№1518 私鉄名車列伝 132.京浜急行電鉄(新)1000形

「私鉄名車列伝」、今回は京浜急行電鉄の(新)1000形です。
(旧)1000形700形800形置き換え用として2002(H14)年より増備が続く、最新の標準通勤車両であり、快特・浅草線直通から普通電車まで幅広く活躍しています。ステンレス車体に移行して現在もなお尚も増備が続いているが、ここではまず、2006(H18)年まで4次に渡って製作された、アルミ車体のグループについて記します。

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 形式は浅草線直通の規格から1000番台に収める必要があり、2代目1000形を襲名、2010(H22)年までは新旧の1000形が併存する事となった。車号は車種に関わらない連番となり、4連は1400番台としている。

 車体は2100形を3ドアにした形となり、アルミ車体ながら赤+白の塗り分けに塗装している。ドア間は複層ガラスの固定窓、センターピラーで2分割されている。正面はワイパーカバーに形式名を打ち抜き、非常扉に車号の下三桁を記した。MT比=1:1は2100形と同じ、8連は4両を1ユニット、4連は6連運用を想定し、パンタグラフとSIVを中間のT車2両に1基ずつ装備した。2両ずつに分割し、8連のユニットと連結する事で6連の組成を想定していた。主制御器は2100形と同じく、GTO素子のドイツ・シーメンス社製が採用され、通称「ドレミファインバータ」で、起動時の独特のサウンドを聞く事が出来た。

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 車内は1500形以来のロングシート主体となったが、連結面に4人分のクロスシートを設置している。ロングシートは暖色系となり、中間部に仕切りを設け、5-3人掛けに分けて着席定員を促している。クロスシート部は補助席が設けられた。ドア上部には、3色LEDによる旅客案内用表示装置が設けられている。
 1次車は8連×3本・4連×2本の32両。


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 2004(H16)年導入の2次車では、側窓の上下方向が拡大され、大型1枚窓となった。ガラスは厚さを増し、色をグレーに変更した。正面の行先・種別表示は英文を併記、行先は白地+黒文字とした。4連は6連への編成替えを考慮しない事になり、パンタグラフ2器とSIVはTp車1両に集約された。
 8連×2本・4連×2本の24両が製造された。


 2005(H17)年導入の3次車では、大きな変更が行われた。M:T比を1:1→3:1に変更、雨天時の空転・滑走を抑えて、乗り心地の向上を図っている。主電動機の出力(190kw)は変わらず、出力を落として使用している。VVVFインバータ制御装置はIGBT素子となり、独特の起動時のサウンドは聞く事ができなくなった。台車の軸ダンパ受けと、先頭の砂撒き装置が省略された。車内ではクロスシート部の補助椅子の形状を変更することでシートピッチを拡大。新たな防火対策基準の制定に伴い、貫通扉を各貫通路間に増設したほか、天井の冷風吹き出し口と、排気扇清風板の素材をアルミ合金製に変更している。乗務員室はC-ATS導入に備え、車上装置を対応品とした(C-ATSは2009(H21)年2月に使用を開始)。4次車からは、行き先・種別表示がフルカラーLED化された。
 3・4次車は8連×4本・4連×8本の64両が製造され、アルミ車では最大勢力となった。アルミ車は合計120両が、東急車輛と川崎重工によって製造され、以降はステンレス製に移行する事になる。


 8連は都営地下鉄浅草線直通列車を中心に運用されて北総線印旛日本医大まで、平日は京成線佐倉まで乗り入れる事がある。4連は単独で普通列車の他、2編成併結でエアポート急行に、また快特・特急の12連運転増結運用に就いている。インバータ装置は順次国産に交換された。

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 1057Fは2014(H26)年より、西武鉄道とのタイアップで、全体を黄色・ドア部を銀色とした「KEIKYU YELLOW TRAIN」として運行されている。同年より、1~3次車も正面の行先・種別表示がフルカラーLED化されている。

【編成】
←三崎口・浦賀・羽田空港方     品川方→
8連 1・2次車
Muc1 1000 - *Tpu1 1000* - Tu 1000 - Mu 1000 - Ms 1000 - Ts 1000 - *Tps 1000* - Msc1 1000
8連 3・4次車
Muc1 1000 - *Tpu1 1000* - M2u 1000 - M1u 1000 - M1s 1000 - M2s 1000 - *Tps 1000* - Msc1 1000
4連 1次車
Muc1 1000 - Tpu1 1000* - Tps 1000* - Msc1 1000
4連 2次車
Muc1 1000 - T 1000 - *Tp 1000* - Msc1 1000
4連 3・4次車
Muc1 1000 - M2u 1000 - *Tp 1000* - Msc1 1000

「KEIKYU YELLOW TRAIN」は、今月18日の撮影時点では、AIR DOの広告ラッピングを施されていました。
 1次車は8連と4連を組み替え、
Muc1 1000 - *Tpu1 1000* - Tu 1000 - Mu 1000 - Tps 1000* - Msc1 1000 と、
Muc1 1000 - Tpu1 1000* - Ms 1000 - Ts 1000 - *Tps 1000* - Msc1 1000
の、2種類の6連を作る事を想定していたようです。
 ただ、4連・8連とも中間部は全て棒連結器だから、それほど頻繁な組み替えは行われない事になったはずです。
 VVVF制御装置の国産への交換は終わったが、2100形の更新が終わると、次は新1000形の更新が始まる事になるかと思われます。

 今回の記事は、
「鉄道ピクトリアル2002年10月臨時増刊号 鉄道車両年鑑2002年版」
「同 2003年10月臨時増刊号 鉄道車両年鑑2003年版」
「同 2005年10月臨時増刊号 鉄道車両年鑑2005年版」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ダイヤ情報2013年3月号」
「トラベルMOOK 京急電鉄の世界」(交通新聞社)
「京浜急行電鉄 完全データ DVD BOOK」(メディアックス) など
を参考にさせて頂きました。

 次回は、相鉄7000系の内、正面の形態を中心にマイナーチェンジが行われた、12次車以降について取り上げます。

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 九州新幹線が全線で運行を再開しました。私はGWには間に合わないと勝手に思っていたのだが。しばらくは〔つばめ〕のみの折り返し運転になると思われるが、ともあれ何よりな事だと思います。在来線は豊肥線の肥後大津~豊後竹田間は、再開が長引きそうです。
 心配なのは南阿蘇鉄道で、義援金を募っているという事だが、公式Webの写真を見る限り、小規模第3セクターが復旧させるのはかなりの困難を伴うのではないか、というのが率直な印象でした。なんとか立ち直れると良いが。

《今日のニュースから》
26日 「ヒルズボロの悲劇」 警察に原因と陪審員評決 
27日 なでしこジャパン 高倉麻子新監督就任を発表

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