芸備線(備中神代(実態は新見)~広島)間のうち、特に備中神代~備後落合間の経営状況が極めて悪化し、全国初の再構築協議会が開催されています。
昨日11月11日付朝日新聞の「耕論」のページでこの問題について取り上げられ、関係者の「言い分」が並べて掲載されました。
私はこの区間を去年の4月8日に乗車し、№2799で記しました。私なりの考えも少し書いたが、改めて考えてみます。
1987(S62)年4月1日、つまり分割民営化初日の時点の、新見~備後落合間の時刻表を、「交通公社の時刻表 1987年4月号復刻版」から書き起こしましたので、ここに掲げておきます。
(下り1821Dは備後庄原→広島間811D急行〔たいしゃく〕 上り1822Dは広島→三次間812D急行〔みよし〕 1824Dは広島→備後落合間814D急行〔たいしゃく〕)
当時としても決して本数は多くはなかったが、それでも8往復(+東城→新見間1本)の運行がありました。大半が三次・広島との直通でした。東城は広島県だが、岡山県となる新見との結びつきが強いのは、昔も今も変わらないようです。また、客車列車が1往復ありました。
今年の10月29日に「2024年度 輸送密度(平均通過人員)2,000人/日未満の線区の経営状況」が開示されたが、それによると、2024(R6)年度の備中神代~東城間の輸送量は、1987(S62)年度の16%、東城~備後落合間に至っては、4%に落ち込んでいます。また、営業係数(100円稼ぐのに必要な経費で、国鉄時代末期の特定地方交通線問題では頻繁に使われた数字)は、備中神代~東城間は2,692、東城~備後落合間に至っては9,945で、今回開示された区間では、図抜けて悪い数字です(次に悪い姫新線・中国勝山~新見間が4,510)。
「耕論」では広島県知事湯崎 英彦氏(今月退任)、JR西日本副社長春名 幸一氏、交通経済学者宇都宮 浄人氏の3人の意見が並んでいました。特に湯崎氏と春名氏の言い分は、再構築協議会の対立をそのまま反映した内容でした。
湯崎氏は「これは国のレベルの問題であり、地域の実情に対応しなければ各地の鉄道は寸断されかねない。それは国の責任放棄だ。またJR西日本は昨年度の経常利益が1,656億円あり、JR各社には路線を維持する責任があるはずだ」としています。上下分離方式も反対。
春名氏は、「当該区間の一日の輸送密度が56人で、大量輸送の特性を活かせていない。このままでいいのかと伝えたい。まちづくりを考える観点では、ビジョンを行政が作り、鉄道事業者も共に議論する必要がある」としています。一例として富山県城端線・氷見線(あいの風とやま鉄道に移管予定)を挙げています。
湯崎氏は「国の問題」だとするが、芸備線に限らず、鉄道に限らず、だけれど、地域の事はまず、地域自身が考える事ではないのか。同じローカル線でもそれこそ地域によって実情は様々であり、国レベルで画一的な対策が取れるものだろうか、取って良いのだろうか。また、利益が相当あるとしても、それをことごとく地方部に注ぎ込むなら、今度は都会部の利用者の反発も考えられる(まずこちらの混雑の緩和などをやれよと)。
その点からいうと、肝心の沿線の住民の意識はどうなのだろうか?民営化の5年前には並行して中国自動車道が開通し、列車からも見たけれど、一般の道路も高規格化が進んでいる。東城からは広島への高速バスもあり、通勤通学はともかく、一般には普段は鉄道を利用しない層も相当いると思われる。彼らは芸備線存廃の議論をどう見ているのだろうか?
春名氏は、観光振興など貢献できることから地域に関わりたいと結んでいるが、観光…はどうだろう?鉄道そのものは、私がそうだったように「青春18きっぷ」シーズンは相当数の利用はあるが、それでもキハ120形の単行で足りてしまうほどでしかない。広島県は多数の観光列車が走る実績もあるが、それだけで路線を支え切れるのだろうか?
これらを踏まえ、宇都宮氏は、「民間が上下一体でローカル線を運営する先進国は、日本以外はほぼ無い。鉄道は道路と同じ「社会インフラ」であり、地域自身が鉄道への投資を促し、車との住み分けを図る必要がある」としています。「日本は鉄道事業を民間に丸投げしてきた」との批判もあるが、私に言わせれば、「何をいまさら」だと思う。たとえ公共交通であっても、採算度外視は許されない。また、民間の方が、公的機関がやるより経営状況は良くなる。これは40年も前の、国鉄分割民営化を巡りさんざん議論されてきた話で、特定地方交通線問題があった地方部はそうではなかったろうが、大手私鉄の成功体験を見て、恩恵にあずかってきた大都市部の利用者は、国鉄も民営にした方が、運賃もやすくなり(実際はそうはならなかったが)、民間企業同士の競争でサービスは良くなる)と考えたのではなかったのか(それが、1986(S61)年の衆参ダブル選挙の結果にも表れたのではなかったのか)。鉄道への投資は好循環を生むとも指摘しているが、例に挙げている宇都宮市は栃木県の県都であり、元々バスでは運びきれない往来が存在していて、芸備線と比較するのは適当とは思えない。芸備線に、大規模な投資ができるだろうか?単に路線を維持するだけでは済まない。私が見て乗ってみた限りでは線路の状態は相当貧弱であり、一つ間違えばいすみ鉄道のような事態が起こりかねない。基礎から立て直さないと、ただでさえ道路交通にはかなわない現状は変えられないし、それにはそれこそ新線を建設するくらいの莫大な投資を必要とするだろう。誰がそれをやるのか。
鉄道を趣味とする私としては、やはり廃止はしてほしくない、とは思います。が、しょせんヨソ者が言えるのはここまでです。№2799でまとめた事の繰り返しになってしまうが、都市間輸送という点ではもう明るい展望がないのだから、どうやって沿線の住民の利用を促すか、というより、どうやって沿線の住民の日常生活に鉄道を組み込むのか、それを考えないと、間違いなく、良くてもジリ貧です。今回の記事にはなかった、地元住民の意思もくみ取った議論が求められると思います。そこでは住民も、できるだけホンネを示して欲しい。
あくまで私の持論だが、ロケーションにもよるが、旅客にしろ貨物にしろ、最低1時間に1本程度の運行があるくらいの利用がないと、鉄道としては厳しいと思う。どこまでそのレベルに近づけるのか、その辺も考えて欲しい。廃線がとりあえず回避されたとしても、それで良かった良かったとぬか喜びしてはいけないと思う。残す、という結論になるのなら、地元にとっても相応の覚悟が必要になるでしょう。
広島県は先日県知事選挙が行われ、横田 美香氏が選出されたが、新知事は芸備線を始めとするローカル線問題に、どう向き合うのでしょうか。
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京急・京成・北総・芝山・東京都(浅草線)は今日、12月13日のダイヤ改正を発表しました。印象としては、パターンの変更を伴うような大規模なものには、今回はならないように見えました。
京急:平日は〔イブニングウィング4・6号〕を三崎口まで延長。土休日は〔ウィングシート52号〕を40分繰り上げ、三浦海岸(9時55分着)で、オープントップバス「みうらブルーコース」に接続する(「みうらブルーコース」は出発を15分繰り下げる)。また下り急行の待ち合わせ駅を神奈川新町→金沢文庫または上大岡に変更し、羽田空港→横浜間の所要時間を最大6分短縮する。神奈川新町では普通と接続する。
京成:成田空港発〔スカイライナー〕を1本増発(日暮里までノンストップ)し、成田空港発は一部時間帯を除いて20分間隔運転を確立する。この改正から、スカイライナー券を購入しないで乗車した場合、車内ではスカイライナー料金に加え、車内収受料金(大人300円・小児150円)の支払いが必要になる。平日は松戸線(旧新京成電鉄)⇔千葉線の直通を2往復増。京成は時刻表を発売する(12月5日~ 600円)。
北総:平日は上り矢切行1本を羽田空港行に延長。土休日は夜間に新鎌ヶ谷~印西牧の原・印旛日本医大間1往復増発。
東京都(浅草線):平日は日中に西馬込~押上間4往復増発する。土休日は日中に西馬込~押上・西馬込~泉岳寺・泉岳寺~押上間で増発する。
芝山:一部列車の発着時刻を変更
この他の各者も、一部列車の行先・時刻・種別を変更する。
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