№463 バスジャパン・ハンドブックシリーズR73 神戸市交通局

 東日本大震災から2ヶ月経った今もなかなか復興の道が見えない日本ですが、一方スペインの南部でも(日本時間で)今朝地震があり、死者も出ているようです。
 今年はニュージーランドに始まり、東日本、タイ・ミャンマー国境、そしてスペインと、世界は大地震が頻発しています。
 一方で中国・四川省の大地震から今日で3年になり、復興が進む様子がTVでも伝えられていました。
 二次災害はともかく地震そのものは誰にも止める事は出来ず、地球に住む限り、地震との戦いは人類永遠の課題なのでしょう。

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「バスジャパン・ハンドブックシリーズR」第23弾は、16年前の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けている神戸市交通局となりました。
 ハンドブックシリーズとしては初めて取り上げられますが、前身の「バスジャパン」№7の「BUS BODY WATCHING」で神戸市営バスが取り上げられていました。
 この時は車庫内での撮影が認められず、苦しい取材になったと、後に伝えられています。
(それは一部の車両の写真のアングルからも垣間見えました)
 今回は充分な協力が得られたようで、全車種が余す事なく紹介されています。
 それにしても、前号・富士急行が2010年12月1日現在で、今回が今年2月1日現在らしいですから、随分矢継ぎ早だなあという気がします。

◆ 市バスがつなぐ神戸の歴史
 新幹線の新神戸駅を起点に、六甲の麓を東から西へ。
「港町」「異人館」というイメージが非常に強いのですが、意外に和風の歴史(北野天満神社や敦盛塚)もかなりあるものです。
 考えさせられたのが、その阪神・淡路大震災の影響。
 16年経った今でも震災の傷跡はあちらこちらに残されているそうです。
(あえて保存している所もあるよう)
 確か六甲・摩耶ケーブルは阪神・淡路大震災で被災した鉄道の内、最後に復旧した路線だったはず。
 2月12日~13日の紀行という事ですが、大都市でまだ資金的に余裕があった神戸でこうだと、東日本大震災からの復興は、正直相当困難と言わざるを得ないのかな、と思わされます。

◆ 終点の構図 衝原(つくはら)
 六甲の中にあるつくはら湖のそばにある終点。
 折返所のなりからして、それほど極端なローカル線でもないように思いましたが、公式HPで検索した所、衝原へ行く111系統は、最低1時間に1回は運行が確保されています。
 休日の日中の本数が若干多くなるのは、行楽の需要があるのでしょうか。
 なお、この111系統のルートは、神姫バスの三宮~三木・吉川の路線も通過しているようです。
(但しバス停はなし) 

◆ 神戸市営バスの路線エリア
 基本的には六甲の南側の海沿いがエリアになっていますが、郊外部はかなり千切れ千切れという感がします。
 神戸市の市域の大半が六甲の山岳地帯に位置している事、加えて最近になって民営に譲渡された路線が存在する事で、特に西神・有野の両営業所は、メインのエリアから孤立した場所に位置しています。
 有野〔営〕は他の市営交通とのつながりがない、離れ小島になっています。

◆ 神戸市営バスのあゆみ
 母体が小規模民営事業者という路線が多いようです。
 神戸市営バスはかつては明石市にも乗り入れがあった(車庫もあったらしい)のですが、これは神姫バスの母体の事業者が運行していて、戦争中に休止、戦後再開させようとした所で市営・神姫の共同運行という形に落ち着いたという所です。
 現在の有野〔営〕の路線は皆平成の世になってからの開設のようで、神鉄三田線も複線化工事が進行していた頃で、山の向こうの方も宅地開発が旺盛だったのでしょう。

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 多少物足りなかったのは都市新バスの扱いで、都市新バス10系統は地下鉄海岸線がほぼ全線で並行する事で地下鉄開業と同時に廃止になっているのですが、この辺の記載がありませんでした。
(「一連の統廃合」の一環ではあるのだが)
 それと、かつては須磨に営業所があったのですが、これの廃止についても記されていませんでした。
 市営バスが走らない市営バス路線というのは有馬温泉発着便や垂水~学園都市などであるようですが、この場合収入はどういう扱いになるのだろう?
 収入は全て交通局、そこから委託の費用を民営側に支払い、という事でいいのでしょうか?

◆ 車両の現況
 大分古いですが、「バスジャパン」№7時との比較も加えます。
 また、神戸交通振興も含めます。
 車両数545両は、1988年当時の649両(当時は定期観光や貸切もあった)から100両以上も減っています。
 定期観光バスや貸切バス事業は20世紀の内には廃止となり、在来一般路線車の転用による貸切事業や、特定輸送もないので、全車両が純粋な普通の乗合バス(シティー・ループも含めて)です。
 
1. まず、この「ハンドブックシリーズR」で初めて、ついに全車両が、ナンバープレートの分類番号が3桁(「神戸200か」)となり、2桁(「神戸22か」)が消滅しています。
(神戸検査登録事務所が分類番号を3桁化したのは1998年5月)
 また、初めてポスト新長期規制車が現れ、エルガとエアロスター(入ったばかり!)が登録されています。
 神戸市営バスで最も古いのは、「こべっこⅡ世」を除くと1999年。
 平均車齢は6.17年と出ました。
 松原〔営〕が5.42年、中央〔営〕が「こべっこⅡ世」を含めても5.67年と若い一方、神戸〔操〕は少数の所属台数の内、半数の5台が2000年のキュービックのため、これが足を引っ張ってか8.80年と多少高齢化しています。
 年式別では2005年・2006年が59台ずつ、2007年は71台も入って一大勢力になっているのに対し、2000年は33台、2001年・2002年は33台ずつ、そして2009年は25台とかなり少なく、多少アンバランスなように思えます。
 2000~2002年は地下鉄海岸線開業による再編成の影響に拠るものだろうけれど、2009年はちょっと理由がわからないなあ。

2. 営業所は23年の間で布引・須磨〔営〕が廃止の一方で中央・西神・有野〔営〕が開設になっています。
 営業所別の配置数では松原〔営〕が110両で全体の5分の1(20.2%)なのに対し、有野〔営〕はわずか11両(2.0%)で、公営交通の独立した営業所では異例の少なさといえます。
(同じ離れ小島の東京都営バス・青梅〔支〕(約30両)より少ない)
 全体的にはやはり市の中心部に手厚く配置され、郊外部は少ない。
 その中で魚崎〔営〕が81両(14.9%)と比較的多くなっていますが、一番大阪に近い営業所なので、そちらへの通勤の利用が多くなるのでしょうか。

3. 神戸市営バスは現在に至るまでノンステップとワンステップを並行して導入しており、ノンステップ率は67.0%と、現代の公営バスとしてはかなり低いと思われます。
 23年前にしても、当然全車ツーステップながら標準床車と低床車を並行して導入していて、神戸市営の伝統的なスタイルかと思われます。
 中央〔営〕が56.8%、垂水〔営〕が62.0%と平均を下回っているのですが、中央〔営〕は山越えの路線が多いからか(衝原へ行く111系統も中央〔営〕持ち)、垂水〔営〕は住宅路線が多くて詰め込みが効かないノンステップ車は不利なのか。
 一方で有野〔営〕は11両全てがノンステップというのは感心させられました。 

4. 西日本の事業者では西日本車体(西工)ボディ車の存在がはずせないはずですが、神戸市営の場合は、23年前の時点で既に日野の一部に架装されているだけで、いすゞ・三菱ふそうで西工ボディ車はありませんでした。
 現在は日産ディーゼル(23年前にはなかった)・三菱ふそうにありますが、日産ディーゼルの西工は2002年からで富士重工が生産を縮小していた頃、三菱ふそうはOEM供給のエアロスターSですから、どちらも選択の余地がなかったと言えます。
 今回は全体の車両数がそれほど多くなかったためか、解説記事が随分と詳しく書かれていました。


 さて、次回は4月に合併で生まれたアルピコ交通で、その後ジェイアールバス関東と神姫バスが予告されています。
 この後なのですが、今の所「R」になってから東北地方の事業者はまだ取り上げられていません。
 東北はまだ大震災の直後でとても余裕はないですが、しばらくして落ち着いたら、応援も兼ねて東北の事業者が取り上げられるといいと思います。
 ハンドブックシリーズ15で常磐交通自動車(380両)、19で岩手県交通(771両)、20でジェイアールバス東北(371両)、ニューハンドブックス29で宮城交通(847両)が取り上げられた実績もありますので…。
  
 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

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