№558 私鉄の車両シリーズ99 伊予鉄道3000系

「私鉄の車両シリーズ」、今回は伊予鉄道の郊外線(高浜線・横河原線・郡中線)で新たに主力となった3000系です。

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 伊予鉄道の郊外線では、新造車600系4連×2編成の他は、京王帝都電鉄(現京王電鉄)から譲渡された800系(元2010形)、700系(元5000系)によって運用されてきました。
 しかしいずれも製造から50年近くになり、車両の近代化のために導入されたのが3000系です。
 3000系も元京王の井の頭線の主力として活躍してきた車両で、元京王同士で車両の交代が行われる事になりました。
 ちなみに京王電鉄と伊予鉄道は資本関係はありませんがつながりは深く、新宿~松山の夜行高速バスの共同運行を行なった事もあります。
(東京側は、現在は京王グループの西東京バスが運行)

 №133で既に取り上げましたが、京王3000系は、1962年に同社初のステンレスカーとして製作されました。
 正面上部には強化プラスチックを使用、編成毎に7色に塗り分けていたのが特徴です。
 井の頭線の顔として走り続け、一部の車両には更新工事も施されました。
 しかし1996年に続き2008年より再度1000系が投入される事で、2011年度中に全車両廃車(今年12月をもって引退と発表済み)となる予定です。
 伊予鉄道では、この廃車となる更新工事施行車を導入しているものです。
 京王3000系は1996年の北陸鉄道を皮切りに地方私鉄への譲渡が行われてきましたが、既に更新工事施工を受けた車両の譲渡は伊予鉄道が初めて(で最後)になります。

 編成は3連に短縮。
 譲渡車両は界磁チョッパを制御方式として使用していましたが、600Vの伊予鉄道では降圧改造が難しい事から、VVVFインバータ制御に更新される事になりました。
 新たな主制御機はIGBT素子で1500V-800Aの1C2M×2群としています。
 1M2T組成ですが、モハ3100形と共に、クハ3300形にもシングルアームパンタ1機が搭載されています。
 車体は京王時代と変わりませんが、側面には伊予鉄道のカラーのオレンジ系2色の帯をまとっています。
 また、更新時に普通鋼製となった正面上部は、伊予鉄道ではクリーム色に統一されています。

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 車内はクハ3500形に車椅子スペースが設けられた他は京王時代とほとんど変わらず、優先席は京王時代の「おもいやりゾーン」の名前がそのまま用いられています。
 横河原寄り1両は弱冷房車として運用されています。

 2009年8月24日より営業運転を開始。以降も急速に導入が進んで2011年4月現在では8編成24両が運用されており、最終的には10編成となる予定です。
(今年中に引退の編成が来るのでしょう)
 3000系の投入により800系は全廃となり、一部は銚子電鉄に再度移籍していきました。

【編成】
←横河原     高浜・郡中港
Tc 3500 - *M 3100 - *Tc 3300
* パンタグラフ

 今回の記事は
「鉄道ピクトリアル2010年10月臨時増刊号 鉄道車両年鑑2010年版」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ダイヤ情報 トラベルムック 私鉄スーパートレインコレクション」(交通新聞社)
「週刊歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄16 高松琴平電気鉄道 伊予鉄道・土佐電気鉄道・土佐くろしお鉄道・阿佐海岸鉄道」(朝日新聞出版)等
を参考にさせて頂きました。

 2010年2月にスタートさせた「私鉄の車両シリーズ」は、次回でついに100回目となります。
 大阪モノレールの1000形について取り上げます。

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