№2656 相鉄新横浜線開業 新ダイヤ分析
3月18日、相鉄新横浜線・新横浜~羽沢横浜国大間が開業。同時に開業した東急新横浜線(日吉~新横浜間)とつながり、新横浜線を介して東横線・目黒線との相互直通運転を開始しています。相鉄としては、2019(R元)年11月30日のJRとの相互直通開始に続く第2・第3の都心直通ルートの完成となり、プロジェクトは全て完成しました。
新ダイヤでは、これまで考えられなかったシーンが相鉄線内でいくつも展開され、戸惑うばかりです。何しろ4年前までは神奈川県内の東側、30㎞程度の相鉄線内のみで完結する小さなネットワークだったものが、一気に東京都を経由して、埼玉県にまで広がったのだから。
開業から既に2か月、各趣味サイトなどでは、根掘り葉掘り新たなシーンが紹介・分析されています。なので「何を今さら」ではあるが、それを承知で敢えて、相鉄線の新ダイヤについて、私なりに軽くおさらいをしてみようと思います。
相鉄新横浜線は今回、新横浜~羽沢横浜国大間4.2㎞が開業し、JR直通開始時に先行して開業していた羽沢横浜国大~西谷間と合わせて、6.3㎞となりました。
新規開業区間には中間に駅はなく、4.2㎞という駅間距離は、相鉄では最長となりました(これまでは本線・かしわ台~海老名間の2.8㎞)。この開業で、相鉄全線の旅客営業キロは42.2㎞となって、40㎞の大台に乗りました(他に貨物専用の厚木線2.2㎞)。
ちなみに東急新横浜線は5.8㎞で、この開業で軌道の世田谷線、第2種事業免許のこどもの国線を合わせると103.4㎞となって、ついに100㎞の大台突破です。
新横浜駅は、相鉄・東急両方の営業となり(他の相直境界駅のような、どちらかが相手に委託、と言うのではない)、北改札が東急、南改札が相鉄と分け合っています(この間に市営地下鉄の中央改札が新設になっている)。
新横浜開業を機に、同業他社とコラボ的な広告も展開しています。左はJR東海だが、体裁が右の相鉄とほぼ同じ。相互直通をしてこなかった鉄道だけに、このような形態の広告コラボは、これまでほとんど見られなかったものでした。
埼玉の地でも、相鉄線の駅の名の表示が見られるようになりました(既にJR埼京線では少数だったが見られていたが)。これは和光市駅で、当然ながら「ヒカリエ」も、相鉄線内に入ってきます。
相鉄では、全線の時刻表を、公式WEBサイトに掲載しており、PDFファイル形式でダウンロードもできます。
相鉄線内では、列車番号からは運用(どの会社の車両か)は読めないのだが、親切にも?運用番号を併記してくれています。これと、「MY LINE東京時刻表」(交通新聞社)を基にして、運用面を中心にいろいろ分析してみます。
改めて、運行形態を確認します。基本的には、本線⇔東急目黒線(~東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道・都営地下鉄三田線)、いずみ野線⇔東急東横線(~東京メトロ副都心線・東武東上線)となるが、朝晩を中心に、本線⇔東横線・いずみ野線⇔目黒線の運行も見られます(これに本線⇔JRが加わる)。
参考として、横浜・海老名・湘南台各駅の時刻表を作成してみました。列車番号・運用番号も添えています。
横浜駅
海老名駅
湘南台駅
運用番号
00・10・20・30K番台 … 東急目黒線8連
10番台 … 自社線内8連 21000系が入る事もあるだろうが、基本的には10000系のみ。
30・40G番台 … 目黒線直通8連(21000系)
50・60番台 … 自社線内10連
50・60K番台 … 東急東横線10連
70番台 … JR直通10連(12000系)
(上り朝方の74~79(新宿以遠まで運行)はJR編成のはず)
80番台 … JR10連
90G番台 … 東横線直通10連(20000系)
JR編成は、以前は90番台だったが、新ダイヤから80番台になっています。
開業前には、今回の新横浜線開業に関係する各社局7者の車両の集合写真も見られた。が、その7者全てが、関係する区間を走るわけではない。全区間を走るのは、東急のみ。相鉄は、東武東上線には入らない(和光市まで)。メトロ(南北線)・埼玉高速・都営は、相鉄線には入らない(新横浜まで)。メトロ(副都心線)・東武・西武は、新横浜線自体入線しない。相鉄~東急~メトロ~東武直通が数本あるが、全て東急編成。
東急目黒線に直通する相鉄21000系だが、目黒より先は、今のところは都営三田線の方が圧倒的に多い。平日14往復・土休日16往復の直通がある。平日は他に三田線内運用(白金高輪折返し)が1往復(1930G→2031G)ある。一方メトロ南北線・埼玉高速直通は、新横浜折返しが中心でもあり、平日4往復、土休日1往復のみ。
基本的に一番遠い行先は、東武東上線の森林公園。しかし、土休日の早朝に1本、海老名発小川町行が設定されています。改正前の菊名始発を変更したものです。
海老名5:14 → 7:39小川町 東急54K
海老名~(急行3700)~新横浜~(急行054052)~渋谷~(急行554K)~和光市~(快速急行154K)~小川町
運賃は4社合計で、1,810円。
なお、この区間をJRだけで行こうとした場合、海老名5時07分発の相模線初発橋本行で出発すると、橋本・八王子・高麗川と乗り換えて、小川町には7時32分着となります。所要時間は同じ。運賃1,520円。
(一番早いのは、小田急で町田に出て横浜線乗り換え)
一方、東横線と目黒線の編成が、他社の同じ線路を行き交うシーンも、日常茶飯事に見られるようになりました(画像は鶴ヶ峰)。
東急とJRが同じ線路を走るようになり、両者が並ぶシーンが頻繁に見られるようになった。それだけでもオドロキだが、加えて瀬谷または二俣川で、東急がJRを追い抜く、あるいはその逆が何回か見られるようになりました。
瀬谷
平日下り
東急がJRを追い抜き 東急04K(浦和美園発3839)→JR85(新宿発6263) 17時31分頃
JRが東急を追い抜き JR86(新宿発3135)→東急23K(高島平発6599) 19時12分頃
平日上り
東急がJRを追い抜き 東急22K(浦和美園行3806)→JR79(池袋行6222) 8時18分頃
東急10K(浦和美園行3816)→JR84(新宿行6256) 16時48分頃
土休日下り
JRが東急を追い抜き JR83(川越発3123)→東急20K(浦和美園発6561)9時03分頃
土休日上り
JRが東急を追い抜き JR85(新宿行3144)→東急09K(西高島平行6584) 18時55分頃
JR86(新宿行3146)→東急13K(西高島平行6584) 19時15分頃
二俣川
平日下り
東急がJRを追い抜き 東急13K(西高島平発3807)→JR85(新宿発6241) 12時12分
平日上り
JRが東急を追い抜き JR74(川越行3124)→東急51K(森林公園行6404) 6時46分
両者とも川越へ行く。川越は東急の方が先着。
土休日下り
東急がJRを追い抜き 東急04K(浦和美園発3809)→JR84(新宿発6263) 19時27分
土休日上り
JRが東急を追い抜き JR83(新宿行3152)→東急31K(目黒行6594) 22時24分
また二俣川では、いずみ野線湘南台発着の東急編成(主に各停)が、海老名発着のJR編成(主に特急)を待ち合わせるケースもある。
平日下り
JR87(赤羽発3125)→東急53K(千川発7403) 10時02分
平日上り
JR87(新宿行3148)→東急62K(森林公園行3752) 18時59分 ※東急も特急
土休日下り
JR86(新宿発3137)→東急54K(和光市発7449) 18時47分
JR85(新宿発3157)→東急55K(横浜発6801) 23時28分 ※東急は相鉄線内列車
土休日上り
JR75(大宮行3124)→東急57K(志木行7402) 7時03分
JR76(大宮行6222)→東急60K(渋谷行7404) 7時21分 ※JRも各停
JR77(川越行6224)→東急59K(川越市行7406) 7時41分 ※JRも各停
川越行と川越市行が並ぶ。川越はJRの方が先着。
JR86(新宿行6232)→東急55K(川越市行7412) 9時11分※JRも各停
JR86(新宿行3146)→東急52K(渋谷行7450) 19時19分
JRの3146列車は、瀬谷で東急目黒線、二俣川で東急東横線の編成を追い抜く。
さらに二俣川では、土休日には東急同士の並びも見られる(片方は相鉄線内列車横浜発着)。
土休日下り
07K(横浜発海老名行6557)→34K(目黒発湘南台行6713) 8時13分
31K(西高島平発海老名行3815)→55K(横浜発湘南台行6791) 21時38分
土休日上り
06K(海老名発浦和美園行3802)→26K(湘南台横浜行6704) 6時53分
11K(海老名発横浜行2026)→51K(湘南台発川越市行7410) 8時42分 ※2026列車は快速
18K(海老名発横浜行2080)→55K(湘南台発川越市行7436) 15時43分 ※2080列車は快速
前述の通り、新ダイヤでは東急編成の相鉄線内横浜発着列車がいくつかあります。平日は1往復だけだが、土休日は結構あります。
平日下り
61K 横浜11:20 → 11:33西谷 各停7035
平日上り
61K 海老名10:26 → 11:16横浜 各停6010
土休日下り
60K 横浜6:20 → 6:53湘南台 快速2501
34K 横浜7:50 → 8:31湘南台 各停6713
26K 横浜8:10 → 8:23西谷 各停7011
22K 横浜8:28 → 8:59湘南台 快速2503
11K 横浜9:09 → 9:44海老名 快速2023
63K 横浜9:59 → 10:34海老名 快速2031
29K 横浜10:09 → 10:36海老名 特急3013
18K 横浜16:00 → 16:41湘南台 各停6769
55K 横浜21:15 → 21:58湘南台 各停6791
55K 横浜23:07 → 23:48湘南台 各停6801
土休日上り
60K 海老名5:33 → 6:10横浜 快速2004
26K 湘南台6:33 → 7:14横浜 各停6704
34K 西谷7:32 → 7:45横浜 各停7010
22K 海老名7:43 → 8:17横浜 快速2020
11K 海老名8:20 → 8:56横浜 快速2026
63K 西谷9:33 → 9:46横浜 各停7024
29K 西谷9:44 → 9:57横浜 各停7026
63K 海老名10:43 → 11:18横浜 快速2040
18K 海老名15:23 → 15:57横浜 快速2080
55K 湘南台20:36 → 21:11横浜 快速2512
55K 湘南台22:15 →23:00横浜 各停6796
基本的には間合い運用だが(特に海老名の線路容量の少なさも理由になりそうだ)、55Kは横浜~湘南台間を2往復する。
土休日の日中は、星川駅構内の留置線に、東急編成3本が留置される。
相鉄線内に目を向けると、横浜発着の各駅停車の半分近くが西谷折返しになりました。西谷という行先は、JR直通開始時、羽沢横浜国大~西谷間1駅間だけの区間運転の行先で初めて現れたが、本線では見られませんでした。今回の改正では、横浜発着の他、新横浜線の直通列車でも何本か見られます。
今回の改正では、急行が取りやめになりました(正式に廃止になったのではないと思う)。夕方のラッシュ時の横浜は、特急もなくて、快速と各停の2本立てになりました。それも、一頃の急行・各停が5分間隔、というダイヤからはかなり減少しています。コロナ禍による需要の変動もあるだろうが、やはり東京直通に相当数転移する、と見たのだろうか。でも、仮にも「大手私鉄」の最大のターミナル駅、にしては寂しく映るし、横浜から遠方へは、より時間を必要とする事になる。引き続き横浜駅を利用する旅客の反応はどうか、少々気になる部分です。
今後のダイヤ編成の上で問題になりそうだと思うのは、いずみ野線内の線路容量の少なさ。特に車両基地・留置線がない事。これは開業日の3月18日に既に現れていて、(理由は分からないが)東横線内の混雑による遅延のため、東横線からいずみ野線への直通列車が大幅に遅延し、一部では運休も発生していました。本線のかしわ台のような基地、少なくとも西横浜のような留置機能が必要だと思うのに、それがないため、下りが遅れると、ストレートに湘南台の折返しにも影響が出る事になります。既にいくつもの会社にまたがる直通列車だけに、余計問題になると思う。現在ゆめが丘駅に隣接して大規模な商業設備が建設中だが、そうではなく、新しい車両基地を、少なくともJRとの直通が始まる時点で整備しておくべきだったのではないか?(商業施設は、その上に造る事だって可能だ)今さら手遅れではあるが、ちょっと心配のタネです。
あと一つ、今後検討すべきは、「系統記号」の導入。今回の改正で3つの都心直通ルートができたが、上に書いたように、同じ行先でも大きくルート(会社)が異なるため、利用者に混乱を与える面はないだろうか。一応JR…緑・東急東横線…赤・東急目黒線…青で区別しているものの、駅の時刻表上では区別されず、やはり不十分だと思う。相鉄の場合は一案として、JR直通は埼京線の「JA」、東横線直通は「TY」、目黒線直通は「MG」をそのまま使用し、駅の時刻表や発車案内表示の他、列車にも表示する。相鉄に限らず、そろそろ旅客案内の面で、直通ルートごとに「記号」を設定し、旅客案内で積極的に使う事を考えるべきではないか(そのためには、一部運行形態そのものの整理も必要かもしれない)。そうでないと、鉄道ファンでさえも少々混乱しそうな昨今の相直ルートの拡大、一般の旅客はなおさら困るのではないだろうか。
JRと東急、2つの大きなダイヤの流れをそのまま持ち込んだ感があるため、新しい相鉄のダイヤは、かなり複雑なものになったような気がします。今後需要の動向を見て、改めてダイヤの編成を行う事になるだろうが、もう少しスッキリしたパターンダイヤの拡大と、あとは朝ラッシュ時の速達化、これは相鉄より東急かも知れないが、この辺を考慮して頂きたいと思います。
ともあれ、ついに完成した相鉄の都心直通ルート、相鉄線と、その沿線の発展に寄与する事が、大いに期待されます。
最後に、今回の改正のダイヤを、平日だけになってしまうが、相鉄全線時刻表から作成してみました。運行番号も付記しているが、相当見づらくなってしまっているかも知れません。ご了承ください。このダイヤの画像は、常識的な範囲であれば、どのように使っていただいても構いません。ただし、公的なものではなく、あくまで私個人の趣味の一環で作ったものです。このダイヤの画像の使用によってどのような不利益を被られても、私は一切責任を持てません。その編はご承知おきください。
当ブログでは直接のコメントは受け付けません。何かありましたら、引き続き本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。
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京王が先日、今年度の設備投資計画を発表しました。5000系1編成を増備(先の新造車と同じく、リクライニング機能付き)し、ライナー列車の拡充を図る。また8000系26両(10×1・8×2?)のVVVFインバータ制御装置を更新する。運行情報を表示するディスプレイは多言語化し、4駅の発車案内表示装置をフルカラー化する。ホームドアは、今年度は笹塚(2・3番線)・神泉で整備。井の頭線は2020年代中頃、京王線は2030年代前半の全駅の整備を目指す。一昨年発生した車内傷害事件を踏まえ、車内防犯カメラの設置を、今年度中に全車両で完了する。ホームの防犯カメラも、今年度中に全駅で完了。笹塚~仙川間の連続立体化工事を、引き続き推進する。投資総額380億円。
なお、東急も今年度の設備投資計画を発表したらしいが、東急電鉄のWEBでは確認できませんでした。見落としたのかも知れないが、確認次第書きます。
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なんだか日本各地で地震が多く、一昨日は木更津の地震で我が家も大きな揺れになってビックリしました。東急東横線・目黒線は落雷で長時間停まってしまったし(何年か前に、田園都市線で同様の落雷のアクシデントがなかったっけ?)、どうも落ち着かないです。今日は小田原の東海道線で何かトラブルがあったらしい。撮影絡み?詳細がわからんので、とりあえずここでは何も言わない事にするが。
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