№2839 2024年度お盆休み 航空利用データ分析

羽田空港 2024_0813.jpg
 どうも今年のお盆休み、ただでさえ(少なくとも関東地方では)殺人的にクソ暑い、だけでなく、そこかしこでゲリラ豪雨が発生して、天気が安定しません。猛暑は、少なくとも私は何とか耐えられるので、とにかく青空!が欲しいのですけれどねえ。
 今年は加えて、9日発出の「南海トラフ地震」の臨時情報、さらには16日の台風7号で、航空輸送も影響が出たのではないか?と思ってしまったが、実際はどうだったのか。
 今回はこのお盆休み期間(今年は8月9日~18日の10日間)の利用実績を分析してみます。月曜日に発表になっていたが、少々遅くなってしまいました。
 基本的には(会社によって呼び方が若干違うが)「座席数」「旅客数」「利用率」の数値のみ記します。注記以外は、コードシェア販売分の扱いは記されていません。カッコ内は前年比。また、「ピーク」の文言は使用せず、基本的利用率が一番高かった日と、パーセンテージを記す形に統一します。コロナ禍の影響はほぼなくなったと思われるからだろう、全社コロナ禍前との比較はなし。

 全体的な傾向として、国内線は一部を除き、下りは10日(土)、上りは17日(土)が、最も利用率が高くなっています。上りが最終18日(日)でなかったのは、16日が台風の影響を受け、多数の欠航便が発生したため、振替で翌17日の便を利用した乗客が相当数いたため、と考えられます。15日の下り便が比較的高くなったところも目立つ。帰りを早めにしよう、と考えた旅客が多かったのではないか。

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全日空
国内線 座席数 1,697,533席(102.4%) ※旅客数 1,491,445人(107.6%) 利用率 87.9%(+4.3%)
※ピーチとの合算では1,703,970人(106.3%)
国際線 座席数 269,834席(104.2%) ※旅客数 234,356人(108.7%) 利用率86.9 %(+3.6%)
※ピーチ・エアージャパンとの合算では322,441人(121.1%)
 国内線は、九州路線が前年度比で20%弱の増加がみられた。一方で関西路線は座席数・旅客数共に前年度を下回ったが、台風の影響かも知れない(東海道新幹線が「南海トラフ」臨時地震情報発出で徐行運転を行ったが、だから航空に転移した、という事はなかったようだ)。
 最高の利用率は、下りは10日の97.3%、上りは17日の96.1%。8月16日の下りが71.0%、上下計でも79.4%に留まったのは、間違いなく台風の影響だろう。なお臨時便も運航されたようだが、「臨時便: NGO=OKA,NGO=CTS,HND=HKD,HND=NGS,HND=KOJ」としか書かれていないのは不親切。一般向けのリリースなのだから、やはりきちんとした就航地名と便数を記してもらいたい。
 国際線は、中国路線のほか、欧州路線もかなり増加した(オリンピックか)。北米路線及びアジア・オセアニア路線の座席数は減少したが、旅客数は全方面で前年度を上回っています。 
 最高の利用率は、日本発は10日の95.8%、日本着は17日の91.7%。12日にパリ路線の臨時便が飛んでいるが、オリンピック閉幕の対応だろう。

 なお、エアージャパンに関してはなぜか、ANAのサイト内に、ANAとの合算のリリースとは別に、独立した利用実績のリリースが出されていました。しかし、今日再度確認したところ、リリースが抹消されており、エアージャパンのサイトでも引き続き確認ができませんでした。どうなっているんだ?一応、リリースされていた数値を記しておきます。座席数16,200席・旅客数 14,046人・利用率 86.7%。最高の利用率は、下りは15日の98.1%、上りは16日の98.8%。16日の日本(成田)発は全便欠航。やはりピーチ、エアージャパンとも、独立した利用実績のリリースを出すべきではないか?
 
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日本航空(グループ全体)

国内線 座席数 1,279,503席(99.0%) 旅客数 1,125,238人(102.2%) 利用率 87.9%(+2.7%)
国際線 座席数 238,821席(103.2%) 旅客数 210,919人(107.4%・) 利用率 88.3%(+3.4%)

国内線・日本航空 単独
 座席数 1,142,837席(98.4%) 旅客数 1,017,525人(101.7%) 利用率 89.0%(+12.8%)
     
日本トランスオーシャン航空 単独
 座席数 116,467席(105.2%) 旅客数 93,749人(111.4%) 利用率 80.5%(+4.4%) 
   
琉球エアコミューター 単独
 座席数 20,199席(96.2%) 旅客数 13,914人(87.5%) 利用率 68.9%(▲5.8%)

 国内線は、グループ全体では特にJTAが好調だったと見えます。JALは座席数が減少しているが、台風の影響のほか、B777シリーズが全機退役した事もあるだろう。西日本方面の路線の利用率が高かった。
 最高の利用率は、下りは10日の96.6%、上りは15日になり96.0%。JALは羽田~新千歳・福岡・那覇・函館・長崎・鹿児島路線、去年は実績がなかったJTAは中部~那覇路線で臨時便を運航。
 国際線は、台湾(台北)路線が前年度比30%以上の増加でした。欧州・中東路線も30%近い増加だが、自社運航の羽田~ドーハ路線の開設があったのではないか。
 最高の利用率は、日本発は10日の97.0%、日本着は17日の97.3%でした。国際線では臨時便の運航はなかった(前年度はホノルル路線で臨時便の運航があったと記されていたのだが、今年度では、なかったと記されている)。

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スカイマーク
国内線 座席数 271,164席(104.0%) 旅客数 248,289人(105.4%) 利用率 91.6%(+1.2%)
国際線 運航なし
 最高の利用率は、下りは10日の99.0%、上りは17・18日両日の97.9%。上下とも期間中全日、80%以上の利用率になりました。
   
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エア・ドゥ
 座席数 77,283席(89.0%) 旅客数 72,181人(92.0%) 利用率 93.4%(+3.0%)
 最高の利用率は、下り10・11日両日の99.3%、上りは17日の99.2%。上下とも期間中全日、80%以上の利用率になりました。羽田~新千歳路線で臨時便8便を運航。

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ソラシドエア
(ANA販売分は含まず)
 座席数 78,280席(99.0%) 旅客数 68,699人(105.4%) 利用率 87.8%(+4.5%)
 この数値には臨時便を含んでいるが、16日は臨時便を含めて48便、17日は8便が欠航。最高の利用率は、下りは10日の97.3%、上りは17日の98.7%。11~13日の上りは、80%に届きませんでした。

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スターフライヤー
(ANA販売分は含まず)
国内線 座席数 52,015席(99.3%) 旅客数 50,078人(110.2%) 利用率 96.3%(+9.5%)
国際線 運航なし
 期間中、上下とも全日利用率が90%台と好調でした。最高の利用率は、下りは10日の99.3%、上りは16.17日両日の98.9%でした。
 
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フジドリームエアラインズ
(JAL販売便を含む)
 座席数 79,428席(112.5%) 旅客数 65,355人(107.2%) 利用率 82.3%(▲4.1%)
 個人向け航空券の販売も行う、熊本~高知間チャーター便も含んでいます。最高の利用率は、名古屋(小牧・セントレアの合算)は発が10日(96.9%)・着が17日(94.0%)、静岡は発が10日(96.2%)・着が16日(95.9%)、松本は発が15日(96.4%)・着も15日(96.0%)、神戸は発が10日の94.2%、着は18日になって86.9%。神戸発はやはり台風の影響か、15日以降の3日間は70%に届かず。上下計でも80%を上回ったのは10日のみで、低調でした。逆に松本は全日80%以上。
   
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ジェットスター・ジャパン
国内線 座席数 173,268席(97.6%) 旅客数 160,238人(99.2%) 利用率 92.5%(+1.5%)
国際線 座席数14,742席(148.9%) 旅客数12,438人(145.9%) 利用率84.4%(▲1.7%)
 国内線は、最高の利用率は、下りは10日で95.8%、上りは15日と17日が96.4%。旅客数は若干減少したが、11日の上りを除き、利用率は90%台でした。
 国際線は、座席数が大幅に増加。最高の利用率は、日本発は9日の96.0%、日本着は18日の96.7%。日本発・着とも、17日の80%台が、18日には再度90%台となっています。

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スプリング・ジャパン
国内線 座席数 13,613席(51.4%) 旅客数 13,000人(56.2%) 利用率 95.5%(+8.1%)
国際線 座席数 23,164席(220.8%) 旅客数 21,741人(222.4%) 利用率 93.9%(+0.7%)
 国内線は大幅に減便、新千歳路線は1日1往復+週5便(その後1往復+週1便追加)、広島路線は1日1往復のみの運航。一方で国際線は上海路線が1日最大3往復・寧波路線が1日1往復・天津線と、今月新設の北京線が共に週6便と増便されていて、国際線に輸送力の大半を割いたと考えられます。フリート数が増えないなら、今後もしばらくは国際線中心でいくのではないだろうか。
 最高の利用率は、国内線は下りが10日の98.0%、上りが17日の98.2%。便数を絞ったこともあるだろう、16日以外は上下とも、90%台に乗っています。国際線は日本発が9日の97.8%、日本着が17日の97.5%。期間中は17日以外全て、日本発が日本着を上回る「片輸送」になっています。なお、上海線2往復と北京線は今月から、JALとのコードシェアを実施(利用実績にJAL販売分が含まれているかは記されていない)。

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ZIP AIR TOKYO
 座席数44,080席(104.1%) 旅客数 38,757人(108.2%) 利用率 87.9%(+3.3%)
 最高の利用率は、日本発は11日になって98.0%、日本着は17日の97.0%でした。なお別リリースで、台風による影響が報告されています。16日は6路線で欠航(シンガポール発は翌日)、また16日以降到着便を中心に、最大で1日近い遅延が発生しています。

 トキエア・オリエンタルエアブリッジなどコミューター専門のキャリアは、発表がありませんでした。IBEXもなし。

 以上、本当に簡単ながら、お盆の航空利用の実績をまとめてみました。やはり台風7号の影響は国内線・国際線とも避けられなかったようです。
 台風以外では、コロナ禍の影響からは完全…とはいかないかもしれないが、ほぼ脱したと思えます。なお、北陸新幹線敦賀延伸の影響は、ANA・JALとも、ここでははっきりしなかった。
 国際線は、去年あたりはコロナ禍前と比較して、日本発・着の傾向が逆になっていたが、ようやく例年通りになったよう。まだ円安基調からは抜け出ていないと思えるが、ようやく日本人も、海外へ行こう、という機運になってきたのかも知れません。
 この傾向が持続するのか、次回の年末年始輸送も、大いに注視したいと思います。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けません。何かありましたら、引き続き本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


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