№1378 この列車の行先・終点はどんな場所 4.小手指

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 東急東横線・みなとみらい線とメトロ副都心線、さらに東武東上線、そして西武池袋線の相互直通開始から、早いもので2年以上経ちました。
 相直開始前の東横線は、上りのほとんど全てが渋谷行だったものが一夜でガラリ一変、見慣れぬ西武や東武の電車と共に、見慣れぬ地名が列車の前部や側面、駅の表示に現れ、お客さんも相当戸惑った事だろうと思います。
 2年以上経って少しは馴れたのだろうとは思うが、それでも行先によっては、「あれ、ここってどんな所なのだろう?」と思う場所も、少なからずあるのではないでしょうか。
 今回はそんな、少なくとも東横線・みなとみらい線ではまだ珍しく見えるだろう、西武池袋線の小手指を取り上げてみます。
 やや風変わり?な響きの地名、無論我々「鉄」には、西武の車両所(車両基地)がある所として馴染みだし、西武線沿線だったらたいていの方々は知る所でしょう。
 これが神奈川の住民となるとあまり知らん、となろうが、一方で、歴史のファンだったら、ある程度は聞いた事があるのではないか?小手指は、そんな駅名、場所です。

 
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 現在のダイヤで東横線からの小手指行は、平日は特急5本・通勤特急1本・急行7本・各停2本で合計15本、土休日は特急16本・急行3本・各停6本で合計25本あります。大半は東急・メトロ・西武の10連運用で、東急・みなとみらい・メトロの8連運用は朝晩に数本あるだけです。西武線内では通勤車の特急はないので、東横・みなとみらい線内の「特急」+「小手指」の表示は、珍しく感じられるでしょう。

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小手指駅
 小手指駅がある西武池袋線は、今年開業100周年を迎えた古い路線だが、小手指駅は1970(S45)年11月20日と比較的最近の開業で、まだ半世紀に満たない。駅番号SI19。開業時より、車両所(車両基地)を併設している。1日の乗降客46,571人は、西武全体で18位。特急「レッドアロー」以外は全列車が停車する。

 東口からは、西武バス路線が発着します。市内の椿峰ニュータウン・早稲田大学・西埼玉中央病院行や大六天循環の他、入間市の宮寺西行、金子駅入口行の発着もあります。最近大規模な再編成が行われて、市外へ行く便は少なくなり、箱根ヶ崎駅行はなくなりました。椿峰ニュータウン行(所沢〔営〕)以外は、飯能〔営〕が担当。

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 小手指駅は2面4線。日中は快速急行(東横線の特急の直通)と各駅停車の相互接続があります。

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 西側の陸橋から見る、小手指車両基地。
 ヘッドマーク付きの20000系は、西東京市のラッピング編成。折返し列車は、その左の引き上げ線での折返しが主で、ここではメトロ10000系が見えます(架線柱が邪魔だが)。
(ダイヤによってはホームで直接折り返す事も)

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 南口のクレープ店。メニューが豊富。
(イチゴのメニューは12~5月のみ)

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 一方北口は、路線バスは所沢市コミュニティ「ところばす」のみ。「西路線」(航空公園駅~狭山ヶ丘駅)が入るが、本数は少ない。
 メインになるのは、西武総合企画が運行する、早稲田大学所沢キャンパス行の送迎バス。以前は全便南口から発車していたが、今は午前中は北口からの発車。学生などの、学校関係者以外は乗れません。このバス、西武バス一般路線車からの転用なのは明らか。「IC」マークが残ったまま。

 小手指駅界隈はこの数年、高層マンションが駅前にいくつも並ぶようになりました。ちょうど10年前、埼玉県に短期間居住して、所沢市内で仕事をしていた事があって、小手指駅前も何度も足を延ばしているのだが、その頃とは大分雰囲気が変わりました。駅自体はあまり変わっていないが。

 歴史的に「小手指」というと、駅の南西にある古戦場でしょう。その跡地は、南口から西武バスで行きます。
 1番乗場からの早稲田大学・宮寺西・西埼玉中央病院行で約5分、誓詞橋(せいじがばし)で下車。

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 古戦場の碑は、バス停から少し戻って右に入り、学校の前を通って、保育園の向かい側にあります。

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 傍らの、古戦場の説明書き。
 鎌倉時代から南北朝時代にかけて何度か合戦が繰り広げられたが、特に1333(元弘3)年の、新田義貞の鎌倉攻めが有名です。新田軍はこの地で鎌倉幕府軍と三十数回もやりあった後、分倍河原まで幕府軍を押し込み、一気に鎌倉まで攻め寄せ、鎌倉幕府を倒した、そのような事が記されています。

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 背後にこんもりそびえる「白旗塚」。新田義貞が、源氏の象徴の白旗を掲げたという由来があるそうです。

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 白旗塚はてっぺんに上る事が出来ます。地盤は最近、地元の学生らの手によって修復が行われたそう。

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 この付近ではもう一つ、古戦場碑のすぐ近くに、「埋蔵物文化財調査センター」が立っています。

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 知らなかったのだけれど、所沢は結構遺跡が多くて、そこから出土した埋蔵物を展示しています。「吉野ヶ里」や「三内丸山」みたいな全国区の物はないけれど、地図を見ると、地方道の「所沢青梅線」の沿線に、特に遺跡が多いようでした。2Fでは、出土品の修復などの作業が、熱心に行われていました。

 
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 ここでは遺跡とは別に、「ミヤコタナゴ」の飼育がおこなわれています。「ミヤコタナゴ」は国の天然記念物に指定されているが、所沢市では1983(S58)年を最後に自然状態での生息は確認されていない。卵を孵化するのに必要な二枚貝の繁殖ができる状況にならない限り、これら飼育されている「ミヤコタナゴ」を還す事もできないらしいです。
 センターは8:45~17:00オープン。ただし土休日等は休み。

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 誓詞橋。国道463号線「所沢入間バイパス」の「誓詞橋」交差点をクロスするように流れる小河川の橋。名前からは何か曰くみたいなものも感じるが、現状は全然目立たない、ごく普通の欄干が歩道の脇に立つだけ、そんな感じ。

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 誓詞橋バス停。小手指からの西武バスは、誓詞橋交差点から早稲田大学・宮寺西行は左折、西埼玉中央病院行は右折。

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 早稲田大学所沢キャンパスの校舎。小手指駅からバスで15分程度。
 宮寺西行の場合は、「芸術総合高校」で降りて坂道を歩いて行けばたどり着きます。

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「早稲田」と言えば、大隈重信。所沢にも像があります。

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 構内は広く、グランドと野球場もあります。野球場では地元の方々を対象としているのか、太極拳の教室が行われているようでした。

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 最後に、バスターミナルで待機する、早稲田大学の送迎バス。
 西武総合企画が運行する送迎バスは、現状では、1.元から送迎バスとして導入されたスペースランナー、2.西武バスの一般路線用から転用されたエルガ・ワンステップに大別できるようです。
(この他、特定の便で運用される、バリアフリー対応のワゴン車あり)
 送迎バスは広い屋根が整備された乗場があるが、一般路線〔小手02〕系統は、歩道上にパス停のポールが立つだけ。便数は一部を除いて少なくはないです。

 古戦場跡や早稲田大学は解っていたつもりだったが、遺跡が多いとは、今日に至るまで全く知りませんでした。馴染みの列車の行先の近くに、これだけのものがあろうとは。たまには乗り物から離れ、こういう所を訪れ、見聞きして理解を深める(…深まったのかな…?)事も必要と、改めて思わされました。今後も、このような列車の「終点」を訪ねて行きます。

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