑止策は持ち合わせているのかを問いたいと書きました。京王の事件が開票作業と同時進行だったのは偶然に過ぎないが、これは本当に、与野党・右も左も関係なく、政治の世界で真剣に考えて、対策を講じて頂きたい。人の心の有り様については、鉄道会社とか、警察や警備とかが考えるべき事項とは、少し違うと思う。無論、鉄道・交通だけに限った事ではないし。

 車内の警備体制に関しては、事件が起きた京王8000系は、車内のカメラが付いていなかったそう。最近は普通の通勤電車でも車内に防犯カメラが搭載されるケースが増えたが、今日乗った京急の1000形にはなかったし、全体的にもまだ少数派でしょう。「防犯カメラの是非は?」とも、政党・候補者に問うてみたが、ここまで来ると、少なくとも大都市圏のJRや大手私鉄、地下鉄等に関しては、義務化という方向に向かわざるを得ないのではないか。「コロナ禍で収入が激減しているのに、誰がコストを負担してくれるんだ?」という声もあり、これも、然るべきところがある程度の費用を負担する、という事にならざるを得ないと思う。設置そのものは、「絶対反対」と叫ぶ人は、もうほぼいないと思う。事件が現実に、国民生活の中の脅威として存在するのだから。あとは、警察…は全線は無理だから、警備員の巡回の増強でしょうか。最近のJRや大手私鉄等は大手警備会社と提携している所が多いし、東急だとグループに警備会社があります。あまりいい気分はしないけれどね。
 手荷物検査は、少なくとも日本ではやっぱり無理。スペインの高速列車AVEでは、ホームに入る前に空港のような手荷物検査を行っていると過去に何度か書いているが、日本だと新幹線でも利用者がダントツに多いし、まして通勤電車で、乗客にとてつもなく行列を作らせて検査ゲートを通らせるなんて、考えられないでしょう?

 もう一つ、これは鉄道業界自身がまず考えなければならなくなったのは、ホームドアが設置された駅における緊急脱出の在り方。今回は国領駅の停止直前に乗客がドアのコックを操作したため、正規の停止位置に停められず、車掌がホームドアを開ける選択をしなかったという事です。私は、その車掌の判断は正しかったと思っています。
 ニュースの映像を見ると、窓から乗客が次々に、ホームドアの柵を超えて脱出するシーンが流れているが、もし現場が国領でなく、一つ手前の布田だったら、完全な密閉タイプのホームドア(換気システム集約のため)なので、脱出もままならなかったという事になり、より深刻な事態になったかも知れません。このタイプのホームドアは地下鉄(メトロ南北線等)や新交通システムが中心で、一般的な鉄道ではほとんどないと思うが、いずれにしろ、ホームドア設置駅における緊急脱出は、新たな課題として浮上したと思います。非常通報装置に関する取扱いも含めて、必要なら手順の見直しも行ったうえで、各鉄道事業者で入念な訓練がなされるべきでしょう。

 ダラダラ書いてきたけれど、とにかく事件が起きない事が一番大事。アメリカみたいに、ただ学校に行くだけなのに、銃の恐怖に怯えなければならないなどというような状況には、日本では絶対に陥ってはいけない。立場や思想の垣根を超え、皆が知恵を出し合って、まずは事件の芽を摘み取る事、です。

(一番上の画像は、京急線の神奈川駅に掲げられていたポスターです。11月1日に撮影しました。たぶん、8月の小田急の一件を踏まえての作成だと思う)

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《今日のニュースから》 
 1日 熱海市伊豆山小学校 4ヶ月ぶり授業再開
 2日 Jリーグ「フードライフ」 支援食品を埼玉県に寄贈

 JALは年間の決算が2年連続、JR西日本は中間期決算が2期連続の赤字となる見通しと発表しました。交通業界の苦境は続く。そろそろ回復基調に転じて欲しいと思うが。

 総選挙。与党側は自民党が議席数を減らしながらも、絶対多数を確保する結果となりました。現職幹事長の小選挙区落選(比例区で復活当選)はあったけれど、夏場のコロナウィルス感染者数激増や、オリ・パラ開催に伴う批判的な意見が少なからずあった事を思えば、この程度の減少で済むなら良し、か。
 問題は野党、特にいわゆる「野党連合」なのだけれど、根本的な疑問が前からあります。「野党連合」って、誰が言い出しっぺだったの?そして、有権者が本当に望んでいた方向だったのか?一番最初に提唱したのはたぶん共産党だが、ご都合主義も甚だしい。ついこの間まで政府自民党のみならず、他の野党さえ「右寄り」と侮蔑していたのに、「我が党のおかげで政権交代がなったのだ」と自画自賛したかっただけに過ぎないのだろう。過去からそうだが、国民が共産党を拒絶するのは、共産主義をベースとした政党の思想、などでは決してなく、単に政権に影響力を欲しいがために、もっともらしい言葉で自らを飾り、楽して(本当に政権を欲しいなら、自らだけで単独過半数を獲得する以外道はないはずなのに)政権内の地位を欲しがったあさましさを、幹部の発言や党の行動に感じ取っているからではないのか?
 それ以前に、ずっと昔からだが、政党そのものの発言や行動は、本当に国民の意識の上に成り立っているのだろうか?そうなっているかどうかを、各政党の指導者(や、支持者・支持団体)は確認した事があるだろうか?立憲民主党の枝野代表(辞任するそうだが)が「自民党は足腰が強く、ここを鍛えなければ政権は獲れない」と語ったそうだが、まさにこの事。野党側の方こそ、真っ先に国民が本当に欲している事、求めている事は何だ?という事を、ずっと昔から探す・探る事をやるべきだった。たとえそれが、自らの党の方針とは相容れなくても。今回の選挙に至るまでにも、野党各党は与党自民党の政策・行動の批判に終始し、むろんそれ自体は野党としては当然ではあるが、それは本当に、国民の声を背景にしたもの、だったのだろうか?本当に、国民が求めている事だったのか?選挙の公約も、大半は自民党がやってきた事の「意趣返し」に過ぎず、「こういう世界を構築したいんだ、それを世界に示したいんだ、そのためにはこういう政策をやりたいんだ」というものが、ほとんど聞こえなかった。それに、政権を獲得したら、この部分はどうするの?という部分もいくらでもあった(TPP、核拡散防止条約、対韓国「徴用」など)のに、明快な答えがなかった(問わない方も悪いが)。
 どの党も(与党も含めて)、今後はとりあえず、他党への悪口雑言を、まずは一切封印して頂きたい。よその事などどうでもいい。そして、例え地味に映っても「我が党は、このような世界を作ります。そのためにこういう具体案を考えて、政策として示します」という事を、やって頂きたい。遠い昔の旧社会党などは、そういう所があったとも聞いているけれど(「江田ビジョン」とか)。そういうものがないまま、少なくとも自らの低支持率には目をつぶったまま、反与党のパフォーマンスのみに酔いしれる(敢えてこう書くけれど)「野党連合」には、正直国政を任せられないと思う。自民党政権はNOでも、なら野党連合は自動的にYES、とはならない。それを思い知らされたのが、今総選挙だったのではないか?
 最後に、今はまだ顕在化していないが、「野党連合」は、今後の国会では大変だと思う。野党全体の1/4近くが日本維新の会になってしまったから。ちょうど1年前の「大阪都構想」住民投票は否決されたが、日本維新の会そのものが否定されたものではなかった。統一地方選などで見られた、安易な「反維新包囲網」構築のツケを、他の与野党は(少なくとも大阪では)払わされた、という事ではなかったのか?