№2550 私鉄名車列伝 153.東武鉄道9000型

「私鉄名車列伝」、今回は東武鉄道9000系(9000型)です。ちょっと脱線するが、東武における車両形式(シリーズとして)の呼称方法が、いつの間にか「系」と「型」の併用になっていますよね。ちょっと戸惑っているのだが。100系「スペーシア」や30000系は、「系」の中のバリエーションはないから「系」のままだが、10000系は、後にマイナーチェンジした10030番台・10080番台があるからか、全て「10000型」「10030型」「10080型」と、「型」を使って呼び分けるようになっています。今回の9000系も、(今回は含めていないが)VVVF制御の9050番台があるので、「9000型」「9050型」と分けて呼称するようになっています。

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 東武鉄道9000系(9000型)は、当時建設中の営団地下鉄(現東京メトロ)との相互直通運転用を想定し、1981(S56)年にデビューした、東武では18年ぶりとなる通勤型の新形式車両である。まず、試作的な1編成が製造された。東武では初の、新造時からの10両固定編成でもある。アルナ工機・富士重工・東急車輛が製造を分担した。

 車体は東武初の全ステンレス製で、側面はコルゲート仕上げ、吹き寄せ部と妻部は梨地仕上げとしている。前頭部は非常口を右側に寄せて左右非対称となり、FRP製の縁取りで立体感を出した。即窓は一段下降式となり、コーナーに丸みを持たせ、正面・側面の窓下部にはマルーンの帯を巻いている。省エネと地下線内での温度上昇防止のため、制御方式をAFEチョッパ制御とした他、東武初の全電気式電磁直通ブレーキを採用している。ミンデン台車を掃いている。有楽町線で使用するATCの機能も備えたATS兼用の三重系一体型ATC/S装置を搭載、運転台には、機器の動作情報を乗務員に伝えるモニター装置と、有楽町線内で使用する車内信号を搭載した。

 車内は暖色系で、化粧板はクリーム色、座席は、当初は金茶系だった。冷房は10,500calの分散型クーラー4基を各車両に搭載する分散型である。

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 9101Fは1981(S56)年12月28日に営業運転を開始。試運転・及び営業運転の実績を基に、1987(S62)年5月に量産車6編成(アルナ・富士重・東急)が製造された。座席の着席スペース拡幅に伴う扉位置の変更、クーラーカバーの一体化、側面の行先表示装置の位置の変更が主な相違点となった。また、座席はグリーン系となり、パンタグラフは編成内3器に削減、これは9101Fにも及んでいる。有楽町線との直通運転は、同年8月25日より開始された。

 1991(H3)年増備の9108F(アルナ)は、10030型と同様の軽量ステンレス車体となり、側面はコルゲートに変えてビード付きとなった。9000型としては最終増備となり、有楽町新線開業時の増備は、VVVF制御の9050型に移行した。

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 2006(H18)年より、副都心線全線開通に備えた全面リニューアル工事が、順次施された。車内は50070型に準じた仕様に一新し、車いすスペースも編成内2か所に新設した。扉上には車内表示器を新設、非常報知機は乗務員との通話が可能な非常通報装置としている。運転台は50070型同様のワンハンドルマスコンとなった。副都心線ではワンマン運転を行うため、モニター等の支援装置も設けられている。外観上では先頭部の下部にスカートを新設、前照灯はLCD化した。パンタグラフはシングルアーム式に交換されている。行先・種別の表示はフルカラーLEDとなった。副都心線は2008(H20)年6月14日、有楽町線新線を延長する形で全通し、東武編成も同日より渋谷まで直通運転を開始している。なお、9101Fは更新対象から外され、地上線専用で運用される事となった。

 2013(H25)年3月、副都心線と東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線との相互直通運転が始まり、東上線からの直通も東横線・みなとみらい線まで延伸、神奈川県内にも姿を見せる事となった。2016(H28)年には、4社直通の最速列車「Fライナー」の運行を開始している。現在、9101Fを除く7編成70両が、9050型・50070型と共に、有楽町線及び副都心線~東横線・みなとみらい線直通運用に就いている。一方、車齢41年・未更新の9101Fは、動向が注目される時期となった。

【編成】
←池袋方     小川町方→
 Tc1 9100 - M1 9200* - M2 9300 - T1 9400 - M1 9500* - M3 9600 - T2 9700 - M1 9800* - M4 9900 - Tc2 9000
(* パンタグラフ(有楽町線直通運転開始時))

 上にも書いたように、2013(H25)年東急東横線にも直通運転するようになって鶴見川を渡るようになり、私は幼少の頃横浜市港北区に住んでいて(当ブログスタート時に書いているが)、だからたまに鶴見川を渡る東横線電車の姿も見たりしているが、当時は渋谷~桜木町間の短区間の「折り返し運転」だったし、5000系とか7000系とかが主力だった事もあって、それだけに(西武も含めて)信じがたい状況になったよなあと、今でもちょっと感じています。ちょうど東急直通開始10周年となる来年は東急新横浜線も開通、東武は新横浜直通を行うようだが(新横浜線は、鶴見川は地下で交差)、どんなダイヤになるのでしょうねえ。さすがに相鉄には入らないと見ているが、行先表示に「新横浜」と記されているのを見た時、どんな感慨を抱く事になるのか。一方、上で「動向が注目される」と記した9101Fは休車になっている模様で、年式からしても、引退になっておかしくないはず。全ての編成の、来年の動きが注目です。

 今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1990年12月臨時増刊号 【特集】東武鉄道」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル1997年12月臨時増刊号 【特集】東武鉄道」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル2008年1月臨時増刊号 【特集】東武鉄道」(鉄道図書刊行会)
「私鉄スーパートレインコレクション」「東武鉄道の世界」(交通新聞社)
「私鉄車両年鑑2022」(イカロス出版)等

を参考にさせて頂きました。
 次回のこのシリーズは、西武2000系、新宿線に導入された2段サッシの前期型について書く予定。東武9000型よりさらに古く、淘汰が進行しています。あと1~2年位だろうか。

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《What's New》
 2日 東京都品川区区長選挙開票 再選挙実施の見通し
 3日 ベンチャー企業ispace 月面着陸船の訓練を公開
 4日 「カロリーメイト」初の値上げ発表 来年2月1日出荷分から

 日本ではプロ野球のオリックス逆転Vや、村上 宗隆のHR新記録に沸いたが、ショッキングなのはインドネシアのサッカースタジアムの暴動で、どうしてたかがサッカーの試合で、125人も死ななければならないのか?国民性も多少はあるのかなと思うが、試合を見に行くのが命がけなんて、間違っている。日本のJリーグでは、決してこのような事が起こらないように。
 今朝は「Jアラート」で相当ゴタゴタしました。伊豆諸島が警戒区域になったのはどうして?と思ったが、誤りだったそう。それにしても、ウクライナ危機もそうだと思うが、相次ぐ北朝鮮のミサイル等の発射を見ても、日本の「温い平和運動」は、限界が露呈されていると思う。 

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