№691 「さよなら苫小牧市営バス」と函館の旅 2.雪交じりの青空の下、市営バスを追う

 今日は苫小牧市営バスについて書きますが、昨日今日の苫小牧市は例の「爆弾低気圧」の影響でやはり風がすさまじかったらしく、昨日は最大瞬間風速15.5mを記録したそうです。
 新千歳空港も航空便の欠航が相次いだとか。
 JRの運行状況は調べていないのですが、明日書きますけれど、苫小牧からの室蘭本線もおそらくほぼ全面運休だったでしょう。
 後で書くように、訪れた時の苫小牧は時折曇りがちになって撮影にはやきもきする事になるのですが、昨日今日に比べたら全然ましでしたね。
 何しろ苫小牧に着けたかどうか、苫小牧から出られたかどうかさえ解らなかったわけですから。

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 3月26日(月)
 朝起きて部屋の外を見ると…青空!
 とりあえず行けそうと、朝食もそこそこにチェックアウト、凍りつく地面に何度も足を滑らせながら、最後の市営バスの撮影に向かうのでした。

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 今朝はまず、今まで行った事がない北口に行ってみました。

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 苫信北央代理店前バス停は、フライング気味にバス停の表記が「道南バス」になっていました。
 路線図も4月1日からとなっています。
(基本的には市営バスと変わらないが、樽前ガロー線は後述するが予約制バスに移行する)
 この先もいくつかのバス停で、道南バス表記になっている所があります。

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 雪晴れの中、旭大通を駅北口に急ぐ市営バス14系統。

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 苫小牧駅北口のバス停。
 主に、03系統(鉄北北口線)が発着、朝ラッシュ時の交通部方面行は10分間隔でやってきます。

 今回、市内の各地で撮影した苫小牧市営バスの車両の画像については、先日の本体の更新時に新規公開していますから、そちらをご覧いただければと思います。

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 苫小牧駅前のショッピングセンター「EGAO」にある、道南バスの乗場。
 案内所もありますが、4月1日より市営バスターミナルに移転しています。
(あつまバスは残留との事)

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 その市営バスターミナル。
 以前もご覧頂いたと思いますが、改めて観察してみたいと思います。

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 3面あるプラットホーム。
 真ん中に横断歩道があり、信号で渡ります。

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 屋内にある、窓口と時刻表。

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 暖かく過ごせる待合室。
 後方には売店があり、コーヒーなどの喫茶も楽しめるようでした。

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 バスターミナルには、外からも入れます。

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 ターミナルとは道路一つ隔てた、市営バスの待機場所。

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 市営バスの行先表示から、「交通部行」。
 道南バス譲渡時に「苫小牧営業所」と改称されています。
 道南バスは以前から独自の苫小牧営業所があったはずですが、交通部の場所に統合されているようです。

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 国道36号「室蘭街道」を走る市営バス。
 東西に長い苫小牧市内では、東西を貫く国道36号線と、道道781号線、2本の幹線道路を軸に市営バス路線網が展開されていました。

 それにしても3月後半とはいえやはり冬の北海道という事なのか、ひたすら青空が続くという事はなく、時々黒い雲がサァーっと遠くから流れてきて太陽を遮り、時には小雪まで舞いました。
 撮りたかった車両を撮れなくて残念、という事もありましたが、天気の事は仕方がないですね。

 それでは、いよいよお別れ乗車です。

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 市営バスターミナルの窓口で販売していた「とまっぴーカード」。
(なぜか表面には「とまっぴーカード」の名がない)
 500円券で550円分利用可能。

 どの路線に乗ろうかと考えて、糸井地区の樽前山の麓にいくつかある小規模な住宅地に行く路線から、16系統(宮の森団地線)の宮の森団地行を選んでみました。
 1時間に1~2本程度の運行。

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 13時20分発は321号車で、国際興業。
 なお乗車時にはカードリーダーはなく、とまっぴーカードでも整理券を取る必要があります。
(今の道南バスでも同じはずです)

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 車内の錦西樽前ガロー線の案内。
 市営バスは基本的には全路線道南バスがそのまま引き継ぐ事になりますが、43系統(錦西樽前ガロー線・錦西営業所~北樽前)のみ、事前に登録をした利用者が予約して利用するという形態に移行する事になります。
(ルートが多少変わる。実運行は道南バス委託らしい)

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 国道36号線を走行、時々右手前方に樽前山も見えます。
 大都市のバスだと駅から遠ざかるに連れて乗客がどんどん減っていくものですが、この路線の場合、途中のバス停からの乗車も目立ち、大都市にはない、「系統の中のコミュニティ」みたいなものがあると感じました。
 呉市営の、特に音戸へ行く路線でも感じた事ですが、地方の公営バスは地域密着性が高く、大都市の目線だけで公営の良し悪しを語るのはフェアではないなとも、少し思い直しました。

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 終点の宮の森団地。
「団地」といっても、一戸建て住宅が立ち並ぶ小ぢんまりした住宅地です。
 降車専用バス停で乗客を降ろした(といってもこの便では私だけ)バスは、奥の回転場でUターンし、右手に見える乗車専用バス停より苫小牧駅に帰っていきます。

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 その回転場。バス停から徒歩3分程度。
 この間にも住宅があるので、ここまで営業運行にしても良さそうな気もします。
 この回転場の先には住宅はなく、道央自動車道が走っています。

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 その途中にある念法寺。

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 宮の森団地の入口にある、糸井川神社。

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 道道781号線「苫小牧環状線」を行く市営バス。

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 本当の「お別れ乗車」の時が来ました。
 10系統(グリーンヒル団地線)の苫小牧駅行に、温水プール前バス停から乗ります。
 この系統は平日のみ4往復運転で、14時43分発のこの便は、なんと苫小牧駅行の最終便。
 70号車は市営オリジナルで、最後にオリジナル車に乗る事ができました。

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 その車内。
 床は木板です。

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 座席には苫小牧市のキャラクター「とまっぴー」が描かれていました。
 市営バス車両は、道南バス譲渡後も当分は市営バスカラーで走るという事ですが、いずれ緑系の道南カラーに変わっていくのでしょう。
 そうなった時、「とまっぴー」の座席が、市営バスだった名残を伝えていく事になるのでしょう。

 苫小牧駅に到着した時点で、市営バスとはお別れになりました。
 駅到着間際の
「苫小牧市営バスは4月1日より道南バスが運行します。61年間ご利用ありがとうございました」
の(自動)アナウンスがちょっと哀しい。

 苫小牧はどうしても王子製紙を中心とした工業都市というイメージが強いのですが、北海道ゆえ探せばローカル色濃く、自然が豊かな場所もふんだんに残されているようです。
 他都市もそうですが、もっと数多く訪れて市営バスに乗っていればと、ちょっと後悔も感じます。

 今後ですが、当分同じ道南バスでも市内線と在来の郊外線(静内や登別等へ行く路線)の2制度が堅持されるのでしょうが、いずれは統一が図られるのでしょう。
 関連して、特に苫小牧駅周辺では同じ場所でも市営バスと道南バスで停留所が異なっている所がいくつかあり、いずれは整理が求められます。

 これで3月をもって民営に譲渡された明石・呉・苫小牧各市営バスへのお別れの旅は終わりました。
 しばらくは市営バスのイメージが残るでしょうが(特に苫小牧市は)、5年後、10年後にはどう変わっているのでしょうか。
 後を次ぐ民営バスにも、市営バスの志を受け継ぐ市民サービスの維持・向上を期待します。

 この後は函館に向かいますが、洞爺まではローカル列車、その先は<スーパー北斗>で行く事になります。
 それについては次回。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

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《今日見た・聞いた・思った事》
「イエローキャブ」で有名なニューヨークのタクシーが全部日産車に置き換わる事になるのだそうで、試作車がお披露目になりました。
 ミニバンをベースにしていますが、ウリは天窓が設けられ、乗車中摩天楼を仰ぎ見る事ができるのだそうです。
 天窓といえば、先月運行を開始した墨田区内循環バス「すみまるくん」のポンチョにも設けられてスカイツリーを眺める事ができますし、新宿を走る京王の「WEバス」にもあります。
 また屋根のないオープントップバスも増えつつあり、西鉄で運行を開始したというのも話題になっています。
 富士急の「KABA」やはとバス、日の丸自動車興業等もありますね。
 これからは「車内から上空を仰ぎ見る」というのが、日本でも海外でも、乗り物のちょっとしたブームになるのかも知れません。

「心理的に断れない状況を作らない」、日本の場合、これが一番重要だと思います。
《今日のニュースから》
大学生のイッキ飲み防止 東海大学で酒の飲み方を指導

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