№2413 列車内連続刺傷事件 どう向き合えば良いのか

ご利用いただく皆様へ。ポスター掲示.jpg
 驚きました。
 前回、10月30日の更新はいつもより早く20時頃に行ったのだけれど、その後、ちょっとだけ総選挙の開票の状況を覗いてみようとニュースのサイトを開いたら、京王で起きた一件が、総選挙を差し置いて、速報でトップにありました。
 事件の詳細は、ニュース報道であれこれ伝えられている通りなのでここでは触れないけれど、ちょっとばかり私が感じた事を書いてみます。たぶん人によっては、私の意見・考えは「間違っている」と思われると思うが。
 それにしても鉄道の防犯対策は、26年前の地下鉄サリン事件に代表されるような、「組織的で、計画的な、大量殺戮を狙った(場合によっては国際的な)テロ」が起こる事を前提として、四半世紀の間で組み立てられてきた所があったが、今回の一件を含めた近年の事件は、その対策の根底にある考え方が通じなくなりつつあるかも知れない、と感じました。

 まず、この犯人。「死刑になりたかった」と供述しているそうで、この手の通り魔的事件ではこういう事を口走る犯人が多いけれど、そんなに自らに死を賜りたいなら、自分一人だけで死を選択すればいい。無関係な人を巻き添えにする必要はない。甘い。こんな事を軽く口にするのは、ひょっとしたら逆で、「裁判になったら責任能力云々という話になって、少なくとも死刑にはならないんじゃないか」という計算が働いているのではないか?下衆な勘繰りに過ぎないだろうが。
(通り魔事件の度に、こんな軽々しく「死刑」という言葉が口にされるから、日本から死刑制度がなくならないのではないか、と思ってしまう)
 とはいえ、ひょっとしたら、本当に精神的に何かを抱えていたのかも知れない。コロナ禍の最中、本当に自殺を選択してしまう人も増加していて、その辺の関連を指摘する専門家もいるようです。8月には小田急の快速急行で同様な事件があって、私は先月の総選挙の公示の日、政党・候補者に対して、小田急や、その前の〔のぞみ〕の放火事件のような「通り魔」的犯行に対して、何か防止・抑止策は持ち合わせているのかを問いたいと書きました。京王の事件が開票作業と同時進行だったのは偶然に過ぎないが、これは本当に、与野党・右も左も関係なく、政治の世界で真剣に考えて、対策を講じて頂きたい。人の心の有り様については、鉄道会社とか、警察や警備とかが考えるべき事項とは、少し違うと思う。無論、鉄道・交通だけに限った事ではないし。

 車内の警備体制に関しては、事件が起きた京王8000系は、車内のカメラが付いていなかったそう。最近は普通の通勤電車でも車内に防犯カメラが搭載されるケースが増えたが、今日乗った京急の1000形にはなかったし、全体的にもまだ少数派でしょう。「防犯カメラの是非は?」とも、政党・候補者に問うてみたが、ここまで来ると、少なくとも大都市圏のJRや大手私鉄、地下鉄等に関しては、義務化という方向に向かわざるを得ないのではないか。「コロナ禍で収入が激減しているのに、誰がコストを負担してくれるんだ?」という声もあり、これも、然るべきところがある程度の費用を負担する、という事にならざるを得ないと思う。設置そのものは、「絶対反対」と叫ぶ人は、もうほぼいないと思う。事件が現実に、国民生活の中の脅威として存在するのだから。あとは、警察…は全線は無理だから、警備員の巡回の増強でしょうか。最近のJRや大手私鉄等は大手警備会社と提携している所が多いし、東急だとグループに警備会社があります。あまりいい気分はしないけれどね。
 手荷物検査は、少なくとも日本ではやっぱり無理。スペインの高速列車AVEでは、ホームに入る前に空港のような手荷物検査を行っていると過去に何度か書いているが、日本だと新幹線でも利用者がダントツに多いし、まして通勤電車で、乗客にとてつもなく行列を作らせて検査ゲートを通らせるなんて、考えられないでしょう?

 もう一つ、これは鉄道業界自身がまず考えなければならなくなったのは、ホームドアが設置された駅における緊急脱出の在り方。今回は国領駅の停止直前に乗客がドアのコックを操作したため、正規の停止位置に停められず、車掌がホームドアを開ける選択をしなかったという事です。私は、その車掌の判断は正しかったと思っています。
 ニュースの映像を見ると、窓から乗客が次々に、ホームドアの柵を超えて脱出するシーンが流れているが、もし現場が国領でなく、一つ手前の布田だったら、完全な密閉タイプのホームドア(換気システム集約のため)なので、脱出もままならなかったという事になり、より深刻な事態になったかも知れません。このタイプのホームドアは地下鉄(メトロ南北線等)や新交通システムが中心で、一般的な鉄道ではほとんどないと思うが、いずれにしろ、ホームドア設置駅における緊急脱出は、新たな課題として浮上したと思います。非常通報装置に関する取扱いも含めて、必要なら手順の見直しも行ったうえで、各鉄道事業者で入念な訓練がなされるべきでしょう。

 ダラダラ書いてきたけれど、とにかく事件が起きない事が一番大事。アメリカみたいに、ただ学校に行くだけなのに、銃の恐怖に怯えなければならないなどというような状況には、日本では絶対に陥ってはいけない。立場や思想の垣根を超え、皆が知恵を出し合って、まずは事件の芽を摘み取る事、です。

(一番上の画像は、京急線の神奈川駅に掲げられていたポスターです。11月1日に撮影しました。たぶん、8月の小田急の一件を踏まえての作成だと思う)

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《今日のニュースから》 
 1日 熱海市伊豆山小学校 4ヶ月ぶり授業再開
 2日 Jリーグ「フードライフ」 支援食品を埼玉県に寄贈

 JALは年間の決算が2年連続、JR西日本は中間期決算が2期連続の赤字となる見通しと発表しました。交通業界の苦境は続く。そろそろ回復基調に転じて欲しいと思うが。

 総選挙。与党側は自民党が議席数を減らしながらも、絶対多数を確保する結果となりました。現職幹事長の小選挙区落選(比例区で復活当選)はあったけれど、夏場のコロナウィルス感染者数激増や、オリ・パラ開催に伴う批判的な意見が少なからずあった事を思えば、この程度の減少で済むなら良し、か。
 問題は野党、特にいわゆる「野党連合」なのだけれど、根本的な疑問が前からあります。「野党連合」って、誰が言い出しっぺだったの?そして、有権者が本当に望んでいた方向だったのか?一番最初に提唱したのはたぶん共産党だが、ご都合主義も甚だしい。ついこの間まで政府自民党のみならず、他の野党さえ「右寄り」と侮蔑していたのに、「我が党のおかげで政権交代がなったのだ」と自画自賛したかっただけに過ぎないのだろう。過去からそうだが、国民が共産党を拒絶するのは、共産主義をベースとした政党の思想、などでは決してなく、単に政権に影響力を欲しいがために、もっともらしい言葉で自らを飾り、楽して(本当に政権を欲しいなら、自らだけで単独過半数を獲得する以外道はないはずなのに)政権内の地位を欲しがったあさましさを、幹部の発言や党の行動に感じ取っているからではないのか?
 それ以前に、ずっと昔からだが、政党そのものの発言や行動は、本当に国民の意識の上に成り立っているのだろうか?そうなっているかどうかを、各政党の指導者(や、支持者・支持団体)は確認した事があるだろうか?立憲民主党の枝野代表(辞任するそうだが)が「自民党は足腰が強く、ここを鍛えなければ政権は獲れない」と語ったそうだが、まさにこの事。野党側の方こそ、真っ先に国民が本当に欲している事、求めている事は何だ?という事を、ずっと昔から探す・探る事をやるべきだった。たとえそれが、自らの党の方針とは相容れなくても。今回の選挙に至るまでにも、野党各党は与党自民党の政策・行動の批判に終始し、むろんそれ自体は野党としては当然ではあるが、それは本当に、国民の声を背景にしたもの、だったのだろうか?本当に、国民が求めている事だったのか?選挙の公約も、大半は自民党がやってきた事の「意趣返し」に過ぎず、「こういう世界を構築したいんだ、それを世界に示したいんだ、そのためにはこういう政策をやりたいんだ」というものが、ほとんど聞こえなかった。それに、政権を獲得したら、この部分はどうするの?という部分もいくらでもあった(TPP、核拡散防止条約、対韓国「徴用」など)のに、明快な答えがなかった(問わない方も悪いが)。
 どの党も(与党も含めて)、今後はとりあえず、他党への悪口雑言を、まずは一切封印して頂きたい。よその事などどうでもいい。そして、例え地味に映っても「我が党は、このような世界を作ります。そのためにこういう具体案を考えて、政策として示します」という事を、やって頂きたい。遠い昔の旧社会党などは、そういう所があったとも聞いているけれど(「江田ビジョン」とか)。そういうものがないまま、少なくとも自らの低支持率には目をつぶったまま、反与党のパフォーマンスのみに酔いしれる(敢えてこう書くけれど)「野党連合」には、正直国政を任せられないと思う。自民党政権はNOでも、なら野党連合は自動的にYES、とはならない。それを思い知らされたのが、今総選挙だったのではないか?
 最後に、今はまだ顕在化していないが、「野党連合」は、今後の国会では大変だと思う。野党全体の1/4近くが日本維新の会になってしまったから。ちょうど1年前の「大阪都構想」住民投票は否決されたが、日本維新の会そのものが否定されたものではなかった。統一地方選などで見られた、安易な「反維新包囲網」構築のツケを、他の与野党は(少なくとも大阪では)払わされた、という事ではなかったのか?

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