№1486 駅の時刻表から見る 私鉄ダイヤの変遷 14.京王高尾線 高尾山口駅

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 №1473では、大規模リニューアルオープンした京王高尾線の終点・高尾山口駅について書きました。文字通り高尾山への玄関口で、シーズン中は大勢の観光客で賑わいます。最近は京王もさらに観光客誘致に力を入れるようになりました。「極楽湯」のオープンはその最もなるものでしょう。
 今回は高尾山口駅の過去の時刻表の中から主要なものをピックアップして、高尾線を中心に京王のダイヤを振り返ってみます。
(京王は「改正」ではなく「改定」と称するが、ここでは「改正」で統一)

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1992(H4)年5月28日改正
 手持ちの高尾山口駅の時刻表の中で、一番古いものです。京王線はこの改正で、土曜日のダイヤは休日と同じとなりました。
 当時の京王の土休日はシーズンダイヤとオフダイヤの2本立て、4・5月と10・11月の休日(土曜は適用しない)がシーズンダイヤで運行されていました。
 日中の京王線は基本的に20分サイクルで、これは今も変わりません。当時は特急が新宿~京王八王子間と、この改正で新設になった新宿~橋本間、急行が新宿~高尾山口間、快速が本八幡~橋本間、各駅停車は新宿~京王八王子・高尾山口・橋本間と、平日は急行に接続する北野~京王八王子間、土休日は新宿~京王八王子・橋本間、調布~高尾山口間の運行でした。
(この他、東京競馬開催日に新宿~府中競馬正門前間に直通急行を運行)
 シーズンダイヤでは、京王八王子発着の特急が高幡不動で分割し、6連が高尾山口、4連が京王八王子の発着で運行。8000系が運用されていました。
 平日の朝方ラッシュ時は特急はほとんど走らず、下りは新宿発7時33分の後は8時39分までなく、上りの京王八王子発は8時28分になってから。主力は急行通勤快速でした。
 高尾線は、基本的には急行各駅停車が1:1。平日の夕方は急行の代わりに通勤快速を運行。各駅停車は北野折返しとなり、新宿からでは、通勤快速以外は特急→(府中)→各駅停車→(北野)→各駅停車と2回の乗り換えが必要でした。

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1997年(H9)12月24日改正
 基本的にはパターンは変わらないが、土休日の各駅停車は、調布折返しが京王八王子発着となり、高尾線は北野折返しで接続のパターンに変わりました。

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2001(H13)年3月27日改正
 ダイヤ体系が大きく変わった改正になりました。
 準特急を新設。当時の停車駅は特急+分倍河原・北野。日中は急行を置き換える形で新宿~高尾山口間、新たに夕方にも新宿~京王八王子間に設定されました。
 一方で相模原線の特急急行に変更。相模原線は、一旦特急が消える事になりました。調布で特急急行準特急快速が相互に接続する形態になりました。快速は八幡山・仙川に新規停車。日中の急行は新宿線直通になり、新宿線内も急行運転。
 各駅停車は、新宿~調布間は平日も10分間隔運転。2本に1本は高幡不動で分断。高尾線と相模原線は共に、日中は線内折り返し運転に変更。
 高尾線の平日夕方は全列車各駅停車になり、2本に1本は高幡不動発着となって、特急と接続。北野折返しは準特急と接続する形態になりました。
 土休日の早朝には、都営新宿線本八幡から直通の急行1本が新規設定されました。
 シーズンダイヤは6月・9月にも拡大され、土曜日も適用になりました。ただし、13~14時台の高尾線特急は取り止め。競馬急行も、レース終了間際からの上りのみに縮小(代替で特急準特急が東府中に臨時停車)。

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2003(H15)年12月1日改正
 平日と土休日オフダイヤの高幡不動~京王八王子間各駅停車を高尾山口発着に変更。特急と高尾線の乗り換えが1回になりました。
 土休日シーズンダイヤは北野折返しで変わらないが、上りは北野での接続を改善、高幡不動での接続が1本前の特急になり、新宿着が10分早くなりました。
 朝ラッシュ時の通勤快速の一部が急行に格上げになりました。ただし高尾線は逆に若干削減になっています。
 この改正で、初めて高尾を始発とする上り各駅停車が、朝ラッシュ時に設定になりました。

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2006(H18)年9月1日改正
 高尾線が大きく様変わりした改正になりました。
 シーズンダイヤが廃止になりました。
 夕ラッシュ時と土休日の大半の特急準特急に変更、土休日の特急は下り2本・上り3本のみになりました。
 高尾線は土休日のみ、準特急が線内各駅停車になりました。新宿~北野間準特急と北野~高尾山口間各駅停車が、列車番号を変えつつ直通運転する形態になっています。土休日は高尾線内各駅が約10分間隔の停車となり、現在まで続いています。
 土休日の本八幡発急行が1本増発になりました。2本とも東京都編成となり、高尾線には定期ダイヤでは初入線です。
 この他では相模原線の急行快速の大半が10連となりました。当時は都営編成には10連はなく、京王編成が直通の大半を占める事となり、変わって相模原線内各駅停車のほとんどが東京都編成で運用されるようになりました。土休日は高尾山口に来た2編成が、共に回送で相模原線に向かいます。
 なお、調布周辺の地下化工事の進捗のため所要時間の見直しを行い、新宿~京王八王子間は特急で34→37分に延びています。

 2010(H22)年3月のダイヤ修正では、相模原線へのATC導入に対応、快速及び東京都編成で運用されていた各駅停車を10連に増強。
 翌2011(H23)年3月のダイヤ修正では、早朝に上り準特急3本を新規設定した他、本線へのATCの導入に対応しました。
 直後に発生した東日本大震災直後の節電ダイヤでは、平日日中の相模原線・高尾線内各駅停車が運休になり、高尾線の準特急は高幡不動~高尾山口間、相模原線急行は相模原線内をそれぞれ各駅停車に変更して対応。早朝の準特急1本が増発になりました。早朝の準特急の設定は、この後の京王線ダイヤの基本になります。

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2012(H24)年8月19日
 調布付近の地下線が完成しました。
 暫定的な改正を行い、特急は全て準特急となりました。一時的とはいえ、大手私鉄から特急がなくなるのは異例。
 高尾山口発は、土休日はこれだけ見ると、急行系は6時台の急行1本のみ。
 この時点で既に、翌2013(H25)年の抜本的なダイヤ改正が予告されていました。

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2013(H25)年2月22日改正
 本格的な改正は、約6年半振り。
 特急が分倍河原・北野に停車し、準特急と1本化。相模原線も特急が再設定されました。
 準特急は高尾線内各駅停車となり、特急との違いは高尾線内が各駅停車か否かという事になりました。土休日も新宿~高尾山口間で準特急に1本化されています。平日は特急として運行。準特急は上り早朝の高尾山口発1本のみ。
 快速は調布以西が各駅停車になりました。夕ラッシュ時の高尾線は各駅停車快速に変更して運行。ただし2本に1本はつつじヶ丘折返し。下りは調布始発の各駅停車で、地下化で調布での折返しができなくなったので、つつじヶ丘での回送折返しを旅客扱いにしている、という所でしょう。
(つつじヶ丘で各駅停車に接続)
 夕ラッシュ時の調布以西は、京王八王子発着の特急・高尾山口発着の快速各駅停車の2本立て。
 通勤快速区間急行に変更して運転時間帯を日中にも拡大。

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2015(H27)年9月25日改正
 昨年9月より使用されている、現行ダイヤです。
 準特急が笹塚千歳烏山に新規停車。日中の特急の3本に2本、橋本発着と、平日は京王八王子発着が変更に準特急に変更されています。新宿~調布間は平日・土休日とも、特急準特急=1:2。
 早朝の特急準特急が大幅に増発、4時台から設定があります。高尾線の初発が繰り上がり、北野で新宿行準特急(高幡不動まで各駅停車)に乗り換えると、新宿には6時03分に着きます。高尾山口始発5時台の準特急も2本設定されました。
 平日夕方の新宿行快速が新宿線直通に変更、東京都編成も運用されています。
 平日日中の各駅停車の2本に1本は高幡不動で分断、高幡不動~高尾山口間は7000系6連で運用されています。2006年改正で廃止されて以来です。
(震災直後の節電ダイヤで運用された実績がある)

 以上、本当に簡単ながら、高尾山口駅の時刻表から京王線のダイヤを振り返ってみました。本当はもっと色々トピックスもあったと思うが、全部は書ききれなかったはずだと思います。
 高尾線を中心に記したものの、全体的にあっち行ったりこっち行ったりと、とっ散らかった記述になってしまいました。ただ、京王線はその路線の形態から、特に高尾線及び相模原線への直通運転も相当考慮せざるを得ず、中間駅の利便性を確保しつつ、両線への急行系の直通運転や、北野(または高幡不動)及び調布での接続の確保に苦心しているだろう事が、今回ダイヤを振り返って強く感じました。
 高尾線に限ると、種別や途中駅の停車(土休日)を除けば、2006(H18)年改正までのシーズンダイヤ以外は、急行系+各駅停車=1:1の形態が現在まで維持されています。線内には特にこのパターンを変えるべき要素がなく、このダイヤ形態がしばらくは維持され続けるのではないでしょうか。
 全車指定席特急を期待する声もあるようだが、最長の新宿~高尾山口間で44.7㎞と短距離の鉄道なので、有料の列車をある程度の本数走らせるにはやや不向きではないか。「TJライナー」程度のレベルなら可能性があるかも知れないが。
 高尾山口駅は、通勤通学の利用はそれ程多くはないはずだから、今後もいかに観光・行楽の利用を取り込んでいくかが、課題であり続けるでしょう。その点も考慮して、沿線外の利用者にも(特に外国人)解りやすいダイヤの構築に今後も務めて欲しいと願います。

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《今日のニュースから》
19日 ジャンプ女子W杯 高梨沙羅が3度目の総合優勝
20日 宮城県東松山市宮戸小学校 人口減で閉校式

 学校がある宮戸島は、震災後人口が半分に減ってしまったそうです。3月11日まで1ヶ月弱となり、震災・原発事故関連の報道が目立つようになってきました。

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