「バスジャパン・ハンドブックシリーズR」30冊目は、首都圏に戻って関東バス。
前身の「バスジャパン」を含めても、初めて取り上げられる事になります。
東京都の大手一般路線バス事業者では、ここだけ取り上げられた事がありませんでした。
◆ 関東バスで行く 大人の街歩き
関東バスのエリアだと著名な観光地とか名刹とかはやはり少なくて、「通」向きの場所が多いでしょうか。
短い時間を利用した「散策」に適した場所が多いかと思います。
私的な話だが、バスそのもの以外を目的として関東バスを利用して訪れた場所として、「杉並アニメミュージアム」がありました。
(荻窪駅から乗って、荻窪警察署前下車)
若くして亡くなった、人気アニメーターの追悼展で行ったものでした。
「なかのん」は残念ながら、このルポの直後の3月15日に大幅な減便(1時間に1本程度)・運行時間短縮が行われています。
富田康裕氏のルポ紀行は、これで終わりでしょうか。
◆ 終点の構図 北野
もう少し違った場所が選ばれるかと思ったが、関東バスだと駅と駅を結ぶ路線が中心だから、純粋な終点は少ないです。
北野は三鷹市にあって、関東バスとしては終点だが、他に小田急バスが運行する三鷹市のコミュニティバス等が入ってくるようです。
パッと見は普通の児童公園にも見えるが、祠があるのか。
◆ 関東バスの路線エリア
基本的にはJR中央本線と西武新宿線にはさまれたエリアが中心で、現状の主力である中部3営業所(阿佐谷・武蔵野・青梅街道)も、このエリアに集中して設けられています。
このエリアが今の関東バスの主力と言え、新宿線の北の丸山〔営〕、中央本線の南の五日市街道〔営〕のエリアは、車両数的にも、路線的にも比重は若干小さいようです。
1路線、大きくエリアを離れて赤羽まで延びているのが注目されます。
国際興業と共同運行の〔赤31〕系統(高円寺駅北口~赤羽駅東口)で、もう1路線西武池袋線より北を走る〔中11〕系統(中野駅~池袋駅)も国際興業と共同運行になっています。
南限は京王本線の千歳烏山。
◆ 関東バスのあゆみ
京王の資本がかなり入っているのか。
公式Webサイト上では資本比率が記されていないので解らなかったのだが。
特に戦後~S40年代位は … いまでも若干そうだが、特に西部では「比較的利用者が多い」のに、「道路事情が良くなく」て、車種や仕様の選定にかなり苦心した跡が見られるようです。
「3ドア」車はその申し子だし。
今ほど道路事情が良くなかった事もあるだろう。
(今でも北裏付近では若干そのような傾向が見られる)
戦争中に女性車掌からドライバーへの登用があったらしいが、これ、「日本初の女性バス運転手」、という事で良いのでしょうか?
カラーもさる事ながら、フロントの大きなマークが印象的なのだが、どのような由来かという事は特に記されていませんでした。
(今日発売の「バスマガジン」に記されていました。後日書きます)
◆ 車両の現況
ここでは乗合車に限定して分析するが、関東バスの場合、社番は年式とか、メーカーや車種、年式などに明確に連動していなくて、よほどのファンでないと解りにくい部分があるので、初めに現有車両で整理してみました。
(別のルールに従うコミュニティバスは除く)
100番台 三菱ふそう 小型ノンステップ車
300番台 日産ディーゼル 中型ノンステップ車
600番台 日産ディーゼル 小型ワンステップ車
700番台 日野 中型ノンステップ車
800番台 三菱ふそう 中型ノンステップ車
900番台 いすゞ 中型ノンステップ車
1000・1100・1200番台 日産ディーゼル(UDトラックス) 大型ノンステップ車
1300番台 日産ディーゼル(UDトラックス) 大型ワンステップ車
1400番台 三菱ふそう 大型ワンステップ車
1500番台 いすゞ 大型ノンステップ車
1600番台 日野 大型ワンステップ車
1700番台 いすゞ 大型ワンステップ車
2100・2200番台 三菱ふそう 大型ノンステップ車
2300番台 三菱ふそう 中型系ノンステップ車
3000番台 日産ディーゼル 大型ツーステップ車
5000番台 日産ディーゼル 大型ワンステップ車(ワンロマ)
6000番台 日産ディーゼル 中型系ノンステップ車
7000番台 日野 中型系ノンステップ車
7100番台 日野 大型ノンステップ車
UDトラックス名義で製造された車両は初登場だが、7両で終わりました。
1. 5営業所の内、武蔵野〔営〕には26.95%と4分の1以上が配置されている一方、丸山〔営〕は11.59パーセントのみ。
中部3営業所に合計256両と、手厚く配置されている事が伺えます。
2. 平均車齢は7.02年と出ました。
丸山〔営〕が8.28年と平均より割と高いが、2002(H14)年車が12両と、全体の4分の1以上を占めていました。
五日市街道〔営〕も7.78年と比較的高齢の一方、中部3営業所はいずれも6年代と若くなっていました。
3. 小・中型車は丸山・五日市街道両営業所で約4割に対して、青梅街道〔営〕が11.25%、武蔵野〔営〕が19.0%。
両営業所ともコミュニティバスが相当数あるので、一般路線では中型車の割合はさらに少なくなるはずです。
4. ノンステップ化は、全体では84.37%。
全体の台数が少ない五日市街道〔営〕が100%、丸山〔営〕は97.67%(百人町線用D601のみ非ノンステップ)の高率に対して、武蔵野〔営〕は63.0%とかなり少なくなっています。
2000(H12)年~2008(H20)年の導入車両がほぼ全車両ノンステップ車だったのに(非ノンステップ車はワンロマ車と「ムーバス」用リエッセ各3両のみ)、2009(H21)年以降はワンステップ車が並行して導入され、特に2011(H23)年は7割がワンステップになっています。
(全体の導入数が少なくなった事もあるが)
この時期は経年化しながらも使用を続けてきた3ドア車の置き換えが本格化していた時期に重なります。
代替には収容力が大きいワンステップ車で、という事でしょう。
以上を総合すると、
「比較的経年化した小・中型ノンステップ車が中心の丸山・五日市街道」
に対して
「車齢が若くてワンステップ車も多い大型中心の阿佐谷・武蔵野・青梅街道」
という構図が見えてくるかと思います。
利用者数(比較的郊外の方が多いはず)と、近年になって3ドア車をワンステップ車で集中的に置き換えてきた事が、データからも裏づけられます。
この傾向は、規模は異なるが、東京都と神奈川県で車両の傾向が大きく異なった東急バスに良く似ていると思いました。
一時期は主力の地位にもあった9m車(準大型車)は、姿を消して久しくなりました。
昨今路線バスの仕様の選択の幅が狭くなってしまった事が、特に「バスラマ」誌で指摘されるが、一番影響を受けているのが、関東バスなのではないでしょうか。
あと、3ドア車B3008号車より古い貸切車(練馬22か6140)の存在が意外。
関東バスの将来像としては、「なかのん」もそうだし、特に新宿に近いエリアで減便が相次いでいるようなので、当面はいかに現状を維持するか、という所に落ち着くのでしょうか。
車両面に関しては、かつてはMBECSやHIMRもあったのに全車廃車となって、東京都内の主要大手一般乗合事業者では唯一、低公害車両(ハイブリッド・CNG)がない状況です。
エルガ・ハイブリッドあたりの導入は期待したいなあ。
これで「ハンドブックシリーズ」の「R」は終了、という事になりました。
2004(H16)年の西武バスから数えて、ちょうど30号でした。
次回刊から「S」になり … この名前、どこから来ているのか … 第1弾は西鉄バス。
予告されている定価からして、サイズ等は変わらないかと思うが、それだけにさすがに一度に全部は入らず、2回に分ける事になるようです。。
取材は大変だろうが、今後は前身の「バスジャパン」から数えても取り上げられた事がない地方の大手事業者が、積極的に取り上げられると良いと思います。
具体的には北海道中央バス・名鉄バス・近鉄バス・南海バス・広島電鉄・九州産交バスあたりに期待かな。
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