「私鉄名車列伝」、今回は函館市企業局交通部(函館市電)の30形39号車、「箱館ハイカラ號」です。
この電車、今年5月の東北・北海道旅行で函館に降り立った時、短区間ながら乗りました。その前にも乗った事があります。毎年春~秋の観光シーズンの風物詩として定着しました。
元は千葉県の成田山新勝寺(山門前)~宗吾間に1910(M19)年に開業した成宗電気軌道の、開業当時の15両の1両(車号不明)だった。8年間使われたが、(業績不振による減車、なのか?)当該車両は函館市電の前身、函館水電株式会社が引き取る事になり、1918(T7)年に渡道、以降1937(S12)年まで市内線の電車として活躍、その後はササラ式除雪車排2号に改造された。後には黄色+黒の縞模様となっている。
昭和の終わり、先の大戦中に出征した男性に代わり運転を担う事になった女性達が団体を設立、排2号の旅客車へ復元させようという運動が始まった。そして、折しも函館市市制施行70周年を迎えた1992(H4)年、記念行事の一環として旅客車当時の姿への復元が実現する事となった。復元改造は札幌交通機械が行なう事となり、明治時代製造ゆえ、残された図面や写真は少なかったが、現行の法令に合致させながらも、忠実に復元されている。外板は鋼板に難燃処理を施したなら材を貼り付け、屋根は鋼板に絶縁材を塗布した。集電装置はZビューゲル形のパンタグラフを搭載しているが、新たにダミーのポールを追加している。台車は除雪車時代の米国ブリル社製の2軸台車をそのまま使用した。床下機器は一部の保安部品を新製したが、他は除雪車時代からの物や、他車の廃車再生品を流用している。
乗降口はオープンデッキで、運転台が設けられている。雰囲気を出すため、手動のブレーキ装置やサーキットブレーカーなどをダミーで搭載しているが、運転操作自体はオーソドックスな直接制御式。左側にKR-8形コントローラー、右側にPV-3形ブレーキハンドルを配置している。
客室は、デッキとは扉で仕切られている。小型2軸車ゆえ車内は狭いが、ロングシートが並び、壁面も木目調、日よけ戸は木製、つり皮は籐製、握り棒は真鍮製。室内にはレトロ調の電球2個、車掌台灯も電球1個を設け、最大限にレトロの雰囲気を醸し出すよう復元されている。
路面電車開業80周年及び函館市営交通50周年の記念となる1993(H5)年8月1日、「箱館ハイカラ號」の名で運行を開始した。例年4月15日~10月31日の間、原則火・水曜日を除いて運行。年度により運行内容は若干異なってくるが、2017(H29)年は湯ノ川・駒場車庫~谷地頭・函館どっく前間を1日4往復する。車掌が乗務し、乗車券の発券の他、観光案内も行なっている。函館の観光資源の一つとして定着した同車は2018(H30)年、渡道100周年・復元25周年の節目を迎える。
「箱館ハイカラ號」の乗車券。現在のものは、鉄道むすめ「柏木ゆの」が描かれています。
函館市電は函館バスと共に、3月25日よりICカード「ICAS nimoca」を導入しました。ハイカラ號でも利用できます。ただし、ハイカラ號は電子マネー機能での支払いとなり、「柏木ゆの」と同じ制服の車掌がチェッカーでICカードから運賃相当額を引き去った後、乗車券を発券します。履歴印字では「物販」となります。
従って、
1.PiTaPaは利用できない。
2.ICAS nimocaでも、他の一般の市電や函館バスとの乗り継ぎ割引が適用されない。
と、一般の市電とは取り扱いが異なります。
100年を超す車暦ゆえ老朽化も懸念されるが、末永く運行が続けられる事を望みます。
今回の記事は、
「鉄道ピクトリアル10月臨時増刊号 新車年鑑1994年版」(鉄道図書刊行会)
「日本の路面電車Ⅰ 現役路線編」「ローカル私鉄車両20年」(共にJTBキャンブックス)
「週刊 歴史で巡る 鉄道全路線 公営鉄道・私鉄 №11」(朝日新聞出版)
函館市企業局交通部公式Web などを参考にさせて頂きました。
次回は江ノ島電鉄(江ノ電)2000形を予定しています。
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中央道の土砂崩れは、ともかく犠牲者が出なかったのは何よりだったけれど、瑞浪~恵那間の通行止めが続き、復旧の見込みが経たないそう。名鉄バスやJR東海バスなどの高速バスも迂回運転を行なっているとの事。
北海道の観光バス事故は、もう少し様子を見たいけれど、正直またかと思ってしまう。とりあえず犠牲者が出る所までに至らなかったのは幸いでした。
熊本では神園交通のバスがトラックに追突したそうで、こちらも気がかりです。
《今日のニュースから》
18日 巨人 山口俊投手 暴力事件で今季出場停止処分
19日 九州北部豪雨被災の2小学校 仮設校舎完成
夕方の我が町戸塚は、夕方になって激しい雨に雷と荒れ模様の天気になりました。午後は青空も広がって暑かった位なのに。今年の関東の夏は、なかなか安定した青空が広がってくれません。
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