№1458 鉄道ピクトリアル2015・12月臨時増刊号 【特集】東京急行電鉄(鉄道図書刊行会)

 鉄道ピクトリアル誌の臨時増刊、東京急行電鉄特集号が先日発売になりましたが、少々遅くなってしまいました。ここで取り上げます。発行自体、当初のアナウンスより遅くなりました。

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 構成はこれまでの1社特集と同じで、前半に対談と関係者による鉄道事業を中心とした現況の報告。
 中盤には過去の研究と、マニア的な目線の研究記事、後半に現役を中心とした車両解説が据えられています。
 前回の東急特集は2004年7月臨時増刊号だったから11年5ヶ月振り。この間、車両面で大井町線急行用6000系、池上・多摩川線用7000系のデビューに、1000系の池上・多摩川線転用改造などがあったが、何よりも東横線のメトロ副都心線相互直通に合わせて、渋谷駅が丸々地下に移転したのが、渋谷における東急の地位も考えればとても大きい。
 東急は鉄道以外でも数多くの産業に進出する日本でも有数の大企業グループで、私自身も結構お世話になっていたりします。6月までは東横線で通勤していたし、クレジットカードも東急だし、先日の大阪でも、泊まったのが東急系のホテルだったりします。戸塚でも、西口再開発に合わせて東急プラザや東急スポーツクラブが進出しました。

 カラーグラフは、自由が丘で並ぶ他社車両4列車が圧巻だった。特にY500系は東急5050系8連と完全共通運用なので、あらかじめ運用状況を見ておかないと、こういうのを撮るチャンスに恵まれません。東急は合計6社局の電車が乗り入れ、東武(東急・メトロ・JR東日本・野岩・会津・みなとみらい)と並んで最多です。
 東急自体、他社線内への乗り入れ区間が拡大しているので、他社線内を走る東急の電車の写真も見たいのだが、それは他社特集で取り上げる事になるか。

総説:東京急行電鉄 東急を大きく飛躍させたのは、やはり「多摩田園都市構想」ではなかったかと思います。民間主導の大規模ニュータウン開発の先駆けとなった事業でした。その田園都市開発のアクセスとなった田園都市線は、来年4月1日、ついに開業50年になります。
 その後、鉄道は他社との直通でネットワークを拡大して行く事となり、同時に4大拠点開発プロジェクトを進行させて行く事になる。さらに海外進出も積極的で、最近ではベトナム・ホーチミンシティ近郊の新都心開発は、一般的なビジネスニュースにもなりました。
 一方でここではさすがに記されてはいないが、一時は全国にあった地方の鉄道やバスとの関係が、この11ねんで大幅に見直されていて、特に北海道の交通事業者で東急グループは、じょうてつ1社のみになっています。
 関連企業では先のホテルチェーンの他、広告代理店(東急エージェンシーは、アニメの代理店もやっていた。私の世代だと、「伝説巨神イデオン」)や警備会社とかあります。特に東急セキュリティは自前のグループ企業としてあるのがらしいというか。最近は大手私鉄でも警備員が少なくなくなってきているが、たいていは警備業界大手への委託なので。
 それとここには記されなかったが、仙台空港民営化で運営権を獲得した、というのも最近の話題でしょう。

対談 東京急行電鉄の鉄道事業を語る 先の「4大拠点開発プロジェクト」とは渋谷・二子玉川・たまプラーザ・永田町を指すが、この4大拠点と多摩田園都市を一本で結ぶゆえ、田園都市線にかかる負担はかなり大きいようです。その辺に関わる話も出てきていて、田園都市線単独でピーク時の輸送力増強はもう無理、二子玉川~溝の口間複々線化と大井町線の急行運転や輸送力増強を行い、合わせてオフピーク時の輸送力増強やオフピーク通勤キャンペーンで、何とかして山を崩そうという方向に向かっているという事です。本当は、渋谷~二子玉川間の旧新玉川線区間こそ複々線化出来れば良かったのだが、もはや無理。6ドア車は4ドア車への置き換えが既に発表になっており、代替の4ドア車が甲種回送されたとニュースでも見ました。準急の導入で混雑率の平準化ができた事が要因のよう。
 目黒線関係では、三田線の混雑がひどくなっていて、早く輸送力増強を、と話が出たが、三田線は6連だが、確か地下区間の駅でも、ホームはどこも8連分は用意されているはずです(元々は東武東上線との相互直通を予定していた路線だった)。後は車両の手当の問題だが、他社局にも関わる話なので、今すぐとはいかないだろう。ただし、相鉄からの直通を受け入れるなら、相鉄は8・10連だから、いずれ早いうちに増結の話は出るのではないだろうか?
「蒲蒲線」は、ラッピング電車が出たそうです。自由が丘の立体化計画は初めて聞きました。踏切をなくす以外でも、東横線と大井町線の乗り換えが、混雑もあってやや面倒な所があるので、この点が改善されると良いです。
「リゾート21」の後継車の話がそろそろ出てきているようだが(既に廃車も始まっているが)、〔踊り子〕も含めて、そろそろ画期的な新車が欲しい。前にも書いたが、新車は東急グループとJR東日本が共同開発する位の意気込みが欲しいと思います。

輸送と運転 近年の動向 大手私鉄特集号だと、駅の乗降人員のデータは大いに気になります。まして今回は東横線⇔副都心線との相互直通が始まっているので。意外に、乗客が減少する駅が多いです。大半は微減という程度だが、戸越公園-4.4%、反町-4.1%がやや大きな数字になっています。
 大きく増えて行っているのが何といっても武蔵小杉で、目黒線は6.4%、東横線も2.6%の増(両者を均すと3.4%増)。
 路線毎では、東横線は微増だが、元住吉以南が全て減少なので、武蔵小杉の他、みなとみらい線絡みの利用が増えているのではないか。田園都市線は微減か。世田谷線の-5.5%は気がかりな数字。
「運転間隔の均等化」「速達性の向上」は、東急の場合、本来は急行系の列車をガンガン走らせる事を想定した鉄道ではないから、実際には実現できていない所も少なくないように見えます。

近年における 設備改良計画の実績と今後 渋谷を発着する東横線・田園都市線は当然だが、それ以外の他線、特に山手線に接続しない大井町線の改良というのが、他地域の鉄道には見られない特色なのかと。ただ、現状が完成形ではないはずだが。
 祐天寺駅の配線は、西武新宿線の井荻と同じになるようです。本当は通過線も2線に出来れば良いのだが、駅の東西をビルが固めているので、拡幅は無理っぽい。ホームを若干削る事になるが、祐天寺駅は乗降人員の割にはホームが広めなので、ホームドアも加えれば安全性は確保できそうです。それより何度も書くが、みなとみらい線も含めた菊名以南こそ、どこかに退避駅が欲しい所で、横浜が地下化の時、2面4線、せめて2面3線で造られれば良かったのにと、今でも思います。
 相鉄・東急直通線の新綱島駅は、以前工事現場を見た事があります。綱島街道直下ではなく、それより南側に用地を買収して建設しています。すぐ先で鶴見川をくぐるので、ホームは相当深くなりそう。

東急電鉄とともに OBへのインタビュー。私も子供の頃から様々な理由で東横線を利用する機会があったが、覚えているのは、8000系がデビューして間もない頃位だっただろうか。旧5000形や7000系がバリバリ主役だった頃。編成も短かったし、特急なんて夢のまた夢。
 駅から車掌まで5年とは長い。私が勤務していた私鉄では、駅から最短1年で車掌、さらに最短1年で運転士を目指す事が出来ました。
 5000形は運転士には嫌われていたか。名車とされているが、車体構造から冷房化もできなかったし、今の目線で見ると微妙な部分は少なくなさそうです(無論、その功績は色あせる事は無い)。
 昔の急行にも武蔵小杉行ってあったのか。東横線では確かに急行・各停・日比谷線直通で、乗務員も、車両もその日の運用が完全に別れていました。共通になったのは、特急の運転が始まった頃だと思います。
(田園都市線は最初から快速・各停で一体だった。本数が少なかったからか)

他社で活躍する 元東急の電車たち 11年前は元々ステンレス車が大半になっていたが、十和田観光電鉄の廃線後、鋼製車体の譲渡車は熊本電鉄の元5000形のみになりました。既に残りは1両、これもリタイアがカウントダウンで、まもなく譲渡車は全てステンレスになります。
 新たに秩父鉄道(ここは過去に7000系運行の実績があるから復活)・長野電鉄・富山地方鉄道・伊豆急行・大井川鐵道(十鉄からの再譲渡)・伊賀鉄道・一畑電車が、東急中古が走る鉄道になりました。一方で十鉄は廃線となり、熊電からも間もなくなくなる事になります。過去には岳南鉄道でも5000形が走っていました。それと、20m4ドア車も譲渡の対象となり始めています。
 譲渡車の改造を手掛ける「東急テクノシステム」(旧東横車輛電設)を、独立して取り上げる機会があっても良いのではないかと思います。3月に75周年の節目を迎えた話題性もあり、今は京急久里浜や相鉄かしわ台でも仕事をしているそうなので。

田園都市線の記憶 in 1970's 70年代だったかどうかは忘れたが、田園都市線はこどもの国に行った時に乗った記憶が、おぼろげながらあります。すずかけ台単線開業後、だっただろうか?当然全列車各駅停車大井町行だった頃。
 旧6000系は確か乗った事がある。駆動音が他形式とかなり違っていた記憶があります。弘南鉄道でも風前の灯になりつつあるが、もし機会を作れるなら、旧6000系も里帰りさせて、5200形や7000系と並べて保存して欲しい。
 こどもの国線の3600形専用編成も乗った事があるが、カラー写真がないのが残念。1994年12月・2004年7月の臨時増刊にもなかったし、知らないという人が多くなっているはずなので、どこかの機会で掲載してほしい(ネットで検索すればいくらでも見られるのではあるが)。通勤線化前、特に休園日は1時間に1本程度で、とても東急とは思えなかったが、旧新玉川線開通前は、行楽シーズンには大井町からの直通運転もあったと記憶しています。

東急の貨車と貨物輸送荷物電車があった事は知っているが、東急から貨物輸送はあまり連想できない。都市鉄道だし、東武や西武のような、大量輸送を行う産品が存在しなかったので終始小規模、昭和40年代前半に終わったのも当然か。正式な廃止日は記されていなかったようだが、「1967年の国鉄連絡貨物輸送廃止まで」の記述から、1967(S42)年3月31日限りと考えて良いか。

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東急線 ターミナル駅の変遷と記憶 一昨年の渋谷が典型的だった訳だが、「ターミナル」に限らず、東急の駅は全く姿を変え、完全に別の駅になった感がある所が少なくありません。
 起終点となる列車の設定があった駅に絞っているのか、意外にも横浜駅がなかった(歴史は記されているが)。地下移転前は相対式2面2線で、他鉄道乗換駅ではあっても、ターミナル形態ではなかったかも知れません。特に下りホームが狭くて、階段も狭かったから降りるのにすごく時間がかかった印象が残っています。終点だった駅としては、つくし野・すずかけ台・つきみ野もないが、あくまで暫定だったからか。

 最後に、車両プロファイル&データファイル
 前回特集以降では、6000系・7000系がデビューし、7600系・8000系・8090系が東急から消えました。
 1000系・9000系が東横線から撤退し、1000系は池上線・東急多摩川線への転用や地方鉄道への売却、9000系は大井町線への転用を実施。
 5000系は一部編成で6ドア車組み込みを行った。5050系は10連も製作され、現状の最終編成は「Shibuya Hikarie」。
 というあたりが、この11年の大まかな変化でしょうか。

 今後の東急は、渋谷の地下移転・副都心線直通の事業は設備面では一段落と思われるので、相鉄・東急直通線が当面の鉄道事業における大事業となるか。相鉄直通は、開通後のダイヤとしては、東横線に入れるのは現状ではやはり無理ではないか?副都心線~西武・東武直通で複雑になったダイヤに、さらに相鉄からの電車を入れると、色々な面で混乱しそうだ。目黒線からの延伸が、現状では妥当では?となれば前述の通り、そろそろ8連化という話が、関係各社局で出てくるのではないか。
 田園都市線は、特急は当面いらないと思うが、急行の早急な増発が求められるのではないか。現状のダイヤ体系では、日中は、鷺沼以南各駅から渋谷を最速で目指そうとしたら、15分間隔の急行に集中してしまう事になるので。10分間隔運転の実現を期待。
 最大の課題は車両、特に前半の対談でも出て来たが、8500系の置き換えでしょう。廃車は発生しているもののまだ260両も残っており、東急自らが築いた田園都市沿線のイメージや、昨今の電力事情を考えたら、いつまでもこのままとはいかないはずです。先に5000系の6ドア→4ドアを先行させることになりそうだが。その5000系は既にデビューから14年、ベースのJR通勤車がE231系→E233系、さらにE235系という所まで来ているし、他社でも電動機に新型の導入が始まっているので、真っ新な新系列を起こす事になるのではないか。新8000系?
 東急は全体的に、意外に高齢化した車両が少なくなく、現存で最古参の7703Fは1963(S38)年製だから既に53年経つ事になります。関東大手では西武・京王・小田急・京急にはS40年代以前の車両は存在しないし、JR東日本も東京・神奈川・千葉・埼玉に限ればもうない。それを考えると、かつて車両製造メーカーも保有し、現状の総合車両製作所ともある程度のつながりを維持する東急としては、正直いかがなものかという感もあります。両数が多いので一気にとはいかないだろうが、イメージを大事にする企業グループだろうから、この辺はある程度ペースを早めて、車両置き換えによってイメージをアップさせる事が期待されます。
 来年は田園都市線・溝の口~長津田間開業からちょうど50年の節目になります。渋谷の再開発もさらに深度化して行くでしょう。日本有数の鉄道企業グループにふさわしい姿を、車両でも、施設でも、ダイヤでも見せ続けて欲しいと思います。

 東急の電車に関して、一つ疑問があります。田園都市線の各駅停車の列車は、いまだに「各停」の表記を出しません。どうして?東横線は特急、目黒線・大井町線は急行の運転開始時あたりから各停も表記を出しているのだが。ナナメ読みした限りでは、その理由は記されていませんでした。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


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27日 中国 全人代常務委員会 「反テロ法」可決・成立

 文教科学委員長の石井浩郎氏、厚生労働委員長の三原じゅん子氏、国会議員になる前に何をされていたか、若い方、解ります?

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