イタリアの大型客船「コスタ・コンコルディア」の座礁・転覆事故から1週間が経とうとしています。
犠牲者が11人、まだ行方不明者が20人程度いるようですが、横倒しになった船が徐々に深みにはまりつつあり、救助活動は相当な困難に直面しているようです。
遠いよその国のメディアに触れて見るだけなので、本当の所はまだわからない部分も多いのですが、とりあえず直感的に感じた事をいくつか記してみます。
以前「この手の豪華客船は趣味じゃない」と書きましたが、クルーズ船ではないが、ある程度豪華なフェリーは利用した事がありました。
周遊型ではなく、都市間を結ぶ定期航路でした。
1999年7月3日に搭乗した、ヘルシンキ発ストックホルム行の、シリアライン社(今は吸収合併によりタリンク・シリアライン)の「シリア・セレナーデ」。
総トン数58,400tといいますから「コスタ・コンコルディア」の半分程度なのですが、ヘルシンキ港で初めて見た時は驚きで、「他の者も、その巨大さに圧倒されるだろう」とメモに記していました。
都市間フェリーではありますが、船内もバイキングスタイルを初めレストランがいくつもあり、ブティックもあり、エンターテイメントも充実、カジノさえあり、加えてフィンランドらしくサウナまで完備していました。
部屋自体は、私はコンパートでは一番安い部類に入るクラスで、日本のビジネスホテルと同等位と思いましたが、それでも充分だったと感じました。
他にも日本人の利用が多く、このフェリーを目玉にした日本発ツアーも探せばあると思います。
「コスタ・コンコルディア」がどの程度の設備を誇っていたのかは解りませんが、私には「シリアライン」のレベルでも充分楽しめました。
(片道12時間程度の所要時間だった事もあるのだろうが)
今回の事故の遠因として、客船自体の巨大化競争が上げられています。
10万超t級の大型客船が競って建造されているのだとか。
(日本で最大のクルーズ船は「飛鳥Ⅱ」だが、5万t強というから「シリア・セレナーデ」よりも小さい)
この現状は、たくさん乗客が乗れるようになるから運賃の引き下げにはつながるが、安全上の問題も大きいと指摘する声があります。
「コスタ・コンコルディア」では約50,000円のコースがあるそうで、超円高という事もあるが、成る程思ったよりはリーズナブルなんだなとは感じました。
これを聞いて思い出したのが航空業界の歴史で、元々は高値の華だった旅客機の旅が、B747ジャンボジェットの就航で運賃が引き下げられ、一気に大衆化したというものでした。
エアバスA380も就航し、まだ未知数の部分も多いとはいえ、近距離のみならず長距離の旅でもLCCを初めとして運賃の引き下げが行なわれるのかも知れません。
(SKYがいきなりA380を導入するのも、それが狙いだ)
ただ、それらの大型の乗り物がひとたび大事故を起こせば、犠牲もただならぬ事になります。
1985年8月12日の日航ジャンボ機墜落事故は今更いうまでもないし、その前の1977年3月にはスペイン領カナリア諸島のテネリフェ空港の滑走路上でジャンボ機同士が衝突、史上最悪の583人が死亡する大惨事も起きています。
今回の「コスタ・コンコルディア」は幸い陸から近かったからかなりの乗客が救われましたが、陸から遠い洋上で同じような事故が起きたら、こんな幸運はないでしょう。
避難・誘導の体制もキチンと整備するのは難しくなるのではないかと思われ、これから建造される旅客船は、少なくとも10万t以下には押さえるという事を、この機会にはっきり国際法で決めてしまうという事も考えられるべきなのかも知れない。
よほどの金持ち・富裕層でなければ、そんなにデカクなくても充分楽しめるだろうと思うし。
後は、この船の船長。
船から真っ先に下りて、沿岸警備体長に怒鳴られている交信記録も公開されました。
申し訳ないのだけれど、何だかイタリアらしいよなあって思ってしまいました。
ちなみに日本ではかつては「船長は他の全乗組員が去った後でなければ退去してはならない」と船員法で規定されていたそうだが、1970年に相次いだ貨物船の事故で船長が共に殉職した事で、規定が削除されているそうです。
とはいえ、まだかなりの乗客が残っている内に船を捨てて逃げ出すというのは、 …本当の所はどうだったのか、もう少し見極める必要はあるだろうが… やはり船長としての資質を疑わざるを得ない。
(軟禁状態の船長の姿をそのまま映す現地の報道振りも、日本とはえらく違うと思ったが)
それと、日本的に考えれば、当然運行会社 … コスタ・クルーズ社というそう … の責任も問われるでしょう。
この事故の構図は … 乱暴だけれど、先の福知山線の事故に似ているかな。
報道を見る限り、通常のコースを大きく逸脱して就航していて、船長の判断がどうだったのか、いずれにしてもはっきり人災という印象が否めない。
ここでは船長が生存しているので直接話を聞く事になるだろうが、船会社も普段の運行体制を把握できていたのか、船長の資質は解っていたのか、当然調べられる事になるでしょう。
経営陣の責任はどうなるのか? … 先日、JR西日本前社長への判決があったばかりだから、よりそう感じるのでしょうが。
いずれにしろ、何度もしつこく言ってきている事ですが、どうか全ての乗り物が … 客船だって、クルーズ船も、島への渡し舟も … 事故なく穏やかに運行される事を改めて望みます。
申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
近鉄が3月20日(火・祝)のダイヤ改正の概要を発表しました。
やはりかなりの減便があり(京都線が一番きつい?)、他にノンストップ特急の全列車津停車、大阪線快速急行の区間快速統合と停車駅の変更、区間準急の設定などが目につきます。
ただ、実際に時刻を見ないと解らない部分も多くありますので、来月発売の時刻表を入手してからより詳しくチェックしてみたいと思います。
(阪神・山陽も発表あり)
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《今日見た・聞いた・思った事》
昨日の記事をUPした直後にBS-1「World Wave Tonight」を見ていたら、タブレット端末が航空や医療の分野にも進出しつつあるという、アメリカからのレポートがありました。
航空では(アメリカン航空だった)、マニュアルや航路図、世界各地の空港の情報が薄い端末に収まっていました。
かつては重い紙のマニュアル類の分冊を何冊も持ち歩くため、ギックリ腰になるパイロットもいたのだそう。
セキュリティの問題もあるが、今後さらに普及が進むだろうとの報告でした。
ちなみに日本でもANAがまずCAに「ipad」を持たせてマニュアルを電子化、今年4月には全CAが携行する事になるのだそうです。
(2011年9月20日のプレスリリースより)
一方、フィルムメーカーのコダックが経営に行き詰まり、連邦破産法11条(通称「チャプター11」)の適用を申請したというニュースもありました。
世界で初めてカラーフィルムを発売するなどカメラの普及に貢献したものの、デジタル化に乗り遅れた事で経営の悪化に歯止めがかからなかったというのが理由です。
未だにアナログフィルムで撮影し、紙の書籍を大量に買い込んでデスクトップのPCを使っていて、しかもタブレットどころかPHSさえ持たない私は、もはや時代の流れから取り残されつつという事なのでしょうか。
とりあえずタブレット端末は必要なのかなあ…。
関東はカラカラ天気がようやく終わったと思ったら … 雪。
戸塚は、午前中は屋根に薄っすら積もるレベルでした。
関東はまだいいですが、アメリカやロシアは想像を絶する寒波らしい。
再来年冬季五輪を開催するソチでは、寒波の最中停電が相次いでいるそうです。
大丈夫 … ?
1996年の党名改名時(実際は分裂・民主党への多数の合流があった)の村山富市元首相から土井たか子氏を経て、9回連続の無投票だそうです。
「民主でも自民でもない第3勢力の受け皿作り」といっても肝心の自身の組織が活力を大きく削がれている状態で、実際には党存亡の危機にさらされた、背水の陣という所ではないでしょうか。
《今日のニュースから》
社会民主党党首選 福島瑞穂氏が5回目の当選
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