№616 駅の時刻表から見る 私鉄ダイヤの変遷 1.京成上野駅(後)

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 京成電鉄上野駅の時刻表から京成のダイヤの変遷を振り返ってみていますが、前回は1998年11月18日の改正までを振り返りました。
 後編の今回は、21世紀に入った2002年10月12日改正からです。
 京成はこの後、空港アクセスがらみで大規模な改正が繰り返される事になります。 

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 2002(H14)年10月12日改正は、新種別の設定やダイヤのパターンの変化など、大きな動きが見られました。
急行に代わり、新たに快速を設定。
 停車駅が大幅に削減されたため、新しい種別が用意されたのでしょう。
(押上線内は急行が残る)
●通勤時間帯に通勤特急が復活。
 今回は勝田台~成田方向が各駅停車になり、上りは朝方に成田方向→上野行、下りは夜間に浅草線方面→成田方向が設定され、特急を補完する事になる。
●ラッシュ時の上りは、従来の「特急急行普通の10分サイクル」→「特急普通特急普通通勤特急普通」の20分サイクルになった。
●押上線八広駅の待避線設置で、北総線からの特急の設定が実現。
急行の格上げ。青砥で上野行通勤特急と北総線からの特急が相互に接続)
●羽田空港~成田空港間の直通特急は取り止めになり、快速が浅草線からエアポート快特になって羽田空港へ向かう事になる。
(下りのみ羽田空港→成田空港の快速を設定)
 なお、この後27日に芝山鉄道・東成田~芝山千代田間が開業しますが、12日改正で織り込み済みでした。
 日中は京成成田~芝山千代田の折返し運転が基本になります。

 2003(H15)年改正では、<スカイライナー>の内、下り1・3号以外が全て成田停車になりました。

 2004(H16)年改正では、夜間の下りで、特急・通勤特急の一部が浅草線内を「エアポート快特」として運転する事になりました。
 とはいっても羽田空港から京急線内は急行であり、「エアポート」とはついていますが、むしろ浅草線沿線からの帰宅の便を向上させたものではないかと推測されます。
 上野口では<モーニングライナー><イブニングライナー>の増発が行われました。

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 2006(H18)年改正もまた、かなりの変化がありました。
快速特急を設定。
 といっても停車駅はそれまでの特急と同じで、在来の特急は佐倉から先を各駅停車にしている。
 成田行だった快速は佐倉で折返し。
 快速特急は、当初は京急と同じく「快特」と呼んでいましたが、京成には「快速」があり、語呂が似ていて紛らわしいため、すぐに「快速特急」と呼称するようになっています。
 日中の特急の停車駅増は列車統合のためで少々弱気と思いましたが、以前の特急も成田空港付近の線路容量から、元々成田で長時間の時間調整を強いられるケースが多かったからかも知れません。
●上野では夕方の快速急行)が減少傾向にあったが、この改正で高砂行の快速が設定され、浅草線からの快速特急通勤特急に接続する。
<スカイライナー>は大半が船橋にも停車(下り1・3号は通過のまま)。
●新京成線から千葉線への直通運転が開始。
 これに伴い、上野からは日中の千葉中央行普通が津田沼折返しになっています。
 新京成からの直通は、2009(H21)年2月14日より、時間帯を拡大しています。

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 そして、2010(H22)年7月17日改正は、「成田スカイアクセス」開業という、歴史的なものになりました。
●新AE形による<スカイライナー>が毎時2本設定、日暮里~空港第2ビルはスカイアクセス経由で160㎞運転を実施、最速36分。
●AE100形使用の船橋経由の有料列車は<シティライナー>と改称、日中を中心に1時間に1本の運行。
 停車駅に青砥を追加。
●スカイアクセス経由のアクセス特急は、朝方~昼間は浅草線に直通し、日中は羽田空港まで運行。
 羽田空港~成田空港の直通が復活した。
 夕方は上野発着となり、青砥で浅草線からの快速特急通勤特急と接続。
 なお、金町線は高砂駅が単独で高架化したため本線とは分断された状態となり、終日線内折返し運転に変更。
 上野口の普通は金町行→高砂行に変更している。

 そして今もなお、このダイヤが踏襲され、現在に至っているわけです。
(ただし震災後の節電のため、<シティライナー>の大半が現在も運休)

 こうして見ると、この20年の京成のダイヤは、間違いなく成田空港、加えて20世紀後半には羽田空港の動向も大いに影響を受けている事がはっきり見て取れます。
 それにしても、京成上野の発着本数は、大手私鉄としてはあまり多くはない。
 今の平日ダイヤで、京成上野を発車する列車は、

スカイライナー 26本
シティライナー 7本
イブニングライナー 8本
アクセス特急 6本
快速特急 4本
特急 28本
快速 10本
普通 149本
合計 238本

となり、例えば西武池袋線池袋駅の337本、小田急小田原線新宿駅の336本と比べたら100本も少ない。
 アクセス特急が設定されるまでは夕刻下りの優等列車が比較的足の遅い急行快速ばかりで、しかも一時は減少傾向にあったわけだし、日中も半分は普通列車なのだから、近場のローカル輸送はともかく、ちょっと足を延ばした輸送には、あまり利用されていないという事なのでしょうか。
 長距離の通勤・通学輸送は浅草線直通が主力なのは、昔も今も変わらないようです。

 今後は、通勤輸送が正直頭打ちになるのではないかと思われ、やはり空港アクセス輸送の充実が、今後の京成電鉄の命運をにぎるでしょう。
 どこかで別に空港アクセスについて考えを述べる機会があればいいですが、取り合えず2点。

1.スカイライナーは早急に完全20分間隔運転の実施の検討を。上野からだと6時台前半~20時台前半までは設定が欲しい。
2.シティライナーはやはり中途半端。一方で船橋など短時間で空港へいけるアクセスを求める声も大きいはずで、これには<モーニングライナー><イブニングライナー>及び快速特急特急を統合した上で、名鉄・南海のような、特別車と一般車を連結したタイプの編成の運用が有効。

 まあ空港アクセス輸送は、特に成田は国際情勢など旅客の利用を左右する事象が多くて多少不安定だったりもしますが、LCCの乗り入れもあって利用者が増えていくのは間違いないでしょう。
 是非それらの利用者の期待に応えられる空港アクセスダイヤの充実を図り、世界に誇れる京成電鉄を目指して欲しいと思います。
 もちろん通勤電車もね。
 京急線の蒲田の高架化が完成した時点で、一度関係する全線で白紙改正をやった方が良いと思います。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

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