「バスラマインターナショナル」は、1990(H2)年の創刊からちょうど四半世紀、150号になりました。
隔月刊ではあるが、当時は唯一の定期刊行のバス専門誌でした。
今号はこれを記念して特集号になっています。2~3号は企画が続く模様。
沖縄のバス 2015
バスラマ誌では過去に何度か、レギュラーの連載を休みにして、沖縄のバスについて総合的に取り上げてきました。
一番古いのは1992(H4)年の11号で、この年は沖縄が本土に復帰して20年の節目にあった事もあるでしょう。表紙は旧那覇交通のスーパークルーザー(後ろ姿で、カラーは現行貸切と同じ)と、沖縄バスのエアロスターでした。以降数度にわたって沖縄特集が組まれる事になります。
改めてこの号を読み直すと、当時の本島のバス事業者は沖縄バス・那覇交通・琉球バス・東陽バス、それに貸切専門の中部観光バスの5社だけ。無論当時も大変ではあったが、モノレールはまだ計画段階(路線計画図があり、現行の「ゆいレール」と同じ)、乗合4社も貸切バスは隆盛で、定期観光バスも相当数走っていた、車両面では「730」がどこも相当数残る一方、貸切車は本土の旅行代理店や航空会社のマークを施したツアー用の車両が少なくなかった。そういう状況に見えました。
当時の車両数の一覧もあり、沖縄282台、那覇365台、琉球422台、東陽148台、中部観光39台で、合計1256台でした。
では現状は?2015(H27)年3月現在は沖縄243台、那覇263台、琉球365台、東陽144台、中部観光42台、その他297台で合計2354台です。台数は倍に近いが乗合車は700台ちょうど、全体の7割は貸切車です。事業者数は31にまで増えました。新規参入が相当増えた事がはっきり解ります。沖縄中央観光と平安座総合開発は乗合にも参入しています。
今号では、政策を担当する役所の部局と乗合バス事業者4社のコメントを掲載し、車両のグラフ(本題からそれるが、23年前と比べてカラー写真が圧倒的に多くなった)を挟んで後半ではオピニオンとアーカイヴの過去写真を並べるスタイルになっています。
私は都合3回沖縄本島を訪れてバスにも乗りました。最近では2013(H25)年11月に訪れ、それについては当ブログにも記しています。
そのわずかな経験から改めて今号の記事を眺めた感触として、「本土からの個人観光客」をいかに乗合バスに取り込むか、その辺がやや希薄になっている印象がありました。無論後半のオピニオンで沖縄本島全てで有効なフリー乗車券の発売、とかあるのだが、役所の部局や事業者サイドからはそのあたりはどうするのかの話はあまり出てこなかった、特に事業者サイドの観光需要は貸切バスの団体輸送に期待する部分がいまだ大きく、個人への対応はどうするの、というレベルの話はほぼ皆無でした。無論、まずは地元のお客さんをどう取り戻すのか、というのが優先ではあるのだろうが、本土からのLCC便や、国際線(特に台湾から)の相次ぐ就航で、外部からの入り込みが急増し、個人旅客が増加している現状では、この点はかなり重要な課題なのではないかと思われます。インフォメーションの整備も課題でしょう。
私も乗った「那覇まーい ゆいゆい号」からして、運行担当の那覇バスから何のコメントもなかったし、グラフに写真もありませんでした。どうしてだろう?
(最近運行内容が若干変わったそう)
昨年ICカードがスタートしたが、運用に不安に感じる事業者が多いよう。以前の紙の回数券より割引率が低くなった、システム使用料の負担も心配、というのが理由だそうです。どこもICカード導入に期待大、だった本土の目線から見ると意外にも感じました。沖縄は磁気カードがなく、紙からいきなりICになった事もあるでしょう。本当は本土と同じ規格にして、全国相互利用は無いにしても、本土のカードが利用できるようになれば良い、と思っていたのだが、規格そのものが全く違うので無理っぽく、仕方ないにしてもやや残念な所ではあります。
那覇バス・琉球バス交通に関しては、共に第一交通産業グループになったが、ここでは記されていないが第一交通産業(北九州中心のタクシー事業者)についてはもっと生臭い話があり、労働条件などで労働組合との対立が先鋭化したりしているそうです。旧那覇交通を買収した時の運休・減便の混乱も、第一買収に反発した組合の実力行使の結果でした。
ただ、琉球もそうだが最終的にはどこかが救済しないと会社が救えないのは事実、地元も特に問題視しなかったようで、この点は本土でも見られるが、組合の主張と、利用者のニーズの乖離を示す一例だったかも知れません。とはいえこの辺は経営の方も考えて運営して頂きたい。人がいないとバスが走らないのは沖縄も同じなのは、身に染みて解ったはずだから。
(こういう事を書いたのは、沖縄に限らず、経営再建の過程で労使関係が先鋭的な対立関係になっても、双方ともにロクな結果にならないから)
全体的には、那覇・琉球、沖縄と東陽の格差がやや気になる所ではあります。東洋の38系統も2年前乗ったが、あの時は新里入口での乗り換えはなかったけれどなあ。あの後分断になったのか。
(公式Webにも、その辺の所は記されていなかった)
車両面も、沖縄と那覇・琉球はノンステップの新車が直接導入されるようになりました。東陽も何とか続いて欲しいと願います。
何度も書いているように、沖縄のバスは一部を除いて運行便数自体は決して少なくないし、バス停のインフォメーションなど、ちょっとした所を改善すれば、大きく変わる可能性を秘めています。昔のような対立関係はなくなったようだが、さらに一歩前進して、モノレールまで加えて総合的な公共交通システムが整備される事が、大いに期待されます。新バスターミナルが起爆剤になればと思います。
後は、基地問題は避けて通れないはず。基地の是非はもちろん、仮に返還されたとして、その跡地の利用の在り方は、おもろまちの新都心に見られるように、公共交通の運営に大きく影響してくるはずです。
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モノレールを出したところで。
和田由貴夫氏はモノレールの延伸に加えて一般鉄道敷設の計画がある事を持ち出し、採算性に疑問を呈しています。
軌道系交通に疑問を投げかけるのは昨今の「バスラマ誌」の流れだが、私自身には、さすがに少々ネガティブ過ぎた見方ではないかと感じるようになりした。
2年前には「ゆいレール」も全線乗って、感想を№1059で記したが、特に国道58号線沿いの久米や泉崎あたりは宿泊特化型ホテルが増えた事で個人旅行者が増加、結果モノレールも混雑が激しくなってきている。「2両編成10分間隔」は、私の感覚では逆に輸送力不足気味で、浦添市延伸を待たずに今からでも輸送力増強計画を策定すべきだ、そう感じました。
地下鉄やモノレールは規模が大きいし、トップダウンで事が進みがちだから反発する声も多いが、一方で市民運動などが「ボトムアップ」で進めているとされるLRTなどとはどう折り合いをつけるのか。昨年訪れた金沢では「バスシステムが不十分なのは明らか。なぜLRT建設に早くGOサインを出さないのか?」みたいな感じだったし、各地にある軌道系交通推進派とどう意見をすり合わせるのか。この点は沖縄に限らず、5年・10年先の公共交通を考える時の「バスラマ誌」の今後の課題ではないかと感じます。すれ違いのまま一方通行で主張を投げ合うだけでは、何も良くならないので。
一方で、「欧州でもトラムの設備投資はバスより2桁違う」のが事実なら、これは逆にLRT推進派の方が、明快な回答を出すべきでしょう。
ともかく公共交通機関そのものの地位の向上がまず第一です。でないと「L」も「B」もないです。
新潟市の連接バス
という所で「バスラマ誌」的には注目されるのだろう、既に他誌でもチラホラ取り上げられているが、9月5日のBRT運行開始を前に、連接バスの習熟運転が始まりました。
既に新潟交通の公式Webサイトでもダイヤが発表になっています。区間は新潟駅前~古町~市役所前~青山とされているが、一部はさらに青山一丁目行・青山本村始発もあります。
平日は朝3~6分、夕方は5分、日中と土休日は10分間隔。これは他の系統の再編成があり、一部は乗り換えを必要とする事を考えると、やや少ないのではないかと思います。
連接車は平日31往復、土休日17往復で、平日は全体の20%未満、土休日は17.71%程度。平日は1時間30分以上運行がない時間があり、土休日も1時間に1本程度となる時間帯があります。こちらももう少し台数が欲しいと思う。「バスラマ誌」的な理想は、連接バスだけで7~8分間隔の運行を、という所でしょうか?
連接バスのメーカーサイドから日本のバス、特に電装系統に関して手厳しい意見もありました。バスラマ誌が常に低減するバスの製作の在り方に通じるのだろうが、思えば日本は新幹線にMRJとか言った、最初から国際市場を意識したハイレベルの交通システムには力が入るのに、地べたの乗り物、特にバスはコンポーネントなどについて世論の関心が集まらないから、なかなか進化して行かないのではないだろうか。私自身はメーカーがサボッているとは思っていないのだが。取りあえずはユーザーであるバスの事業者がもっとコミットメントしても良いと思う。
韓国製12m超観光車と続ソウルのバスの話題
前号の続き。
とにかく高速バスは、4年前に見た通り、日本とは比べ物にならない位台数が多く、グレードも様々だから、色々な仕様が成り立つのだろうと思う。
(私個人としては、以前も書いたが長大車は一部路線を除いて、日本には合わないと考える)
90㎞/hはともかく、長距離の中央走行レーンの存在はうらやましい。道路自体が日本より遥かに広い事もあるだろうが。繰り返しになるが、公共交通機関の地位の向上、という考え方が市民レベルで生まれないと、こういうのも生まれない。
電気バスについては、確かに現在日本でEVが走っている路線は、どこも極端な上り勾配が連続する路線は存在しない。今後の普及は、これらの路線に楽に対応できるものが造れるか、になるのでしょうか。
もう少し、実際の路線バスの運用・利用方について知りたかった。別の機会に期待します。MARSはバス業界にも影響を与えているのだろうか。
各地の新車から
ジェイアール四国バスは松山にレインボーⅡが入りました。全部ではないようだが、「アンパンマンバス」の大栃線も含めて一般路線はレインボーⅡに統一になるのか。新車が入るのだから、路線は当面維持されると期待して良いのか。
四国はやはり「JR」の2文字は使わなくなりました(高速バス車両のフロントのみ)。といって「JHB」のような新マークも、今の所はないのだが。
新車ではないが、弘南バスの日野REは、昔の路線バスの色に塗り替えたら、よりムードが出るのではないかと思いました。いずれそうなると期待。
次号も25周年企画の続きらしいが、「水陸両用バスのニューフェイス」とはどこだ?
国土交通省から、「標準仕様ノンステップバス認定要領の一部改正」のリリースが出ました。どのような評価が下されるでしょうか。
当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。
台風9号が沖縄に接近しています。台風が来た時のバスの対策はどうなっているのだろうか。本土とはまた違ったものがあるのだろうか。
《今日のニュースから》
7日 米空軍F16戦闘機と軽飛行機 空中衝突 サウスカロライナ州
8日 「領域警備法案」 民主・維新が共同提出
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