2005(H17)年10月のスイス旅行、久しぶりの長期間の旅行は、初っ端でトラブルはあったものの、ともあれつつがなく終わりました。
最終回はいつもの通り、ここまでの間でご覧頂けなかったスイスの鉄道車両の画像を並べ、過去の訪問も含めてスイスの鉄道について感じた事、さらにはスイスそのもののパーソナルデータを記して、完結とします。
これまで「国鉄」と記してきたスイスの基幹鉄道は、正式にはスイス連邦鉄道と称し、公用語としている主要三ヶ国の言語では、次のようにあらわされます。
ドイツ語 SBB … Schweizerische Bundesbahnen
フランス語 CFF … Chemins de Fer Fédéraux Suisses
イタリア語 FFS … Ferrovie Federali Svizzere
通常、この三ヶ国語の略称を並べて表記します。
改めて、新型特急車両ICN(Intercity-Neigezüge)をご覧頂きます。車体傾斜装置を備えた電車特急です。シンプルだけれどいいデザインです。
Re4/4型EL。スイスならどこでも見かけたろう標準形で、日本でいえばEF65的な存在でしょうか?
Re460型。SLM・ABBの共同開発で、BLSにもRe465型として導入されている他、ノルウェーやフィンランドにも導入されています。
ロマンシュホルンで見かけた、入換え用の小型EL。旧型です。
全線電化されているスイス国鉄だが、入換え用にはDLも存在します。
近郊電車。中間車は客車列車と共通の形式です。
チューリヒ近郊を走る、ダブルデッカーの近郊電車。画像では右端が切れてしまっているが、同様のスタイルの機関車を連結したプッシュプルトレイン方式で、客車4両の編成もあります。
旧型車両のプッシュプルトレイン。
BLSの電車も、もう一つご覧頂きます。国鉄と同型で、SEZなどの他の私鉄でも見られました。
スイスの普通列車の大半は、車掌が乗務しない「ワンマン列車」です。日本と違って車内での精算が行われないが、時々抜き打ちの検札があって、有効な乗車券を持っていないと問答無用で80SFR(≒7,200円)の高額な罰金を支払わねばなりません。その警告が、4ヶ国語(独仏伊英)で記されています。
今回の旅で利用した、スイスパス。日本出国前に購入します。米ドル建てで、実際にいくら払ったのかは記録がないが、当時のレートでは35,000円位だったでしょうか。基本的にはスイスの大半の鉄道やバスに乗り放題になるが、登山電車などは割引という形になります。
これまで欧州各国を回って歩いた後では、その国の鉄道の印象を整理して記してきたのだが、申し訳ないことに、今回のスイスに関しては整理してきた資料を失くしてしまって、キチンと系列立てて書く事ができません。スミマセン。
それ以前の訪問も含めて、スイスの鉄道について思いつくままダラダラ並べてみると…。
1.国鉄では、ICNを筆頭にIC(特急格)、IR(急行格)が全土をネットしている。大都市圏ではSバーンが運行されている。
2.山がちな国土のため、急カーブ・急こう配が多く、全体的にはスピードが他国ほどは出ない。しかしオルテン~ベルン間には高速新線が開通、新型車両の導入などで、所要時分の短縮を図っている。
3.スイスの鉄道は、ほとんど全線電化。
(ブリエンツ・ロートホルン鉄道のみ非電化)
4.一部の路線・区間を除いて1時間サイクルのパターンダイヤが確立している。乗り継ぎの利便性も良く、利用しやすい。
5.国鉄だけでなく、私鉄も全国各地に存在。幹線ネットワークに組み込まれる大手から、路面電車的な小私鉄、登山鉄道まで様々個性的。
6.長大トンネルが多いため、私鉄も含めてフェリー列車が多数運行されている。
7.その位置から、国際列車の乗り入れが多い。ドイツICEやフランスTGVの乗り入れもある。
8.大都市では路面電車が大きなネットワークを築いている。純粋な地下鉄はないが、国鉄・私鉄を含めて地下線が意外に多い。
9.首都ベルンから主要都市までの運賃(2等車)
フリブール 31㎞ 12.4SFR(≒1,120円)
バーゼル 106㎞ 36.0SFR(≒3,240円)
チューリヒ 122㎞ 45.0SFR(≒4,050円)
ジュネーヴ 157㎞ 157SFR(≒4,050円)
ザンクトガレン 209㎞ 63.0SFR(≒5,670円)
ルガノ 295㎞ 77.0SFR(≒6,930円)
※1SFR≒90円で計算
最後にいつもの通り、ハンガリーそのもののパーソナルデータを記しておきます。
(帰国日の2003(H15)年11月29日現在)
正式国名 スイス連邦 Swiss Confederation
面積 約4,1284平方㎞ (九州より一回り大きい)
人口 約725万2千人(2005年の推定)
政治体制 連邦共和制
国家元首 スイスには存在しない
政治指導者 なし
※スイスでは上下両院が任命する7名が連邦参事会を構成し、それ自体が国家元首とされる。毎年その中の一人が連邦大統領に指名される。2005年はモリッツ・ロイエンベルガー氏、2016年はヨハン・シュナイ=アマン氏。
首都 ベルン(人口約13万人 2001年)
国連 加盟(2002(H14)年)
EU(EC) 非加盟
NATO 非加盟
ユーロ 未導入 (通貨=フラン(SFR) 1SFR≒90円)
言語 ドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語
主な観光地 ユングフラウヨッホ・マッターホルン・レマン湖
日本からのアクセス チューリヒ・クローテン空港へ、成田からLXが1日1便
今回は往復の航空も含めて16日間という、久々の大旅行になりました。10日以上を費やした旅行は、今の所これが最後です。
今回のクロニクルに関しては、故長真弓さんの「スイスの鉄道」(JTBキャンブックス)を中心に、参考文献とさせて頂きました。スイスの鉄道に関してはこの書籍も含めて様々な出版物が刊行されているし、欧州でも随一の観光立国ゆえ様々な情報を得られる状況でもあり、改めてスイスの鉄道や旅についてどうのこうの語る事もないかとは思います。
上に書いた通り、鉄道の利便性に関してはおそらく欧州でも一番でしょう。また、国鉄・私鉄・路面電車・バス・ケーブルカーなど、機関や事業者の垣根を超えた交通システム(物理的なものだけでなく、制度的なものも含めて)の整備は、日本においても大いに参考にさせられるものではないでしょうか。そういう部分にも目を向けて、鉄道の旅を楽しまれれば良いかと思います。
ただ、お気づきのようにスイスは全体的に物価が非常に高く、当然鉄道の運賃も高い(ベルン~チューリヒ間は、現在のJR東日本の幹線だったら2,270円で済むのだが)。登山電車はスイスパスでは乗り放題とはいかず、割引はあるがそれでもさらに高くなるので、その点は留意しておいた方が良いでしょう。一般には無名のローカル私鉄こそがスイスらしさを感じさせる気がするので、そちらを巡ってみるのも面白いかと思います。
(その意味でも、先の長さんの本は、プランニングには大いに役立ちました。刊行から13年経ってしまいましたが)
風光明媚な場所なので、特にこの時期がベストだ!という時期はないように思います。ただ、この旅で訪れた秋は、恐らくスイスでは一番のオフシーズンだと思います(雪がなくなるので)。田舎だとホテルやレストランが閉まっている事が多いので、この点は注意。逆に冬だと陽はかなり短くなるし、一方で特にスキーリゾートはかなりの混雑が予想されます。初夏(5~6月あたり)が、陽も長くなるのでいいのかなあと思うが、どうでしょうか。
今回の旅では前半のジュネーヴと、後半のチューリヒで旅客機を撮りまくりました。それらについては来月書きます。
当時のユーレイルパス通用17ヶ国で、残ったのはスウェーデンとフランスの2ヶ国となりました。ただ個人的な事情で、欧州は2年間お休みとなります。次のクロニクルは2006(H18)年のオーストラリア(シドニー)となります。初めて南半球へ行く事となりました。ただ、他にいろいろ書く事も多いので、来年になります。実は、このオーストラリアについては、あまり書きたくないのだが、避けては通れません。
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《今日のニュースから》、
25日 ロンドン空港拡張計画 ヒースローへの第3滑走路建設に決定
26日 大川小学校津波訴訟 14億円の賠償を石巻市・宮城県に命令
大川小学校の件に関しては、私はただ、亡くなられた子供たちの冥福を祈るのみです。
ヒースロー空港の新滑走路建設決定は、一般の、特に経済のニュースにもなりました。ガトウィック空港拡張の計画などとも比較検討された結果、今回の決定になったものです。いろいろな経済効果が期待されているようだが、一方では当然の如く環境面で懸念の声があり、今後反対運動も大きくなりそうです。順調にいっても完成は2025(H37)年と相当先の話。でもロンドンは他にスタンステッドやルートン、私も利用したシティと計5つも空港があるのに、まだ足りないの?大陸側のドイツやフランスでも空港の整備で様々賛否両論が巻き起こっていて、日本で経験した事が、何十年も経って欧州でも起こりつつあるようです。これを見た時、成田空港の第3滑走路建設計画は大丈夫なのか?と思ったのは私だけでしょうか?三里塚闘争の二の舞は絶対許されません。
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