№886 フルカラーLED時代 行先表示のあり方は 2.現状編(関東大手私鉄)
前回はJR東日本の各車両の行先表示を並べて、問題点を考えてみました。
今回は関東の大手私鉄です。
関東では幕・3色LEDをフルカラーLEDに積極的に交換する私鉄が多く見られるが(会社によって温度差あり)、皆元のサイズをそのまま踏襲しているためか、こちらも見易さの点で少々問題が多く見られます。
東京メトロ 副都心線 11609 2011(H23)年12月23日
副都心線(有楽町線)10000系までは3色式で、西武線内の快速運転ではこのパターンが繰り返される。
「副都心線直通 地下鉄線内急行」の表記で、現在西武線内走行中の情報が消されてしまっている。
何より号車の表示が余計。しかもここでは運行情報を全部消してしまっている。
基本的に固定編成なのだし、ドア横に号車番号を大きめに書いておけば済む話だし、その方が「今○号車か」とすぐ判別できるはずだ。
西武 4010 2011(H23)年12月23日
幕式の4000系。
西武では副都心線直通運転開始の時点で、地上線専用車も全面的に方向幕を交換している。
(後に更新車ではフルカラーLEDに交換した車両も見られる)
秩父鉄道直通は三峰口行と長瀞行を連結するため、列車としての行先を両方並べた上で、自車の行先も併記する方法を取っている。
西武 38305 2010(H22)年3月7日
30000系からフルカラーLEDが本格採用になった。
しかし上段はまずまず見やすいかなと思うのに、ここでも号車番号の表記が突然現れて、種別・行先表示を消してしまっている。
ついでに、東武の50000系シリーズも同じ。
メトロ10000系も含め、ベースが日立製作所「Eトレインシリーズ」である事が共通している。
西武 6812 2010(H22)年3月7日
幕→フルカラーLEDへの改造例。
元のサイズから来る制約もあるのだろうが(若干小サイズ化)、日本語と英語の交互表示になってしまった。
東急 5356 2010(H22)年1月18日
これも日本語と英語の交互表示になってしまっている。
それと種別に関して、正確には「通勤特急」なのだが、スペースが小さいせいで日本語・英語とも略した表記になっている。
きちんとスペースを大きく取り、正確に「通勤特急」「COMMUTER EXPRESS」とすべきではないか。
(幕式の9000系では、渋谷行は「通勤特急」だが、元町・中華街行は「通特」)
東急 8089 2009(H23)年11月23日
幕→フルカラーLEDへの改造例で、東横線→大井町線への転用に合わせて改造された。
これも日本語と英語の交互表示。
なお「白地+緑文字」の「各停」表記は、各駅停車であっても二子新地・高津には停車しない事を意味する。
(二子玉川~溝口間の大井町線線路はホームがない)
相鉄 8505 2011(H23)年11月16日
幕→フルカラーLEDへの改造例。
8000系の初期6編成は幕式で、種別と行先が分離されていたが、フルカラーLED化時に種別部分が埋められ、元の行先表示部に種別も併記して表示するようになった。
だから日本語だけでも少々窮屈。
種別と行先を一体化した7編成以降(3色LED)に合せたかったのかもしれないが、なぜ種別部を生かさず、わざわざ見にくくする方法を取ってしまったのか。
京急 1096 2010(H22)年3月30日
京急では新1000形の途中からフルカラーLED表示にしているが、サイズ的には旧1000形以降の、天地方向が小さいサイズをそのまま踏襲している。
初期は日本語と英語を併記していたが、このため文字が小さい。
(特にこの場合は文字数が多くなっているので尚更)
京急 1101 2010(H22)年7月17日
2010(H22)年の京急蒲田駅立体化による空港アクセスの強化や国際線ターミナル駅の新設、京成スカイアクセス開業に備えての事か、フルカラーLED車では順次、日本語と英語の交互表示に変更された。
相互直通先の終点に、沿線では馴染みのない地名が多くなってきているからか、最近は幕式も含めて「品川方面」の表記を入れるようになっている。JR東日本・湘南新宿ラインの「新宿経由」と同じ発想だろう。
京成 3056-7 2010(H22)年7月19日
2010(H22)年のスカイアクセス開業によって成田空港へのルートが複数になったため、経由路線名を行先と交互で表示するようになった。
特に英文が小さく、交互表示と合わせて外国人旅客にはどう映るだろうか?
小田急 2401 2009(H21)年11月20日
2000形は3色LEDを採用したが、最近の出場編成ではフルカラーLEDに交換されている。
改造車としては比較的見やすいと評価してよいかもしれない。
小田急 3481 2009(H21)年10月30日
3000形も初期の編成は比較的小型の3色LED式だったが、すぐに大型化され、最後にはフルカラーLEDになった。
天地方向が大きくて見やすいと評価できる。
ただ小田急に限らず、明朝体のフォントは印象が弱いのではないだろうか。
(小田急もそう考えたのか、8000形更新の途中からゴシック体に変更している)
小田急 4044 2009(H21)年11月27日
4000形はJR東日本のE233系をベースにしていて、そのためか行先・種別表示も、E233系の良くない所をそのまま受け継いでしまった。
せっかく3000形が大型サイズになって見やすくなったと思ったのに、良い所が受け継がれなかったのは残念。
(同様にE233系をベースにした相鉄11000系も同じ表示方式)
京王 8709 2009(H21)年12月6日
京王ではフルカラーLEDへの交換が積極的で、比較的最近新造された8000系の3色LEDも早々とフルカラーへの交換が進められている。
現在の京王では土休日に「新宿~北野間 準特急」+「北野~高尾山口間 各駅停車」という列車があり、列車番号上は別だが、事実上は1本の列車という形態になっている。
種別+行先表示の点だけで見れば、解りやすいと言って良い。
(「準特」は「準特急」の方が良いが)
ところが、北野から先の情報まで提供しようとして、中段・下段のような表示が繰り返しで現れるようになり、結果として混乱の元になってしまっている気がする。
小さな文字の情報が短時間で繰り返し表示されても、乗り馴れない乗客は、すぐに内容を理解できるだろうか?
ついでに前面でも、列車自体は高尾線へ直通する事を表示したくて、行先と交互に表示するようになった。
しかし、高速での列車進入時にこの表示を見ても、キチンと解るだろうか?
京王 7754 2010(H22)年2月7日
参考までに、幕ではこのような表示になる。
当然、これでは高尾線へ直通する事は解らない。
(実際この列車に乗り合わせた時、外国人旅客が北野で運転士に、「この列車は高尾山へ行くのか?」と聞いていた)
この場合、表示内容以前に、列車の設定そのものに問題がある。
現行ダイヤの準特急は高尾線内も特急運転をするため、土休日ダイヤでは通過駅の乗車機会を増やすため、北野で運転系統を切り、別の列車への変更の扱いとして、高尾線内は各駅に停車している。
しかし優等列車は当然長距離の通しの乗客が多く、まして土休日は不慣れな行楽客が増える訳だから、最終目的地の表示が無いと、「この列車は自分の行きたい所へ行くのか?行かないのか?」と惑う事になる。
この対策としてフルカラーLEDでは色々情報を追加するのだろうが、結果として混乱を増幅させる原因になってしまってはいないだろうか。
このケースでは、
1.行先は高尾山口として、北野から種別を各駅停車に変更
2.準特急は高尾線内は各駅に停車
のどちらかにする事が望ましい。
(2月22日からの新ダイヤでは後者の方法を取り、全区間準特急で一本化する事になる)
京王では他にも、少々首をかしげるフルカラーLED表示が見られる。
京王 9792 2010(H22)年2月7日
種別・行先の文字自体は大きくて良いのに、「都営新宿線直通」の交互表示が消してしまっている。
「大島」「本八幡」の文字があれば新宿線直通だと解るだろう、と考えるのは迂闊なのだろうか。
(6000系時代は、行先幕を緑地+白文字で区別していた)
京王 井の頭線 1024 2010(H22)年1月23日
井の頭線1000系は2008(H20)年の5次車よりフルカラーLEDとなり、このような表示が出るようになった。
それ以前の3000系とか、1000系も4次車までの3色LEDではこのような表示は無かったけれど、問題があったとは思えないのだが…。
(井の頭線の急行は、全列車永福町で各駅停車と接続)
私鉄に関しては、メーカーサイドとか、ベースになる車両によって表示内容が左右されるように感じられます。
種別+行先だけならまあこれでもいいかなあと思えても、ここでもフルカラーLED化と同時に大量の情報をいっぺんに与えようとして整理し切れなかったり(特に京王)、文字サイズが小さくなってしまったりしています。
ここまで関東のケースを並べましたが、関西などではどうなのか。
次回は関西のJRや私鉄、新幹線を見てみます。
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3週間前の大雪の跡はようやく消えましたが、関東は今晩から明日にかけてまた積雪、だって…。
既に書く交通機関などでは対策に大わらわだそうだが、どうなる事やら…。
《今日のニュースから》
未明に停電 横浜市北部・東京都町田市の65000世帯