№2500 2022年度GW 航空利用データ分析
懸念された「第6波」の影響だったが、幸い春先には規制措置が全て終了し、今GWは3年ぶりに、公的な行動規制のないGWとなりました。全国各地でうっぷんを晴らすかのような賑わいが見られたが、それでも3年前…何しろ「平成→令和」の移り変わりで国中がどこか浮かれていた時期だった…の「10連休」と同じ、とは行かず、今期も一部でイベントが取りやめになったりしています。航空業界もまた、コロナの影響は完全にはぬぐえていない。国際線に関しては+ウクライナ危機もあったし、国内線でも一部は減便の措置が取られています。それでも、絶望的なまでに悲惨だった一昨年・去年と比べたら、やはり雲泥の差だったろうと思います。乗り物は、人や物を運んでこそ。
さて、そのGW期間中の航空各社の利用状況、4月29日~5月8日のまるまる10日間が対象となったが、各社とも例年より遅い、10日の発表になりました(ANAは、表に出たのは11日になった)。発表されたリリースから、各社の利用状況を分析してみます。
基本的には(会社によって呼び方が若干違うが)「座席数」「旅客数」「利用率」の数値のみ記します。注記以外は、コードシェア販売分の扱いは記されていません。カッコ内は前年比です。また、「ピーク」の文言は使用せず、利用率が一番高かった日と、パーセンテージを記す形に統一します。
全日空
国内線 座席数 1,519,217席(136.0%・82.9%) 旅客数 958,724人(188.4%・65.2%) 利用率 63.1%(+17.5%・▲17.2%)
国際線 座席数 95,877席(131.8%・26.1%) 旅客数 67,375人(504.8%・22.7%) 利用率70.3 %(+51.9%・▲10.6%)
ANAは今期も、コロナ禍前の2019(H31~R元)年の実績も掲載しているが、「FY19」とは、どういう意味なのだろうか?
現状では、国内線に関しては方面別はあまり意味もなかろうと思うが、関西方面の利用率が74.3%と、一番高かった。一方、沖縄が60%を下回りました。トータルの旅客数は、2019(H31~R元)年の2/3にまでは回復しました。
最高の利用率は、下りは29日の91.9%、上りは5日の90.9%。6日以降が低く、上下トータルで60%に届かなかった。羽田=札幌・福岡・沖縄・石垣・宮古を中心に、250便の臨時便を運航。
国際線は、欧州線の座席数が前年を下回っているのは、明らかにウクライナ危機の影響。利用率も欧州線と、上海や北京が「ロックダウン」の中国線は60%を割り込んでいるが、一方で他のアジア・オセアニア路線は73.3%の、比較的高率。ハワイ(ピーク日はほぼ満席だったとの事)も含め、観光目的なら当然、比較的「行きやすい場所」が選択されたという事か。
最高の利用率は、日本発は29日の70.8%だが、この日は到着の方が高かった(71.9%)。日本着は7日の87.2%。上下トータルで80%を超える日はなく、国際線は残念ながら、まだまだ。
別リリースで、7月1日よりA380のホノルル線就航を再開し(当面金・土曜発の週2往復)、そのほかの日は羽田~ホノルル線を運航する事で、東京(羽田・成田)~成田は、トータルでデイリー運航になると発表がありました。
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日本航空
国内線 座席数 1,219,427席(161.3%) 旅客数 835,665人(238.4%) 利用率 68.5%(+22.1%)
国際線 座席数 114,824席(134.1%) 旅客数 73,039人(446.3%) 利用率 63.6%(+44.5%)
JALは、国内線・国際線とも、総旅客数のみ2019(H31~R元)年との比較を記しています。国内線はJTA・RCAも含め、対2019年比では81%。
こちらは、沖縄路線が75.4%と方面別では最も高く、ANAとは対照的(JTA・RCAの存在もあるか)。全方面で65%を超えています。
最高の利用率は、下りは29日の93.8%、上りは5日の92.4%。こちらも6日以降が低くなった(JALは、上下トータルの数値は出していない)。羽田~新千歳・福岡・那覇・女満別・宮古・ 南紀白浜・奄美大島 ・石垣・旭川・函館 ・高松で、合計91便の臨時便を運航。
国際線は、対2019年比では28%とまだまだ。現在、韓国路線を運航していない。ソウルの他、モスクワ・ウラジオストック・北京・天津・上海・コナ・グアムへの乗り入れを休止している。座席数はやはり欧州・中国・台湾路線で前年を下回っている。一方で香港線の座席数前年比772%という数字が目を惹く。方面別ではハワイ線が76.0%と、一番高くなった。
最高の利用率は、日本発は29日(68.1%)と30日(69.5%)、日本着は7日(71.3%)と8日(65.0%)(「〇」を付け間違っていないか?)。期間のトータルで、日本着が日本発より10%以上上回っている。海外居住者が、この機に日本への帰国で利用した、という事だろうか?
日本トランスオーシャン航空
座席数 115,488席(129.9%) 旅客数 67,437人(190.0%) 利用率 58.4%(+18.5%)
臨時便は、中部~那覇路線で1便運航。
琉球エアコミューター
座席数 19,149席(112.0%) 旅客数 13,274人(132.9%) 利用率 69.3%(+10.9%)
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スカイマーク
国内線 座席数 279,483席(104.0%) 旅客数 176,960人(157.8%) 利用率 63.3%(+21.6%)
国際線 運航なし
神戸~九州・沖縄路線の一部で、GW中も減便の対応がありました。座席数が前年より減少しているのはそのためか。最高の利用率は、下りは29日の84.0%、上りは5日の82.6%で、80%を超えたのはこの両日だけ、上下トータルで80%を上回った日はなかった。
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エア・ドゥ
座席数 89,422席(130.3%) 旅客数 76,874人(226.4%) 利用率 86.0%(+36.5%)
7月1日、札幌(新千歳)~福岡線に就航する。10月1日まで、1日1往復。B737-700。
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ソラシドエア
(ANA販売分は含まず)
座席数 94,826席(103.3%・120.7%) 旅客数 63,738人(196.5%・97.6%) 利用率 67.2%(+31.9%・▲15.9%)
SNAは2019~2021年度の実績も併記している。利用率は大幅に改善したものの70%には達せず、83.1%だった3年前と比較すると、まだもう一歩の感があります。下りは29日の93.0%、上りは5日の84.7%。80%を上回ったのはこの両日の他は、下りの30日(81.4%)のみ、上下トータルで80%を上回った日は、ありませんでした。
なお、来年2023(R5)年4より、ANA「スキップサービス」は廃止し、自社Webサイト上の「オンランチェックイン」に切り替わる。
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スターフライヤー
(ANA販売分は含まず)
国内線 座席数 50,002席(120.4%) 旅客数 37,140人(174.3%) 利用率 74.3%(+23.0%)
国際線 運航なし
国内線の最高利用率は、下りは29日の90.3%、上りは5日の95.7%。
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フジドリームエアラインズ
座席数 75,648席(118.9%) 旅客数 54,150人(183.2%) 利用率 71.6%(+25.2%)
最高の利用率は、小牧は発が29日(95.5%)・着が5日(93.9%)、静岡は発が29日(89.2%)・着が5日(93.9%)、松本は発が5日(90.1%)・着が29日(90.5%)、神戸は発が29日(88.5%)・着が5日(89.1%)。なお、路線別の実績は記されていない(公表はもう取りやめた?)。
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IBEXエアラインズ
座席数 8,624席(111.6%) 旅客数 7,772人(190.2%) 利用率 90.1%
両方向とも5日が100%、全便満席になりました。他では、下りは1日の98.5%、上りは3日の97.2%が最高利用率と、他社とやや違った傾向が見られました。
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ピーチ
利用実績についてのリリースは確認できなかった。
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ジェットスター・ジャパン
国内線 座席数 167,760席(111.8%) 旅客数 137,353人(125.0%) 利用率 81.9%(+8.7%)
国際線 運航なし
国内線の最高利用率は、下りは1日になり89.4%、上りは8日の89.2%。全日両方向とも60%以上で、下りの6~8日、上りの29・30日以外は80%台。
国際線は全便運休が続いているが、現在成田=上海・香港・台北・マニラ線、関西=マニラ線、中部=マニラ線の設定があります。
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スプリング・ジャパン
国内線 座席数 18,888席(217.3%) 旅客数 9,042人(210.0%) 利用率 47.8%(▲1.7%)
国際線 座席数 795席(110.0%) 旅客数 742人(133・7%) 利用率 93.3%(+16.3%)
国内線の最高利用率は、下りは29日(60.3%)、上りは5日(63.3%)。去年に比べたら大幅に向上しているが、全体的には、搭乗率は高くない。
国際線は、1・8日にハルビン線、2日に天津線を運航。運航全便が90%以上の利用率でした。
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ZIP AIR TOKYO
利用実績についてのリリースは確認できなかった。
国内線に関しては、ほとんどのキャリアが、上り(主に帰宅)のピークが5日に来ていて、6~8日があまり高くない、という傾向にあります。「10連休!」と謳ってみても、コロナ禍に加えてインフレ・物価高があるので、10日間フルにレジャーを満喫するには、まだ抵抗感みたいなものがあるのではないか。
国際線はやはり、海外の情勢にも左右されるので、もうしばらくは不安定な状況が続くだろう。ハワイ路線が好調で、日本を含めた各国の出入国の規制の軽重も関わってくるが、しばらくはハワイとか、北米とか、ある程度は「安心」して行けるデスティネーションが選ばれる事になるのだろうか。
次回の分析は、夏休みのお盆休みシーズンです。国内は連休明けでまた感染が拡大傾向、という懸念材料もあるが、7月半ばの夏休みまで2か月あります。この間に良い方向に変わって欲しい。どうかコロナ禍もウクライナ危機も、穏やかな世の中を脅かす何もかもが、一刻も早く消え去っていて欲しい。誰もかれもがウキウキ踊りだしそうな、楽しい夏休みが訪れて欲しい。それが、旅客機を始めとする、全ての乗り物のためなのだから。
当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。
BIGLOBEの「ウエブリブログ」が、来年2023(R5)年1月一杯でサービスを終了します。このため当ブログは今月以降どこかの時点、少なくとも半年以内には、「Seesaaブログ」に移転する予定です。その時期になったら、改めてお知らせします。
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11日には京急・12日には西武から、今年度の設備投資計画の発表がありました。
京急 … 品川駅付近と、大師線の連続立体交差事業を推進する。大師線は地上部の整備、大師橋及び小島新田両駅の駅舎の工事を行う。神奈川新町事故を踏まえて、発光信号機の増設や踏切障害物検知装置の3次元レーザーレーダー方式への更新(今年度は3か所)を行う。また、法面防護工事など、自然災害リスクに備える工事を推進する。ホームドアは、2022~2023年度は10駅に整備。羽田空港第1・第2ターミナル駅では、引き上げ線の整備を進める。また泉岳寺駅の改良工事を、東京都と連携して推進する。この他、遠隔操作による「スマートサポートシステム」を、今年度は8駅に導入する。なお車両面では、1000形で8両の車体更新・24両の機器更新を行うが、新造は予定されていない。投資総額231億円。京急も、運賃改定を検討するとしている。
西武 … 40000系を3編成30両増備。特急・座席指定券発売システムの改良に向けた準備を進める。「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 – メイキング・オブ ハリー・ポッター」開園に向けて、豊島園・池袋両駅をリニューアル、豊島園駅は駅舎を新設する。西武新宿は、新宿サブナードとメトロプロムナードを直結する新地下通路が都市計画決定された事で、今後検討・協議に入る。中井~野方間及び東村山の連続立体交差事業を引き続き推進するとともに、井荻~西武柳沢間および野方~井荻間の早期事業化に向けて準備を行う。投資額245億円。なおホームドア整備については記されていないが、別リリースで「鉄道駅バリアフリー料金制度」による、来年春以降の収受開始を基に、整備を加速するとしており、計画は今後策定されるものと思われる。
《What' New》
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