№601で書いたとおり、JRグループは16日に来年3月17日(土)のダイヤ改正について発表しました。
その中で、JR西日本の広島近辺の在来線では、夕刻の「通勤ライナー」を(呉線を除き)全て普通列車に格下げした上で普通列車を削減、日中も広島~岩国間の一部が大野浦折り返しになるなど、また削減が進められる事になります。
私は前回まで連載していた西日本旅行の中で広島も訪れ、呉線に乗ってきましたし、その前3月にも広島に入りました。
さらにそれ以前も何度か広島を訪れているのですが、どうも来る度に、広島のJR線は元気を失ないつつあるように思います。
山陽地方最大の都市でありながらどうした事なのか?
簡単になりますが、私なりに広島のJR線はどうあるべきか、ヨソ者の立場でおこがましいのですが少々考えてみました。
まず、最大の問題は車両かと思います。
広島地域では山陽本線や呉線では113系や115系、可部線では105系、芸備線ではキハ47系が主力になっていて、つまりはいわゆる「国鉄型」が大半になっています。
JRになってからの車両は芸備線のキハ120形のみで、電化区間にはJRになってからの車両は全く入っていません。
(キハ120形にしても小型車両で本来はローカル線向け、広島口では2往復だけで車両基地への出入の性格の方が強い?)
ちなみにJRがスタートした1987(S62)年4月1日現在で、政令指定都市は札幌・仙台・横浜・川崎・千葉・名古屋・京都・大阪・神戸・広島・福岡・北九州の各市がありましたが、その中でこの四半世紀の間、電化区間でJRになってからの新車が入っていないのは広島市だけです。
広島市はJR西日本エリアでは、近畿圏「アーバンネットワーク」以外で最大の都市であり、広島駅もアーバンネットワーク以外では最大の乗降人員があるのに、これはどうしてなのでしょうか。
おなじJR西日本でも金沢などでは新車も入りつつあり、小浜線みたいなローカル線にさえも入っているのに。
更新改造を行なっているとはいえ皆30年以上経って老朽化が進みつつある上、昨今の電力事情を考えれば消費電力が多く、さらに原発事故の避難区域設定によって表面化した「整流ブラシ」の確保の問題も考えると、残念ながらそういつまでも国鉄型を使い続ける訳にはいかないのではないでしょうか。
やはり225系クラスの近郊型(あるいは321系か、これをベースにした通勤型)の早急な導入が望まれる所です。
いきなりそこまでは無理としても、せめて近畿圏から207系を転入 - 3連+4連の分割編成は、近畿圏では意味を失っているし - させる位の事はあってもと思います。
(ロングシートがいいかどうかは置く)
芸備線にしても、姫新線のキハ122・127形のような新型の導入が必要でしょう。
もう一つはダイヤの問題。
広島では国鉄時代の末期、1982年11月に「ひろしまシティ電車」の試みが始まり、広島~岩国間で普通列車を15分間隔(ただし1時間に1本は大野浦折返しだった)で運転するなど、地域密着型のダイヤに転換させていきました。
民営化後しばらくは増発が続き、一時は10分間隔にまで増強された後快速電車「シティライナー」も設定されたりしたのですが、2008年以降は快速は削減が続き、代替の普通列車も設定されないまま、2010年には日中の快速は全て廃止になります。
現状の広島~岩国間は「ひろしまシティ電車」スタート当時のレベルにまで戻ってしまっています。
西条方面も似たような状況で、せいぜい高速バス「クレアライン」との競争がある呉線が「安芸路ライナー」を増発させている程度か。
しかし呉線が単線である事もあり、「安芸路ライナー」も1時間間隔にまで削減。
次の改正では再び30分間隔に戻るものの、今度は普通列車が1時間間隔になってしまう事になっています。
確かに沿線は近畿圏や首都圏と違って人口の密集もなく、特に西条側は山間部だから人口も少なくなって、今の1時間に普通4本というのも、実態に合っているとは言えるかもしれない。
ただ、次の改正では夕方の帰宅時間帯にまで削減が及んでしまっていて、これ以上削減をやってしまうと、それ以上に乗客の逸走を招く心配があります。
まずは、次の2012年3月改正以降は、どの路線でもこれ以上の本数の削減は行わない事。
広島~岩国間については、できれば普通列車の利便性を確保した上で快速の復活を検討すべき事。
この区間は普通列車でも最速50分で走っていて、740円。
高速バスの1時間07分で900円に比べればそれでも優位だが、高速バスが広島バスセンター発着で、錦帯橋を経由する事も考えると、安泰とはいいがたい。
広島に限らないのですが、主要都市間における快速電車の整備・高速運転によるフリークエントサービスが、他交通機関に対する鉄道の競争力を高めるのではないかと考えます。
(「アーバンネットワーク」の新快速が良い例)
無論西条方面も同じく快速の復活が望まれますし、呉線も、快速運転を維持した上でさらに普通列車の運行の確保が必要でしょう。
芸備線の広島~三次間も、今一度「みよしライナー」の整備が求められる所です。
加えて一つ提案したい事があります。
岡山~広島間の「新快速」の設定。
この前№595で岡山→広島のJR普通列車の乗り継ぎについて書きましたが、この時は2時間48分かかりました。
運賃が2,940円で、直行の高速バス(2時間25~30分・2,800円)に劣る事になります。
そこでこの区間に停車駅の少ない「新快速」を1時間間隔位で走らせる事で、競争力を高めます。
勝手な想定ですが、途中倉敷・新倉敷・笠岡・福山・尾道・三原・白市・西条・海田市の停車で、約2時間20分を見込んでいます。
もちろん実際にどれだけ利用があるかというのは考えなければいけないのですが、逆にこういう列車を設定する事で、新たな需要を喚起するという事も、考えられていいのではないでしょうか。
需要の後追いだけでは、ジリ貧は避けられないので。
広島のJRの今後のあり方について、少々考えてみました。
無論課題は他にもあり、運賃制度や他交通機関(広島なら広電やアストラムラインなど)についても考えなければならないのですが、とりあえず「車両」と「ダイヤ」が鉄道の華でもあり、最大の商品だと思います。
今の広島エリアのJR線は、この両方共に、他地域や他交通機関と比較して見劣りしている状態にあります。
何とか少なくとも維持、そして改善・向上を図らないと、高速バスなどとの競争力をさらに失って、広島の交通網の中の地位の低下につながってしまうのではないでしょうか。
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《今日見た・聞いた・思った事》
今日は冬至です。
皆様、銭湯には行かれましたか?
今日は「ゆず湯」ですよ!
今日訪れた川崎市の銭湯については、何とか今年中には取り上げたいと思います。
これが正式に建設となると、JR吾妻線の川原湯温泉付近のルートが変更になるのですが、まだまだひと波乱ありそうな状況です。
《今日のニュースから》
八ッ場ダム 国土交通省が事業継続の方針を決定
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