№2696 「本線」のローカル線を訪ね 北海道へ 5.あとがない 根室本線の「今」

2023_0725-50.jpg
 7月25日は午前と午後の2部にして、午前中は室蘭本線を中心にして、札幌→岩見沢→苫小牧→札幌と乗りました。
 後半となる午後は、ついに廃止の申請が出されて、来年3月いっぱいで命運が尽きる、根室本線の富良野→東鹿越→新得間を中心に、代行バスも含めて、札幌→滝川→新得→札幌と一周します。この区間もまた、何十年ぶり、となるだろうか(どうも年齢がバレる文章しか書けないなあ…)。

 一旦札幌に戻ってすぐ、再び函館本線の岩見沢行177Mに乗車。しかし、岩見沢→滝川間の本数が限られていて、次の岩見沢行でも同じ。なので豊幌で途中下車してみました。

2023_0725-51.jpg
 豊幌駅。小駅です。

2023_0725-52.jpg
 当然無人駅。ただし、IC改札機が大型。

2023_0725-53.jpg
 窓口?のシャッターの貼り紙。北海道らしい文言。

2023_0725-54.jpg
 それでも今は、約30分間隔で停車があります。普通列車は全て停車。国鉄時代は、普通列車でも大半が通過する「秘境駅」並みの扱い、1985(S60)年3月改正時点では、下り12本・上り14本しか停車がなかった。
(仮乗降場ではなかった)

2023_0725-55.jpg
 いきなり土砂降りになって、参った。そんな中、〔カムイ17号〕が水しぶきを上げながら、豪快に通過していく。
 この駅は、簡素なホームに、小さな待ち合わせの小屋があるのみ。跨線橋もなく、下りホームへは踏切を渡っていくが、本線はともかく、ローカル線はそれでいいのではないかと思う。
(スロープがないのは問題になるだろうが)

2023_0725-56.jpg
 次の181Mに乗り、岩見沢(雨降っていなかったの?)で始発の旭川行2329Mに乗車。お分かりの通り、先頭車は「uシート」車だ。定期運用なのだろうか?むろん指定券は不要。
 ただし私は席には座らず、先頭部から前方を見ていました。

2023_0725-57.jpg
 ちょっと写真ヘタでぼやけてしまったが、峰延の先ですれ違った926Dは、先頭が「山明」だった。
 線路は直線もひたすら長いし、さすがに高規格。在来線でもこのくらいでないと、生き残るのはなかなか難しいだろう。同じ函館本線でも、西と東でかなり違う。

2023_0725-58.jpg
 滝川に着きました。その構内には、国鉄時代のツートン復刻のキハ40と…。

2023_0725-59.jpg
 あれ、737系がいる。試運転で来ているようだ。737系はこの後、旭川の方に向けて出ていった。近いうちに室蘭~苫小牧間のような、運行形態の変更が起きるのかも知れない。この区間で「山明」や「uシート」車に乗れるのは、今のうちのようだ。

2023_0725-60.jpg
 滝川駅。駅前にはグライダーが展示されている。

2023_0725-61.jpg
 滝川が「グライダーのまち」とは知らなかった。熊谷は知っていたが。

2023_0725-62.jpg
 バス停の時刻表だが、下部には、札沼線を代替した、浦臼町のバスの時刻表がある。元々は中央バスが入っていたが、新十津川町役場より先が廃線になったので、その代わりに新設になった。当別~月形~浦臼間のバスとは接続が今一つではあるが、とにかくバス路線が維持されている事に感謝すべきだろう。

2023_0725-63.jpg
 3月18日からの、滝川~東鹿越間の鉄道と、東鹿越~新得間の代行バスの時刻。

2023_0725-64.jpg
 15時38分発、東鹿越行2479Dが入線してきた。キハ40 1759。国鉄旧型DC復刻色だ(先の構内にいたのとは別の車両)。キハ40系は最初から首都圏色だったから、レギュラーでこのツートンをまとった事はないのだが、やはりこういう正面が丸みを帯びた形態の車両は、シンプルなツートンカラーの方がよく似合う気がする。それにしても前の2475Dから、6時間も空いている。

2023_0725-65.jpg
 来年4月以降は、どのような表記になるのか(単に「富良野方面」か?)

2023_0725-66.jpg
 今回の旅、最初は9月前半と想定していたのは、7月終わりだと学校の休みのシーズンになり、相当な混雑になるのではないかと懸念したからだった。が、幸い杞憂に終わってくれて、むろん旅行者の姿が多かったが、立ち客でスシ詰め(となるのは本当に終わり間近になってからだろうが)とはならなかった。ゆっくりと後部のロングシートに腰を落ち着ける(私は、あえてクロスシートには座らない。窮屈ではないが、自由に立ち振る舞えなくなるのがイヤなので)。

2023_0725-67.jpg
 しばらくは、田園地帯。

2023_0725-68.jpg
 芦別。ここも昔は石炭輸送で賑わっていたらしいが(三井芦別鉄道なんて分岐していたほどだ)、やはり現状は今一つ冴えない、と見えた。

2023_0725-69.jpg
 次の上芦別で2482Dと行違う。上りも約6時間ぶりだ。

2023_0725-70.jpg
 急に長いトンネルを抜けて、線路もきれいになるのでびっくりするが、平成になってからダム湖建設のため、野花南~(旧)島の下間は別線に切り替わり、途中トンネルでショートカットという形になりました。トンネルを抜けてしばらくすると、急に窓が真っ白になってしまってビックリ。旧線には滝里駅があったが、新線切り替えと同時に廃止になっています。
 なお、島ノ下駅は6年前、2017(H29)年に廃止になりました。このため野花南~富良野間は19.4㎞、約20㎞も駅がない(旧線時代は22.4㎞で、3㎞短縮)。

2023_0725-71.jpg
 富良野は3年ぶり。〔フラノラベンダーエクスプレス〕が、16時51分の出発を待っていました。当然ラベンダー編成。今は富良野に着いた後、富良野線で旭川まで臨時快速で1往復している。

2023_0725-72.jpg
 富良野から先は、列車の中からになるが、廃止となる各駅の写真を撮ってみました。布部。

2023_0725-73.jpg
 布部出発直後。やはり「本線」というには貧弱、だなあ。

2023_0725-74.jpg
 山部。

2023_0725-75.jpg
 下金山。

2023_0725-76.jpg
 金山。この駅は今でも行き違いができます。そういうダイヤはないが。

2023_0725-77.jpg
 左手に、かなやま湖が現れました。

2023_0725-78.jpg
 終点の東鹿越駅は、その湖のほとりにあります。新得方面から着いていた人々が、多数待っていました。

2023_0725-79.jpg
 東鹿越駅。

2023_0725-80.jpg
 新得への代行バスは、ふらのバスの観光車で運行されていました。セレガ。

2023_0725-81.jpg
 10人程度の乗客を乗せて、東鹿越を出発。
 たぶん、ここに来る事は、もう二度と、ないと思う…。

2023_0725-82.jpg
 幾寅までの間で「踏切」を渡る。線路は完全に草生して、既に廃線状態、と言っていい。列車が走らなくなってもう7年、だからねえ。

2023_0725-83.jpg
 幾寅駅前の、映画「鉄道員(ぽっぽや)」に搭乗した、キハ10形に偽装したキハ40形の保存車両と、たぶん映画用のセットの食堂。

2023_0725-84.jpg
 同じく映画のセットだったのだろう、床屋。

2023_0725-85.jpg
 駅舎も映画の撮影当時のものそのままで、扉の上の駅名標には「幌舞駅」と記されていました。
(右側に小さくJRのマークと、「幾寅駅」と記されている)

2023_0725-86.jpg
 遠くに、もう列車が通過する事がない踏切を見る。

2023_0725-87.jpg
 落合駅。

2023_0725-88.jpg
 この先、国道38号線を狩勝峠に向けて登っていく。直線がとにかく長いが、バスはそんなにスピードを出さない、というか、はっきり言ってノロノロ。スピードをそんなに出せない厳冬期も見据えたダイヤになっているのかも知れない。交通量もそんなに多くない。

2023_0725-89.jpg
 峠を越えた先、新得が近づくがその前に、サホロリゾートに立ち寄る。公式の時刻表には記載がないが、先の滝川駅の時刻表にも記されていた通り、サホロリゾートにも経由し、利用者の便宜を図っている(一部は通過)。もっとも、乗降ともなし。この便は結局、幾寅で1人降りただけで、他に乗降が全くなかった。

 廃線が決定し、では代替の足はどうなる?という事になるが、今のところは、決まった事項はないようだ。ただ昨今の情勢からすると、代替のバス路線が設定されるとしても、少なくとも現状の鉄道を上回るものにはならないはずだ。ふらのバスが運行するのだろう富良野からの一般路線バスは、出だしは現行の列車と同じ回数は設定されると思うが、落合と新得は狩勝峠を挟んでいて生活圏が全く異なるので、運行区間はせいぜい落合まで、峠を越えて新得まで行く設定には、なるまい。あとは現在、旭川~帯広間の長距離バス〔ノースライナー号〕が3往復走っていて、富良野~新得間のみの利用もできる(途中山部と幾寅に停車)ので、これがそのまま代替の足、と認める事になるのではないだろうか。

2023_0725-90.jpg
 新得駅に到着。新得は帯広から往復で来て以来、4年ぶり。ところで、右側のふらのバスは本来18時37分発の最終便、途中ですれ違うダイヤのはずだが、まだ停車していた。理由は聞きそびれたが、〔おおぞら10号〕(新得18時17分着予定)が、まだ来ていないらしい。20時00分発〔とかち10号〕でダイレクトに札幌に戻るのが最初の想定だったが、「ラッキー」と言ってしまったら定刻に走ってもらわねば困る人々に極めて失礼な言い草になるけれど、「ありがたい」と思ってしまったのも事実。もうすぐ到着とアナウンスがあったので、慌てて南千歳までの乗車券と特急券を購入する。
(新夕張までなら特例で「青春18きっぷ」で乗れるけれど、その先の普通列車がもうない)

2023_0725-91.jpg
〔おおぞら〕も現在、所定は4連になってしまったが、増結して7連。乗車目標が面白い。8連だったら「A」があると思うが、見る機会がなかった。

2023_0725-92.jpg
 何しろ、先頭7号車の自由席(I=Iris)に乗車。〔北斗〕同様、一年中こうならいいのに。

2023_0725-93.jpg
 道路とは別ルートで、峠を越えていく。根室本線の分岐は、トンネルの中になるので確認できなかった。

2023_0725-94.jpg
 トマムって、こんな質素な駅だったっけ?スキーリゾートのイメージがあるし、東京からの寝台特急〔北斗星トマムスキー〕の終点だった事もあるのに。今でも特急は全列車停車なのに(新夕張・占冠でさえ通過列車が多い)。

2023_0725-95.jpg
 何のかんの言っても、特急列車の車内はゆったりしていて快適。JR北海道に限らず、この数十年で特急列車から失われていったものは数知れず、だが、このゆとりだけは、最後までなくならないで欲しい。それが旅客機や高速バスに対するアドバンテージでもあるのだから。

2023_0725-96.jpg
 この先はもう真っ暗になって、お見せできるような画像はない。そのまま南千歳まで乗り通し、「青春18きっぷ」有効活用で、南千歳からは快速〔エアポート205号〕で行く。それでも〔とかち10号〕利用より1時間早く、札幌に到着しました。

 という事で、今回の北海道旅行の旅は、大方その目的を達成しました。
 明日は帰宅。スプリング・ジャパンの成田便に初めて乗ります。なので新千歳発が少々早くなってしまうのだが、とにかく晴れの天気が欲しい。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けません。何かありましたら、引き続き本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


 今日は日田彦山線「BRTひこぼしライン」が開業しました。根室本線同様、豪雨災害に遭った区間だが、こちらはもう少し利用が見込めると見たのでしょうか。が、EVとはいえいきなり小型車両からスタートするのだから(ディーゼルの中型もある)、やはり先行きは大変そうです。今は場所によっては、鉄道では難しいからと言って簡単に即バス代替、とも言えなくなってきているようで、如何に無理せず沿線の人々の足を守っていくか、鉄道存続にしろ、バス代替にしろ、どこでも難しい選択を迫られているようです。ともかく、住民の足として定着してくれることを、強く願います。このBRTも、今年中には乗りに行きます(福岡市営七隈線・南阿蘇鉄道とのセットになる予定)。

《What's New》
27日 ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト 豊橋技術科学大学が優勝
28日 ホンハイ精密工業創業者郭 台銘氏 総統選立候補表明

この記事へのコメント