№3018 バスマガジンvol.130(講談社ビーシー/講談社)

「バスマガジンvol.130」、先月19日には発売されていたようだが、いつの間にかかなり遅くなってしまいました。
 表紙は「S-tory」カラーのエルガ・ハイブリッド。西武バスに限らないが、正面の行先表示装置に「エンジェ」が入っているが、このようにキャラクターがフルカラーで入れられるようになったのは、近年の機器の進歩のたまもの、だろう。表紙デザインは、3つの候補の中から何にするか、もめたそうだ。

おじゃまします!バス会社潜入レポート Vol.130 西武バス

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 前回は2009(H21)年9月刊行の31号で16年ぶり。もっと短い間隔で取り上げられる事業者もあるが、関東最大手クラスとしては、間があいたのではないか。
 当然前回は旧塗装「笹の葉」カラーで、表紙はブルーリボンシティ・ハイブリッド(今号では西武総合企画に移籍)、西武観光バス・西武総合企画と一体で掲載されているのは同じだが、当時は西武秩父バスに統合された西武高原バス、西武バスに統合された西武自動車があった。
 今号ではないが、前号は西武バス・西武高原バス・西武観光バスの路線図が掲載されていた。ただし西武バスは大雑把な運行エリアを記したものだけだったが、エリアそのものは大きくは変わっていないと思う(当然廃止路線・区間は多数あるが)。秩父地域は、基本的には16年前の路線網が維持できているようだ(ただし中津川へは、災害で不通になったまま)。
 それにしても、一時は独占して導入していた日産ディーゼル・UDトラックスが、いまや5%台か。しかも並んでいる保有車両のアルバムを見る限り、残存車両の大半は三菱ふそうOEMのスペースランナーA、そして大半は貸切登録・特定に移行し、普通の路線バスとして乗れる機会がかなり減ってきている。秩父は「ここさけ」ラッピングのリエッセがあるが、だったら「あの花」「空あお」も出して欲しかった、というファン、いるんじゃないだろうか?
 しかし、西武バスのエリアは、全体的には恵まれているように見えるが、郊外部ではエリアごと撤退しているところが少なくないし、日高市など、西武バスの後を継いだイーグルバスも、今年になって路線を廃止してしまった。団地の中を走る路線だったのに(後継は乗合タクシー)。郊外は厳しいのか。あとはやはりドライバー不足問題で、路線バスでは突発的な間引き運転が今でもたまに起こるし、高速バスは富山線など、新幹線と比較した選択肢として、遅くても安い足も欲しい層が少なくないはずなのに、(富山地鉄と合わせて)長期運休が続いている。新潟線も減便してしまっているし、上越線も運休中。何とか立ち直れないかとは思うのだが。高速バスは、京王バスや東急バスなど、地元側の他事業者との共同運行が見られるようになったのが、近年のトピックスだろうか(草津線は、現在西武バスは運行していない)。

バス作りの新勢力から
 この車両はイベント的な使われ方をされそうだが、どこで走るのが最も効果的だろうか。やはりコミュニティバスか、古い歴史を持つ観光地の循環バス、あたりだろうか。ただ、キャビンはリフトを装備している事もあるだろうが、やや角ばりすぎて、ボンネット部とミスマッチ、のようにも見える。

移籍バスの行方を追跡
 第19回は東武バスPART3で、東武グループ内部の移動は高速・貸切車のみならず、特に中型車の朝日自動車グループ各社への移籍が多かったと思うが(路線エリア共々)、ここには出てきていない。岐阜羽島バス・タクシーの日デ車は、最初は和光市で使われていたはずだ。京福バスは、京福電車が全線運休(後にえちぜん鉄道として再開)になった時期に、大量に移籍があった事は、当時話題だった。東武バスは、比較的自社内で長く走るというイメージがあったのだが、移籍車両が意外に多いという印象だ。郊外部、特に北関東の路線の縮小が際立った時期、という事も、あったのだろうか。

鈴木文彦が斬る!バスのいま
 バスと自転車の共存。バスの乗客として、自転車がどう見えるのかは、正直分からないので、あまりどうのこうのは書けないが、歩行者の立場から見ると、自転車の走行には少々危なっかしい部分を感じる。バスとの関係、の前に、そもそも自転車は左側通行(車と同じ)で、指定された所以外は歩道は走ってはいけない、はずなのだが、明らかにほとんど守られていない。「普及を図る前に啓蒙・教育をセットで行うべき」という筆者の主張は、その通りだとは思うが、実際自転車に乗る人は、それをちゃんと聞いてくれるだろうか?という懸念があります。自転車以外でもそうなので(信号さえきちんと守らないし)。

画像

 画像は№1906からの再掲で、しずてつジャストラインの東大谷の折返場。右手に駐輪場が併設されている。確かにしずてつジャストラインの、特に終点は駐輪場が多いようだが、地域によって自転車への対応に差があるのは事実と感じる。神奈川県は…バスはバス、自転車は自転車、という所かな?駐輪場の整備を進めているわけではなく、といって自転車からバスに乗り換えよう、と呼び掛けているわけでもない。今の所両者の関係に関心はなさそう。実際問題として駐輪場の整備にはある程度スペースが必要になり、バスの折返場以外の整備は簡単ではない。どの程度のスペースが必要になるか、利用が見込めるかの判断や調査も必要だし、天候にも左右されるだろう。なによりバスがきちんとダイヤ通り走ってくれないと(特にラッシュ時)、「やはり自転車の方が早くて確実だよね」となって、結局は駐輪場を造っても利用されない危険性もある。自転車対策に限らず、まずはバスがきちんとダイヤ通りに運行できる環境が整備されなければならない。先の自転車の走行方の問題も絡むが、結局は道路交通におけるバスの地位を高める事がどうしても必要で(=それがバスドライバーの確保にもつながる)、駐輪場の整備は一体で行うべき。行政やバス事業者の思考も大事だが、バス・自転車の利用者の意識の変革も、必要になるのではないか。

 ところで、このコラムにおいて、早急にお考えを聞きたい事項があります。近年のドライバー不足→バス路線廃止・減便に対処すべく、各地で「共同運行方式」が導入、または導入が検討されつつあり、一般のニュースにもなっているが、これに異議を唱える動きが、バス業界の内部でも決して少なくない。岡山がその一つで、先日市内の大半の事業者が運賃を一斉に値上げし、一部に「公設民営路線」を導入したが(両備バスのサイトにある)、宇野自動車は運賃の値上げには加わらず、市内運賃を100円で維持しているが(他社は160円になった)、宇野自動車はこの説明の中で、「「共同経営」に乗るのではなく、1社1社が自らの状態を見つめ、真摯に考えて判断することが何より重要だ」と考えた、としています。遠回しに「共同運行方式」を批判しているとみていい。一方で両備バスでは、小嶋CEOが「支線バスFLAt(公設民営路線に導入する小型車両)のお披露目式は、私にとって大変うれしい日となった」と記していて、両者の思想は明らかにかみ合っていない。両備は今の所宇野自動車の動きを静観しているようでもあるが(確かに、自分は運賃値上げなど必要ない、と言っているのに外部から運賃を値上げしろ、と強要するのは愚かな話だ)、このままでは岡山でまた、形を変えてバス業界内部の紛争が起きる事が十分に予想される。これを回避し、円満に「共同運行方式」を導入するためにはどうしたら良いか、どの都市もイメージ先行になっているところがほとんどのようだが、実現のためには慎重に進めないと(自社のバスの営業エリアに関わる事だから)、全国的な紛争も起きかねない。そのあたりをお聞きしたいところです。
(関係なくなるが、宇野も両備も、経営者個人がどんな主義主張を持つかは自由だが、それを公式WEBのトップに持ってくるのはいかがなものか。利用者はまず、バスの時刻や運賃、運行状況などの情報を求めてサイトを訪れるはずだ)

終点の情景を求めて
 高槻市営バス田能線で、田能から3つに分かれる支線の一つの終点となる中畑回転場、なのだが、11月1日より「デマンドバス実証運行」のため、他の支線共々、中畑回転場へ行く一般の市営バス便は「休止」になってしまいます。基本的には養魚場への送迎がある原大橋まで(ここまでは頻発、ここも11月1日より場所が変わる。デマンドバスとの接続のためだろう)、それ以北は平日のみ田能まで3往復入るだけになる。現状でも原大橋以北は1日10往復に満たず、中畑回転場へは平日2回・土休日3回の乗り入れがあるだけなのだが。まもなく刊行の「BJハンドブックシリーズ X119」では、同じ田能線の枝線の終点の杉生が取り上げられるらしいが、当然ここも一般の市営バスの乗り入れがなくなる。〔かしらす号〕と称するデマンドバスは、支線の終点3か所を一度にまとめて往復する「循環系統」となり、中畑回転場は平日13回・土休日9回の乗り入れが予定されていて、便数的には利便性は大きく向上する(杉生を先に経由する便・二科を先に経由する便がある)が、当然乗車には予約が必要になるし、その前に「利用者登録」をする必要もある(よそ者も利用できるが、登録は必要)。確かに相当山奥に入る事になるローカル路線だが、公営バスだって、決して楽ではない。京都市を走る区間があるという事だったが、特に空谷橋(からたにばし)は、バス停も所在は京都市だ。

平成初期のバスを振り返る

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 北紋バス。紋別は昭和の終わりに訪れた事はあったが、平成になって早々に鉄道がなくなってしまって、札幌への高速バスや、羽田からのジェット旅客便があるものの(札幌便がないのが不思議かも)、アプローチがしづらくなってしまった、という感は否めなくなった。当然、以降は行っていない(申し訳ないが…)。北紋バスは、最近まで北見へ行く路線もあったのだけれど…。

 次号は臨港バスか。地元の事業者だが、連節バス導入とデマンドバス、それと東京都(羽田空港・天空橋)への乗り入れが近年のトピックスとなろうか。

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