№2678 この列車の行先・終点はどんな場所 10.西谷

 列車の正面や側面、あるいはホームの表示や時刻表に現れる行先、たどり着いてみたら、それはどんな場所なのか。昨今の、特に首都圏の運行形態の広域化によって、これまで普通に乗り降りするだけでは見る事がなかった地名を日常目にするようになった昨今、その行先を実際に訪ねてみよう、という企画を始めたのが8年前の事でした。以降これまでに9か所の終点駅を訪ねてみたが、4年前、2019(R元)年5月9日の東武東上線小川町が、最後になっていました。その後のコロナ禍や、私個人の腰痛という事情があってだいぶ間が空いてしまったが、今回久しぶりにやります。今後も、恐らくは首都圏が中心になってしまうだろうが、「気になる」列車の終着駅を見つけて、訪ねてみようと考えています。

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 今年3月18日、東急と相鉄の両新横浜線が開通、両社の相互直通運転が始まりました。相鉄は、つい数年前までは神奈川県東部の自社線内だけを行ったり来たりするだけで終わっていたものが、2019(R元)年11月30日のJRに続いて、東急と、さらにその奥の東京メトロ(副都心線と南北線)、都営地下鉄(三田線)、加えて東武東上線と埼玉高速線も加わって、一気に東京都内を抜けて、埼玉県南部にまで、相互直通によるネットワークが形成されました。前述した小川町も、土休日早朝の海老名発で1本、行先としてあります。
 相鉄から他社への直通が走るという事は当然、他者線から相鉄線直通も運行=相鉄線の駅名を見るようになったという事にもなります。JR直通開始の時点で海老名(と、その後の改正で大和)行がJR線内で見られるようになっていたが、今回の改正で、新規直通他者線では加えて、湘南台と西谷、という行先が見られるようになりました(他にかしわ台始発あり)。

 この中で西谷が、他者線内の利用者から見たら、「?」な行先と映るかも知れません。「海老名と湘南台は小田急との乗換駅で割と知名度もあるが(海老名はロマンスカー・ミュージアムもあるし)、西谷なんて駅、あったっけ?」と、ひょっとしたら、鉄道ファンの中にも思われる方もいるかも。JR直通開始までは、各駅停車しか停車しない一中間駅に過ぎなかったのが、いきなり都心へ向かう路線の分岐駅として、全列車が停車する駅になったのだから。では、実際のところ西谷とは、どのような場所なのか、ちょっと行ってみました。地元横浜市なんだけれどね。

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 新ダイヤでは東急東横線~東京メトロ副都心線、東急目黒線~東京メトロ目黒線~埼玉高速鉄道および東急目黒線~都営地下鉄三田線と3つのルートから相鉄線に流入してくるが、3ルート全てで、西谷行の設定があります。JRからはない。
 目黒線関連では、平日は西高島平発5本・赤羽岩淵発1本、土休日は西高島平発2本・高島平発2本・浦和美園・鳩ヶ谷・赤羽岩淵発各1本、西谷行の設定があります。
(埼玉スタジアムでのサッカー開催時に延長運転する列車あり)

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 東横線関連では、平日は渋谷・新宿三丁目・池袋・和光市発各1本、土休日は和光市発1本の設定があります。
 全てのルートで、相鉄の他、東急の編成の西谷行もあります。

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 この西谷という行先、新横浜線だけでなく、本線でも今春改正で、本格的に見られるようになりました。以前は西谷という行先は(少なくとも昭和末期以降は)なかったが、JRとの相互直通開始時に羽沢横浜国大~西谷間の区間運転が設定され、そこで初めて見る事になりました。と言っても早朝の下りだけだったので、実際に目にした人は、多くはなかったろうと思います。新ダイヤでは横浜~西谷間の各駅停車が1時間に2本程度設定され、西谷で新横浜線の列車と接続します。

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西谷駅
 その西谷駅です。横浜から6.9㎞・新横浜から6.3㎞(意外に差がない)。神奈川県横浜市保土ケ谷区にあります。相鉄が今現在公表しているデータは2021(R3)年度まで、だから新横浜線全通はまだ反映されていないが、一日平均の乗降人員は22,430人、相鉄全体では12位になります。駅ナンバリングSO08。
「全列車停車」と書いたが、JR直通開始時に特急停車駅とはなったが、以前から運行されていた急行は通過のまま、でした(横浜~二俣川間ノンストップ)。特急が停車するのに急行は通過、という「逆転現象」が起きていたのだが、今春改正で急行の設定がなくなっています(正式に廃止になったのではないと思う)。

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 改札口は現在、インターホンを使用した遠隔操作になっています。ただ、駅員は事務室に終日常駐しています。相鉄ではこのような駅が、隣の鶴ヶ峰などいくつかあります。コロナ禍も影響しているよう。

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 改札部にある、発車案内表示です。一番右の4番線が新横浜線で、東急東横線…赤・東急目黒線…青・JR線…緑と、直通先で種別の色を分けています。

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 ホームの駅名標。時刻表・路線図と一体になっています。いかに直通ネットワークが広域化しているか。

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 左が4番線・相鉄新横浜線、右が3番線・本線です。昔は2面4線の退避駅で、時期によってはここで各駅停車の急行退避が行われていた事もあった。両側の1番線・4番線をそのまま、新横浜線に転用しています。ホームドアが整備されています。

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 西谷駅を特徴づけているものとして、ホームの上を横切る東海道新幹線の高架橋があります。昔は一目散に通過する列車がほとんどだったが、今は全列車新横浜停車なので、頭上の通過は皆ややスローです。頭上を新幹線が走っているのに、乗ろうと思ったらこれまでは横浜方面へ大きく迂回しなければならず、乗り換えも必要(対JRも対地下鉄も結構面倒)だったから、この新横浜線全通は、確かに革命的だったと言える。

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 駅の西側の歩道橋から見た、西谷駅。

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 西谷行の設定を可能にした要因として、新横浜線と同時に整備された引き上げ線の存在があります。本線の間に2線あります。本線・新横浜線、どちらからも出入りができます。

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 東側の歩道橋から見た西谷駅です。新横浜線(東急編成)が下っていきます。この真下からすぐ、地下線になります。

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 西谷駅の整備はこれで完了しているが、今後鶴ヶ峰駅を挟んだ、西谷~二俣川間の地下線化工事が行われます。本線は帷子川を渡った先から、地下線に入る事になるが、鶴ヶ峰付近の地形から見て、相当な難工事になるのではないかなあ。

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 さて、西谷駅の周辺というと…、実のところ、目玉になるようなものは、正直何もない…と思う。少なくとも、地元の人以外で、「西谷だから降りたい」と思わせるような要素は。この地図を見ても、あるいは前述のホームの駅名標に記された施設等の名称からも、なんとなくそれが窺えるのではないか。

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 先にご覧頂いた橋上駅舎は、駅の南側でした。これは北側です。南も北も、駅前広場と呼べるものがない。

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 北側には、国道16号線が走っています。慢性的に渋滞気味。

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 なのでバスターミナルと呼べるものもなく、西谷駅前バス停も、国道16号上にあります。市営バスの他、神奈中バス・相鉄バスが経由します。周辺には千丸台団地や笹山団地などの大規模な団地はあるが、ここを通過する系統の大半は横浜駅西口を起点としている。この付近の渋滞もあってどの系統も遅延が少なくないのが難点で、このせいもあってか、減便が相次いでいる。画像は市営バス248系統で、千丸台団地と笹山団地を結んでいます。市営バスは、以前は横浜駅西口~千丸台団地間の62系統(急行運転)を神奈中バスと共に運行していたが、市営バスは撤退、代替で設定した系統になります。

 何もない…だけではミもフタもないので、ちょっとばかし南側を歩いてみました。

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 駅前の通りの街路灯には、今でも新横浜線開通の祝賀の幕が掲げられていました。

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 最近では、「緑の軸」という散策路が整備されているようです。西谷浄水場(近年はJリーグ・横浜FCのクラブハウスがある)まで続いています。

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 駅の南西にある、逆田橋公園。この公園は、保土ケ谷区と旭区の境にもなります。

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 紫陽花が咲いていたので撮ってみたが、やや発色が良くないかな…。

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 帷子川を挟んで反対側にあるのが、田原橋公園。

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 最後に、帷子川。本線及び引き上げ線と交差しています。側壁で遮られているが、11000系が通過しているのがお判りでしょうか。後方の大きな煙突は、旭環境センター。

 という事で、西谷駅とその周辺を、やや駆け足になったが巡ってみました。相鉄自体の営業・運転の面ではさらに大きく貢献する事になるだろう西谷駅だが、それが駅周辺も変えていくだろうか、と問われると、正直ウーン…です。地域交通の拠点としては弱いのが難点で、本当はこの機に再開発等が行われれば良いのかとも思うが、簡単ではない。そういう計画も構想もないようだし。
 ともあれ新横浜線共々、西谷駅が新たな拠点として発展する事が期待されます。それは、相鉄を始めとする各鉄道のダイヤをどのように変えていくだろうか。

(西谷駅とその周辺の撮影は2023(R5)年6月12日)

 なお、相鉄の新ダイヤそのものについては、№2656で書きました。

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 相鉄では現在、全駅へのホームドアの整備を進めていて、西谷は整備が完了しているが、まだという所もいくつかあります。今回東急編成が直通するようになったが、目黒線の編成(ちなみに3020系は今のところ相鉄直通に入らない)には連結面間の柵がなく(相直先も含めて運行全区間にホームドアが整備されていたため)、相鉄線内では応急的に、このような柵をホームに設置した所があります。去年からあるそう。これは星川駅です(土休日に目黒線編成発着あり)。8連停止位置のみ対応、なので各駅とも7か所のみ設置されています。

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 北九州はまた豪雨で、鉄道の被害が心配だったが、全部見たわけではないから確実ではないが、調べた限りではとりあえず、この豪雨による不通区間の発生はなかったようです(平成筑豊鉄道田川線が徐行で遅延発生と予告している)。しかしまだ全国的に豪雨の警戒を緩める事は出来なさそう。これ以上の被害はカンベンして欲しい、のだが…。

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