№2903 2024年度年末年始 航空利用データ分析

羽田空港 2024_1227.jpg
 能登半島地震、そして何より羽田での大事故で騒然とした前年度からは一転、今2024(R6)年度の年末年始は、全体的には穏やかだったと思います。青森は超大雪で航空便にも影響が出てしまったが。
 今回はこの年末年始期間(12月27日~1月5日の10日間)の利用実績を分析してみます。
 基本的には(会社によって呼び方が若干違うが)「座席数」「旅客数」「利用率」の数値のみ記します。注記以外は、コードシェア販売分の扱いは記されていません。カッコ内は前年比。また、「ピーク」の文言は使用せず、基本的利用率が一番高かった日と、パーセンテージを記す形に統一します。
 全体的な傾向として、国内線は一部を除き、下りは12月28日(土)、上りは1月4日(土)が、最も利用率が高くなっています。今年末年始は曜日配列から最高9連休となって、長期の旅行に出る旅客で、相当賑ったようでした。1月4日が上りピークなのは、連休最後の5日は1日自宅で静養して、翌日の仕事始めに備えよう、そんなところではなかったでしょうか。

 ところで、ニュースでは、「国内線11社・国際線5社のまとめ」という言い方で報道されているが、どこを意味するのか。改めて整理します。
 国内線は全日空(ANA)・日本航空(JAL)・日本トランスオーシャン航空(JTA)・琉球エアコミューター(RAC)・スカイマーク(SKY)・エアドゥ(ADO)・ソラシドエア(SNA)・スターフライヤー(SFJ)・フジドリームエアラインズ(FDA)・ジェットスター・ジャパン(JJP)・スプリング・ジャパン(SJO)。
 国際線は全日空(ANA)・日本航空(JAL)・ジェットスター・ジャパン(JJP)・スプリング・ジャパン(SJO)・ZIP AIR TOKYO(TZP)。
 これらを指すと思われる。しかし、コミューター航空ではRACがJALグループだから数字が表れるが、独立系のオリエンタル・エア・ブリッジ(ORC)や天草エアライン(AMX)、去年就航したトキエア(TOK)は公表していない。また、一時実績をリリースしていたアイベックス・エアラインズ(IBX)も、再び実績のリリースをやめてしまったよう。ピーチ(APJ)も独立した実績を公表しておらず、だから報道の数字は、完全に日本の航空全体の需要動向を示しているわけではない。

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ANA
国内線 座席数 1,782,370席(112.1%) ※旅客数 1,493,942人(119.5%) 利用率 83.8%(+5.2%)
※APJとの合算では1,693,162人(116.5%)
国際線 座席数 269,834席(104.2%) ※旅客数 234,356人(108.7%) 利用率86.9 %(+3.6%)
※APJ・AJXとの合算では343,651人(119.8%)
 国内線は全方面で旅客数の伸びが座席数の増加を上回り、利用率は前年度比115%以上。特に関西路線は123.2%となり、90%近い利用率となりました。
 最高の利用率は、下りは12月28日(93.6%)、上りは1月4日(94.8%)。上下トータルでは、12月27日以外は全日80%以上、最高は12月28日の89.4%となりました。羽田~宮崎・八丈島・沖縄で臨時便を運航(便数の記載はなし)。
 国際線は、直前にスタートしたミラノ線を含めた欧州路線が、前年度比153.2%と5割増し。北米(大陸)路線のみ座席数が若干減ったが、全方面で旅客数は増加しました。ホノルル路線の利用率は97.3%。利用者はコロナ禍前を含めても再考だったそうで、A380も大活躍だったに違いない。
 今回は片輸送の傾向がはっきり出ていて、1月2~4日以外は、日本発が日本着を上回りました。日本発は全日、利用率が85%以上だったが、日本着では12月28~31日が70%台でした。最高の利用率は、日本発が1月5日(91.5% 12月28日は91.3%)、日本着が1月4日(92.2%)。日本発・着トータルでは最終2日が90%台で、1月5日が91.1%と最高でした。インバウンドが多かったのだろう。最後に出すが、AJXを含めている事が、この数字に表れているのではないか。
 
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JAL(グループ全体)

国内線 座席数 1,316,400席(105.7%) 旅客数 1,125,313人(111.5%) 利用率 85.5%(+4.5%)
国際線 座席数 257,627席(124.4%) 旅客数 226,515人(124.4%) 利用率 87.9%(+8.8%)

国内線・JAL 単独
 座席数 1,181,051席(98.4%) 旅客数 1,016,199人(111.7%) 利用率 86.0%(+4.1%)
     
JTA 単独
 座席数 116,149席(105.2%) 旅客数 95,979人(110.9%) 利用率 82.6%(+6.8%) 
   
RAC 単独
 座席数 19,200席(94.6%) 旅客数 13,135人(103.0%) 利用率 68.4%(+5.6%)
 国内線はまず会社別でみると、RACが若干座席数を減らしているが、旅客数は3社とも増加しました。RACはいつも利用率はそんなに高くならないが、生活路線が多いし、年末年始の沖縄と言えども、さらに離島へ、という観光客は多くはないのかも知れない。
 方面別では、沖縄路線の座席数がほぼ横ばいだったが、こちらも全方面で旅客数が増え、利用率も向上しました。こちらも関西方面が90.4%と最も高い。
 最高の利用率は、下りが12月28日(95.6%)、上りが1月4日(95.8%)。JALは羽田~新千歳・那覇・函館・釧路、JTAは中部~那覇に臨時便を運航。
 国際線は、こちらも全方面で利用率が前年度を上回りました。中国メインランド路線の座席提供数が前年度比133%と大幅増。利用者もそれ以上の増加だが、ただし方面別では唯一、80%に届いていない。オセアニア路線の座席提供数は前年度比5割増し。韓国(ソウル)路線は数字を見る限り、現地の政治の混乱の影響は感じない。
 最高の利用率は、日本発は12月28日(93.4%)、日本着が1月4日(93.2%)だったが、こちらも片輸送の傾向があり、全日のトータルで日本発91.2%に対し、日本着は84.6%。日本発は全日87%以上だったが、12月29~31日の日本着は70%台。臨時・チャーター便の運航は前年度に続いてなし。

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SKY
国内線 座席数 272,580席(103.8%) 旅客数 230,078人(100.7%) 利用率 84.4%(▲2.6%)
国際線 運航なし
 旅客数はほぼ横ばい。座席数は若干の増加だったので、利用率は多少減少。最高の利用率は、下りは12月28日(94.9%)、上りは1月4日(96.1%)。1月1日以外は、上下トータルで80%以上。
   
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ADO
 座席数 84,501席(104.4%) 旅客数 75,502人(101.9%) 利用率 89.4%(▲2.2%)
 ここも同じ。旅客数が増えたが、利用率は減少でした。最高の利用率は、下りが12月28日(95.9%)、上りは1月5日になりました(98.0%)。両方向とも全日80%以上で、12月31日は両方向とも90%台でした。

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SNA
(ANA販売分は含まず)
 座席数 84,394席(102.0%) 旅客数 73,300人(124.8%) 利用率 86.9%(+15.9%)
 旅客数は前年度比で大幅に増加しました。最高の利用率は、下りは12月28・29日の2日間(96.3%)、上りは1月4日(97.6%)。上下合計は全日80%以上、12月28日は90.2%でした。

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SFJ
(ANA販売分は含まず)
国内線 座席数 58,573席(113.4%) 旅客数 47,692人(106.6%) 利用率 81.4%(▲5.2%)
国際線 運航なし
 ここも旅客数は増加しているが、座席数の伸び(新仕様機への転換が進んでいるからか)に追いつけず、利用率の減少がやや大きくなったようです。最高の利用率は、下りが12月28日(90.0%)、上りは1月5日の99.2%。上下トータルで90%台に届いた日がなかった。片方が70%台の日がやや多かったか。
 
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FDA
(JAL販売便を含む)
 座席数 71,388席(94.8%) 旅客数 61,631人(109.5%) 利用率 86.3%(+11.5%)
 座席数が5%以上減っているが(前年度は就航があった仙台~出雲路線がなくなったからか)、旅客数は増えて、利用率は大きく向上しました。最高の利用率は、名古屋(小牧・中部)は下りが12月29日(95.7%)、上りが1月4日(98.2%)、静岡は下りが12月28日(95.9%)、上りは1月3日(95.6%)、松本は下りが12月28日、上りは12月28日と30日(いずれも94.6%)、神戸は下りは12月30日(96.4%)、上りは1月3日(93.2%)。
   
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JJP
国内線 座席数 173,168席(97.0%) 旅客数 158,421人(93.9%) 利用率 88.9%(▲2.9%)
国際線 座席数 24,740席(199.2%) 旅客数 21,523人(205.4%) 利用率 87.0%(+2.6%)
 国内線は座席数、旅客数共にやや減少し、利用率も若干低下しました。最高の利用率は、下りが12月28日(92.2%)、上りが1月5日(95.0%)。両方向とも全日80%以上。
 国際線は運航再開に加えて関空~台北間ダブルデイリー化もあったからだろう、座席数・旅客数共に前年からほぼ倍増でした。最高の利用率は、日本発が12月28日(97.6%)、日本着が1月5日(95.0%)。ここも片輸送の傾向が、若干出ている。
 
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SJO
国内線 座席数 8,316席(31.0%) 旅客数 7,689人(30.6%) 利用率 92.5%(▲1.2%)
国際線 座席数 28,776席(257.0%) 旅客数 24,350人(298.6%) 利用率 93.9%(+11.8%)
 まず国内線は、期間中の定期便は成田~新千歳路線の2往復しか飛んでいない。期間中臨時増便も行われた(1往復・1月2日はさらに2往復・4日は1往復増)が、前年度比で輸送規模が1/3以下、というのが現状。最高の利用率は、下りが12月28日(95.0%)、上りが1月5日(98.9%)。12月29日上り・1月5日下り以外は90%台だが、これだけ規模を絞っていれば、当然そうならなければならない、かも。
 一方国際線は、成田~大連路線開設や、期間中の成田~上海路線の増便もあってか、座席数は前年度比倍以上、旅客数はほぼ3倍となりました。国際線重視の傾向がさらに強まったよう。最高の利用率は、日本発が12月27日(98.2%)、日本着が1月5日(88.8%)。ここもまた片輸送で、日本発は全日80%台だったが、日本着は12月31日が59.4%。90%台に乗った日がなかった。

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TZP
 座席数 41,760席(94.7%) 旅客数 39,845人(104.7%) 利用率 95.4%(+9.1%)
 座席数はやや減ったが、旅客数は増加して、利用率は高率になりました。最高の利用率は、日本発は12月30日になって98.7%、日本着は1月3日の96.7%でした。ここも片輸送気味(日本発97.6%・日本着93.3%)、日本発は全日90%台だったが、他キャリアほど日本発・着の差は極端ではなかった。

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AJX
 座席数 18,144席 旅客数 15,709人 利用率 86.6%(+9.1%)
 実績のリリースは、ANAのサイトの中にある。最高の利用率は、日本発は12月27日(99.2%)、日本着は1月4・5日(96.3%)。ここははっきり片輸送。日本発・着トータルは全日80%以上だったが、日本発92.7%に対し、日本着は80.5%と、大きく差がついた。

 以上、本当に簡単ながら、お盆の航空利用の実績をまとめてみました。国内線・国際線とも、コロナ禍の影響は完全になくなっています。どこの空港も、相当大賑わいだったんだろうなあ。
 国際線に関しては、また日本発が日本着を大きく上回る「片輸送」の傾向が出ました。日本人の利用も回復しているはずだが、またもやインバウンドの存在が、利用状況に大きく影響したと考えられます。
 さて、まもなく大阪・関西万博が開幕し、航空輸送にも影響が大だろうと思います。次のGW輸送は、万博開幕後になります。どんな実績になるだろうか。まずはその前に、まもなくリリースされるだろう、各社の夏スケジュールがどの程度、万博に反映されるのか、注目したいと思います。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けません。何かありましたら、引き続き本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
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