「バスラマ・インターナショナル125」は先月25日に発売。
先に、東日本大震災に伴うバス業界の動きの速報から。
福島・宮城・岩手の沿岸部の津波による被害の状況が記されています。
しかし首都圏だと鉄道はまだしもバスの被害の情報って殆ど入らないのでどうなっているんだろうと思っていたのですが、被災車両の中には営業運行中だった車両もあったと思われ、乗客や乗務員は大丈夫だったのでしょうか?
大阪市営バスで支援に入った車両の内2台はそのまま釜石市に譲渡され、無料巡回バスとして使用されるそうです。
(大阪市交通局の公式HPの写真からすると、守口〔営〕のKC-LV280L)
この他、別枠で首都圏から等の高速バスの運行に関する記事がありましたが、首都圏を初めとする各地で発生した、燃油不足から来る一時的な運休や減便については、今回は記されていませんでした。
◆各地の新車から
小田急バスのジブリ美術館線のエルガミオはレインボーⅡ顔。
ちょっと紛らわしいですね。
大型ではポスト新長期規制車両が続々入っているようです。
JR四国バスは「JR」のアルファベット2文字は使わず、マークも入っていません。
(公式HPもそう)
といって北海道の「JHB」マークのようなものも今の所はないのですが、いずれオリジナルのマークが制定されるのでしょうか。
◆ リニューアルされた「新宿WEバス」
最近は新宿に足をあまり運んでいないので、どういう運行状況かは解からなかったのですが、なんか全然乗客がいなかったらしく、2月に大幅な路線の再編成などが行われたそうです。
「鳴り物入りでスタート」 → 「でも乗客がほとんどいない」 というと、あの「銀ブラバス」を思い出してしまうのですが、今回は運営事業者が民営なのでより深刻だったと思われます。
再編成の結果、乗客は増えてきているという事で一安心なのですが、これを踏まえて、「行政主導のバス(地方のコミュニティバスを意識したと思われる表現)は、本当に沿線住民のニーズに沿ったサービスを提供しているのか?」と疑問を呈しています。
東京23区内のコミュニティ的な路線に限ると、一方で成功例と思われる港区「ちぃばす」等も含むのですが、やはり既存の地下鉄・バスなど、特に前にもどこかで書きましたが、東京都交通局との連携は是非必要になるのではないでしょうか。
新宿のように行楽や買い物の利用者を取り込もうというならなおさらで、共通一日乗車券の設定や、バスマップ(都営なら「みんくるガイド」)へのルート記載などが求められるでしょう。
◆ 三菱重工業の大型電気バスが実証走行
三菱重工業が、三菱ふそうのエアロスター・エコハイブリッドをベースにした大型電気バス(ピュアEV)の実証走行を京都市と青森市で行ったというもので、京都では京都市営バスとして有償で、青森では青森観光バスに委託して無償で運行されたという事です。
記事では、走行に関しては申し分ないが、今回の震災(による電力不足)を踏まえて、大型バスでピュアEVは疑問、ハイブリッド車をベースにした方が現実的ではないかと結んでいます。
そういえば先日、神奈川でいすゞと慶応大学が共同で開発した電気バスがお披露目になったとも聞いていますが(夜間の充電を想定しているらしい)、これからバス(に限らないが)の動力源は、結構問題になるかも知れません。
◆ バス事業者訪問144 近江鉄道/湖国バス
今回は乗合事業者の2社構成で、まずは滋賀県の近江鉄道。
ここでは記されていませんが、昔は「近江バス」として独立した事業者だったものが、1986年に近江鉄道に吸収され、同鉄道のバス部門となっているもので、最近の業界の流れからは随分異色にも思えます。
ネットワーク的には草津を中心にした湖南地域が活発、八日市や彦根はまあまあ、湖北のコミュニティは厳しそうだというのが、路線概要からもなんとなく伺えます。
また、運行エリアに対して営業所数が少なく、特に高島市のコミュニティは長浜から回送してくるのだとしたら、えらく運用効率が悪くなってしまいそうですが、分車庫みたいなものはないのでしょうか?
ICカードに積極的に取り組んでいるようですが、いずれは「PiTaPa」や「ICOCA」との共通化は避けて通れなくなるかもしれません。
しかしそうなると自社独自の営業政策があまり取れなくなるので、完全な統一はやれないでしょう。
ゆるい形の相互利用、あるいは一方通行の利用(ICOCAが広島のPASPYエリアで利用できるような)が現実的かも知れない。
もう一つ、これも記載がなかったのですが、近江鉄道では伊丹・関西の両空港へのリムジンバスも運行していました。
画像(関西空港線)でわかるとおり、かなり空港輸送を意識した仕様になっていたようですが、こちらもほぼ同時期に廃止になっているようです。
車両面では、主力だった日産ディーゼル(UDトラックス)が事実上バス製造・販売から撤退している現状では、どういう方向に行くのでしょうか。
当分は西武バスからの中古でまかなえるでしょうが…。
◆ バス事業者訪問145 立川バス/シティバス立川
もう一社は社名の如く、多摩の立川を中心にネットワークを広げる立川バス、そして不採算路線の受託を目的に設立されたシティバス立川。
実は当初、ぽると出版の公式HPで立川バスが取り上げられる事を知った時、真っ先に浮かんだのはシティバス立川の、立川バス内部での扱い。
最近、似たような性格で設立されたはずの、近隣の西武自動車・ケイビーバス・多摩バス・臨港グリーンバス等が相次いで本体に再統合されているので、シティバス立川はどういう立ち位置で臨むのかなと思っていたのですが、その辺については記されていませんでした。
当面親子2社並立という事でいいでしょうか。
なるほど今の多摩の中心は八王子ではなく、立川ですか。
確かに八王子はそごうも閉店してしまいますしね…。
(最も立川は、JR中央本線の特急はまだ一部が通過ですが)
車両面ではロケーションもあり、ノンステップバスとツーステップバスが主力でワンステップは少数派というのは、変わった構成といえます。
田舎の路線が少なくなかったからか、前後ドア車など都内としては多少異色な仕様が見られ、「アーカイヴス」の写真を見てもどこかひなびた感じがしました。
最近の新車はかなり小田急バスに近付いているように感じられます。
なお、以前は日産ディーゼル車も導入されていました。
末期は全てシティバス立川籍だったようです。
それから、立川バスは横田基地内の輸送も行っているのですが、一切記載がありませんでした。
シークレットの部分だし、一般の乗客が乗れるわけではないから、取り上げる必要はないでしょう。
どんな車両を使用しているのか、ちょっとは気になりますけれど。
◆その他
九州の新八代~宮崎間に<B&Sみやざき>、青森では<みずうみ><おいらせ>用のセレガ・ガーラ。
新幹線縦断ルートの北と南で、新幹線カラーの高速・長距離バスが走り出した訳です。
ただ、<みずうみ><おいらせ>は震災発生時から長期の運休に陥り、ようやく4月23日に<みずうみ>1往復、29日から<みずうみ>3往復、<おいらせ>2往復で運行を再開した所です。
先日新青森で<みずうみ>を見ましたが、GWというのに殆ど乗客がなく気の毒でした。
もうGW中はどうしようもないけれど、何とか夏休み …「ねぶた祭り」もありますし… には盛況になって欲しいと思います。
いわさきバスネットワークが鹿児島市内に観光巡回バスの運行を開始しました。
「あっちゃん号」「せごどん号」のポンチョ2台ですが、せごどん(西郷隆盛)はともかく、あっちゃん(天璋院篤姫)は大胆な起用だなあ。
3年前にNHKの大河ドラマで初めて広く知られる事になった篤姫(宮崎あおいが演じた)ですが、バスのイラストでは随分あっけらかんとしたキャラクターになっています。
だいたい、メガネってかけていましたっけ?
今回の「バスラマ」ではコミュニティバスに代表される小規模バス輸送、そしてバスのエネルギー源について現状への疑問を呈する記事がありました。
そうなると、今までこういうテーマでは例えば新車が出た、新ルートが開設された、あるいはどこかで試験車両が開発された、そういう時点で色々論評がなされるのが通例ですが、今後はそれらに先んじて、
「コミュニティバスのあり方は?」
「エネルギー源はどう確保すべきか?」
といった、全体的な問題を提起するような記事が求められるのではないでしょうか。
申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
勤務の都合で、次回更新は10日になる予定です。
なお、「バスジャパン・ハンドブックシリーズR73 神戸市交通局」が発売になっていますが、現在データ整理中です。しばらくお待ち下さい。
《今日のニュースから》
米オバマ大統領「グラウンド・ゼロ」を訪問 同時多発テロ犠牲者に献花
この記事へのトラックバック