№1007 駅の時刻表から見る 私鉄ダイヤの変遷 8.名鉄空港線 中部国際空港駅
私鉄のダイヤを、特定の駅の時刻表から振り返ってみるシリーズの8回目、今回は名鉄です。
前回の「私鉄の車輌シリーズ」では、中部国際空港「セントレア」へのアクセス特急車、2000系「ミュースカイ」について書きました。
セントレアの開港は2005(H17)年2月17日だが、空港線中部国際空港駅は先行して1月29日に正式開業していました。
(前年10月より空港関係職員輸送用として暫定的に営業していたが、一般の利用は不可だった)
今回はこの中部国際空港駅です。
まだ日は浅いが、途中で名鉄の営業政策変更もあり、割と大きな変更もありました。開業日以降、重要と思われる改正の時刻表4枚を御覧頂きます。
2005(H17)年1月29日正式開業
開業時点では、2面2線でした。
名鉄では合わせて全線で列車種別体系を変更、特急・急行・普通の3本立てだったものに、快速特急・快速急行・準急を加えました。
同じ種別名ながら列車ごとに停車駅が異なっていたものを、特別停車駅のパターン毎に分けたものです。
また、新名古屋→名鉄名古屋・新岐阜→名鉄岐阜など9駅の駅名を変更した他、東笠松(名古屋本線)・学校前(広見線)が廃止になりました。
空港線関係では、快速特急(全車特別車で「ミュースカイ」使用)と特急(一部特別車)、急行が30分サイクルで運行。
(普通は大半が常滑折返しのまま)
快速特急は空港・常滑線では完全な新パターンで、神宮前までノンストップ。
特急は日中2本に1本が豊橋発着で、神宮前~金山間を重複運行、金山で進行方向が変わっていました。
急行は大江が正式な停車駅になりました。日中の上りは太田川で快速特急通過待ちと、河和・内海方面からの全車特別車特急に接続。
快速急行は従来の急行を呼び変えただけで、空港線関係は平日朝方の空港行下り1本と、土休日朝方の空港発2本のみ。
利用が好調のため、3月には全車一般車の特急が、最終の急行の後に追加で設定になっています。
このため、「ミュースカイ」を中心に輸送力の増強を図る事になり、中部国際空港駅では、「ミュースカイ」専用の線路が増設される事になります。
(もともと2面4線まで増設できる構造)
2006(H18)年4月29日改正
2面3線となり、「ミュースカイ」は新設の1番線発着に固定されました。ホームドアも設置されています。
特急の所要時間が名古屋~空港間で1~2分短縮になっています。
最終の全車一般車特急に加えて、一部特別車特急の運転時間帯の拡大、夜間の金山行の名古屋延伸が行われています。
一方で夕方にあった快速特急の新可児行編成の連結は取り止めになりました。
普通が午前・夕方の時間帯に常滑からの延伸で乗り入れるようになりました。
この頃名鉄では快速特急・特急の営業政策の見直しを表明、「ミュースカイ」以外は全て一部特別車とする事としていました。
(2200系増備・1600系→1700系改造転用により、1000系(全車特別車4連)を置き換え)
2007(H19)年6月30日改正では、新鵜沼方面~河和・内海方面間特急の半数が一部特別車編成に変更されています。
空港関係では、平日7時台に須ヶ口行一部特別車特急を増発。
下り早朝の一宮発特急が、一部特別車→全車一般車に変更。
2008(H20)年6月29日改正では、空港関係では特に大きな変化はなく、修正程度のみ。
平日夕方の御嵩直通急行が、新可児止まりに短縮されています。
(新可児~御嵩間で終日ワンマン折返し運転開始)
2008(H20)年12月27日改正
名鉄全体の特急営業政策変更の総仕上げとなるものでした。
全車特別車の快速特急・特急は2000系の運行に統一され、愛称の「ミュースカイ」がそのまま種別名称にスライドしました。
全車特別車の列車は、空港アクセスにほぼ特化と言えます。
(ただし、神宮前→新鵜沼間「ミュースカイ」設定が平日23時台に1本あり)
朝方の2000系運用の全車特別車特急は、「常滑・新舞子・朝倉・尾張横須賀・太田川に特別停車するミュースカイ」という形になっています。
夜間は新可児行編成の連結が復活。
特急は豊橋直通が取り止めになり、岐阜行にほぼ統一。
(豊橋5時53分発の下り1本のみ、直通が存続)
全車一般車特急1往復は、停車駅はそのままに快速急行になりました。
一方で土休日朝方の快速急行は急行・準急に変更。
「(特別停車がある)ミュースカイ」「特急」「快速急行」は、名古屋~空港間に関しては、停車駅が全く同じです。違いは編成内容のみ。
急行は大半が準急に変更されました。空港・常滑線では新設定で、大同町・聚楽園にも停車。
普通列車は、午前中の乗り入れがほとんど取り止めになりました。午後も削減。
2011(H23)年12月17日改正
この年の3月26日に先行して改正、暮れに太田川駅の高架化で一部修正が加えられて、現行ダイヤになりました。
3月改正は名鉄全体で減量色が濃く、空港関係では日中の「ミュースカイ」岐阜行が名古屋止まりに短縮されています。
空港行では豊橋から直通の特急が取り止め(犬山始発「ミュースカイ」に立替)、快速急行が増発になっています。
最終の金山行快速急行は岐阜まで延伸の上、特急に立て替えられています。
全車一般車で、名古屋までの停車駅は全く変わらないが、その先須ヶ口・新清洲が通過なのでこのような形にしたのでしょうか。
この他の路線では、河和・内海方面の特急は、日中は全車一般車になっています。
以上、簡単に中部国際空港駅の時刻を眺めて見ました。
空港アクセスの観点でダイヤを見ると、一部一般席の特急が頻発している事で、成田のような有料偏重になっていないことは評価できます。都心までの距離の違いもあるが、前にも書いたけれど、東京都心~成田間でも、同様のタイプの列車が欲しい(特に京成本線)と思いました。
一方セントレアは24時間空港であり、今後LCCの誘致が進むとすると、早朝・深夜のダイヤの充実が求められるかもしれません。
8月のセントレア最終到着は22時55分(福岡発エアアジア・ジャパン8628便)で、今後後を引き継ぐ「バニラ」 … 当初は中部発着はないそうだが … や、ジェットスター・ジャパン、外資等の路線・ダイヤ編成によっては、23時台発車の列車の増発が求められる場面もあるでしょう。ただ、名鉄は全体的に終電が早目の傾向がまだあり、うまく対応できるか。
鳴り物入りだった豊橋直通特急がなくなってしまったが、知多バスの空港バスも廃止になっているし、豊橋の方々はセントレアをあまり利用しないのだろうか?直通列車設定でなくても、南海泉佐野駅のような駅構造(上下線間にもホームを設置)を、神宮前か金山で採用する事で対応できたかも知れません。
空港アクセスは航空便次第になり、名鉄自体の努力も必要だろうが、やはりこの所はやや元気がない航空便(特にJALグループ)が、もう少しがんばって欲しいなあと思います。
航空に活気が戻れば、必然的にアクセスも活気づくはずだから。
空港そのものの話になるが、前にも書いたけれど、セントレアの英文表記は「Central Japan International Airport」としている(名鉄の駅や列車の表記もそう)が、日本語に直訳したら「日本中央国際空港」になって、日本語名の「中部国際空港」と相当食い違う事になります。特に外国人が見たら、どう感じるのだろう?
名古屋は「日本の中央」を自負したいからなのかどこも「Central」の英文を使いたがるようで、JR東海(東海旅客鉄道)も英文社名は「Central Japan Railway Company」としているが、これでいいのかと思うのは、首都圏に住む者の驕り、という事になってしまうのでしょうかねぇ。何か違うと思うが…。
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「直ちに命を守る行動を」とは穏やかな表現ではないが、島根県西部の大雨は尋常ではないようです。
JR線はことごとく止まって、明日も始発から運休となるそうです。
引き続きご注意を…。
《今日のニュースから》
大相撲 初のジャカルタ巡業