4年以上も前になってしまったが、2012年12月の№862で、相模鉄道7000系について取り上げました。7000系は相鉄では初の新造によるアルミカーで、沿線の開発やいずみ野線の開通などで急激に利用者数を増やしていた1970~80年代の相鉄を支え、後の車両の基本となりました。
新造は1988(S63)年まで続けられたが、1986(S61)年製の12次車からは、前面のデザインを中心にしたマイナーチェンジが行なわれ、さらに14次車からは相鉄初のVVVF制御も導入されました。今回は(新)7000系とも呼称される、このグループについて記します。
12・13次車は、性能的には11次車までと変わらない抵抗制御車だが、6連と4連を併結した10連(4M2T+2M2T)を組成している。貫通扉は非常用とされ、先頭車間の通り抜けは出来なかった。前面は額縁状となり、上部はブラックフェイスとなった。行先・運行表示は黒地+白文字になっている。また前照灯と後部灯が直列に並び、一体のケースに収められて近代的なイメージとなった。貫通扉は非常用となり、先頭車の連結部の通り抜けは出来なくなった。前面と側面には赤とオレンジの太い帯を窓の下に通し、「S」の形状をあしらっている。車体はアルミ製で変わらない。なお、同じ7000系ながら11次車までと連結して運用した実績はない。
車内は引き続き暖色系で、貫通扉及び客用ドア(中央部)の上部に合計4ヶ所、マップ式の停車駅案内表示装置を初めて設置した。この他、引き続き油圧式のパワーウィンドが採用されている。新製時より集中式冷房を搭載、クハについては、当初はヒートポンプ式を試用していた。13次車では天井の扇風機がラインフローに変わり、貫通扉上部の停車駅案内表示装置は省略された。
1988(S63)年製の14次車より、3000系で試用されていたVVVF制御が本格的に採用になり、新たに50番台が付与された。M車は1M方式となり、新形式モハ7300形となった。主電動機は180㎾に増強され、1C4M制御となっている。5連×2(2M3T×2)で製造されたが、15次車の3編成は相鉄初の10両固定編成で製造された。相鉄初である。
車内は基本的には13次車と変わらないが、最終編成(7755F)のサハ7600形の内2両(7662・7664)はセミクロスシートが試用され、注目を集めた。後の8000系・9000系にも受け継がれている。
(新)7000系は最終的に10連×6本、60両が日立製作所によって製造されて終了した。
21世紀に入ると、後続の系列に合わせて、各種改造工事が行なわれている。バリアフリー対策として、先頭車に車イススペースが設けられ、座席端部の仕切り棒には握り棒を設置、ドアチャイムも設けられた。中間に組み込まれた先頭車は通り抜けが出来るよう改造され、運転機能は喪失してT車化された(番号は変わっていない)。パンタグラフはシングルアーム化された。
2006(H18)年以降はEB装置を設置、さらにJR線直通事業に合わせてATS-Pとデジタル列車無線の準備工事を行なった。外見では円筒状のアンテナが目立つ。ATS-P設置により、先頭車の非常扉は閉鎖され、本来の目的では使用できなくなった。さらに2007(H19)年以降は新CI導入による新塗装化が始まり、全体をグレーに塗装し、上部と前面窓下に「相鉄ブルー」、下部に「相鉄オレンジ」の帯をあしらった。2014(H26)年度までに全6編成が完了している。
現在13次車の7156-7157は編成から外れて休車となり、厚木駅構内に留置されている(この2両は新塗装になっていない)。その他の(新)7000系は10連×4本、8連×1本が他系列と共通で、特急から各駅停車まで、各種列車に運用されている。
【編成】
←横浜方 海老名・湘南台方→
Tc2 7700 - M1 7100* - M2 7100* - M1 7100* - M2 7100* - Tc1 7500 + Tc2 7700 - M1 7100* - M2 7100* - Tc1 7500
(12・13次車)
Tc2 7700 - M 7300* - T1 7600* - M 7300* - Tc1 7500 + Tc2 7700 - M 7300* - T2 7600* - M 7300* - Tc1 7500
(14次車)
Tc2 7700 - M 7300* - T1 7600 - M 7300* - T2 7600 + T1 7600 - M 7300* - T2 7600* - M 7300* - Tc1 7500
(15次車 7755Fは 車がセミクロスシート)
* パンタグラフ
※ 全て新造時の編成 現在12~14次車の中間のTc1 7500→T3 7500 Tc2 7700→T4 7700
これ以前、7000系11次車までの相鉄は、増加する輸送量の後追いになったためか、短い編成の中間に新規に車両を組み込む事で、最大10連の長大編成を組成していました。(新)7000系で初めて、編成単位で長大編成を製造するようになります。
解らないのは、12~14次車では中間に先頭車(7500形・7700形)を組み込んでいた事。製造当時、相鉄は既に8連・10連のみになっていて、4・5・6連で運用する列車はもうありませんでした。国鉄→JR相模線への直通を想定していたとの噂もあるが(ただし当時は非電化)、真相は不明。通り抜けも出来なかったわけだし、12次車では一時、中間の先頭車を抜いた6M2Tも確認しています。結局旅客列車では分割して運用する事はないまま終わって中間車化改造をされている訳で、理由は未だ謎のままです。
今回の記事は
「私鉄の車両20 相模鉄道」(保育社) ※現在はネコ・パブリッシングによって復刻
「鉄道ピクトリアル1986年8月臨時増刊号 【特集】相模鉄道」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル1999年7月臨時増刊号 【特集】相模鉄道」(鉄道図書刊行会)
「相模鉄道完全データ DVD BOOK」(メディアックス)
「私鉄車両年鑑2016」(イカロス出版)
などを参考にさせて頂きました。
次回は東京メトロ東西線05系、相鉄(新)7000系同様、前面デザインなどを中心に変更があった8次車以降を取り上げます。
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《今日見た・聞いた・思った事》
4日前の16日リリースなのでやや遅くなったが、相鉄は3月18日(土)にダイヤ改正を行ないます。
今回は星川駅付近の下り線の高架化によるものだが、この工事、10年以上も前に着手されているのに、ずいぶん時間がかかっているなあとの印象が否めません。それでも下り線が切り替わってしまえば、あとの上り線は1~2年程度で切り替わるでしょう。
今回のポイントは、
1.平日朝ラッシュ時の特急の運行時間帯拡大 海老名発6時01分~7時31分の間15分間隔、以降9時11分まで20分間隔で運転。他列車も含め横浜7時30分~8時30分は2本増加。
2.日中時間帯の横浜・海老名両駅の折返し時間を延長 ホームの混雑を緩和するため。
合わせてパターンを変更し、本線快速は急行に変更。湘南台特急の横浜発は3番線に変更。
3.横浜0時35分発海老名行急行を新設 二俣川で湘南台行各停(海老名行から変更)に接続。
4.その他、平日大和始発8時台の急行を海老名始発に変更、夜間の快速は、平日…湘南台行を30分間隔に変更し時間帯を延長・土休日…海老名行急行を快速に変更し、湘南台行快速を増発、など。
今日は箱根まで山登りに行ってきたのだけれど、昼前から天候が荒れ模様になり、途中でコースを変更して早めに下山する事となりました。それに加え、小田原に戻ってみたら東海道線が強風で運転見合わせ、小田急~相鉄~バスと乗り継いで帰る事となって、いつもの倍掛かってしまいました。来月書きます。
《今日のニュースから》
19日 自衛隊「日本人保護」訓練 タイで実施 海外では初
20日 外国人女流プロ棋士誕生 将棋界初
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