№2807 駅の時刻表から見る 私鉄ダイヤの変遷 23.京王相模原線 橋本駅(後)

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 京王相模原線橋本駅のダイヤ回顧、後半は2013(H25)年2月22日改正からです。前年の調布市内連続立体化(地下化)を踏まえ、この年になって本格的なダイヤ改正を行う事となりました。
「白紙的」と自ら称した2001(H13)年改正と同等、あるいはそれ以上の規模かも知れません。
 京王の本線は線路幅が1372㎜と特殊な事もあって、相互乗り入れをする相手が都営地下鉄新宿線だけ、相互直通ネットワークが広域化してはいないので、ここまでのダイヤ改正は数年に一度、という程度でした。しかしこの2013(H25)年改正以降、〔京王ライナー〕運行開始、コロナ禍と明暗様々な事態に対応するためか、ダイヤ改正の頻度が一気に高まっていきます。

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2013(H25)年 2月22日改正
 種別形態に大きな変化がありました。
 特急が復活。ただし相模原線に関しては急行からの立て替えという形になり、相模原線の停車駅は急行と同じ。新宿~橋本間の最速は37分。なお本線の特急は分倍河原と北野が新規停車となって、準特急と同じになった。特急と準特急の違いは、高尾線内が各駅の停車(準特急)か否(特急)かという事。平日の準特急は、早朝の高尾山口発上り1本のみ。
 在来の通勤快速は区間急行と改称し、相模原線では土休日も含めて終日運転となった。以降、区間急行が相模原線のメインの列車となったと言って良い。なお日中は新線新宿から都営浅草線内は急行となり、橋本発では「区間急行 新線新宿」行→新線新宿から「急行 本八幡」行と案内していたようだ。
 この改正で、日中の笹塚~調布間は、20分サイクルで特急3(新宿~京王八王子・高尾山口・橋本)・区間急行1(本八幡~橋本)・快速1(新宿~橋本)・各停2(新宿~京王八王子・高尾山口)となり、トータルで21本/h。
 平日の夜間に快速のつつじヶ丘行があるが、地下化により調布では折返しができなくなったのでつつじヶ丘まで回送とするところ、上りは客扱いするため(つつじヶ丘で各停に接続)この形になったと考えられる。

 京王が製作・発売した全線時刻表は、この2013(H25)年改正号が最後、となりました。以降は交通新聞社刊行の「MYLINE 東京時刻表」から時刻表を作成し、一部他文献や、京王電鉄のリリースを参考にしている事をお断りしておきます。

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2015(H27)年 9月25日改正
 次の改正は、2年半以上間が空きました。
 準特急の停車駅に笹塚と千歳烏山を追加。日中は特急の3本に2本が準特急となり、特急は、平日は新宿~高尾山口間、土休日は新宿~京王八王子間で運行。
 相模原線の特急は大半が準特急に立て替えられ、橋本発で特急として残るのは、平日は朝方と夜間、土休日は早朝1本のみ。
 区間急行も仙川に新規停車。また日中の快速が都営新宿線に直通となり、笹塚以遠~新宿線直通は、6本/hとなった。
 初列車が大幅に繰り上げられ、4時台の区間急行が2本設定された。橋本4時38分発区間急行は、調布でやはり繰り上げとなった特急に乗り換えると、新宿着が5時21分。京王では早朝の新幹線や航空便の利用が便利になるとアピールしていた。
(もっとも橋本から東海道新幹線、だと、JR横浜線に乗って新横浜から、となろうが)

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2016(H28)年 9月16日改正
 パターンとしては、大きな変更はない。平日の新線新宿発17時30分以降の、笹塚以遠行の急行・区間急行・快速は全て10連化。
 この年の9月29日に、〔京王ライナー〕運行開始を見据えた、クロス/ロングシート転換機構を備えた5000系がデビュー。まずはロングシート形態のまま、一般列車でデビューした。

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2018(H30)年 2月22日改正
 この年の2月22日は木曜日でした。近年はJRを中心にどの鉄道会社も、基本的には土曜日にダイヤ改正を行うようになっていたが(いきなり朝ラッシュ時から変更させるのはリスキーという事だろう)、この点で当時の京王は異例でした。
〔京王ライナー〕の運行が始まった。当初は夜間の下りのみ(土休日も運行)で、新宿→京王八王子・橋本間各5本を運行。橋本行は、新宿を平日20~0時台の毎時30分(0時台のみ20分)・土休日は17~21時台の毎時20分の発車だった。
 橋本発では、夜間の特急の一部が急行に変更されている。
 京王ではこの改正から、途中で種別が変わる場合も、行先は終点を表示する方式に改められた。
 なお、2018(H30)年11月より、臨時列車として〔Mt.TAKAO号〕の運行が始まっている(上りは〔京王ライナー〕として運行)。

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2019(H31)年 2月22日改正
 平成最後の改正になりました。
 上りも〔京王ライナー〕の運行が始まった。平日・土休日とも2本が設定されている。また土休日は新宿発下り2本(16・22時台)が増発されている。
 平日・土休日共、朝方の準特急の一部は京王多摩センターまで各駅停車として運行。

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2020(R2)年 2月22日改正
〔京王ライナー〕は、平日は4本に増強。一方で土休日は、この時点では1本に削減された。なお下りは、新宿発16時40分・17時40分発が設定、7本に増発されている。
 平日日中の準特急の大半が、京王多摩センター~橋本間は各駅停車に変更して運行(区間急行は京王多摩センター折返し)。また平日の夜間は、若干の運行本数の減少がみられる。

 この改正の直後、新型コロナウィルスのパンデミックが日本をも直撃。「外に出るな、出かけるな」では鉄道は当然大打撃で、特に京王は年度別輸送人員が、2020(R2)年度は4億5100万人で、前年度(6億7300万人)の67.0%。実に旅客の1/3が失われる事態になりました。橋本駅も、2020(R2)年度の1日乗降人員(65,241人)は、前年度(98,086人)の66.51%です。
 この一大事に対応すべく、この年の10月30日には早々にダイヤ改正が行われました。全列車掲載の時刻表がなかったのでここでは製作しなかったが、平日の〔京王ライナー〕は、新宿→橋本間18・19時台に2本増発の一方、午前0時台は取りやめ(京王八王子行も0時台→19時台にシフト)、平日の準特急の京王多摩センター~橋本間各駅停車運行の時間帯の延長、22時台以降の新宿発のサイクルを12分→15分に拡大、などの変更点があります。

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2021(R3)年 3月13日改正
 この改正以降今年までは、ダイヤ改正日はJRを始めとする各社と、足並みをそろえるようになります。
 基本的には前年10月の改正ダイヤを踏襲しているが、この年の1月から行われた、緊急事態宣言発出により繰り上げられた最終列車が、そのまま正規の最終列車となった。2020(R2)年2月改正時点では、平日の新宿→橋本行最終は0時11分発区間急行(この後の0時21分発準特急京王八王子行が調布で接続)・橋本終着1時06分だったものが、23時52分発快速(この後の0時01分発準特急京王八王子行が調布で接続)・橋本終着0時48分となり、約20分の繰り上げになった。京王全体でも、1時を過ぎて運行される列車は2本のみとなっている。京王では最終繰り上げの理由として、コロナ禍による生活様式の変化とともに、夜間の工事時間の確保を上げている。
 平日のみ、4時38分発の初列車が、区間急行新宿行→快速本八幡行に変更になった(調布での特急接続は変わらない)。
 この後10月30日より土休日のみ、〔京王ライナー〕〔Mt.TAKAO号〕が明大前に新規停車している(新宿~明大前間のみの乗車は上下とも不可)。

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2022(R4)年 3月12日改正

 特急も笹塚・千歳烏山に新規停車、準特急を統合する事になる。変則的な名称と言えた「準特急」は、停車駅を変えながら、21年の歴史に幕を閉じた(この後阪急京都線で復活するとは思いもしなかったけれど)。
〔京王ライナー〕は、土休日が3往復に再度増発された。新宿での降車が多くなる8~10時台の設定に改められている。また平日も全列車、明大前に停車。〔Mt.TAKAO号〕が正式に、毎土休日運行の定期列車となった。
 特急は土休日も、日中は京王多摩センター~橋本間を各駅停車で運行。
 土休日も、4時38分発の初列車が快速本八幡行に変更された。
 都営新宿線の急行運転が大幅に縮小され、京王の急行は、新宿線内は各駅停車として運行される。

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2023年 3月18日改正
〔京王ライナー〕は、平日の上りで7時10分発が増発された。新宿着が8時00分ちょうどで、これまでならラッシュのピークの真っただ中と言える時間帯に、有料の列車が都心のターミナルに到着する事になる。他社でも見られるようになったが、コロナ禍の副産物と言える現象だった。また下りは、平日の橋本行は3本増発されて18~20時台は毎時2本となり、便数では京王八王子行を上回る事になった。土休日は新宿15時20分発が新規設定されている。
 一般の列車は、夜間に再度の減便が行われているが、パターン自体の変化は少ない。

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2024年 3月16日改正
 そしてこれが、この3月16日から使われている時刻表になります。
 土休日の〔京王ライナー〕がさらに1往復増発され、11時台まで設定されている(平日も9時台に、京王多摩センター始発で増発)。また下りでも、新宿10時15分発を新設。

 以上、かなり駆け足で京王相模原線橋本駅の時刻の移り変わりを見てきました。舌っ足らずで終わった所も多々あったはずです。ご了承ください。
 特にコロナ禍以降は、輸送量の減少と反比例するかの如く、〔京王ライナー〕の拡充が目立つようになりました。「密」にならないゆったり通勤・通学やおでかけを求める層が、特に多摩ニュータウンで多いのかなあ。京王では〔京王ライナー〕を鉄道輸送の柱とすると掲げていて、今年度も5000系の増備が行われるので、さらに増発・運転時間帯の拡大が行われる事が予想されます。一般の特急の一部を指定席にする、という形態もありそう。
 一方で一般列車は、京王全体で見ると、特急の停車駅がかなり増えた事もあって、種別による差が小さくなってきています。また、相模原線末端区間の各停化や笹塚~仙川間の連続立体化工事の影響もあって、都心まで全体的にやや時間がかかるようになっていて、新宿~橋本間の場合、現状の最速は38分。もう少し停車駅を整理し、単純化する事も必要かと。立体化が完成すると、明大前と千歳烏山は2面4線の退避駅となる計画なので、この時点で、スピードアップなどの抜本的な輸送形態の変更などが行われるのだと、思っています。
 あとは、橋本駅で言うと、やはりリニア中央新幹線、でしょうかねえ。開通すると京王も、良くも悪くもかなり影響が出ると思うが(この時点でJR東日本も含め、「橋本」の駅名が変わる事になると思う)、全体の完成・開通は大幅に遅れそう。橋本駅自体の乗降人員は急速に回復しているが、それでもパンデミック直前の83.63%に留まっていて、しばらくは〔京王ライナー〕を柱に据えつつ、質的な改善に注力する、という事になるでしょうか。再来年デビュー予定の2000系にも、期待したい所です。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けません。何かありましたら、引き続き本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


 鉄道の乗車券・乗車システムに関する大きなニュースが相次いでいて、昨日は熊本県の電車・バスが一斉に、年内に全国交通系ICカードの取り扱いを終了すると発表、また今日はJR東日本・京成・東武・西武・京急・東京モノレール・新京成・北総の各社で、2026(R8)年度末以降、近距離の時期乗車券を、QRコードの乗車券に置き換えると発表しています(既にゆいレールがやっているような事)。いろいろ感じる事は多々あっても、それを詳しく書く余裕は今日はない。が、その他の交通事業者の動向も合わせてみると、「クレジットカードのタッチ決済」+「QRコード活用」が、今後の鉄道利用のトレンドになるのか、と感じさせます。ICカードでさえ、今後は絶対的な鉄道利用の主役ではなくなってくるのか。

《What's New》
28日 国連人権理事会作業部会 独立した人権機関設立を日本に勧告
29日 長期金利1.065%に上昇 2011年12月以来の高水準

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