№1230 バスラマインターナショナル145(ぽると出版)

「バスラマインターナショナル144」が、先月末発売になりました。

★各地の新車から
 道南バスと中国バス、東急バスがやや大きく、独立した形で掲載されています。
 道南バスは、一般路線車は長尺ワンステップなのは北海道らしい。今回は苫小牧への配置はないようだが、市営バスを引き継いで1年ちょっと、現状はどのような状況なのだろうか。
 他では名阪近鉄バスのエルガ・ハイブリッドが注目。名阪近鉄がいすゞ車を運行した事は、過去にはあったのでしょうか。

★18年ぶりの“フェイス”リフト
 三菱ふそう新エアロスターの詳報。
 今回はエンジン関係は大きくはいじらず、ボディのイメージチェンジが中心の改良となったよう。ノンステップはホイールベースを20㎝前後長くしたそうだが、写真で見る限りは、それほど変わったようには見えない。乗ってみないと、という所か。
 ノンステップ車は、優先席は前向きも選択できるようになったそうだが、在来車両で観察した感じでは、横向きの方が合っているのではないかとも感じています。乗り降りのしやすさの他、特に地方路線では乗客のコミュニティの場としても利用されているように見えるので。
 ワンステップ車は今回はほぼボディのみで、型式も変更なし。
 実車は今の所、神奈中平塚〔営〕と、東急の淡島〔営〕・新羽〔営〕に導入されているようです。

★“快革”と呼ぶ改革 京都市営バスが攻めの姿勢に
 既に他誌などでも取り上げられている京都市営バスの改革だが、さすがにバスラマ誌らしく、より詳しく報じられています。
“快革”のポイントは8つで、

1.主要系統の増便 「洛バス」101系統などを増便、複数系統で間隔を調整、等間隔ダイヤの実現
2.鉄道との乗継の向上 鉄道駅経由にルート変更、夜間のダイヤの調整
3.深夜バスの新設 在来系統の最終バスの繰り下げ
4.「四条河原町ショッピングライナー」「岡崎・東山・梅小路エクスプレス」新設
5.モビリティマネジメントで系統の新設・増便
6.郊外エリアで経路変更や延長
7.ラインカラーの設定
8.均一運賃エリアを嵯峨・嵐山にも拡大

 この中にはないが、写真で見た感じでは京都駅前の出発案内表示が大型液晶式スクリーンになっていて、かなり解りやすそうです。
 前にも書いたが、この施策が、縮小傾向が続く他の公営バス、少なくとも政令指定都市レベルで刺激になればと思います。
 梅小路公園のコラムがあったが、再来年にはJR西日本の鉄道博物館がオープンするので、その辺も触れて欲しかった。無論、この博物館も、市営バスに再び大きな影響を与えるでしょう。

★バス事業者訪問174 小田急箱根高速バス

画像

 以前は小田急電鉄の直営バス部門だったが、現在は資本の点では、むしろ箱根登山鉄道に近くなっています。
(「小田急バス」は、鉄道の直営だった事はない)
 御殿場という場所は、案内所を営業所に格上げするほど、バスの需要が多いのだろうか?確かに富士山やプレミアム・アウトレットなど観光資源も少なくはないが、そんな大都市ではないと思うのだが。
 その点では、ここでは鉄道(JR御殿場線)との競合がメインに記されているが、他社の高速バスとの競合はどうだろうか。東京~御殿場だとJRの東名ハイウェイバスが当初から競合し、河口湖線も御殿場を経由する。対横浜も相鉄・富士急の河口湖線の存在があるが。三島も京王・富士急の路線もあって、影響があるのではないかと思うが、どうだろう。
(京王は沼津中心で三島経由便は少ないが)
 とはいえ最大のライバルはマイカーで、テキストにある通り、バスに乗り換えてくれれば良いと思います。
(シーズン中の所要時間が通常の3倍なんて、狂っていると思う)
 羽田空港・横浜~箱根湯本線は「表ルート進出」と言っているが、かつては週末のみ、新宿~箱根湯本~元箱根の路線がありました。
 営業面では高速バスながらPASMOを導入しているが、利用の割合は?
 車両面では、過去にはダブルデッカー車や「ユーロツアー」もあったので、過去車両でそのあたりも出してもらえば良かった。車番のつけ方が複雑か。

「エヴァンゲリヲン」ラッピング車の話題があったが、前回書いた国際興業のように、昨今はアニメとタイアップのバスも多いけれど、失礼ながら、バスラマ誌の読者で、個々のアニメについて解る人がどれだけいるだろうか。「ヤマト」「ガンダム」「マクロス」あたりは解るだろうが、約20年前の「エヴァンゲリオン」がギリギリ、かな?AT車の連載の立川バス「聖★おにいさん」とかもそうだが、最近のアニメは解らないよ、という読者が多いのではないか?簡単でもアニメの解説が必要かもと思うが、アニメが解る人が編集にいないと難しいか?

★バス事業者訪問175 伊丹市交通局

画像

 ここは14年前の58号で取り上げられていて(55回)、2度目。
 14年前は路線図の掲載がないので比較ができないが、市のほぼ全域を網羅していると言えます。小さい市なので越境も少なくなく、特に塚口(尼崎市)はかなりの便数の乗り入れがあるようです。
(路線が尼崎市営バスと若干被るが、共通のバス停は無いよう)
 車両面では、乗合車は完全ノンステップ化が完成。いすゞオンリーになったので、全車エルガまたはエルガミオとなり、顔つきは皆同じ。タイヤはミシュランとはすごいな、と少し思った。
 伊丹市営は公営を維持するようだが、お隣の尼崎市営の民営譲渡はどう見ているのか、その辺も少し知りたいと思いました。

★バス事業者訪問176 尼崎市交通局

画像

 ここも14年前の58号で取り上げられています(56回)。
 こちらは14年前も路線図があり(ただしモノクロ)、パッと眺めて比較した限りでは、58系統の新設と、臨海部でいくつかの系統の延伸があった以外は、大きな変化は無いようです。こちらは越境はなし。阪神・JR・阪急の各駅を相互に連絡する系統の本数が多いのは、関東の西武バスや関東バスを連想させます。
 14年前には「お客様に選んで乗って頂けるバスになるために努力する」と誓い、100%ノンステップ化も実現して(14年前は22%で、2011(H23)年に100%達成)いるのに、ここで阪神バスに全面譲渡とは、少々残念と思います。大阪にも近く、ロケーション的には良いはずだが、自転車に利用者を奪われているそう。震災の後、その傾向が顕著だそうです。
 車両面では、こちらは割とバラエティがあるが、阪神バスに転換されると、どう変わるのだろうか。

 尼崎というと、聞いてみて欲しかったのは、2005(H17)年のJR福知山線の大惨事。交通局がある塚口の車庫は事故現場のすぐ近くで、いろいろな面でかなりの影響が出たはず。どのような状況に陥ったのか、その後現場はどのような対応を取ったのか、そのあたりを知りたいと思いました。

 伊丹・尼崎両市営バスが取り上げられたところで、関西の公営バスの利用者数のグラフが掲げられ、コメントもあります。確かに全体的には減少かも知れません。尼崎市も2010(H22)年から、落ち込みが急になっています。
(大阪市の2009(H21)年の大幅な減少は、阪神なんば線開業の影響だろうか。明石市は早くから民営譲渡が進んでいた)
 しかし伊丹市は多少の上下動はありながら微増だし、「大快革」の京都市も、少しずつ回復傾向にありました。全国的に公営はイメージが良くないし、まして商都大阪がすぐそばだからネガティブなイメージが拭えなくなるのは宿命的かも知れないが、確かにもう少し冷静にデータを見る必要があるのではないでしょうか。
 関西ではないが、苫小牧市や呉市など、ローカル路線が少なくない都市だと、都会の目線で括るのは必ずしも良くないと、私自身も感じたところです。
 ただし、「どうして公営でなければならないのか」という十分な説明は、今後も必要でしょう。

 士別軌道のモノコックRCは、一般の営業運行に限ると、見るのも撮るのも、ハードルが高そう。昔は鉄道(軌道)事業者ながらかなり地味目だが、一方でBRCハイブリッドがあったとは、正直ビックリしました。前にも書いたが、このような小規模な事業者も「バス事業者訪問」で積極的に取り上げて欲しいと思います。バスに求められるものは、根本的な部分では都市も地方も、大手も中小も変わらないはずだし。 

 西鉄はここへきてまた夜行バスの路線拡張に積極的になっているのか。カラーグラフの富士山路線の他、USJ路線も単独で開設しているし。

 新高速乗合バス制度の検証記事は延期になったようです。高速だけでなく、NHKで報道された(№1227で書きました)バスドライバー全体の高齢化・人員不足の問題も包括的に取り上げて欲しいと思います。また、高知県の土佐電・県交通統合の新会社「とさでん交通」が10月1日スタートするので、速報でもやって頂ければ。
 次号の「バス事業者訪問」は関西空港交通ですか。関西空港が開港20周年=関西空港交通スタートから20周年という事があるでしょう。国際線航空便が羽田・成田に押されている一方で、LCC(特にピーチ)の就航があるので、利用者の動向には興味が持たれます。

 当ブログでは、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

 西鉄バスの「ぐりーん」が、今月一杯で運行終了だそうです。利用が少なかったのだろうか?専用車両はこの先はどうなる?

《今日のニュースから》
インド・モディ首相講演 インドへの積極的投資を呼びかけ

この記事へのトラックバック