直流電化 敦賀に到達 新快速関西直通
福井市巡る2私鉄 LRT相互直通開始
福井市巡る2私鉄 LRT相互直通開始
嶺南は特急街道から アーバンネットワークへ
日本海縦貫線を構成する北陸本線は、1957(S32)年~1969(S44)年にかけて電化・複線化が強力に進められたが、その先駆けとなったのは、1957(S32)年の田村(滋賀県)~敦賀間の電化である。以降電化区間は1969(S44)年に完成したが、そのほぼ全区間が交流20000V(60Hz)であり、国鉄における長距離路線の交流電化の先駆けとなった。当時は米原~田村間は非電化で、E10型SLやDD50型などが交流区間と直流区間を結んでいた。
その後、米原~坂田間に交直セクションを新設、EF81型ELや、特急は485系や583系など、急行は471系や475系などの交直両用車両を導入していた。一方普通列車は客車列車が中心となっていたが、国鉄時代末期に急行からの転用車輛や、寝台特急削減により近郊型転用改造で製作された419系が、福井県のみならず、北陸本線全区間のローカル輸送を担っていた。
しかし、滋賀県湖東地域、福井県嶺南地域から、近畿圏の「アーバンネットワーク」から直通する新快速等の延長運転の要望が強まり、1991(H3)年の米原~長浜間に続き、2006(H18)年10月21日に敦賀まで(湖西線・長浜~近江塩津間含む)が、交流→直流1500Vに転換された。これにより、日中は1時間毎に新快速が近畿圏から直通するようになり、嶺南はアーバンネットワークの一部に組み込まれる事になった。大半は湖西線経由だが、時間によっては米原経由の設定もあり、兵庫県最西端近くの赤穂線・播州赤穂まで、275㎞を走破する新快速も設定されている。
交直セクションは米原~北陸トンネル間に移設され、嶺北地域の普通列車は、新たに新型521系電車が導入、在来車両を置き換えていった。2両1ユニットでワンマン運転にも対応、3ドア転換クロスシートと、新快速並みのアコモデーションを誇る。北陸本線全域に運用範囲を広げたが、後の北陸新幹線開業に伴う並行在来線の第3セクター鉄道転換に伴い、譲渡された車両も存在する。
特急列車は大阪発着の〔雷鳥〕、名古屋発着の〔しらさぎ〕に加えて、東海道新幹線接続の〔加越〕があり、さらに早朝の米原行、深夜の金沢行で、県内は福井のみ停車の全車指定制ビジネス特急〔きらめき〕の設定があった。〔きらめき〕は米原での東海道新幹線〔ひかり〕接続により、東京→福井間を3時間32分、福井→東京間は3時間35分で結んだ。
1989(H元)年3月改正では、主要駅のみ停車の大阪~富山間特急〔スーパー雷鳥〕が設定された。県内は福井のみの停車、湖西線内130㎞/h運転により、大阪~福井間を最速1時間52分で結んでいる。
翌1992(H4)年4月、JR西日本初の新型特急電車、681系が試作された。臨時〔雷鳥〕での実績を基に、1995(H7)年に量産車が製造され、同年4月のダイヤ改正時より、正式な営業運転に入った。当初は〔スーパー雷鳥〕に「サンダーバード」の副名称が入り、7往復に導入され、大阪~福井間は最速1時間46分で結んでいる。1997(H9)年3月には列車名が正式に〔サンダーバード〕となって、485系と差別化。2001(H13)年3月には後継の683系もデビューし、485系の置き換えを進め、2011(H23)年3月ダイヤ改正で完了した。
683系は〔しらさぎ〕にも導入され、こちらは2003(H15)年に置き換えを完了している。〔加越〕は〔しらさぎ〕に統合され、愛称は姿を消した。北越急行が開業した1997(H9)年3月改正では、〔きらめき〕が姿を消しており、福井県から米原方面に向かう特急は、〔しらさぎ〕に統一された。
日本海縦貫線に組み込まれていた北陸本線では、新潟県や東北地方へ向かう長距離列車も多数設定されていたが、大阪~青森間の最長昼行特急〔白鳥〕は2001(H13)年3月改正で廃止、大阪~金沢間は〔雷鳥〕となった。夜行では寝台特急〔日本海〕が2往復設定されており、1往復は青函トンネルを通過して北海道の函館まで足を伸ばしていた(1994(H6)年廃止の寝台特急〔つるぎ〕は、福井県内には停車していない)。また、豪華寝台特急〔トワイライトエクスプレス〕が1989(H元)年より運行を開始し、福井県内は敦賀・福井に停車。当初はツアー専用で、年末より一般の利用が可能になっていた。この他大阪~新潟間急行〔きたぐに〕と、1994(H6)年より金沢から延長されていた、上野発着の急行〔能登〕があった。〔能登〕は首都圏と福井県を結ぶ唯一の列車となり、後の北陸新幹線の一部となる長野新幹線開業後は長野経由から長岡経由に変更されたが、福井~金沢間は2001(H3)年3月改正で廃止されている。〔日本海〕は2012(H24)年までに、〔きたぐに〕も臨時格下げの後、2013(H25)年1月を持って、運行が取り止めとなって、福井県から夜行列車が姿を消した。
新幹線金沢延伸と 福井県のJR線
2015(H27)年3月の北陸新幹線金沢開業は、福井県の特急にも影響を与えた。〔サンダーバード〕〔しらさぎ〕は金沢止まりとなり(〔サンダーバード〕1往復のみ和倉温泉へ直通)、金沢で富山発着の〔つるぎ〕と接続する形態となった。また、対東京のアクセスとして、福井~金沢間の〔ダイナスター〕が新規に設定されている。福井発早朝、金沢発深夜に設定され、金沢では〔かがやき〕(上り1本のみ〔はくたか〕)に接続。福井~東京間は最速3時間29分で結ばれ、かつての〔きらめき〕+〔ひかり〕を上回る事になった。
今後も金沢経由・米原経由の両ルートで対東京のアクセスが確保される事になるが、焦点は北陸新幹線の福井県内、そして大阪への延伸の時期となる。建設が進む金沢~敦賀間は2023(R5)年の開業が見込まれている。選定が難航していた敦賀~大阪間の延伸ルートは2017(H29)年、小浜を経由し京都へ南下するルートが発表になった。しかし全線開業はかなり先となる見込みで、並行在来線の処遇もあり、課題は山積している。
小浜線は、平成の世が始まった時点では急行〔わかさ〕〔はしだて〕が設定されていたが、舞鶴線電化の1999(H11)年までに廃止となった。2003(H15)3月15日に全線の電化が開業、新型クモハ125形電車が直接導入された。全線直流電化で、北陸本線に先行して直流区間が福井県に到達している。電化のための事業費の約半分は、沿線に立地する原子力発電所などを運営する電力系事業者が負担した
越美北線は、本来は越美南線(現長良川鉄道)と結ばれて岐阜県へ路線延伸が計画されていたが、両白山地越えを果たせず、国鉄~JR東海バスが両路線を連絡していた。しかし、平成の世になった時点ではシーズン中のみの運行に縮小されており、2002(H14)年9月をもって廃線となって、南北の鉄路は完全に連絡を絶たれた。2004(H16)年7月には集中豪雨に拠る橋梁流出のため、3年間に渡り、一部区間が長期の不通に追い込まれた。この間、西日本JRバスが代行輸送を担っている。1995(H7)年より、「九頭竜線」の愛称が与えられている。
再生期す2私鉄 田原町で直結
福井から北部の私鉄路線は、京都の京福電気鉄道が福井に支社を置き、運営していた。平成の世になった時点では勝山への越前本線と永平寺線、三国港への三国芦原線があったが、年間利用者は400万人を割っており、同社は一部区間の廃止を表明、地元自治体とのせめぎ合いが見られた。
その最中、2000(H12)~2001(H13)にかけて2度の正面衝突事故が発生、全線の運行停止が命令される事態となった。京福電鉄は全線の廃止届を提出したが、交通渋滞により鉄道輸送の重要性が再認識された事で、沿線の自治体などの出資による第3セクター鉄道、えちぜん鉄道が設立。京福より譲渡を受け、2003(H15)年7月より勝山永平寺線(京福時代の越前本線を改称)・三国芦原線の一部区間の運行を再開した(永平寺線は廃止)。10月には全線の運行を再開している。その後は「えちてつサポーターズクラブ」などのバックアップも得て、愛知環状鉄道やJR東海からの中古車両導入による車両近代化や新駅の開業、アテンダントの乗務によるソフト面のサービス改善が図られた。福井~福井口間は、北陸新幹線工事に関連して、2015(H27)年には北陸新幹線用の高架橋上の仮線に移転、2018(H30)年9月に、本設の専用の高架駅に再度移転した。
一方、名鉄の系列にあった福井鉄道は福井市と、南に位置する鯖江市・武生市を結ぶインターバン的な性格を持っていて、平成の始まりの時期には終日急行も運行されていた。しかし、並行するJR西日本のダイヤが充実すると利用者の減少に歯止めが掛からなくなり、1998(H10)年には日中の急行を取り止め、各駅停車のフリークエントサービスに切り替えた。また2006(H18)年以降は、廃止となった名鉄線で使用されていた低床車両を導入し、車両面での近代化を図った。しかし名鉄は2008(H10)年に経営から撤退。以降は地元自治体が出資する第3セクターや、地元の支援団体などが運営に携わる形になって、新駅設置や、福井駅付近の運行形態の変更などのサービス改善を図ってきた。
2011(H23)年になり福井県は、田原町で接続するえちぜん鉄道と福井電鉄の相互乗り入れの計画を発表。2016(H28)年3月より、両社が導入したLRTタイプの超低床車両により、えちぜん鉄道鷲塚針原~福井鉄道越前武生間の相互直通運転を開始した。LRT車両による2社相互直通運転は全国でも初の試みであり、今後の輸送動向が注目される。LRT車両導入により、在来の高床車両は淘汰された。
次回はデータ編です。
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プロ野球大島 康徳氏の逝去が発表になりました。お悔やみを申し上げます。70歳って…。星野 仙一さんも70歳、だったよね…。かつてのドラゴンズの盟友、天国で驚いている事だろう。「お前、来るの早すぎ!」と…。「余命一年」の宣告もなされていたそうだが、もし私自身が同じ立場に立たされたら、彼のように最後まで前向きに明るく生きていく事、できるだろうか?
はっきり言って、今はコロナ禍より、オリ・パラより、都議選より心配な熱海の豪雨災害だが、東海バスに関しては、被災車両は回送車で、ドライバーは救助されたそうです。何よりでした。
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