№2936 年鑑バスラマ2024→2025

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「年間バスラマ2024→2025」、刊行されて相当経ってしまいました…。

 今号では、和田編集長のメッセージは「巻頭言」を譲って、「どうなる2025年の日本のバス」として、これまでより簡略化して発せられている。バスと直接関係はなくなるが、アメリカは明らかに(少なくとも外部の目からは)おかしな方向に進んでいて、寄ってたかってこれまでの方向性を、ちからとカネで覆そうとしている。それも、戦争推進国(ロシア・イスラエル)と組んで。これを止める術を世界が持ち合わせていない事も、明らかになるつつあるようだ。2025年の日本のバスはEV中心に回りそうだが、車両コストをどう手当てするのか、料金体制や充電時間も課題、と指摘しています。大阪・関西万博も。

巻頭言 自動運転の今
 今号の「巻頭言」は、東京大学名誉教授・鎌田 実氏の「自動運転の今」。「巻頭言」は今後、このスタイルになるのか。
 自分でもこれまでちょっと考え違いしていた部分があった事を認めざるを得ないが、まず「自動運転=ドライバレス」では、ない。この事はきちんと理解しておく必要がありそうだ。
 似たような「実証実験」が各地で行われている事への懸念、これは、「バスマガジン」誌vol.127で、鈴木 文彦氏が寄稿しているコラムの中で記している事と共通しているように思える。外野から見る者に共通する意識なのだろう。特に自治体の本気度が問われる、という事だろうか。
「レベル4」による営業運行は、去年の暮れから伊予鉄バス(高浜駅~高浜観光港)で始まっている。私は先日松山に行ったので当然乗りたかったのだが、車両がシステムメンテナンスで動いていなかった。だから実際の運行状況を確認する事が出来ず残念だったのだが、伊予鉄バスの公式WEBを閲覧した感じでは、「レベル4」の運行は、①朝8時~日没(冬季は16時、それ以外は18時)、②座席定員12人で、全員が着座し、シートベルトを着用している事(13人以上の乗車になったら手動に切り替え)、を前提としている。歩いても行けそうなくらいの距離だし、この条件では、いきなり「レベル4」が日本全国津々浦々走りだす、という事には、ならないだろう。相当なレベルアップを早期に実現する事、も提言の一つとして挙げているようだ。
 私個人の考えを加えると、まず、一度導入したは良いが、システムというのは自動運転に限らず、どこかで抜本的な投資をして更新しなければならないものだから、そのコストをどうするのかも考えなければならない。それと、走行する道路の条件も改善されなければならない。現状の道路は、バスの運行には条件が悪すぎる。それがドライバーの逸走につながっている面もあるのではないか。自動運転であろうがなかろうが、この点も、早急に議論されて欲しい。バス路線維持そのもののためにも。

2024 バスハイライト

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 やはり今年も「EV」と「自動運転」、あるいはこの両者の組み合わせ、これらに集中した感がある。EVバスは、EVである事を主張するメッセージを加えるケースもあるが、在来のディーゼルバスと同じカラーの車両が増えてきたようだ。個人的には良い傾向だと思っている。あとは何度か書いているが、短期間で全部EVにするんだ、という大阪シティバスのような大手はともかく、一つ二つの系統だけでも、予備車両まで含めて全便をEVで運行する、という所までは行くべきだろう。ここにはないが、複数社のEVを採用する所も出てきていて、今後はEV同士の競争が本格化するはずだ。
 国際興業のBU04レストアも話題になったが、この車両は最初は赤羽〔営〕だったから、飯能〔営〕の方向幕は、バスそのものとは別に保存・保管されていたのだろうか(〔飯14〕はさらに新光へ行く系統で使っていたと思うが)。
「バスラマ賞」はいすゞエルガEVが営業デビュー前ながら受賞になったが、第1号は神奈中バス?(他者様のサイトに画像があります)。

国内バスカタログ 2024→2025
 日野・いすゞのハイブリッド車(単車)、トヨタSORAが発売中止になった。トヨタは新FCを開発するそうだが、いよいよ国産のバスも、EVへのシフトが始まるのか。この点でいうと、三菱ふそうのバスでこの数年、はっきりした動きがまるで見られないのが、どうしても気になる。エアロスター・エコハイブリッドの終了以降、同社で製造されるバスはディーゼルエンジン車だけで、EVにしろFCにしろ、新規開発に乗り出す、というリリースさえ聞かない。ダイムラー及び日野・トヨタとの「協業」は延期されているが、この進捗次第、となるのだろうか。このままだと、国内他社相手でも後れを取る事になりかねない。
 カルサンe-JESTは、JRバス関東以外のユーザーがいつ、どこに現れるのかが興味深い。

海外バスカタログ 2024→2025
 今号は北米・アジアの車両も掲載されているが、EVバス先進地域と思っていた欧州でさえ、中国車の台頭に苦慮しているそう。アメリカのシティバスはギリグ社が紹介されているが、全幅が2,620㎜でエルガEV(2,485㎜)より13㎝以上広い。日本のバスも、もう少し幅を広くできると、ノンステップ車の開発がもっと楽なんじゃないかと思うのだが(その点で、このモデルの車内の様子も見てみたかった)、道路事情が良くない地域が多いから難しいのか。ドナルド・トランプが仕掛ける「関税戦争」は、バスにも影響を与えてしまうのか(アメリカのメーカーのバスは全部自国内生産のようだから問題はなさそうだが)。

歴史編 時代を駆け抜けた彗星達
 中央観光バスは、現在はZIPANG.S.Sという会社になっているそうだが、公式WEBは7年も前から更新されておらず(ほとんど「工事中」)、現状は正直分からない。こんなデラックス車オンリーを100台以上も保有していたのは、ただ、結局はバブル期末期というタイミングでもあった事も、あったのではないだろうか。ラグジャリーな車両だけで梯団を組むというのは、現代では考えにくいかも。現在、大手事業者の一部に、会員募集の形でデラックス車を用意している所もあるが(西武バス「レグルス」・奈良交通「朱雀」など)があるが、性格は中央観光バスの過去車両とは違うだろう。インバウンドでも特に富裕層にデラックス車のニーズはないのかとおもうが、車両だけでなく、ソフト面で高度な教育が必要になりそうなので、単一バス事業者では困難なのかも。

 これからの1年間は、大阪・関西万博が、会場の内でも外でもバス業界の最大の関心の的となるはずだが、もう一つ、京成グループの大規模再編成が迫っています。来年は京成バス自体が4分割され、来月発足する新会社に組み込まれる、というタイミングで年鑑が刊行になるはずなので、「歴史編」で京成バスが取り上げられると良いと思います。京成車体なども貴重な記録になるはず。

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