№844 バスマガジンvol56(講談社ビーシー/講談社)

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「バスマガジン」56号が先月末発売されました。
 続行運転でやってくる船橋新京成バスが表紙を飾っていて、先頭はエアロスター・ノンステップ。

◆ 2012-13 バスの楽しみ方・遊び方AtoZ
 私的な話をすれば、現在のバス関係の趣味は、「撮影」がメイン、「乗車」も意識して行っているが、他の分野、特に「収集」は…難しいですよね。
 資金的なものもあるけれど、それ以上の難関が「収納場所」ではないでしょうか?
 皆様はどうされているか聞いてみたいですが。
 特にかさばって重い印刷物は、日々どうやって整理・保存しようかと、日々頭を悩ませている所です。
 ただ、時刻表などはきちんと保存を積み重ねていくと、後々重要な記録となる事も少なくない。

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 これは1994(H6)年4月の十和田観光電鉄時刻表。
 №680は、衰退が続く十鉄バスをどう維持・再生させるかという視点で書きましたが、それも昔の時刻表を保存していたからできた事です。
 特に地方のバスは後述の井笠鉄道のように、のっぴきならない事態に陥りそうな事業者が少なくなさそうですから、今からでもきちんと記録を残しておく事が、より必要になっているかもしれません。

 撮影に関しては、後の特集記事に関連してか、井笠鉄道や西肥バスの画像が意識的に多くなっているようです。
 バスの撮影は、鉄道や旅客機以上に難しいですよね。
 他のマイカーやトラックと同じ公道を走る事、公式側に建物が並ぶので影を配慮しなければならない事、もちろん一般の歩行者にも配慮しなければなりませんから。
 私は、とりあえず公式側全体が順光、しかも影の影響を受けずに済む場所を探して撮るようにしています。
 なのでアングル的に納得できない部分が出てくるから、場所が限られてしまうのですが。
(特に昼間が短く、しかも影が長くなる今の時期は正直辛いです)

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 コレクションというと、最近のバスのミニチュアは「バスコレ」に集中している感があるようですが、模型店や玩具店に行けば他にも色々あって、特に「トミカ」は最近はご当地物もかなり見かけるのですが、記事が全くなかったですね。
 車種は少ないし、改造が出来ないからでしょうか?
 グッズショップのガイドなどもあれば。
 ミニチュアはまだいいけれど、本物のバスの所有は、一般の人にはやはり難しいのでは?
 そもそもバスは緑ナンバーにしろ白ナンバーにしろ、大勢の乗客を運ぶ公的な使命を帯びて造られるので、マイカー的な保有は考えられていないから。

 どんな分野にしろ、お財布とも相談しつつ、あせらずじっくりやっていくのが良いのではないでしょうか。
 こだわりすぎると続かなくなります。
 私的なバス趣味の進め方として、

1.特に撮影は、バスの事なんて解らないよ、という人にも解ってもらえるような写真を撮る。
 残念ながらバス趣味は、鉄道や航空ほどの大衆性がまだないので、できるだけマニアックには走らず、季節感を持たせたり、風光明媚、そうでなくても「いいシーンだな」と思ってもらえるような写真を意識する。
2.若干矛盾する部分もあるが、記録性にも重きをおく。

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 5年前の横浜市営バスの再編成の時も、集中して写真撮影を中心に記録を撮り、Web上で公開した。

 そう心がけながらブログを書いたり、、本体のWebの方に画像を公開させて頂いていますが、解ってもらえていますでしょうか。

 ところで、関連して「全国乗合バス100選」が、ようやく「再開」になりました。
 2009(H21)年のvol.38以来、3年ぶりになります。
 福井県の2路線でした。 

◆ おじゃまします バス会社潜入レポート vol.56 新京成バスグループ

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 タイトルでは「新京成バスグループ」と呼称していますが、3社とも新京成電鉄100%出資のバス分社で、「新京成電鉄」を持ち株会社として、3社が対等な立場にいると考えてもいいと思います。
 新京成電鉄の創業自体が戦後と比較的最近で、少しずつ延伸を図ってきた鉄道のフィーダーサービスとして、バス路線網の充実も図られてきたといえます。
 高速バスも深夜急行バスもなく、「観光バス」スタイルの貸切もないから地味といえば地味ですが、逆に言えば、団地輸送を中心に、比較的安定した輸送を行えているとも言えます。
 苦しい事は苦しいでしょうが(1990年代に鉄道新線の開業が相次いだ事もあるし)、ローカル線がほとんどないのは強みでしょう。
 分社の際、直前に操車場に格下げ(鎌ヶ谷営業所の傘下)されていた習志野を独立した分社としたのはなぜか?
 船橋側が松戸側と比較して大きくなりすぎるのを避けたのか、習志野市も重視する姿勢を見せたのか。
 車両面では松戸側がいすゞ、船橋・習志野側が日産ディーゼルと、一部例外を除いてはっきり分かれていた印象がありましたが、今後特に船橋・習志野側ははっきり三菱ふそうが主力となるでしょう。

◆ 緊急レポート! 10月、井笠鉄道が倒産!

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 №810で「『鉄道』を名乗り続けるバス会社」として取り上げたばかりだったのですが、前にも少し書いたけれど、先月の半ばになるまで、全く知らなくてお恥ずかしい。
 TVニュースや新聞では報道されたといっても、所詮地方の事業者の話、全国レベルの大問題とはなりえないので、こちらから積極的にチェックを入れていかないと解らないですよね。
 事業廃止に至るまでの経緯が細かく記されているけれど、やはり唐突の印象が拭えない。
 せめて半年位前に事態が明らかになっていれば、井笠鉄道自体の廃業は避けられなかったとしても、もう少し良い方向に持って行けたのではないかと思わずにはいられません。
 中国バスが後を引き継いではいるが、「一般路線の改廃」の表から計算すると、運行本数ベースでは平日54.4%、土曜日56.3%、休日は58.1%と6割近くも削減になり、福山~井原線は幹線のはずなのに平日58便(29往復?)→19便(9.5往復)、土休日は48便(24往復?)→10便(5往復?)と、信じ難い削減になっています。
 全面的に維持されているのは、「まわローズ」のみ。
 この一件を見ると、地方を巡るバス事情は、正直全然良くなっていないというか、ジワジワとだが、ますます悪化してきている感があります。
 もはや特定の路線、一部のエリアの存廃のレベルではなく、事業者そのものが立ち行かなくなっている所がある事が表面化しつつある訳で、バス業界としては、関越ツアーバス事故と並ぶ一大事と受け止められるかもしれません。
 広島県でも有数の都市の福山ででさえ、そもそも井笠を引き受けた中国バス自体が経営破たん、両備グループによって救済されたのはご承知の通りだし、鞆鉄道も労使関係の悪化で、一時期は経営危機もささやかれていました(今はどうなっているのだろう)。
 大手私鉄系や国際興業、両備、いわさき、アルピコ、みちのりといったグループはまだ何とかなるかもしれないけれど、井笠鉄道以上の零細路線バス事業者は全国的に少なくなく、これまで新規参入ばかりが注目された路線バスの世界では、今後は一転、生き残りのためのドラスティックな再編劇が繰り広げられる事になるのかもしれません。
  
◆ 路線バス全方位レポートvol.56 長崎県
 後編は佐世保を中心とした北部と、島嶼部。
 佐世保市営バスは外郭で民間会社を作って一部移譲しましたが、一方で西肥自動車に分社がないのは意外。
 佐賀県の嬉野にも路線を広げているのですが。
 島のバスの写真が、全部載っているのはうれしい。行くのは大変だけれど。
 長崎県の島嶼が福岡指向なのは航空路線のネットワークでも見えていて、対馬・五島福江の場合、福岡へはANAのジェット便があるのに、対長崎はORCのDHC-8便のみ。
(逆に壱岐は福岡に近すぎ、高速船もあるためか福岡への空路はない)

 ヒュンダイ・ユニバースがようやく北海道の事業者にも導入されたそうです。
 韓国の冬は北海道と同等以上に寒いそうなので、耐寒という面ではバッチリだと思っていたのですが、事業者側には若干の懸念もあったようです。
 一冬乗り切れば、北海道でもユニバースの普及が進む事になるのでしょうか。
 特に高速バスでの導入があるか。

「バス・マガジン」誌は硬軟様々な記事が多くて、これはこれで楽しいのですが、少し詰め込みすぎな部分を少々感じます。
 この数年では東日本大震災やツアーバス事故もあったし、今号では井笠鉄道の事業廃止と、突発的な一大事も少なくないから構成的に仕方ない部分もあるかもしれません。
 しかし「連載記事」が3年も休みになるなど感心できない部分もあり、少し内容を整理した方が良い気もします。
 ごった煮だから「マガジン」なのかも知れないけれど。

 当ブログでは、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 なお、当ブログに寄れない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。

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《今日見た・聞いた・思った事》
 笹子トンネルの事故は、世界各国のニュースでも取り上げられるなど、国際的にも波紋が広がっているようです。 道路のトンネル崩落というと、1996(H8)年2月、北海道の積丹半島の国道で中央バスが巻き込まれて乗客・ドライバーが多数犠牲になった事故を思い浮かびます。
 鉄道でも、山陽新幹線でトンネル崩落が相次いで、緊急点検で列車が運休になったという事態もありました。
 外国のメディアでは、笹子トンネルは1970年代の開通で、日本の社会的な基盤の老朽化が進んでいるのではないかという論調が主流のようでした。
 英BBCは「Japan orders tunnel inspections after Sasago collapse」(笹子トンネル崩落後、点検を指示)と、Web版で大きく取り上げています(19時30分現在)。
 原因が色々取りざたされていますが、私はもう少し様子を見たいと思います。
 いずれにしろ早期の復旧・再開が期待される所で、特に中央道高速バスは迂回で大幅な遅延になっているので大問題なのですが、事故が事故なので、時間がかかるかもしれません。
 
《今日のニュースから》
五輪で竹島問題メッセージの韓国サッカー2選手 国際試合2試合の出場停止

 勝利の興奮のあまりついやってしまった事だろう、と思っていますが。

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