約20年の長きにわたって展開された、京急線・京急蒲田駅付近の連続立体化事業。
羽田空港アクセスの整備(特に横浜方面からの直通運転の増強)も兼ねたため、特に今回取り上げる京急蒲田駅は、上下分離・空港線分岐の立体化も行われた、極めて大規模なものになりました。
この関連では、№1563で大森町、№1689で梅屋敷、№1710で雑色、№1717で糀谷の各駅の、高架化完成後の姿をご覧頂きました。皆2017(H29)年に書いたもので、糀谷では、「京急蒲田については少し時間を下さい」と結んだものだが、「少し」どころか、6年も経ってしまいました。付帯施設等が整備中だった事もあるが、ようやく先日、見て回る機会を作ったので、今回ここで書きたいと思います。
京急蒲田駅の2021(R3)年度の乗降人員は47,126人、京急全体では9位だが、駅の規模からしたら、意外に少なく感じられるかもしれない。2018(H30)年度が64,280人(8位)だったので、やはりコロナ禍の影響が、特に空港へ向かう方向で相当数出た、という事でしょう。〔モーニングウイング〕・〔イブニングウイング〕・エアポート快特は通過。駅ナンバリングKK11。
右が、ポイントとなった空港線で、上下が分離されているが、京急蒲田からの下りは空港線の上り、上りは空港線の下りとねじれて接続していて、品川方方面との直通列車は、合流後にクロスで転線します。
高架化・空港アクセス強化の工事が手についた頃の、30年くらい、あるいはそれ以上だったかな?前の京急蒲田駅。これでもまだ、京急線の中では大きい駅だと思うが、今とは全然比べ物になりません。本線は相対式、空港線は棒線で、屋根の形状が特徴的な駅舎は、両線が分岐するその真ん中にありました。当時はまだ本線から空港線への直通運転はなかったし、快特は全列車通過でした。
第一京浜は空港線の踏切があった頃は大変だったが(箱根駅伝の時は、特に本線との直通運転が始まって以降は、臨時ダイヤが組まれたほどだ)、大きく様変わりしました。第一京浜を隔てた反対側には、京急バスが発着するターミナルも設けられています(ただしここが起終点ではなく、全てJRの蒲田駅発着)。駅とは歩道橋で結ばれています。
歩道橋の各所に、エレベーターが設けられています。
高架化後は商業設備がいくつも入ったが、これから、というものも。今週木曜日22日には、ドンキがオープンするらしい。
東側の歩道橋から続く、改札階に連なる連絡通路。店舗はこれからも入居が予想されます。
1F部の入口。エスカレーターが整備され、店舗もいくつかオープンしています。
一方、新たに西口にも交通広場が整備されました。
西口の入口。
東と西の入口が合流する場所にある、コンコース。
ダイヤが複雑になっている事もあるからか、この駅ではコンコースにも、発車の案内表示が設けられています。
券売機の数は、この駅もその規模の割に少ないです。
改札口は1か所だけだが、二手に分かれています。
精算機。もう1機設けられるスペースが確保されているが、増設される事は、たぶんないでしょう。
コンコースの、発車案内表示。空港線は上下から出発します。
コンコース。
セブンイレブンがあります。昨今の私鉄の駅の売店は大方、大手のチェーンの傘下に入るようになっています。
連続立体化事業が行われた蒲田近辺の、立体模型地図もあります。手前の大鳥居は地下化。
ホームに上がるエスカレーター。注意したいのは、左は2F(上りホーム行)だが、左は3F(下りホーム)直通という事。私も一度、乗り間違えてしまいました。
2Fホームにある、ホームの案内。本当は、今のこの駅は改札階自体が2Fにあるので、上りホームは3F、下りホームは4Fが正しいのだが、まあ良いでしょう。
それはこの構内の案内図から見ても、分かる通りです。
まず、「2F」上りホームのエレベーター。「1F」~「3F」の通しです。
2Fの待合室。空港線が分岐するあたりにあります。
羽田空港行は2F(横浜方面発)・3F(品川方面発)双方から出るので、2F・3Fとも、羽田空港行の発車案内表示が独立して設けられています。
2Fの発車案内表示。
2Fの駅名標と、その他もろもろの旅客案内。京急蒲田駅と直接関係なくなるが、一年前・2022(R4)年11月改正で、朝ラッシュ時の快特(B)の大半が特急になったため、快特のみに設定されていた女性専用車が、品川終点の特急に代替で設定、という形になっています。
新しい京急蒲田駅を特徴づけるものと言えば、朝ラッシュ時に普通列車専用で使用される、退避用のホームでしょう。2Fでは5番線が欠き取り式になっていて、メインの4番線・空港線6番線と並列でつながっている独特の形態。有効長は6連分しかない。古いファンだと、東武伊勢崎線の、大改良・日比谷線上下分離以前の北千住駅にあったものを思い出されると思います。朝ラッシュ時に見ていたけれど、最初に普通が到着すると大勢の旅客が4・6番線に向かい、一瞬の静寂の後、今度は6番線についた特急から大勢の旅客が5番ホームの普通に乗り換える、という現象が繰り返し見られます。
5番線と、「3F」の2番線を結ぶエスカレーター。
当然朝ラッシュ時以外は旅客の往来がないので、床面には列車発着時以外は停止する旨記されています(3Fにもあります)。
通常使用されるメインのホーム。左6番線は横浜からの本線、右4番線は空港線だが、横浜方面からの羽田空港直通列車も、ここで進行方向を変えて空港に向かう。
3Fに上がって、下りホームのエレベーター。
3Fの待合室。ここはホームの真ん中にあります。
下りホームの発車案内表示。次の土曜日の改正で、「エアポート急行」は「急行」に変更になります(停車駅は変わらず)。飛行機マークは(列車共々)間もなく見納め。
下りホームの駅名標と、時刻表、その他案内。
下りホームのベンチ。
下りホームにも、普通列車専用の退避用ホーム(2番線)があります。以前は品川~京急蒲田間区間運転の普通列車があって、しかしここでは折り返せないから京急川崎まで回送して折り返していたが、下りは3番線で客を降ろした後、ここに入って、後続をやり過ごしてから京急川崎に向かっていった、と記憶しています。しかしコロナ禍の影響で運休となり、去年春先の改正で正式に廃止となって、以降はイベントや訓練で使用される事があるようです。
本線メインが12連分(約220m)+退避用ホーム6連分(約110m)、これに待避線分岐部も加えると、上下とも端から端までは400mに近くなる。大変な駅です。
最後に、下りのメインのホーム。左の3番線が横浜方面へ向かう本線、右の1番線は、主に品川方向から来る羽田空港行が出発するが、羽田空港からの横浜方面直通も、ここで進行方向を変えて、横浜方向に進出していきます。ホームドアは上も下も、先に空港線が整備され、本線は4ドア800形引退後に整備されました。2・5番線は柵のみ。1番線停車中は千葉ニュータウン鉄道の9800形(京成3700形のリース)です。
これで、京急蒲田駅は一通り回ってきました。あまりに大きいので、見落としてしまっているものも、あるかも知れません。
巨大ではあるけれど、地上の駅でもあるし、動線はシンプルだと感じる。とにかく、羽田空港行が上下どちらから出発するのか、キチンと見分けるのがこの駅でのポイントでしょう。
さて、京急線自体の整備は完了して久しいが、ここにきて、京急蒲田駅を巡る大きな動きが浮上してきました。
蒲田駅~京急蒲田駅間の新線、通称「蒲蒲線」の整備です。東急多摩川線の蒲田付近を地下化し、さらに地下線で京急蒲田駅の地下の駅に乗り入れさせるというものです。「新空港線」とも称されている通り、将来的には更に延伸し、一部区間を京急と共用して空港まで直通させるという構想になっています。空港延伸は、京急と東急の規格が違うので正直どうなの?と思うが、京急蒲田までの延伸は、現実味を帯びてきたようです。この新線は東急東横線・メトロ副都心線まで直通という構想になっていて、実現した時、京急蒲田駅そのもの、そして空港線の輸送形態はどうなるのか。また改めて注目していく必要が、ありそうです。
(蒲蒲線が乗り入れたらその時点で、「京急蒲田」の駅名は、変わる事になるのではないだろうか)
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