最近は鉄道だけでなく、バス業界でもファン感謝イベントの開催が盛んですが、来月16日(月・海の日の祝日)、相鉄バスの二俣川営業所で、「相鉄バス ファン感謝デー」のイベントが開催されます。
バス車両の展示や撮影会、洗車機の通過体験、及び定番ですがグッズや廃品の販売も行われるとの事です。
展示では普段昼間は見られない深夜急行車も展示されるという事なので本当は行きたいのですが、少々微妙…。
ところで、その車両展示で目玉になると思われるのが、一同に介する「旧塗装復刻車」の3台。
相模鉄道時代の2000(H12)年、「バス事業再発足50周年」を記念して、1970年代まで使われた茶色のカラーを復刻、以降12年に渡り走り続けてきました。
旧塗装復刻車は1メーカーで1台ずつ、合計3台導入、横浜〔営〕・旭〔営〕・綾瀬〔営〕に分散して導入されています。
1051 三菱ふそう KL-MP33JM (横浜230い50)
横浜〔営〕に配置、主に横浜市西区や中区、保土ヶ谷区の路線で運用されています。
2053 いすゞ KL-LV380L1 (横浜230あ50)
旭〔営〕に配置、主に横浜市旭区・保土ヶ谷区・瀬谷区の路線で運用されています。
8001 日産ディーゼル KL-UA452KAN (相模230あ50)
綾瀬〔営〕に、海老名市・綾瀬市・大和市の路線で運用されています。
綾瀬〔営〕は2001(H13)年12月、先行して相鉄バスに分社になりましたが、この時には側面の「相模鉄道」は「相鉄バス」と書き換えられて(というか、ステッカーを貼り重ねて)対応しました。
(他2台は分社後も変わらなかった)
3台とも、登録番号は希望ナンバーで「50」を取得しています。
なお日産ディーゼルの8001号車ですが、このカラーが基本だった当時、相鉄では日産ディーゼル車の導入はありませんでした。
そして日産ディーゼル→UDトラックスは事実上バス事業から撤退。
従って旧カラーをまとう、最初で最後の日産ディーゼル車となる公算が大、です。
ところでこの「再発足」の表現はどういう意味?「開業」じゃなくて?と思われる方、多いのではないかと思います。
現在の相模鉄道(本線)は、1926(S11)年に開業した神中鉄道の路線が母体になっていますが、その5年前の1921年、旧相模鉄道が相模川の左岸、茅ヶ崎~橋本間を開業させていました。
この旧相模鉄道は1940(S15)年、田名~橋本・淵野辺間にバス路線を開業、後に他事業者の買収もあって路線網を広げました。
1943(S18)年、旧相模鉄道は神中鉄道と合併して、新相模鉄道になりました。
バス事業もそのまま受け継いでいます。
しかしその直後、太平洋戦争真っ只中の1944(S19)年、国策により旧相模鉄道が開業させた茅ヶ崎~路線は国有化され、旧神中鉄道の路線だけが相模鉄道の路線となりました。
同時にバス事業は神奈川中央自動車(現神奈川中央交通)に譲渡されて、相鉄としてのバス事業は一旦途絶えます。
相模鉄道は1950(S25)年、二俣川~岩井町間で新規にバス事業を開始しました。
それから数えて「50周年記念」という訳です。
この3台のデビューと同時に、バス共通カードも発売になっています。
今は路線がなくなった、神奈川県庁付近で撮影されたものではないかと思われます。
さて相鉄のHPによれば、この3台はついにこの夏、引退する事となりました。
最近の相鉄バスは思いの外若年化が進み(昔はそうでもなかったのに)、12年程度の使用で相鉄バスから退役、他社で再起するケースが増えています。
このイベントが花道になって(イベント後ももう少し営業運行すると思われるが)、次はどの事業者で走る事になるのか、楽しみではあります。
そしてこの3台の引退を、別の視点から見ると、
①首都圏から「20世紀」のバスが終わりを向かえつつある。
②長期排出ガス規制(KL-、KK-)の置き換えがいよいよ本格化。
往年のカラーをまといつつも、当時の最新規制のエンジンを搭載して現れた、20世紀最後の新車の退役は、(少なくとも首都圏では)相鉄のみならず、路線バスの一つの時代の転換点、と言っても良いのかも知れません。
今回は
「週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 大手私鉄07 東京急行電鉄②・相模鉄道」(朝日新聞出版)
「バスジャパンハンドブックシリーズR57 神奈川中央交通」(星雲車)
「バスマガジンvol.50」(講談社ビーシー/講談社)
「年鑑バスラマ1999→2000」(ぽると出版)
を参考にさせて頂きました。
申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
さて、既に本体の方でチョコっと予告しているのですが、実は明日からフランスに行って来ます。
帰国が29日早朝と言う、ヨーロッパ行きとしては超弾丸旅行なのですが、今回はポイントがはっきりしています。
一昨年もフランスに出かけてきて、その時の旅行記も当ブログで記しましたが、あの時はいろいろあってやや消化不良な部分もありました。
特にミュールーズの鉄道博物館と、ピレネーを走る「トラン・ジューヌ」を訪問できなかったのは不本意だったとは、№390で書いた通りです。
今回はその2箇所が目的地になります。
(加えてボルドーにも行きます)
欧州はギリシャに代表されるようにいまだ経済面で動揺が続いていますが、フランスに関しては大統領選挙も国民議会選挙も左派が勝利したばかりだし、少なくとも年金改革反対運動で混乱していた2年前のような事はないでしょう。
「トラン・ジューヌ」も、少なくともトーマス・クックのタイムテーブルでは運行される事になっているし。
ミュールーズでは博物館に加え、前回訪問の直後に開通したLRTの新路線も見てきたいと思います。
この旅行のため、次回更新は日本帰国の29日(金)となる予定です。
「JTB時刻表2012年7月号」「バスラマインターナショナル」等は来月書きます。
《今日のニュースから》
ウォルフスブルグ・長谷部誠選手 岩手県大槌町で幼稚園児とサッカーで交流
ではしばらくの間、失礼します。
この記事へのトラックバック