№1788 バスジャパン・ハンドブックシリーズS97 名鉄バス

 今月に限り、日曜日も追加で更新します。
「バスジャパン・ハンドブックシリーズS97 名鉄バス」は昨年11月の末発売になったが、データ分析が少々遅くなってしまいました。いつも通り、分析で中心に書いてみます。

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 名鉄バスは名古屋鉄道(名鉄)のバス部門の分社で、東海地域では最大級のバス事業者になるが、これまでBJハンドブックシリーズで取り上げられた事がなかったので、今回の刊行は歓迎でした。
 グループ2社はさらに分社の名鉄バス東部と名鉄バス中部。名鉄観光バスはないのか?と、前回の「関鉄バス」の最後に書いたが、名鉄バスと名鉄観光バスの両社は共に名古屋鉄道の100%子会社で、資本的には対等。名鉄観光バスは、名鉄バスの子会社、ではない。西尾地域の路線を引き継いでいる名鉄東部交通も、昔からあるタクシー会社で、名鉄バスの資本は入っていない。

◆ 名鉄バスの車両たち
 少々驚きだったが、登録番号(ナンバープレート)の地名が8ヶ所もある。現在名鉄バスの営業所があるのは愛知県内だけなのだが、愛知県内は元々名古屋(愛知運輸支局)・三河(西三河自動車検査登録事務所)・尾張小牧(小牧自動車検査登録事務所)・豊橋(豊橋自動車検査登録事務所)の4ヶ所だった所、「ご当地ナンバー」制度で岡崎・豊田(三河)、一宮・春日井(尾張小牧)ナンバーができて、今の姿になりました。東京都でさえ7ヶ所(品川・練馬・足立・多摩・八王子と「ご当地」の世田谷・杉並)なのに。県の範囲が広い事もあるが、それだけ車が多いという事でしょう。
 1124号車(LKG-MP37FM)は名古屋〔営〕所属になっているが、岡崎ナンバーなので岡崎〔営〕所属が正当ではないでしょうか。これを前提にして分析します。

1.従って純粋な「観光バス」は少なくなるから、用途別割合は乗合78.86%、高速15.82%、貸切5.32%。貸切にはイオンやボートレースの場外への送迎、スクールバス等も含まれていて、「観光バス」は30台と考えられます。
 乗合の営業所別割合は、名古屋〔営〕19.39%、岡崎〔営〕16.86%、一宮〔営〕14.50%が上位。高速中心の名古屋中央を除くと東部・蒲郡が一番少なくなり2.36%。小牧〔営〕2.87%。豊田〔営〕が意外に少なく、11.30%。67台中24台がとよたおいでんバスです。名古屋中央〔営〕は8台中7台が基幹バス。中型1台はどこで使われるのだろう。
 やや強引だが、先のナンバープレートの登録事務所でエリア分けすると、一番多いのは三河になりました。39.12%で、乗合全体の約4割になります。尾張小牧30.86%、名古屋27.66%。やはり名古屋の郊外が手厚くなっているようです。
 高速は2社5営業所に配置され、名古屋中央〔営〕57.14%がやはりダントツです。かつては蒲郡〔営〕もセントレアへの空港バスがあったが、廃止で高速バス配置もなくなりました。
 貸切は小牧〔営〕以外全てに配置があり、一番多いのは津島〔営〕で1/5を占めます。全て純粋な貸切車(全車KL-MS86系)。

2. 平均車齢(2017年式=0年として計算)は、乗合7.03年、高速6.87年、貸切10.70年。
 乗合で一番若いのは一宮〔営〕で4.86年、平均よりかなり若い。2015(H27)年以降に41台を導入し、乗合全体の半分近くになっています。何があったのだろう。知立〔営〕6.17年、名古屋〔営〕6.45年、春日井〔営〕6.50年が、乗合全体の平均より若くなっています。逆に蒲郡〔営〕11.71年、小牧〔営〕10.35年と、名鉄バスの直接管理でない2営業所が高齢化しています。
 年式別では、愛・地球博があった2005(H17)年が一番多く、81台で13.66%、2006(H18)年が79台で13.32%、2007(H19)年が60台で10.12%。この3年だけで、乗合全体の37%になります。博覧会以外に理由があまり思い浮かばないが。その反動か、2008(H20)年は6台しか購入がありません。
 高速はやはり名古屋中央〔営〕が5.03年で一番若い。津島〔営〕と春日井〔営〕は10年以上の車輌しか配置がありません。年式別では2009(H21)年が19台で15.17%と一番高い。2006(H18)年が17台で14.29%、2005(H17)年が15台で12.61%。一方で2010(H22)年は導入がありませんでした。
 貸切は知立〔営〕7.60年、蒲郡〔営〕7.71年が若く、名古屋〔営〕は2004(H16)年式しかないから13年と最高齢。年式別では2005(H17)年がやはり一番多く、52.50%で貸切全体の半分以上(「観光バス」は17台か)。
 乗合・高速・貸切いずれも最高齢は2003(H15)年式。
 3部門合計では2005(H17)年が115台で名鉄バス全体の15.56%、逆に2008(H20)年はわずか11台の導入に留まり、1.46%にしかなりませんでした。
 中古導入は、大興タクシーから移籍した知立市ミニバスのポンチョ2台の他はありません。

3. 中小型・大型・高速貸切の割合は、それぞれ27.53%、55.98%、16.49%で、大型の一般乗合型式が半分以上。春日井〔営〕は85%強が大型。逆に小牧〔営〕・蒲郡〔営〕と、名鉄直接管理でない2営業所は、中小型の割合が一番高くなっています。
 メーカー別では、三菱ふそうが77.79%で圧倒的、日野が21.28%、トヨタ0.66%、いすゞ0.27%。
 ただし豊田〔営〕は三菱ふそうと日野で完全に逆転し、日野81.25%に対して三菱ふそうは17.50%にしかなりません。日野が三菱ふそうを上回っているのは、他に高速オンリーの中部・名古屋〔営〕(日野6台・三菱ふそう4台)。
 さらに型式で分けると、PJ-MP35JMが84台で乗合全体の14.16%、名鉄バス全体でも11.17%、TKG-MK27FHも82台で乗合全体の13.82%、名鉄バス全体の10.90%と、大所帯です。
 貸切で2TG-MS06GPが入ったが、「ポストポスト新長期規制」車と、燃料電池バスはBJ初登場です。
 津島〔営〕にいすゞ新エルガが2台入ったが、なぜ今になっていすゞ導入なのだろう?初ではないだろうが。

4. 乗合車のノンステップ率は乗合全体の61.55%。豊田〔営〕の68.66%が一番高いが、飛び抜けて高い所はない。津島〔営〕が34.15%で一番低い。
 低公害車は、エアロスター・エコハイブリッドは早々に全車輌が引退、ハイブリッド車は日野20台。内13台はとよたおいでんバスです。CNG車はない。BDF改造車が6台。

◆ 名鉄バスのあゆみ
 序盤では鉄道会社としての名鉄の成立に、割とスペースが割かれていました。大正時代、母体の名古屋電気鉄道が名古屋市内の路面電車を市に譲渡し、郊外線専門と設立した名古屋鉄道に事業を郊外鉄道事業を譲渡したのが初代。美濃電気鉄道と合併して名岐鉄道となり、戦争前に東の愛知電気鉄道と合併して出来たのが、2代目となる、今の名鉄。
 バス事業は戦前は直営もあったが(被合併企業が運営していた路線)、戦争中に子会社に譲渡、戦後再び名鉄直営となる。だから名鉄のバス事業は直営→子会社譲渡→直営→分社の繰り返しになっています。
 名古屋~飯田間のバスは戦前の開業、1938(S13)年スタートだから、今年は80周年という事になります。「(高速バス)金沢線の成功が高速バスの全国的な展開を主導した」と記されているが、1987(S62)年の開業時は既に夜行で〔ムーンライト〕〔ノクターン〕があり、昼行でも新宿発着の中央高速の延伸などがあって、「ブーム」と呼ばれる位の路線の展開が見られていたから、やや違うと思う。名鉄バスとしての高速バスの基礎は、やはり名古屋~伊那・飯田線という事になるのではないか。
 21世紀に入るとグループ内のバス事業の再編成が大規模に行なわれるが、合併・分社に事業のやりとりもあったりして結構ややこしい。「名鉄」+「東部」の社名の会社が3つ出てくる。名鉄東部交通・名鉄東部観光バス・名鉄バス東部、全部異なる会社。
 蒲郡エリアは20年足らずの間で、名古屋鉄道→(1990(H2)年)サンライズバス→(1999(H11)年)三河交通→(2003(H15)年)名鉄東部観光バス→(2008(H20)年)名鉄バス東部と、グループ内で4回も会社が変わっています。

◆ 名鉄バスの路線エリア
 基本的に名古屋を軸として、JR東海道本線の東側・関西本線の東側。営業所毎に個別に路線網が発達はしているが、営業所間のつながりがあまりなく、尾張小牧エリアは他エリアとのつながりがない。落下傘路線が多い。今は木曽川が北限で、一般路線は他県への乗り入れがありません。
 31年前の「名鉄時刻表」を改めて紐解いて見ると、路線網がかなり縮小されている事を感じます。全体的な路線図がないので視覚的な比較は難しいが、当時は名鉄バスセンター~小牧・一宮・日進・多治見、東岡崎~蒲郡・西浦温泉、神宮前~鳴子みどりヶ丘、などの路線が確認できます。こんな路線もあったんだ、という感じ。
 名鉄バスに限らないが、高速バス・空港バス路線の一覧の目的地は、地域名の方が良いと思う。「西部車庫」って、どこ?と思う人もいるはず(熊本の九州産交バスの車庫)。

◆ 終点の構図 西中野
 名鉄バスの終点は、雑誌時代の№4(1987(S62)年刊行)で上仁木(小原村・現豊田市)が取り上げられています。当時は交通公社の時刻表(現JTB時刻表)または弘済出版社の時刻表(現JR時刻表)の索引地図に掲載されている終点から1ヶ所を選んでいて、その中の「和紙のふるさと」を選んだ所、ここへ行く豊田市からの路線は和紙のふるさとの少し先、上仁木を終点としていた、という事。古びた民家の傍らにある回転場に「飯野 豊田市」の行先を掲げた、「低床バス」の「ブル」が待機している写真が掲げられていました。この路線は現在は「とよたおいでんバス」に移行しています。
(「路線バス 終点の情景」には未収録。ネガが見つからなかったそう)
 西中野は旧尾西市。折返し場所は無くて、上下でルートが異なるループの途中にある終点。途中の尾張中島までは旧軌道の起線の代替路線もあって(といっても65年も前の話)15分毎位には便があるが、西中野行は朝夕約1時間、日中は2時間毎、1日11往復と減少します。渡し船は愛知県と岐阜県を結ぶが、愛知県営らしい。対岸は岐阜県羽島市で、名鉄竹鼻線の代替バス路線があるようです。
(右側に見える小屋は、渡し船のものではないようだ)

◆ 尾張・三河の史跡と伝統産業
 今回の谷口礼子さんの紀行は東京・バスタ新宿から夜行便で出発。名古屋から長久手方向への基幹バスで東に向かい、一転して南の、主に三河のエリアを乗り歩くプランになっています。BJの紀行は東京からの高速バスで始まる事が多く、「S」では京都バス・京福バス(S88)越後交通(S90)奈良交通(S92)が、東京からの高速バスでスタートしています。
 瀬戸の陶芸の体験は、1時間20分の待ち合わせでできるものなのか。えらく時間が掛かりそうなイメージがあるのだが。伝統品の製作の体験は、私は?というと、中学生だったと思うが、七宝焼きをやった事があるくらい(名鉄バスにも七宝地域(あま市)を経由する路線がある)。
 足助というと香嵐渓、という事になり、シーズン中だと全国各地からツアー客が来る。紅葉期は絶景らしいが、かといって人でゴミゴミするのはイヤ。宿泊場所の確保も難しくなりそうだし、いつ訪れるのが良いのかは微妙な所。
 岡崎城は「直虎」でも出てきたので、興味が持たれました。正室の瀬名を住まわせていた所でもありました。阿部サダヲが演じていた徳川家康は、これまでの大河ドラマで出てきた家康像とは若干違って、特に後半はやや穏やかな印象を受けた気がします。本能寺の変の直後くらいまでの、若き日の頃が描かれていたからだろうが。

 名鉄バスは恒常的に乗る事業者ではないからあまり多くは語れないが、ご当地ナンバーの多さに現れるように、とにかくマイカーとの闘いに明け暮れる地域なので、今後も厳しい環境に置かれる事になるのでしょう。鉄道の名鉄やJRでさえ、クロスシートの特急や快速を頻発させながら苦戦しているので。大きなショッピングセンターができる度に渋滞に巻き込まれるのもお約束だが(最近ではIKEA長久手、日中は渋滞対策で、一部の路線が長久手古戦場駅に入らない)、バスでも各イオンモールなどへの契約貸切輸送や路線バスもあるので、何とか利用者を獲得したい。これは名鉄バスだけでなく、ショッピングセンター側にも考えて欲しい所。
 高速バスは、長距離の夜行便はドライバーの確保もあって、今後も維持し続けられば良いが(特に東北・九州方面)。主力は引き続き、中央自動車道を中心とした中・短距離路線となろうか。セントレア空港バスは開港当初の路線網からすぐに大幅に整理、親会社の鉄道アクセスが比較的良いから展開が難しいが、空港利用者が確実に増えてきているので、今一度対応の見直しが必要かも知れない。特にインバウンド。24時間空港で、今後深夜・早朝発着便が特にLCCで設定される事も考えられるので、この点への対応が求められる場面があるかも。
 車輌面では、乗合車の主力の三菱ふそうが昨年秋「E-FUSO」ブランドを立ち上げており、今後はバスも急速にEV化が進むと思われる。既にトヨタの燃料電池バスも運行されているが、各営業所の脱内燃への対応が急務となるかもしれません。
 ともあれ愛知県で一般乗合・高速・貸切3部門いずれも営業を行なう事業者では最大、東海地方でも最大級の事業者であり、各分野でリーダーシップが図られる事が期待されます。それが、地域のバス事業の地位向上にもつながるでしょう。

 次回刊は小田急バス・立川バスと発表されています。NEW31とR65で取り上げられていて、ハンドブックシリーズとしては3回目になります。小田急グループとしては、路線網の展開が異色な事業者です。グループ2社は小田急シティバスとシティバス立川でしょう。立川バスにはリラックマやウドラなどの他、ここにもアニメタイアップラッピング車があるが(フレームアームズガール)、写真が出てくるでしょうか。

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