約2ヶ月ぶりになった「私鉄の車両シリーズ」、前回(西武101系)の予告通り、今回は京王井の頭線の1000系です。
昨年末に3000系を完全に置き換え、井の頭線はついに1000系に統一されました。
京王電鉄の営業車両は1000系に加えて京王線の7000系、8000系、9000系と、20m4ドア車で統一された事になります。
1000系は、1996(H8)年より製造された通勤車である。
井の頭線では3000系以来33年振りの新系列となった。
特定都市鉄道整備事業により、井の頭線では施設を改善した上で車両の大型化により輸送力の増強を図る事になり、1000系は井の頭線初の20m4ドア車となった。
京王線8000系を基本とした軽量ステンレス車体だが、幅を広く取り、裾絞りの形状としている。
軽量化のため戸袋窓は廃止した。京王の4ドア車で戸袋を廃止したのは初めてである。
前面は3000系のイメージを残した普通鋼製で、上半分は「レインボーカラー」、下半分はシルバーメタリックに塗装されている。
制御装置は井の頭線初のVVVF制御となり、1C4Mの制御装置(素子は編成によりGTOとIGBTの2種)が180kwの三相かご形誘導電動機を制御、MT比2M3Tとなった。
T車の1500形にもパンタグラフが設けられている。
座席は8000系同様のバケットシートとし、一人当たりの幅を440㎜としている。
化粧板はアイボリー系、床はラインが入った柄入りブラウン系も8000系と同様。
1700形に車椅子スペースが設けられている。
2003(H15)年製造の3次車では、京王線9000系をベースに小改良が施された。
MT比が3M2Tとなり、新設計のIGBT-VVVF制御装置を1100形(1C4M)及び1000形(1C8M)に搭載した。
また、京王初の滑走制御装置を設けている。
パンタグラフはシングルアームを採用、運転台は高運転台となった。
(シングルアームパンタは後に、1~2次車でも交換の上使用されている)
車内では座席幅を1人あたり450㎜に拡大、仕切り板と共に3-4人の区分を兼ねた仕切り棒を新設した。
またドア部に車内案内表示器やドアチャイムを設置している。
車端部の荷物棚やつり革は低い位置に配置した。
3000系完全置き換えを目的に2008(H20)年より製造された5次車では、外観が大きく変わり、20番台が付与された。
先頭部の行先・種別は先頭部の曲面にあわせた形状となり、側面と共にフルカラーLEDとなった。
側面はビードレス外板としてすっきりした外観になっている。
主電動機は160kwとやや出力が下げられた。
運転台ではモニター装置としてATIが採用されている。
車内ではバリアフリー化がさらに推進され、つり革や荷物棚の位置が見直された。
ドア上部には液晶ディスプレイが設けられている。
またUVガラス採用によってカーテンが省略された。
レインボーカラー7色の内、ベージュはオレンジベージュに変更され、4次以前の編成にも波及した。
2011(H23)年までに5連×29編成、合計145両が日本車輛及び東急車輛で製造され、同年12月に3000系を全て置き換え、井の頭線は全列車1000系の運行に統一された。
ところで京王では、井の頭線の1000系(VVVF制御車両)への統一により、井の頭線では30%の省電力を実現をしたと、積極的にPRしています。
このような広告は過去に例があまりなく、大震災・原発事故以降の慢性的電力不足をにらんだものであるのは間違いない事です。
【編成】
←渋谷方 吉祥寺方→
Tc1 1750 - *M 1100 - *T 1500 - *M 1000 - Tc2 1700 (1~2次車)
Tc1 1750 - *M 1100 - *M1 1050 - *M 1000 - Tc2 1700 (3~6次車)
【1000系のレインボーカラー】
前述のように、5次車からベージュはオレンジベージュとなり、4次以前の編成にも波及しています。
①ブルーグリーン
1701F・1708F・1715F・1722F・1729F
②アイボリーホワイト
1702F・1709F・1723F・1730F
③サーモンピンク
1703F・1710F・1724F・1731F
④ライトグリーン
1704F・1711F・1725F・1732F
⑤バイオレット
1705F・1712F・1726F・1733F
⑥オレンジベージュ
1706F・1713F・1727F・1734F
⑦ライトブルー
1707F・1714F・1721F・1728F
今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1996年10月臨時増刊号 新車年鑑1996年版」
「鉄道ピクトリアル2003年7月臨時増刊号 【特集】京王電鉄」
「鉄道ピクトリアル2003年10月臨時増刊号 鉄道車両年鑑2003年版」
「鉄道ピクトリアル2009年10月臨時増刊号 鉄道車両年鑑2010年版」
(いずれも鉄道図書刊行会)
「私鉄新型車両コレクション」(交通新聞社)
「週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 大手私鉄17 京王電鉄」(朝日新聞出版)
を参考にさせて頂きました。
次回のこのシリーズは、営団地下鉄千代田線直通用に製作された、小田急電鉄の9000形を取り上げます。
意欲的な車両でしたが、本来の役目に充当された期間は意外に短く、5000形より6年も早く姿を消しています。
申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
《今日のニュースから》
東京電力新会長 下河辺和彦氏 就任要請を受諾
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