№2545 駅の時刻表から見る 私鉄ダイヤの変遷 20.京成線 青砥駅 〔後〕
京成線の青砥駅の時刻表を回顧する、後半です。スカイアクセス開業があり、成田空港に加えて羽田空港方面への増強も進んで、平成の後半は、ほぼ毎年ダイヤ改正が行われてきました。令和最初の改正で頂点に達したが、コロナ禍で一転、窮地に立つ事になります。
2002(H14)年10月12日改正(10月27日芝山鉄道開業) ㉒
急行に代えて、快速が新設になった。京成津田沼以西の停車駅が、大幅に削減されている(ので、急行の停車駅変更ではなく、新しい種別を用意したのだろう)。
空港間のアクセスを目的とした羽田空港~成田空港間の特急は、この時点で一旦なくなり、快速に立て替えられた。快速が都営浅草線~京急線内を「エアポート快特」として運行するが、京成佐倉で特急の待ち合わせを行う形態に変更されている。ただし下りのみ4本が、成田空港まで運行される。京急及び東京都編成の京成上野乗り入れがなくなった。
通勤特急が再度設定された。今回の通勤特急は、勝田台以東が各駅停車で、特急より停車駅が多い。朝ラッシュ時のパターンが大幅に変更され、従来の10分サイクルで特急:急行:普通=1:1:1→20分サイクルで特急:通勤特急:普通=2:1:3になっている。通勤特急は、上りは京成上野行が基本。下りは全て浅草線発。
急行は押上線で若干残っているが、少数になった。ただし、平日下りの北総線内急行の一部は、押上線内も急行になった。
改正の2週間後の10月27日に芝山鉄道が開業し、京成線と相互直通を開始した。ただし日中は、京成成田~芝山千代田間の区間運転のみ。
翌2003(H15)年7月19日の修正では、青砥駅には直接の関係はないが、〔スカイライナー〕の成田停車便が増加している。羽田空港行は、日中京急線内特急だった列車が快特となり、所要時間の短縮が図られた。
2004(H16)年10月30日改正 ㉓
〔モーニングライナー〕〔イブニングライナー〕が増発された。
平日下り夜間の特急・通勤特急の一部が、浅草線内が「エアポート快特」運転となった(全列車羽田空港発)。
成田空港発最終の特急が、平日・土休日とも通勤特急に変更されている。
翌2005(H17)年10月2日の修正では、〔イブニングライナー〕が1本増発され、18~20時台は約30分間隔運転になった。〔スカイライナー〕も増発されている。
2006(H18)年12月10日改正 ㉔
特急の停車駅の変更があり、京成佐倉以東は各駅の停車になった。朝ラッシュ時上りなどの一部は、停車駅は変わらずに、快速特急と呼称する(京急では「快特」だが、京成は快速があるので、「快速特急」が一般的)。
成田方面へ直通していた快速は、基本的には京成佐倉折返しになった。
新京成線の千葉線千葉中央までの直通運転が始まり、日中千葉線に直通していた本線の普通は、京成津田沼折返しに変更された。
この他、〔スカイライナー〕が早朝下り2本を除いて、京成船橋に新規停車している。
この改正で、都営浅草線直通列車が全て8両編成となり、押上線~京成津田沼方面間にまたがる普通列車は消滅した。
翌2007(H19)年12月2日修正では、土休日日中の京成上野~京成津田沼間の普通列車が全て、6両編成になった。
2009(H21)年2月14日修正では、土休日の新京成線からの直通運転の時間帯が拡大されている。北総線直通の特急・急行が、東松戸に新規停車。
********************
2010年(H22)7月17日改正 ㉕
「成田スカイアクセス線」が開業した。
〔スカイライナー〕は、新車両(新)AE形を導入してスカイアクセス線経由に変更、在来線最高速度160㎞/hで、日暮里~空港第2ビル間最速36分運転を行う(京成成田~成田空港間だと44分が標準的)。フライトピーク時間帯は20分間隔、日中は毎時2本運転。
一般列車はアクセス特急を新設。日中は都営浅草線~京急線内は「エアポート快特」運転を行う(京急蒲田は通過となった)。夕方は京成上野発着になる。アクセス特急新設により、平日朝ラッシュ時の押上線特急は、大方5分間隔運転となった。
本線は新たに、AE100形使用の〔シティライナー〕を新設。青砥にも停車し、日中は1時間間隔で運行される。〔モーニングライナー〕〔イブニングライナー〕は、AE形での運行になった。
金町線は全列車線内折り返し運転となった。
快速が千住大橋に新規停車。急行は京成線内では完全に廃止になった。北総線内急行は、京成線内も急行だった3本は、快速で運行。
翌2011(H23)年3月11日、東日本大震災が発生。京成も直接・間接的に影響を受け、特に真夏は節電対策で列車の間引きを強いられた。〔シティライナー〕は、この節電ダイヤで運休になった事もあって、元々高くはなかった需要が落ち込んでいく事になる。
2012(H24)年10月21日改正 ㉖
この事もあって、〔シティライナー〕は平日・土休日共1往復のみに削減される。〔スカイライナー〕は、京成上野5時台(58分)発が設定されたが、日中は若干減便されている。
アクセス特急は、日中は基本的に、成田湯川での〔スカイライナー〕通過待ちが解消され、成田空港まで先行する事で所要時間の短縮が図られた。
2014(H26)年11月8日改正 ㉗
23時台の〔イブニングライナー〕が設定された。この頃から成田空港ではLCC国内線の運行が活発になってきていて、早朝6時台出発の便もあるので、それに対応したものである。成田空港行の最終列車ともなった(一方で夕方は1本削減)。青砥とは直接関係ないが、5時台の京成成田・宗吾参道始発成田空港行普通列車も設定されている。
〔シティライナー〕は、土休日のみの運行となった。
羽田空港方面は、アクセス特急に加えて、青砥または京成高砂始発の快速特急を設定、押上から都営線内は「エアポート快特」運転となり(京急線内は通常の快特で、京急蒲田にも停車)、羽田空港方面の快特運転が20分間隔となった。普通列車は10分間隔に統一されている。
翌2015(H27)年12月5日の改正では、〔モーニングライナー〕〔イブニングライナー〕が京成船橋に新規停車となった。またこれまでの整理券方式の座席定員制から、指定券んを購入して乗車する全車指定席方式となった。〔イブニングライナー〕では、一部の席の前売りも受け付けている。〔シティライナー〕は、定期列車では廃止になった(正月のみ、(新)AE形を使用して運行される)。北総線内下り急行5本中2本が特急に格上げされ、さらに1本が増発された(押上線内も特急)。
2016(H28)年11月19日の改正では、京成上野を5時18分に出発するアクセス特急が増発された(青砥5時31分発)。
2017(H29)年10月28日改正 ㉘
成田空港発のアクセス特急の最終が23時00分発に繰り下げられた(青砥23時47分発)。平日は金沢文庫行となり、品川から先の京急線でも最終列車となる(2370H)。この他〔スカイライナー〕の増発も行われている。
2019(R元)年10月26日改正 ㉙
令和最初の改正となった。
〔スカイライナー〕がほぼ終日20分間隔運転となり(〔モーニングライナー〕〔イブニングライナー〕運行時間帯は除く)、大幅な増発となった。また京成上野発の初発が5時40分発に繰り上がっている。一方で京成上野5時台発アクセス特急は、京成高砂始発となった。
日中のアクセス特急は、基本的には東松戸での〔スカイライナー〕退避となった。
日中の本線の特急は、半数が京成成田発着の快速特急となった。代わりに、この快速特急が京成佐倉で接続する快速が、成田空港発着に延長された。
平日の成田空港16時04分発(青砥16時53分発)アクセス特急は京急久里浜行となったが、京成の編成で運用され(1608K)、24年ぶりに京急本線京急蒲田以南への、京成編成の乗り入れが復活した。
恐らくはこの改正ダイヤが、京成史上最もボリュームのある改正、となったはずでした。
しかしこの翌2020(R2)年春、言うまでもない新型コロナウィルス禍が日本も襲い、国際空港アクセスの重責を担う京成は特に、大打撃を被る事となりました。〔スカイライナー〕はしばらくは運行が維持されたが、4月11日より朝方の下り、夜間の上りの青砥停車が始まりました。急な事でもあり、前売りやチケットレスは利用できなかった。当日ホームでライナー券を購入し、空席に着席するスタイル。後に18往復が運休を余儀なくされる事になりました。10月1日からは、印旛日本医大発京成上野行〔臨時ライナー〕の運行が始まっています。
2021(R3)年3月27日には、最終列車の繰り上げ、初発列車の繰り下げを中心としたダイヤ改正が行われ、平日の京成佐倉行通勤特急が取りやめになったが、この改正では冊子状時刻表の発売がありませんでした(なのでここでは省略)。他の各社でも冊子状の時刻表の発売や、駅でのポケット時刻表の配布が取りやめになったりしたため、京成も同じ道を歩むのかと思われたが、今年2月26日の改正では、京成は時刻表の発売がありました。最後は、このダイヤです。
2022(R4)年2月26日改正 ㉚
〔スカイライナー〕の20分間隔運転は既に再開していて、日中80分間隔(4本に1本)が青砥に停車していたが、この改正時から、60分間隔(3本に1本)が青砥に正式に停車となった。加えて上りは夜間の全列車が停車する。また成田空港発最終〔スカイライナー〕は20分繰り上げになった。
〔臨時ライナー〕の運行は継続されていて、この改正で所要時間が短縮された。
アクセス特急は、日中は上下とも京成高砂で〔スカイライナー〕通過待ちとなった。また下りは京成高砂、上りは青砥で、本線の快速特急と相互に接続を取り合う。最終の上りアクセス特急は、京成高砂止まりとなった。また、京成編成で運行されていた平日の京急久里浜行アクセス特急は、東京都編成の西馬込行(1618T)に変更された(泉岳寺で接続する始発の京急久里浜行特急が京成編成(1710K)で、京成編成の京急久里浜乗り入れは残っている)。
日中の特急は、京成佐倉発着の快速に変更された。代わって都営浅草線直通の快速が成田空港発着で運行されている。京成臼井行普通の2本に1本は、京成津田沼止まりとなった。
アクセス特急と共に浅草線内「エアポート快特」運転を行っていた羽田空港発着の快速特急は、浅草線内は各駅停車に戻された(押上線内も普通。代わって三崎口行の一部が押上線内快速特急)。
この他、停車駅の追加を伴う夕ラッシュ時の種別の変更や、減便が行われている。アクセス特急や快速では、京成上野・押上~京成高砂間を普通列車として運行する列車が多数設定されている。上りの成田空港22時台発の通勤特急は、平日は西馬込行になり(東京都編成2244T)、京成上野へは、京成高砂始発の快速が接続する形態になった。
以上、平成~令和にかけての青砥駅の時刻表をおさらいしてみました。「おさらい」になっていたかどうか。自分ではある程度整理して書いたつもりだが、ダラダラして見づらくなっていたり、他に大事な部分を書き漏らしていたりしたかもしれません。
こうしてみると、やはり青砥駅の時刻表が、そのまま京成のダイヤ全体のかなりの部分を象徴しているように感じます。前回書いたように、成田・羽田両空港への中継地点となっている事、特に通勤輸送では、押上線が本線以上に「本線」となっている事が、そう感じさせるのでしょう。
今、㉚号の時刻表からダイヤを作成している途中なのだが、思った事をいくつか挙げると、空港アクセス輸送は航空業界次第なのでもうしばらく辛抱が必要だろうが、一般列車に関しては、コロナ禍前からそうだが、他の鉄道事業者ほど、急行系の列車による本格的な速達サービスはないなあという印象です。全体の輸送量が他社ほど多くない上に、京成船橋で相当数の旅客がJRに移ってしまうという事もあるが、今改正で特急を快速にしたのは、ちょっと早まったかなあと思います。快速特急・特急・通勤特急・快速と、停車駅のパターンが多い気がする。2~3パターンくらいに整理できないだろうか。特に夕方はそんな感じがします。あとはアクセス特急が、特に朝夕で時間がかかり過ぎ。成田空港付近の線路容量と、一方で都営・京急線との関連で板挟み、なのも解るが、各所での待ち合わせ・通過待ちの時間を、もう少し削減して欲しい。
他社にも言えるが、コロナ禍による輸送量の減少でダイヤの減量が相次いでいるが、単純に特急や急行の取りやめとか、格下げとか、停車駅の追加とかをやると、速達性が損なわれてしまう(近いうちに書くが、明日改正のJR九州の鹿児島本線あたりもそう)。減便やむなしとしても、緩急のバランスを取ったダイヤの策定をやって欲しい。特に京成はそう感じます。
ともあれ、外国人の受け入れ枠の拡大などで利用の復活が期待されるし、再び空港輸送で活気を取り戻した京成の姿を、青砥駅で見たいと思っています。
当ブログでは直接のコメントは受け付けません。何かありましたら、引き続き本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。
《What's New》
21日 福岡県男児餓死事件 「ママ友」に懲役15年判決
22日 給付金誤振り込み事件 山口県阿武町と被告 和解成立
この記事へのコメント