№1342 この列車の行先・終点はどんな場所 3.古河

 JRの「上野東京ライン」が開通して1ヶ月が経ちました。
 突然西武や東武の電車が走り出した2年前の東急東横線とは違い、東海道線も宇都宮・高崎線も同じ電車だし、既に湘南新宿ラインもあるからビジュアル的なインパクトは小さいが、それでも東海道線で言えば、3月13日まではほとんど全て東京行だったのがガラリ一変、一転してほとんど全てが宇都宮・高崎線への直通になり、行先表示には多くのお客さんが戸惑う事だろうと思います。
 既に湘南新宿ラインで見られる行先もあるが、上野東京ラインでは新たに新前橋・深谷・黒磯・古河・上野の行先が見られるようになりました。今回はその中から古河を取り上げます。

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 上野東京ライン開通以降も全体の運行範囲は変わらず、東海道線側はJR東海・沼津までの乗り入れが引き続き9往復設定されています。伊豆半島の西側から、栃木県まで直通する列車が走ります。その中で、沼津7時00分発の1本は、栃木県に入る手前の古河が終点になります。古河行自体やや珍しいが、ましてJR東海区間の沼津や三島の方々には、この地名はどう映っているのでしょうか。「古河ってどこよ?」みたいな。

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 沼津7時00分発326M~1564Eは、前夜に到着した国府津センターのE233系(E231系と共通?)10連が滞泊し、翌日出庫するもので、沼津は御殿場線ホームの6番線から出発します。古河まで190.9㎞、全部乗り通すと3時間37分(土休日は3時間40分)かかります。

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古河駅
 古河市は、埼玉県・栃木県との県境が間近に迫る、茨城県の西の端です。2005(H7)年9月12日に旧古河市と旧総和町・旧三和町が合併して今の姿になりました。今年は合併からちょうど10年になります。
 古河駅は、宇都宮線(東北本線)では唯一茨城県にあり、また古河市唯一の駅でもあります。
(東武日光線の新古河駅は、渡良瀬川を挟んで埼玉県加須市にある)
 ここを終点とする列車の設定は比較的最近の事で、〔ホームライナー古河〕(今は廃止)ではあったものの、普通列車では2010(H22)年12月4日の、東北新幹線新青森開業時のダイヤ改正で初めて設定になりました。日中の古河~小金井間の輸送力調整を目的としていると思われます。
(始発はそれより前から、湘南新宿ライン大船行1本の設定があった)
 古河行は、現行ダイヤでは1時間に1本、他に平日のみ夜間に1本、上野始発で設定があります。
 快速・通勤快速全列車停車。

 東口からはJRバス関東の東古河線があります。市の東端の大綱行、または駒羽根循環が20~30分毎に発着、平日のみ早朝の1本のみ松本まで走ります。
 昔は南筑波線として、下妻経由で土浦まで路線がつながっていたが、松本から先が廃止になってかなり経ってしまいました。
 また、茨城急行バスが八千代町役場まで路線があります。他の行先も合わせ、1時間に2~5本程度。

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 西口は、朝日自動車の境車庫までの路線があります。1時間に1本程度。
 あとは古河市コミュニティバス「ぐるりん号」が東西両側に発着します。実質4コースあり、南コースの一部は埼玉県の栗橋駅まで入ります。
 昔は東武バスが館林まで走っていたそうだが、ここもご多分に漏れず、ローカル路線の整理は急なようです。市内はまだいいが、鬼怒川より東の下妻市や結城市へ行く路線はなくなり、後は関鉄パープルバスが運転免許センター行の高速バスを運行するものの(期間限定のセンター開業日のみで、現在は運休期間に入っている)、茨城県目線で言うと、公共交通は他地域からはほぼ孤立した状態にあるとも言えます。他の市へ行こうとしたら、JR線でいったん小山へ出て、水戸線に乗り継がなければなりません。

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 古河駅は、1984(S59)年3月に連続立体交差が完成しました。2面4線の構造で、上下とも1日数回、快速と普通列車の相互接続があります。

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 古河折返し列車は、下りホームの1番線から逆線で出発します。古河始発は平日9本、土休日は6本あります。

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 高架下には、JRバスの車庫があります。JRバス関東の古河営業所は、元々は土浦支店配下の営業所で、一時は独立した支店となったものの、南筑波線廃線以降、佐野支店配下の営業所に再編されています。現在は東急バスあたりからのノンステップ車が主力の模様。

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 高架下の、改札内コンコース。

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 改札を出て右手、東口側にある観光案内書。

 駅周辺の見どころは、主に西口側にあります。全部とはいかないが、いくつか並べてみました。

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 町の通りには、このような女の子が描かれた幟が目立ちます。「桃香」という、足利義家の娘をモチーフとした古河市文化協会のオリジナルマスコットキャラクター。
 デザインしたのは古河市出身のアニメーター、浅野恭司氏。最近では「進撃の巨人」「PSYCHO-PASS」で知られています。

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 武蔵屋店舗。登録有形文化財だが、現役の食堂です。

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 古河宿の道標。

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 篆刻(てんこく)美術館。日本唯一の篆刻(印章の作成)の美術館だそうです。

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 古河街角美術館。市民創作活動の発表の場として利用されています。無料で入れます。訪れた時には、地元の日本画協会の「桃花展」が行われていました。昨年は先の浅野恭司氏の原画展が行われ、大変な盛況だったそうです。

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 直木賞作家・永井路子氏の旧宅。永井さんは東京の本郷で生まれた後、すぐに古河に転居、地元の学校に通った後執筆活動に入り、「炎環」で1964(S39)年の第52回直木賞を受賞しました。大河ドラマ「草燃える」「毛利元就」の原作者でもあります。先月末、めでたく90歳の誕生日を迎えられました。
 内部も公開され、案内をしてくださる方もおられます。畳がいい匂いでした。著作もいくつか納められ、自由に読めます。先の震災で被災したが、翌年再開館したとの事。

 さて、今回訪問した3月29日(日)、総合公園で「桃まつり」が開催されていました。このまつりがあったから、この時期の訪問となった訳で、さっそく出かけてみました。

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 総合公園へは、西口から茨城急行バスによる臨時バスが運行されています。土休日は20~45分間隔で運行されていました。
 運賃大人180円。ICカードは不可。
(古河営業所自体、ICカードを導入していない)

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 とにかく公園内は、桃の花が満開!
 どこをどう歩いても、ピンク色(一部の品種は白)の花が圧倒的。
 曇り空になってしまったのだけが、残念ではありました。

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 古河の桃の由来について記された看板も。江戸時代初期、当時の藩主が子供たちに桃の種を拾い集めさせ、農民に育てさせたのが初めてだそう。

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 散策路の両側にも桃の木。

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 この手のまつりに、B級グルメはお約束。サイコロステーキと豚汁で昼食です。

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 メインステージではフラダンス。ラストは全パーティ勢揃い。

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 サブステージでは「モンキーパフォーマンス」。猿回し、ですな。

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 桃だけでなく、菜の花も満開。黄色と赤のコントラスト。晴れだったらもっと映えたと思います。

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 気球のイベントもありました。風の動向に左右されるようだったが。

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 最後に、公園の中心に位置する小高い丘「富士見塚」から見下ろす公園。
「富士見」という位だから、条件がそろえば富士山を見る事も出来るのでしょう。

 いい時に来た、と思いました。
 古河というと、バス撮影を目論んで降りた事はあったけれど、地味な町、というのが正直な印象でした。しかし、今回桃まつりに行ったり、駅近くの見どころを回ったりすると、実は実は、この町にもこんなにいいものがいっぱいあるんだな、と思わされました。
 今後もこのシリーズでは、そんな「いいもの」を、列車の終着駅にたくさん探したいと思います。
 沼津から古河ではさすがに遠いけれど。

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