№1170 ビッグネームばかりに頼らず 真の「個性化」の追及を

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 前回の「バスラマインターナショナル143」の大型EVバスの記事の所で、薩摩川内市(鹿児島県)の「こしきバス」を、「パッと見た目、一瞬岡山電気軌道のバスかと思った」みたいなコメントを書きました。
 そのはずで、このバスは、岡山電気軌道と同じく、工業デザイナー水戸岡鋭治氏がデザインを監修しているとの事です。
 最近、水戸岡氏及び所属の「ドーン・デザイン」がデザインを手がけた乗り物を、あちらこちらで見かけるようになりました。ここに、それらを記してみます。恐らくはもっと多いでしょう。
(順不同)

鉄道
JR九州 787系<つばめ>・883系<ソニック>・九州新幹線800系・183系「あそぼーい!」・「ななつ星in九州」、その他新造・改造含めて、昨今のJR九州の車両のほぼ全て
富士急行 「富士登山電車」・6000系・下吉田駅
富山地方鉄道 「アルプスエクスプレス」・市内線「レトロ電車」
和歌山電鐵 「いちご電車」「おもちゃ電車」「たま電車」
北近畿タンゴ鉄道 「あかまつ」「あおまつ」「くろまつ」
岡山電気軌道 「MOMO」「KURO」
井原鉄道 「夢やすらぎ号」
JR四国 「しまんトロッコ」
くま川鉄道 「KUMA」「田園シンフォニー」
肥薩おれんじ鉄道 観光列車「おれんじ食堂」

バス
富士急バス 水陸両用バス「KABA」
豊田市 コミュニティ「豊田おいでんバス」(名古屋工業大学との合作)
両備バス 「SOLAVI」
岡山電気軌道 一般路線バス・空港バス・高速バス
西日本鉄道 「ぐりーん」

 JR九州は当然としても、西日本に集中している事が解ります。最東端は富士急でしょう。
 JR九州などでの成功例を見て、地方の公共交通事業者が利用者獲得の目玉として、水戸岡氏・ドーンデザインに依頼するケースが大半なのだと思います。

 あくまで私の勝手な考え方と理解して頂きたいが、専属契約のJR九州や両備グループはともかく、気持ちは解るのだが、一部は少々安易な依頼もあるのではないでしょうか?
 どんな事業者でも、利用者を呼び込むために特別なデザインの乗り物を導入するのは、当然の流れではあるけれど、それが特定のデザイナーにのみ集中するのは、本来は他との差別化を図るのが目的だろうが、いつの間にか「没個性化」につながる危険も、感じなくはありません。
 JTBの時刻表2014年5月号のグラビアで「新型車両巡礼」の企画があったが、どの路線に乗っても同じデザイナーの車両ばかり当たると、「きれい、楽しい。でも前にもどこかで乗ったような…」となりはしないでしょうか?

 無論これはデザイナーのせいではなく、発注するクライアント(交通事業者)の発想の問題です。
 だから一方で、由利高原鉄道がYR-3000形のデザインを若い女性デザイナーに任せたのは評価できるし(デザインそのものも良いと思う)、多少性格は違うが、車内にプロジェクトチームを作った西武30000系「スマイルトレイン」の例もあります。JR東日本BRTの「観光型」やEVエルガミオもそうだと思います。他にも、すぐには優れたデザインと言い切れなくなるかも知れないけれど、近くに優秀なデザイナーは、いくらでもいるはずです。
 だから、特に第3セクター鉄道やコミュニティバスは、安易にビッグネームに飛びつかず、地味でも地元から優れたデザイナーを発掘し、世に出してほしい。それが、地方事業者の地域密着の理念や、真の個性化に結び付く事だと思います。

 当ブログでは、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

 今朝の地震は少々びっくりしました。戸塚は震度4だったけれど、震源から遠い東京の都心で5ですか。東日本大震災以来らしい。
 地震もさることながら、あちこち海で山で事故が相次いでいるようです。特に家族連れの遭難ほど悲惨なものはないと私は思っています。十分ご注意を。

《今日のニュースから》
「東北子どもまちづくりサミット」 仙台市で開催

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