№2799 中国地方 ローカル線めぐり 2.芸備線全線完乗 古き良き時代の名残がそこかしこに

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 芸備線は岡山県の備中神代(実態は新見)と広島を、中国山地を横断して走る115.9㎞のJR西日本の路線です。近年はご多分に漏れず利用者の減少で経営は思わしくなく、特に三次以東、さらに言えば広島県の東の端の東城~備後落合間は、2年前の2022(R4)年4月に開示されたJR西日本のローカル線の運営状況の情報で、はっきり存続の危機と言ってよい、極めて深刻な状況に置かれている事が明らかになりました(№2499で書きました)。これを受けて、今年3月には全国で初の「再構築協議会」が開催され、全国的なニュースにもなったが、JRと地元自治体との意見の食い違いは、想定以上に大きかったようです。
 実際のところはどうなのか、と言ってもヨソモノが片道1回乗っただけでそのすべてがわかるはずはないし、まして「青春18きっぷ」シーズンで旅行者の利用がそれなりに多いはず(実際そうだった。ニュースを反映した部分もあろう)だから日常を反映した状況にはなってはいないだろうが、ともかく一度は乗ってみるべき(過去にはあるが、もう相当遠い昔)と思って、芸備線こそが今回の旅のメインの目的となったのでした。

 前回書いた通り、姫新線・津山~新見間が倒竹のため不通となっていて、急遽津山線~伯備線と乗り継いで岡山経由で新見に着きました。

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 元々3分しか乗り換えの時間がなくて、しかも遅れて着いたものだから、かなりしんどい乗り換えになりました。12時58分発443D、キハ120-343。これに乗れないと、芸備線で広島に着く事がもうできない。
 前述の通り、旅行者の姿が多かった。「青春18きっぷ」シーズンでない普段はどうなのか、とも思う。

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 布原は、この列車はもちろん停車。伯備線824Mを待つ。向こうも普通列車で、いったん停車もするのに通過扱い。

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 県境を挟みながらも東城までは6往復(土休日5往復)あるが、その先備後落合まで、つまり芸備線でも最も状況が悪い区間は、3往復しかない。という状況を裏付けるかのように、線路の状態は良くない。

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 と言って、決して北海道のような無人地帯、というわけでもないのだが。沿線の花は美しいが、こちらも曇天で冴えない。

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 東城を発って、相変わらずの貧弱な線路を行く。その行く手にたいそう立派なトンネルが見えてきたが…。

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 国道314号線の、東城トンネル。ちょうど30年前の開通らしい。

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 高架区間もある。高速道路ではない、一般の国道でも高規格だ。

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 備後八幡駅。かつては行き違いができた。。

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 内名駅。ここは国道314号線から遠く離れた場所にあり、議論の争点の一つになる場所になるだろう。

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 小奴可駅。ここもかつては行き違いができた。備後八幡同様、使われなくなったレールが、残ったままだ。

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 道後山にかけて上り勾配が続く。決してノロノロではないが、やはり遅い。

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 道後山駅もかつては行き違いができたようだが、ここは国鉄時代にはすでに、少なくとも定期列車の行き違いはなくなっていた。かつてはスキーヤーで賑わった時期もあったが、現在乗降はほぼないそうだ。使われなくなって久しい旧下りホームの跡は、道路工事の資材置き場になっているそうだ。

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 道後山あたりが芸備線の最高地点で、この先備後落合に向かっては下り勾配が続く。トンネルの手前にある信号は、備後落合駅の遠方信号機で、場内信号機の現示を予告している(=備後落合駅が近い事をも予告している)。

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 場内信号機の向こうに、備後落合駅の構内が見えてきた。既に三次行のキハ120がいる。むろん駅員はいないが、地元の人たちなのか「おもてなし」があったような。

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 備後落合駅は8年ぶりです。駅舎自体は、変わっていない。

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 むろん駅員はいない。駅舎内は、木次線を中心とした写真が並んでいる。古いのも新しいのもあるし(〔奥出雲おろち号〕が目立つ)、鉄道以外も「奥出雲おろちループ」とかがある。

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 昔はここに「備後落合駐泊所」が合って、常時数台のSLが待機していた、と記されている。

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 その「駐泊所」の名残。ターンテーブルもそのまま残されている。昔の活気は、どんなものだったのか。

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 何しろ今のダイヤは活気もヘッタくれもない。三次方面が5本、新見行と木次線が各3本。これだけ。ジャンクションなのに、完全に「秘境化」して久しい。

 この後木次線も到着して、キハ120形が並びました。この駅で3本並ぶのは、14時25分~14時40分の15分間だけ。
(これでも8年前は3分だったので、若干ゆとりができた)

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 14時40分発三次行359Dで、備後落合を後にします。キハ120-322。少なくともあと1回は、木次線で訪れたい。
 比婆山までは、下り勾配をのっそりのっそり下っていく。20㎞/h程度。

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 比婆山。このあたりからは勾配も緩くなり、穏やかになってくる。

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 備後西城。ここでは帰宅の高校生の姿が見られた。

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 こっちの方も、桜がきれいだなあ。場所柄もあるだろうが、いつになく遅くまで桜が楽しめる、という感じ。

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 高。ここも行き違いができた駅。備中神代から、ほとんどの駅は行き違いができた、という所だが、それだけ便数が多かった、という証だろう。
(現在備中神代~備後庄原間で行き違いができるのは、東城・備後落合・備後西城のみ)

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 備中神代で4分停車。駅のホームの柵には、こんな横断幕も。でもこの程度では、存続につながるかどうかは…?

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 駅舎前には、広島東洋カープの選手のお人形さんが並んでいる。

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 庄原市には、カープ初の公設応援団があるのだそう。その由来が記されているが、21世紀に入ってからの話で、割と最近。三次市ではたまにカープの一軍公式戦が行われるが(今年はない)、公設応援団の存在もあるのだろうか。

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 備後庄原で358Dと交換。向こうは少々遅れていた。向こうもキハ120形の単行。

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 下和知駅。ここもまた、昔は島式ホームだった事が窺える。

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 塩町の手前でもまた、尾道自動車道が交差する。高規格の道路相手に、貧弱な鉄道はどう向き合えばいいのか。

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 その塩町で、福塩線が合流する。福塩線も、いずれは乗らねばなるまい。

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 三次到着。三次駅付近は、コンビニの類がない。歩いて5分の所にローソンがあるだけ。

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 ラストの広島行1863Dは、これもキハ120形の2連だった。広島の基地への返却も兼ねているのか。キハ120-17は全ロングシート。

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 志和地駅。

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 吉田口で快速〔みよしライナー〕通過待ち。キハ47の2連。
 三次~広島間は8年前に乗っていて、特に新しく記す事はない。広島市中心部が近づいて、広島の市内線のバスを見ると、広島が近づいた事を強く感じる。

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 広島到着。ハプニングはあったが、何とか姫路から、普通列車だけでたどり着けた。

 芸備線に関しては、一昨年のJR西日本の開示情報からちょっと考えてみたり、あるいはその前に、8年前に乗った直後に、1982(S57)年当時と2016(H28)年のダイヤを作成して比較してみたりもしたが、特に備後落合の前後の状況は良くなっていないなあ、というのが実感。沿線は決して無人地帯、ではないが、大幅な利用増に結び付く要素も、見られなかった気がする。何より、並行したり交差したりする道路が、高速道路も一般国道も高規格なので、現状では太刀打ちできないのではないか、というのが、率直な印象でした。結局、都市間輸送という点ではもう明るい展望がないので、どうやって沿線の住民の利用を促すか、というより、どうやって沿線の住民の日常生活に鉄道を組み込むのか、それを考えないと、間違いなく、良くてもジリ貧。自治体にしても、国鉄時代末期の特定地方交通線問題のような大反対運動を展開できるだけの体力がもうないはずで(実際「廃止反対」の文言を沿線で見る事は、今回はなかった)、いずれは重大な決断を強いられる時が、来るのではないか。
 もう少し明るい展望を描けそうな広島側は…、これは岡山の津山線などにも言えるが、もうそろそろ新型車両の導入を考えないといけないのではないか。キハ47形は老朽化しているだけでなく、乗り心地も良くないし、2ドアというのは、都市圏の輸送にはもう合わない。思えば、JR西日本は民営化後の旅客6社では唯一、3ドアのDCを製造していない。需要を繋ぎ止められそうな路線・区間は、線路も車両も、もっと近代化を進めなければならないだろう。
 という事で、芸備線は距離が長い事もあって、東と西の間でかなりの格差が定着した感がありまる。これは、今回全線乗車がならなかった姫新線あたりにも言える事で、いずれ早い時期に確認してみたいとは思うが、中国山地のローカル路線はどこも、今後10年くらいの間に、重大な転機を迎える事になりそうです。

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 工事中の広島駅新駅舎、去年訪れたばかりだが、さらに工事が進展している感じ。

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 その広島駅ビルができると、広島電鉄も新ルートで駅ビルに乗り入れる事になり、この猿猴橋町付近のルートは、廃止という事になります。

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 カープ坊やのマンホール。

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 今日の宿も、西条駅前のホテルです。山陽本線227系で移動。芸備線とは差がありすぎる感じ。

 次回は、先月末に廃止となったスカイレールサービスと、代替の足となったみどり坂タウンバスに乗ります。両方同時に乗れたのは、先月の1ヶ月間だけでした。

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 東急が今日、今年度の設備投資計画を発表しました。西武が334億円で同社史上最大額だそうだが、東急はそれを遥かに上回る468億円を見込んでいます。大井町線9000系・9020系(西武譲渡予定)の代替用の車両の設計・製作に入る。6020系をベースにするそうだが、という事は6020系そのもの(の5連版)ではないという事か。また目黒線を始めとする、製造20年を超えた車両のリニューアルを開始する。田園都市線で定位置停止装置(TASC)導入のための工事を開始するが、これは間違いなく、ワンマン運転を見据えての事だろう。加えて大井町線共々、CBTCシステムの導入を推進する。駅業務では、クレジットカードタッチ決済・QRコード活用のサービスを拡大する他、セミセルフ仕様の窓口処理機の導入に向けた設計・開発を進める。五反田駅は、ホームのセンサー付き固定式ホーム柵から、ホームドアへの転換を行う。戸越公園駅付近では連続立体化工事に向けた、具体的な調査・設計を進める。東急線アプリは、機能を向上させる。

 前回書くべきだったが、近鉄は10日、実に24年ぶりとなる一般車両の新型8A系を導入すると発表しています。基本はL/Cカーだが、クロス・ロングを混在させる形態も可能にする。また1両に2か所、ベビーカー・大型荷物対応スペース「やさしば」を設置するとしています。リリースを読んだ感じでは、新型では純粋なロングシート車は造られず、L/C形態が今後の近鉄一般車のスタイルとなるのだろうか。今年度は奈良・京都線向けに、一気に4連×12編成・48両を導入し、来年度は加えて大阪・名古屋・南大阪の各線と合計で17編成68両するとしています。特に名古屋線は「シリーズ21」の導入がなかったから他線以上に通勤型の近代化が遅れていた感もあるので、この導入は歓迎されるのではないか。
(阪神への直通は、とりあえずはなさそう?)

《What's New》
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