№1463 2015年度年末年始 航空利用データ分析

画像

 2015年度年末年始の航空各社の利用実績が発表されました。今シーズンは、ANA・JALグループ・FDAは昨日、他は今日発表と別々になりました。データから利用傾向を読み解いてみたいと思います。
 今年度は12月25日(金)~1月3日(日)の10日間が対象になりました。
 今シーズンは、国内線は北陸新幹線の影響や、昨年はA330が運航されていたSKYの実績、国際線ではテロの影響で、特に欧州線がどうなったのか、が注目されたポイントではなかったでしょうか。 

 会社によって呼び方が若干違うが、「座席数」「旅客数」「利用率」で統一します。
 注記以外は、コードシェア販売分の扱いは記されていません。カッコ内は前年比。「ピーク」は各社が発表している日付をそのまま表記、基準は様々です。


ANA
 国内線 座席数1,942,187席(100.0%) 旅客数1,407,393人(99.2%) 利用率72.5%(△0.5%)
 国際線 座席数317,540席(113.4%) 旅客数252,214人(110.2%) 利用率79.4%(△2.3%)
 国内線は、関西路線の利用率が80.3%と高率、北海道と沖縄の路線も75.5%と良かったが、東北・北陸路線は66.2%と低くなりました。東北と一体なので明確ではないが、北陸路線の新幹線開業の影響は出ているでしょう。
 ピークは下り12月29・30日、上り1月2・3日で、3日上りは97.0%。12月27・28日の搭乗率が46%台に留まりました。
 臨時便は羽田~千歳・八丈島路線で合計16便運航。
 国際線は座席の伸びに、利用者の伸びが追いついていない。リゾート路線(と言ってもホノルルだけだが)が91.6%、アジア・オセアニア路線が89.6%と高率、特に12月スタートのシドニー線は期間中ほぼ満席だったそうで、これが貢献しているでしょう。一方欧州路線が方面別で唯一前年比マイナスになる82.0%、利用率が67.0%に終わりました。はっきりテロの影響でしょう。
 ピークは日本発12月26日、日本着が1月3日。12月27日日本着を除いて、利用率が70%を上回りました。


JAL
 国内線 座席数1,106,614席(96.7%) 旅客数853,729人(101.8%) 利用率77.1%(+3.8%)
 国際線 座席数313,524席(102.5%) 旅客数269,366人(104.3%) 利用率85.9%(+1.4%)
(国際線は他社運航コードシェア便含む)
 国内線は通常中国・四国路線が弱い傾向があるが、今シーズンは72.5%と良好でした。九州路線も76.2%の高率で、昨年登録された世界遺産群の存在が大きいとしているようです。沖縄路線81.5%、北海道路線も78.1%になったが、こちらも東北・北陸路線が69.2%に終わりました。
 ピークは下り12月29.30日、上り1月2・3日で、1月3日の上りは96.0%。
 臨時便は羽田~新千歳・那覇・鹿児島線の合計8便。
 国際線は韓国線91.6%、東南アジア線91.5%、オセアニア線90.7%、グアム線90.9%が高率。ただし韓国線は、減便で座席数が20%以上減っている事に注意。欧州線が、座席数は増えたのに旅客数が減少、利用率が80%を割り込みました。全体的には、円安で海外発が多かったとしています。
 ピークは日本発12月26日、日本着1月3日。
 臨時便はホノルル3便、チャーター便はパラオ3便。

JTA
 座席数102,850席(103.9%) 旅客数82,378人(98.7%) 利用率80.1%(増減なし)
 はっきり横ばい。臨時便は那覇~宮古・久米島で合計8便。

RAC
 座席数17,816席(107.6%) 旅客数12,774人(99.6%) 利用率71.7%(△2.9%)
 座席数が増えたのに乗客が減ってしまいました。臨時便は那覇~南大東・北大東・与那国、石垣~与那国で合計26便。

JAC
 座席数75,392席(93.5%) 旅客数46,557人(100.0%) 利用率61.8%(+4.1%)
 逆に座席数は減ったが、旅客数は増えました。臨時便運航なし。

HAC
 座席数7,049席(113.3%) 旅客数3,975人(111.6%) 利用率56.4%(△0.8%)
 臨時便は丘珠~三沢間で18便。この区間は夏のお盆も1日1便は臨時便が出ていて、潜在的需要が多いのでしょうか?


SKY
 座席数219,480席(91.6%) 旅客数187,590人(101.8%) 利用率85.5%(+8.6%)
 A330-300の突然の退役や、路線の廃止・減便で座席提供数は減ったが、旅客数は微増で、利用率は大きく向上しました。
 ピークは下り12月29日、上りは1月3日。


ADO
 座席数82,492席(104.8%) 旅客数59,445人(88.4%) 利用率72.1%(△13.3%)
 どうした事だろう。座席数が増えているのに、旅客数は大幅に減少、利用率が急落しました。ちょっと理由が思い当たらないが。12月25・27日の上りが40%を割っていて、その影響か?
 ピークは下りが12月29・30日、上りが1月2・3日でした。上りは2日(95.3%)の方が高かった。羽田~千歳線で臨時便8往復を運航。


SNA (ANA販売分は含まず)
※12月1日に社名をソラシドエアとしたが、3レターはSNAで変わっていない。
 座席数75,141席(104.2%) 旅客数59,091人(94.4%) 利用率78.6%(△8.2%)
 こちらも座席数は増えたのに、旅客数が減少して、利用率が急落しています。
 ピークは下りが12月29日、上りが1月3日。12月29日上りが5割を割りました。臨時便は長崎線を7便運航(1便が欠航となった)。


SFJ
 座席数55,223席(103.8%) 旅客数45,566人(110.6%) 利用率82.5%(+5.1%)
 こちらは旅客数の伸びが座席数を上回り、利用率が向上しました。
 SFJはピークがいつとは記していないが、搭乗率の最高は、下りは12月29日の98.0%、上りは1月3日で99.9%とほぼ満席になりました。
 1月2・3日の早朝・深夜時間帯に羽田~北九州線臨時便3便を運航。
(4日深夜羽田発も運航している)


FDA (JAL販売分を含む)
 座席数45,812席(122.9%) 旅客数32,057人(108.9%) 利用率70.0%(△0.9%)
 3月に北九州線・出雲線を開設しているため座席数が大幅に増えたが、旅客数の伸びが追いついてくれませんでした。
 FDAは路線別のデータを公表しているが、北九州線は54.6%にしかなりませんでした。GW・お盆中もそうで、この路線ははっきりビジネス中心と言い切って良いと思います。静岡~福岡線は60.1%と、こちらも前年の75.8%から大きく落ち込んでしまったが、7月から1往復増便になっている事があるでしょう。全路線中最高率は名古屋~高知線84.4%でした。
 ピークは、名古屋は発が12月26日、着が1月3日。静岡・松本は発が12月29日、着が1月3日。新潟は発が1月3日、着が12月31日でした。


APJ
 国内線 座席数115,920席(113%) 旅客数103,471人(110%) 利用率89.3%(△2.0%)
 国際線 座席数48,960席(136%) 旅客数44,818人(133%) 利用率91.5%(△1.9%)
 羽田乗り入れ開始など相変わらず拡大傾向が続き、それに伴って旅客数も増加しています(座席数の伸びには追い付いていないが)。内際とも、終始利用率90%前後をキープしていました。
 今年のAPJのピークは他と違う傾向が出ていて、国内線の利用率の最高は、上下とも1月3日(下り95.0%、上り97.4%)。
 国際線では、日本発は1月3日の95.6%、日本着は12月30日の94.4%でした。これはインバウンドの方が多かった、という事でしょうか?


VNL
 国内線 座席数35,280席(144.1%) 旅客数31,971人(147.4%) 利用率90.6%(+2.0%) 
 国際線 座席数25,200席(159.1%) 旅客数21,413人(145.5%) 利用率85.0%(△7.9%)
 新規就航路線の開設もあり、座席提供数は内際とも大幅に増えました。ただし、国際線は旅客数の伸びが追いつきませんでした。
 国内線の搭乗率の最高は、成田発は12月26日(94.7%)、成田着は1月2日(96.1%)・3日(96.0%)。
 国際線では、成田発はやはり12月26日(96.7%)、成田着は1月2日(87.5%)でした。成田着は90%を超える日はなかったものの、12月29日からずっと80%以上をキープしていて、なだらかな山になっています。
 26日の第3ターミナルは、さぞ凄い混雑だったのだろう。

SJO
 座席数13,230席(76.1%) 旅客数12,136人(101.3%) 利用率91.8%(+23.1%)
 今年はSJOも今日、利用実績を発表しました。高松線休止などで座席数が前年の3/4と大幅に減ったのに、旅客数は微増で、結果利用率が急激に増えました。高松線、そんなに良くなかったのか?
 成田発の12月29日、成田着の1月2・3日は搭乗率100%となりました。


 主要な所では、IBX、JSTはリリースを確認できませんでした。
 全体の傾向として、今シーズンは良く言われていた曜日の並びに加え、4日から早々に平日モードに入ったため、国内線・国際線とも「短期決戦」になったのではないかと思います。国内線下りのピークが昨シーズンより心持ち遅くなっているのも、それを裏付けているのではないでしょうか。
 国内線ではADO・SNA、国際線では欧州路線の今後がやや心配。
 次はGWにやります。北海道新幹線開業直後になるが、東京~函館間の航空vs新幹線は、双方に大きなアドバンテージ&ハンデがあるので、どういう傾向になるか、現時点ではちょっと読みづらい気もします。とりあえず新幹線に利用が集中する事になるだろうが。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


《今日のニュースから》
 4日 泰緬鉄道記念館 ミャンマーにオープン
 5日 築地市場 最後の「初競り」 クロマグロ1400万円の最高値

この記事へのトラックバック