№774 成田空港鉄道アクセス改善私案 1.JR

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 1991(H3)年3月に、成田新幹線用として建設されていた施設を利用し、京成線とJR線がターミナル(当時は今の第1ターミナルのみ)直下の新駅に乗り入れるようになった事で、これまで成田空港最大の弱点とされた都心からの交通アクセスが大きく改善された、とされました。

 しかしそれから既に20年以上が経ち、空港そのものも、航空業界も大きく様変わりし、その結果鉄道アクセスにも、より内容の改善が厳しく求められてきているようです。
 特に昨年あたりからは国内線・国際線共にLCCの積極的な乗り入れが進んでいる事、加えて来年夏には発着枠27万回化が予定され、オープンスカイも進む事で、乗り入れ回数が大きく増える事が予想されます。
 そうなれば、国際線中心だから国際情勢や昨年の大震災・原発事故など不測の要因で変動もありうるだろうが、基本的には航空利用者数は増加の一途をたどると、多少甘い見方ですが、そう考えられます。

 その時、現状の鉄道はJRも京成も、20年間で少しづつサービス面の向上は進みつつあるとは認めますが、今後も多様なニーズを持つ航空利用者に、鉄道が対都心のアクセスとして認めてもらえるか、と言うと、国内交通も競争が激しくなる事も予想され、安閑としてはいられないと思います。
 ではどうすればより良くなるか、航空利用者に選んでもらえる空港アクセスとして認めてもらえるようになるのか、それを今回から2回に渡って、本当に簡単ですが私なりに考えてみたいと思います。

 なお、私は観光旅行や、航空便を利用しないで旅客機を撮影するために年に数回利用するだけなので、それこそ月に何度も海外出張だ、という「ビジネスパーソン」等が求めるものとは、かなり違った考え方になっているかと思います。
 その辺はご了解頂ければと思います。
(一度そういう方々の意見もお伺いできるといいですね)


 そもそも、空港アクセス鉄道として、どのようなダイヤが望ましいのだろう?
 実は空港アクセスに限らず鉄道は皆同じはずですが、一応記してみます。

1.もちろん、絶対的に、定時性の確保。

2.高速性。特に成田空港は都心から60㎞以上離れているため、これをカバーするためにも、表定速度は最低でも60㎞/h以上は必要。また一部の列車だけが早いと言うのではなく、(種別毎に)平均して早い事が求められる。

3.フリークエントサービス。待たずに乗れる事。一つ乗り遅れたら次の列車まで1時間以上、というのでは困る。現在、特にJRは日中に本数の少ない時間帯があるが、早急な穴埋めが必要。遠さをフォローする意味でも。

4.航空運航時間帯への対応。搭乗手続き(最近はWebチェックインの普及などで短縮傾向にはあるが、まだカウンターでの手続きが必要な場面も多い)・手荷物検査や、国内線にはない出入国審査に通関の存在を考慮し、逆算してダイヤを編成する必要がある。
 さすがに、ジェットスター・ジャパンの6時00分出発には対応出来ないだろうが。



 今回はJRです。
 参考までに、今年3月17日改正の、東京駅(成田空港行のみ)と、成田空港駅(第1ターミナル)の発車時刻表を作成しましたので、御覧頂きます。

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東京駅

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成田空港駅

《JR線 成田空港アクセス改善のポイント》
.快速に代わる「特別快速」を設定し、低コストの列車の所要時間を短縮
.〈成田エクスプレス〉(以下NEX)は早朝・夜間は運行区間の延伸、加えて特急料金の見直し
.NEX・特別快速を総合して、東京発5時台前半~20時台後半、成田空港発7時台前半~22時台後半に運行時間帯を拡大し、この範囲で最低それぞれ30分間隔運転をめざす


 JRの場合、千葉を大回りするため、営業キロが80㎞近くと長距離になってしまい、これをカバーする意味もあるのだろうけれど、少々NEX偏重になっている感があります。特に快速〈エアポート成田〉に問題があります。

 に関しては、とにかく時間がかかりすぎる。最短で86分だが、東京7時08分発3717F(土休日3565F)はNEX2本の通過待ちもあって100分も要している。表定速度が47.5㎞/hと、ローカル列車並でしかない。
 停車駅の多さに問題があるだろう。元々千葉より先で少なくなかった上に、ローカル列車の代替で酒々井・物井にも停車するようになり、千葉からは事実上各駅停車になってしまった。

 もちろん、成田~成田空港が単線などの全体的な線路容量の少なさや、通勤・通学輸送もあるのである程度仕方がない部分もある。
 しかし、先日運行を開始した京成バスの「東京シャトル」が、東京駅八重洲口~成田空港約1時間10分・800円(今月いっぱいの運賃で、9月以降は早期に購入すると最低1,000円)であり、かつJRの東京駅や成田空港各ターミナル駅のホームが地下にあり、地上の移動が難儀である事も考えると、今後バスに対して競争力を大きく喪失する危険がある。
 今回のバスは京成グループだから「手加減」してくれたかもしれないが、今後、特にLCC利用者目当ての新規事業者の参入も大いに可能性があり(安全性はとりあえずおく)、そうなると、特にアクセスも低価格志向になると思われるLCC利用者は、鉄道を利用してくれなくなってしまうかも知れない。

 また昨年の節電ダイヤのように日中のNEXが全部運休となると、鈍足の「快速」が1時間に1本だけとなってしまい、JRそのものの地位がさらに低下する事になる。
(昨年の韓国からの帰国時、私自身が痛切に感じた事)
 元々遠回りのハンデがあるのだから、これを補うためには高速化しかない。施設的な部分はとりあえずどうにもならないから、運行形態そのものを全面的に見直し、NEXを補完するに足り、安くて適当に早い列車を早急に整備する必要がある。

 提案として、今の快速より上位にくる「特別快速」を設定し、快速を置き換える。
 停車駅を大幅に減らし、所要時分の短縮を図る。
 停車駅は錦糸町・船橋・千葉・佐倉・成田・空港第2ビルを想定。
 大雑把な計算になるが、朝晩は難しいが日中は千葉でのNEXの退避をなくせるので、東京~成田空港では1時間10分程度で走れると見込んでいる。
(表定速度67.8㎞/h)
 東京方の折返しは品川を想定したが、これは東京の地下ホームの線路容量と、東海道新幹線やその他在来線との接続の改善を図るため。
 無論、ダイヤ構成上可能なら横浜・逗子方面への延長も望まれるが、湘南新宿ライン(+相鉄直通列車)もあるから難しいかも。
 
に関しては、JRの強みである広範囲のネットワークを生かし、東京発早朝・成田空港発夜間は運行区間の延長を図る。
 具体的には、東海道線は小田原・熱海・沼津、横須賀線は逗子、中央本線は甲府(竜王)、さらに宇都宮線の宇都宮、高崎線の高崎・前橋方面への延長を検討する。

 料金面では、特急料金がAランクの設定で1,660円とは、やはり少々高いと言わざるを得ない。
 全くのボッタクリなどとは言わないが、現状では東京近郊区間内だけで納まる、(JRの特急網全体の中では)短距離列車でもあり、少なくともBランクの設定で料金の引き下げが望ましい。
 本当はこれでも通常期1,410円と少々高く、できれば京成スカイライナーと同額に1,200円位にはならないか。

については、NEXは原則30分間隔の所、日中の一部で60分間隔となっている所があるが(東京9・11時台と成田空港12時台)、待たずに乗れるという感覚を持って頂く必要があるので、早急に間隔を埋める必要がある。
 特別快速も、輸送量や当面の電力事情をにらむ必要もあるだろうが、運行時間帯は終日1時間に2本(30分間隔)の確保を目指す。
 これは対東京の空港アクセスのみならず、対千葉市や船橋市などの沿線のアクセス対策、あるいは空港と関係ない、例えば東京⇔千葉の都市間輸送も考慮する意味もある。

 またNEXは成田空港発の一番(2号)は7時31分発だが、航空の到着便が通常運用開始の6時過ぎには早々と多数(東南アジアやオセアニア等からの夜行便)到着するため、あと30分は早く、7時台前半には設定できないだろうか。
 夜間も20・21時台が1時間に1本のみ、21時44分発の54号が最終だが、19~21時台にも到着便は多く、国内線にはない入国審査や通関の存在に加え、大幅な遅延が発生する可能性も考えると、少なくとも22時台(出来るだけ後半)までは、最低東京駅まで行く列車の確保が望まれる。
(ちなみに今日は、最終便の到着は中国本土からの3便が所定21時00分の所、台風の影響か皆遅延を発生させている模様。特に北京からのCA421便が1時間20分遅れの22時20分到着予定とされていた)

 東京発も一番の1号は6時18分発だが、一応基本は9時前後の出発には十分対応できるものの、今後一般の国際線でももっと早い時間の設定が予想されるため、あと30分は繰り上げ、都心を5時台に出発する列車の設定が欲しい。そうなると成田空港着が6時台になり、8時台に出発する航空便にも対応できるだろう。

 総合すると、JRの場合、NEXと、新タイプの「特別快速」をいずれも30分間隔で運行、という形態になるでしょう。
 ダイヤのイメージを簡単に作ってみました。

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 なお航空便インフォメーションですが、NEX車内では空港からの出発便の表示が出されましたが、個人的にはどこまで必要かなあとも思います。
 車内の液晶画面程度の規模では、一度に多数の表示は出来ないし。
 やるならむしろ駅構内ではないかとも思いますが、時間が惜しいビジネスパーソンだと、車内でも必要になるのかも知れません。

 それと上では「施設面では当面どうにもならん」と書いたが、実際問題として、特に東京~千葉の快速線は容量が足りないかも知れません。
(快速に特急〈しおさい〉〈あずさ〉等もあるので)
 現在上下同時に退避を行えるのは市川だけで、退避駅を増設する必要もあるかと思います。
 可能と思えるのは錦糸町と津田沼。
 錦糸町は、上りはかつて貨物列車が使っていたと思われる線路の跡が、快速線と緩行線の間に鉄橋ごと残っているので、これを通過線に活用。
 下りも留置線が数本あるので、1線削って通過線として利用できないか。
 津田沼は緩行線の4番線を快速線に転用(または共用)とする。
(緩行線の折返しは引き上げ線のほか、幕張駅を活用する)
 またJR側も、いずれ第2ターミナル駅構内の複線化が必要になるでしょう。

 遠い将来になるでしょうが、NEXのE257系でさえ置き換えの対象となる時点で、もう少し違った特急アクセスの形態を考慮しても良いのではないでしょうか。
 NEXの延伸ではなく、逆に〈踊り子〉〈かいじ〉〈あかぎ〉等の在来の特急列車を、そのまま都心経由で成田空港に延伸する形態に改めるのです。
 諸外国の例ではスイスが理想にかなり近く、ジュネーブ空港駅からは市内だけでなく、ローザンヌを経由してチューリッヒやバーゼル、あるいは南部のリゾートへ行く列車や、一方で近郊ローカル列車が当たり前のように出発して行きます。
 先にも書いたようにJRの強みはネットワークにあり、それを最大限生かした、新しいスタイルの空港アクセス(特に運行形態)のあり方を模索しても良いのではないでしょうか。

 次回は京成について書きます。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

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