№1256 私鉄名車列伝 120.西日本鉄道2000形

「私鉄名車列伝」、今回は西鉄の特急車2000形です。気づけば、引退からちょうど4年です。

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 2000形は1973(S48)年、大牟田線(天神大牟田線)特急車として製作された2ドアクロスシート車。後に3ドア車に改造され、急行用に転用されながらも、37年にわたって筑後平野を走り抜け、西鉄のイメージアップに大きく貢献した。1974(S49)年ローレル賞受賞は、西鉄のみならず、九州の鉄道では初の快挙だった。


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 特急車としては使用されてきた1000形はデビューから15年を過ぎて陳腐化してきた事、4両編成で輸送力が不足していた事、冷房改造が困難とされた事が問題視されていた。このため新幹線博多開業や高速道路の開通なども控えていた事で、旅客サービスの向上、さらに西鉄自体のイメージアップを図る必要があり、2000形は完全フルモデルチェンジ車として設計された。

 6両固定編成、2ドア転換クロスシート、700形で試用されたM-Mユニットを本格採用、Tc車にMGを搭載して、Tc-M-Mの3両を1ユニットとしている。運転台は高床式で、中央部への設置が高速電車では珍しい。側面は両開きドアの間にユニット二段窓を並べた。カラーも一新し、オキサイドイエロー+ボンレッドの明るいデザインになった。また、西鉄初の新製冷房車でもあり、分散式冷房装置を1両に4基搭載されている。

 車内は当初はドア間に転換クロスシート12脚、車端部にロングシートを配置していた。
 2年に渡り6編成、36両が川崎重工で製造されている。1983(S58)年3月には最高速度の105㎞/hへの引き上げにより、福岡~大牟田間で60分運転を実現した。


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 1989(H元)年の後継の特急車8000形の製作が決定すると、2000形は主に急行運用に転用される事になり、8000形デビューに先駆けて3ドア化改造が実施された。中央部のクロスシートを撤去、ドアを増設し、戸袋部にはロングシートを設置した。合わせてローリーファン・非常通報装置を設置、1993(H5)年よりLED式車内案内表示装置を仕切り部に設置した。

 以降は急行を中心に、時には8000形の代走で特急にも運用される事もあったが、2002(H14)年に2041Fが廃車、本格的には3000形デビューにより、2008(H20)年より廃車が本格化、最後まで残った2021Fも2010(H22)年一杯で廃車となった。廃車に先立ち、新CI導入時に省略された先頭部の旧社紋を復刻、日中の西鉄福岡(天神)~花畑急行を中心とした限定ダイヤで運用の後、団体列車によるさよなら運転を行って花道を飾った。

【編成】
←大牟田     西鉄福岡(天神)
 Tc1 2000 - *M1 2000 - M2 2000 - *M3 2000 - M4 2000 - Tc2 2000
* パンタグラフ

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 さよなら運転の定期ダイヤと、10月17日の団体列車の運転、記念乗車券発売のチラシです。定期ダイヤ運用時に薬院駅で撮影していて、№360で書いています。
 2ドア時代の2000形は27年前、1987(S62)年2月に乗った事はあるが、もう真っ暗な時刻だったので、お見せできるような画像がないのは、ご勘弁ください。なので当時の折り畳みダイヤの表紙を掲げておきました。
 2ドア時代の過去の画像をいくつか見て感じたのは、正面の形態はややユニークな所もあるが、側面は角ばった印象がある事。それはユニット2段窓がズラッと並んでいるスタイルに起因するでしょう。2ドアクロスシートの特急車や快速車で、ユニット2段窓を採用した系列は、私鉄では他に例がありません。京阪1900形や3000形は2段窓だが、ユニット窓ではないし、片開きドアで戸袋もあったから、やや柔らかい印象です。国鉄117系(0番台)はユニット2段窓だったが、車体が広くて裾絞りがあった上に戸袋窓もあり、ユニット窓自体も窓部コーナーにRがあるので、2000形程はカチッとした印象はありません。
 ユニット窓もそうだし、M-Mユニットも後の通勤車5000形に生かされる事になります。2000形は、「特急車」という完全に独立したポジションではなく、特急車としての威厳を示しつつも、後の通勤車への橋渡しとなった、西鉄電車そのもののターニングポイントとなった系列ではないでしょうか。

 今回の記事は
「私鉄の車両9 西日本鉄道」(保育社 ※現在はネコ・パブリッシングによって復刻
「鉄道ピクトリアル1989年9月臨時増刊号 【特集】西日本鉄道」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル1999年4月臨時増刊号 【特集】西日本鉄道」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル2011年4月臨時増刊号 【特集】西日本鉄道」(鉄道図書刊行会)
「週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 大手私鉄19 西日本鉄道」(朝日新聞出版) 等
を参考にさせて頂きました。

「私鉄の車両シリーズ」は次回から5回連続で、大手以外の西日本の事業者を取り上げます。次回は大阪市交通局20系です。

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《今日のニュースから》
美幌町最高気温25℃ 観測史上北海道最遅の夏日を記録

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