鉄道趣味、特に撮影の中でやや「マニアック」なジャンルと思えるのは、列車の正面や側面に記された「行先」でしょう。他者様のサイトでも、ダイヤ改正で新たに設定されたり、臨時ダイヤで特別に見られた行先を掲げた列車の画像は、どこでも大きく掲げられるものです。最近の例だと、入間基地の航空祭の時に西武線で見られた「入間市」でしょう。通常は設定がない行先だが、この日は東横線でも見られたりしました。
思い出すのは2004(H16)年1月31日の東横線。前日に横浜~桜木町間が廃止、一方でみなとみらい線直通開始は翌2月1日となったので、この日1日だけ、1日中「横浜」の行先を掲げた列車が走りました。これをカメラに収めんと、東横線の各駅ホームはどこも大変な騒ぎになっていました。ややお行儀の悪いファンもいて、上り電車の運転手が思わず怒鳴りつけるシーンも見られました。当然だよなあとか思ったのを思い出します。
たかが列車に記された地名に過ぎないのに、なぜ多くのファンを惹きつけるのか。もちろん後々に歴史を残す意味の方が大きいのだろうが、ひょっとしたら、その地名自体に、どこか惹かれるものを感じるのかも知れません。どんな近場でも、どんな無味乾燥な駅でも。
ただ単にその駅名を記した列車を撮るだけでなく、その列車の行先・終点ってどんな場所なのだろう。何があるのだろう。鉄道そのものから離れて、そんな事も少しは知っても良いのではないかと、今回より不定期だが、列車に記された駅名、つまり列車の終着駅はどんな場所なのか、実際に訪ねて歩いてみる試みを始めます。
もちろん、短い路線、相互直通をやらない路線だと列車に掲げられる行先などそう多くはなく、注目度は少なくとも「鉄」では低いでしょう。JR中央快速線だと、「東京」「高尾」なんて普通過ぎるし。一方で直通運転の「高麗川」「河口湖」はもちろん、短区間折返しで「新宿」とか見るとアレッと感じるのではないでしょうか。 なので、私鉄では相互直通運転だったり、JRでも昨今の直通運転の広域化で急に目に触れるようになった、あるいは区間運転で設定数が少ない、比較的レア?と思われる行先について、実際に訪ねてみます。
第1回目は、北総鉄道(千葉ニュータウン鉄道)の「印旛日本医大」です。
北総線や京成押上線・都営浅草線はもちろん、京急線でも羽田空港直通の増強で、都内区間では普通に見られる行先だが、京急蒲田より南、神奈川県内区間では、沿線の利用者から見ても、今でもアレ?と思う行先の一つではないでしょうか。
現行ダイヤでは、京急蒲田より南の神奈川県からは、平日5本・土休日2本あります。特に羽田空港発着では見られない特急での設定が平日3本・土休日2本あり、この組み合わせもまたレアと言えましょう。
馴染みの少ない行先ゆえか、列車には「品川方面」の一文が添えられています。
(全く蛇足だが、画像の1001Fは正面のみフルカラーLEDに改造、側面は幕のままだった)
印旛日本医大駅
2000(H12)年7月22日、印西牧の原からの延伸により開業。駅番号HS14。小室~印旛日本医大間は千葉ニュータウン鉄道が第3種鉄道事業者で、この駅も千葉ニュータウン鉄道が保有する(業務は全面的に北総鉄道に委託)。2010(H22)年7月17日に京成成田空港線(スカイアクセス)が開業。同駅は京成との共同使用駅となり、アクセス特急が停車する。乗降人員4,552人。
駅名の通りかつては印旛村に位置し、同村初の鉄道駅となったが、市町村合併により、現在は印西市に位置する。塔とドームが印象的。関東の駅百選。
待ち合わせスペース。ガス灯風の照明が印象的。
改札口。
地元でなくとも、「どこかで見たような…」という人、多いと思う。「烈車戦隊トッキュウジャー」のオープニングで、ミオ(トッキュウ3号に変身する女の子)が通過する改札です。
「トッキュウジャー」は2月頭に終了するが、これまでここを含めて多数の鉄道(ほとんど関東地方だけど)でロケを行っているので、「トッキュウジャー」の「聖地巡礼」なんて、「鉄」の皆さん、いかがですか?アニメよりリアルだし。
開業から15年近くになるが、一応高層マンションや住宅も並ぶようになってはいるが、全体的には、駅付近はまだ閑散としたイメージが拭えない。ちばグリーンバスの酒々井行の他、中小事業者数社の短距離バス路線があるが、どれも本数は少ない。土休日のみ、ちばレインボーバスの酒々井プレミアムアウトレット行が経由するようになりました。
最初この鉄道が延伸する時、駅名は隣接するニュータウンから取って「印旛いには野」となるのではないか、と勝手に考えていたが、結局正式駅名は「印旛日本医大」となりました。正直行先としてはスマートさに欠けるかなあと、開業時には思ったものです。
その「日本医大」とは「日本医科大学」の事。キャンパスはないのだが(千駄木と武蔵境にある)、付属の千葉北総病院があり、駅から無料送迎バスが運行されています。1時間に1~5(休日は3)本程度。
バスに乗って、実際に行ってみました。日曜日だったから外来は休診だが、それなりに人の往来はあります。コンビニはまだしもドトールコーヒーが営業していたのが、少々ビックリ。
そもそも、この駅の工事中の仮称は「印旛松虫」でした。
「松虫」って何?聖武天皇(701(大宝元)年~756(天平勝宝8)年)の第三皇女「松虫姫」から来ていて、駅名票にも記されています。
この松虫姫ゆかりの松虫寺が、駅の北東約1㎞強の位置にあり、徒歩で20分程。ニュータウンから、農村地帯にかけて歩くと、駅付近の遠景を見る事が出来ます。小さくてわかりづらいかも知らんが、駅の塔が見えます。
寺の近くには、周辺の案内看板があります。
この辺の最大の見どころ、松虫寺。
745(天平17)年建立とされています。説明書きによれば、松虫姫が重病を患った時、夢のお告げに導かれて下総に下向。萩原郷に祀られていた薬師仏に祈り続けた結果、重病は平癒した。喜んだ聖武天皇が僧行基に命じて建立させ、姫の名をつけた、という事のようです。1959(S34)年、国の重要文化財に指定されています。「房総の魅力500選」。
スカイアクセスの南に広がる「松虫姫公園」。一連の伝説にも現れる「牛むぐりの池」があります。
最後に、駅を通過して成田空港に向かうスカイライナー。北総線としてはここが終点になるが、線路は引き続き京成の成田空港線(スカイアクセス)として、成田空港まで延びて行きます。
この印旛日本医大に見られるように、北総線沿線にも、よくよく見ると駅周辺には小さくても見どころが数多くあるのだが、それらは輸送の大幅な増加につながる訳ではなく、開発の遅れ等は北総線の経営に悪影響を与えています。運賃面でのギスギスした話が絶えないのも残念な所で、羽田・成田両空港をダイレクトに結ぶ、他の鉄道にはないアドバンテージを最大限に生かして、北総線の活性化が図られる事が強く望まれます。その最中で、松虫寺のような小さな見どころも、さらに注目を集める事が出来るでしょう。
今後もこんな感じで、列車に現れる行先・その終着地の駅とその周辺を訪ね、魅力を探ってみようと考えています。次はどこにしようかな。皆様もたまには「鉄」を離れ、駅付近の佇まいにも関心を持たれてはいかがでしょうか?こういう事も時には大事だと思うので。
(撮影は2014(H26)年12月21日(京急線の車両・駅を除く))
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東急バスに続いて、印西市のお隣の白井市コミュニティバス(ちばレインボーバス受託)でも、ドライバーの居眠りが原因とされる事故が起きてしまいました。今日、会社に捜索の手が入ったそうです。ドライバー、73歳か。どちらも「居眠り」の原因が解らないが、ともかく慎重かつ適切な真相の究明が望まれます。ドライバーの健康が連日問題になるが、そろそろ日本バス協会あたりも、個々の事業者に任せっ切りにせず、自ら行動を起こすべき時ではないか?とにかく、これ以上重大事故が起こらないように。
《今日のニュースから》
14日 セガサミーホールディングス 会長宅で発砲事件
15日 中部電力「メガソーラーしみず」 運転開始
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