№898 駅の時刻表から見る 私鉄ダイヤの変遷 7.相鉄線横浜駅(後)

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 いずみ野線・いずみ中央~湘南台1999(H11)年3月30日に開業、新たに快速の運行が始まりました。
 相鉄線横浜駅の時刻表からダイヤを振り返るシリーズ、後半は湘南台延伸以降について書きます。
 華々しいはずの開業でしたが、その後は何か冴えない改正が繰り返されています。

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 ダイヤ改正は2月27日に先行して行われ、約1ヶ月の間は、いずみ中央~湘南台は乗務員の訓練を兼ねた回送になっていました。
(なのでこの期間は「いずみ中央行快速」という列車が見られた)
 快速は日中と平日の朝方に設定、日中のいずみ野線直通は全て快速となりました。
 逆に各駅停車は、本線の横浜~大和折返し運転に変更されました。
 日中は急行快速各駅停車が1:1:1、午前中10分、午後は12分のサイクル。
 各駅停車は星川で急行の通過待ち、二俣川で快速から接続。
 大和での折返し運転は1986(S61)年改正で廃止になって以来、13年ぶりの設定。
 平日朝ラッシュ時が大きく変わり、原則「急行急行各駅停車急行快速各駅停車」のパターン。
 上りのみ、各駅停車7本(星川で快速の待ち合わせがある列車)が西谷で急行の通過待ちを行います。
 遠い昔の事は解らないが、今回取り上げた中で最古の1985(S60)年以降では、西谷での退避は初設定です。
 夕方は急行各駅停車2本立てのままで、平日は5分→6分間隔に削減されました。

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 2000(H12)年4月1日改正では、日中の追い抜き・退避パターンが変わりました。
 各駅停車は星川で快速待ち合わせ・西谷で急行の通過待ちがあります。

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 次の改正は3年以上先になりました。
 2003(H15)年8月23日改正では、日中のパターンがまた変わる事になります。
 各駅停車は横浜~二俣川に短縮、星川での快速待ち合わせのみとなり、西谷での急行通過待ちはなくなりました。
 急行は若干の所要時間増を招いています。
 平日・土休日共、午後まで10分サイクルに統一されています。
 いずみ野線湘南台延伸から4年経ったものの、全体の利用は減少傾向になり、旅客列車の走行キロは前回改正時比2パーセント強の減少になってしまいました。
 ダイヤ改正のペースも、3年に1回程度に落ち着いていきます。

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 2006(H18)年5月20日改正では、日中のパターンがまた大きく変わりました。
 快速は20分間隔に削減されましたが、運転時間帯は大幅に拡大、平日は21時台、土休日は19時台まで設定されています。
 各駅停車は大和折返しが復活していずみ野線直通と交互に運転、星川・西谷での急行快速の通過待ち・待ち合わせはなくなりました。
 大和発着列車は二俣川で急行・快速の待ち合わせがあります。
急行快速各駅停車急行各駅停車」の20分サイクルとなり、いずみ野線は快速各駅停車を交互に運行。
 朝ラッシュピークの前後に、大和始発の急行を4本設定。

 2007(H19)年11月3日改正では、星川付近の高架化工事による所要時間増大のため、上りかしわ台始発列車の出発を繰り上、他増発や延長運転などの小修正を実施。

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 2009(H21)年11月1日改正では、星川付近の高架化工事による所要時間増大のため、深夜を中心に出発時刻を一部変更。
 快速は再び星川で各駅停車と相互に接続するようになりました。
 問題なのは、日中が21分の中途半端なサイクルとなり、極めて解りにくくなってしまった事。
 複数の列車種別を持つ鉄道としては異例です。

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 最新の2012(H24)年4月29日改正です。
「相鉄・JR直通線」工事のため、西谷駅の上り待避線を廃止・撤去。
(下り線は先行して撤去されていた)
 朝ラッシュ時は快速の運転が取り止めになり、急行各駅停車を1:1で運転するパターンになりました。
 いずみ野線湘南台開業より前の形態に戻った事になります。
 横浜駅の最混雑時間帯(7時30分~8時30分)の到着は急行13本、各駅停車13本、合計26本。
 星川付近の工事の進捗に加え、瀬谷駅付近も工事のため所要時間はさらに増大。
 横浜~海老名急行は平均して下り34分、上り35分となりました。
 日中は再び解りやすい運転間隔となったが、土休日の午後の快速は30分間隔に削減されています。

 以上、横浜駅の時刻表から、28年間の相鉄線のダイヤを、簡単ながら振り返ってみました。
 全体的な流れは1980年代後半~1990年代前半の急速な伸びにより相次ぐ増発→1990年代後半は調整局面→いずみ野線湘南台延伸で快速設定→以降は利用者減少と工事による本数減と所要時間増大、という事になるのでしょうか。
 小規模で、他線との相互直通運転がない事もあるだろうが、特に21世紀に入ってから、改正毎にパターンがクルクル変わり、他の大手私鉄のようなポリシーが感じられない感があります。

 一方で、本線・横浜~海老名の通しの利用が多いにも関わらず、二俣川~海老名が各駅停車になる急行が最速となるパターンは何十年も変わりません。
 両駅間の表定速度が(工事の影響もあるとはいえ)43.3㎞/hに留まり、単純比較はできないとしても、他社と比較してあまりに遅い印象が否めません。
(標準でJR東海道線:横浜~茅ヶ崎61.5㎞/h、JR横須賀線:横浜~鎌倉53.1㎞/h、京急線快特:横浜~横須賀中央61.4㎞/h)

 さらに県央最大の都市・厚木へ向かうのに目の前の海老名で乗換えを強いられるのもマイナスで、小田急側の改良工事に合わせて直通運転の復活(終戦後~S30年代まで行われていた)ができなかったのも、惜しまれる点です。
 相鉄だけではどうにもできない部分もありますが。
 大手の仲間入りをしたといっても(グループ全体で)他社には遠く及ばず、鉄道路線網もJR・東急・京急・小田急各社の支線的な役割に過ぎないのではないか?
 そんな印象を与えるダイヤ構成と見えます。

 今後のダイヤに大きな影響を与えるのは間違いなく、そろそろ開業が視野に入ってきた「相鉄・JR直通線」です。
 相鉄の公式Webサイトに寄れば、開業は2015(H27)年3月予定で、あと2年。
 あくまで勝手な推測だが、JR側の相直の相手は恐らく埼京線。
 新宿折返しの一部を大崎~武蔵小杉~新鶴見経由で貨物線に直通させ、羽沢で相鉄線に接続。
 205系置き換えで今年から投入されるE233系と、相鉄は11000系・10000系が直通運用に入る事になるでしょう。
 二俣川~海老名でも急行運転が行われる事になりそうです。
 さらに昨年認可が下りた「相鉄・東急直通線」は一応、2019(H31)年3月開業を予定。
(実際はもっと先になるだろう)
 東急側の相手は目黒線になりそうで、日吉から新綱島~新横浜を経由して羽沢で接続する事になるでしょう。
 この両線の開業で、いまだローカル色が抜けない相鉄が、真の大手私鉄に発展する事が望まれます。
 ただ、ターミナルの横浜から遠く離れた、しかも主要駅とは言い切れない西谷で分岐(合流)する形態は、営業的にはどう転ぶのだろうか?

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 何度か書いている通り、明後日から27日まで、九州の熊本・長崎に行って参ります。
 JALのMD-90の「お別れ」をしたかったのだけれど、B737になっちゃった…。
(「新鶴丸」のMD-90は、とっくにリタイアしていたのね…)
 それとずっと勘違いしていたけれど、熊本市営バスの終了は今年ではなく、「2016(H28)年4月まで」に行うという事でした。
 ずっとウソを書いていた事になり、ここでお詫びしたいと思います。
 ともあれ、九州の乗り物を存分にエンジョイしたいと思っています。
 ただ、後半の長崎は、天気が良くなさそうで、どうしようか…。
 このため当ブログの次回更新は、帰宅直後の27日(水)になる予定です。

《今日のニュースから》
西表島漂着の南三陸町のポスト 仙台市で公開

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