№413 バスマガジンvol.45(講談社ビーシー/講談社)

「バスマガジンvol.45」が先月末に発売になりました。
 少々遅くなりましたが今日取り上げます。
 表紙を呉市営バスの最新鋭CNGノンステップバスが飾っているように、今回は、

「呉市交通局のバス事業完全ガイド!」

と題し、来年に民営化(広島電鉄に譲渡)される、呉市営バスについてかなりページを割いています。

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 前半のカラーページで走行風景と新旧路線図、ボディカラーとループバス「くれたん」などの特殊バス、後半の白黒のページで歴史と年表、全車両の形式と一覧表という2部構成で、大手事業者並に力を入れています。

 呉市営バスは昨年9月に一括して民営事業者に譲渡する方針を決定し、11月に譲渡先を広島電鉄と決定しました。
 広島電鉄は呉市内には一般路線が全くなかったから少々意外な選定で、もう一社名乗りを上げていた中国JRバスが既に呉に路線網があったから、そちらになるかと思っていました。
 広電としては新たな事業展開の足がかりにしたかったのでしょうか。
 呉というと「軍港だった」というイメージが強く、市内交通(市電もあった)の成立には軍も関わっていたようですが、さすがに瀬戸内海に面しているだけに、今は風光明媚な路線も少なくないようで魅力的です。
 車両のカタログを見ると、こちらもバラエティに富んでいてこれはちょっと追いかけてみたくなります。
(でもこれらの車両も、来年4月以降全部広電の緑系のカラーに変わる、という事なのか?)
 運用される路線名の併記があるのも親切。
 実は今月の19・20日に中国地方へ行く事になっていて、19日は山口県になるから行けないものの、広島市に止まる事になるので、20日に行ければ行こうか、そして来年の譲渡までは全路線市営として維持されるようなので、この後も機会を作れれば行ってみようかと考えています。
 あんまり縁がない都市ですが、実は広島駅はもちろん、広島空港からも近い(市営もリムジンを運行)しているので…。

◆ バスのミカタ 後面編
 今回はリヤに注目。
 昔のリアはエンジンルーム開口部のメッシュの形状が車種毎に異なっていて、幼い頃の自分ははっきりとは区別は出来なかったものの、バラエティに富んでいるなとは感じたものです。
 基本的にメッシュが無くなっていったのは1985年のK-規制の始まりの頃ではなかったでしょうか。

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 全体的に神奈中バスが独特で、特に窓上部の取っ手2つが強烈なアイディンテティになっていました。
 取っ手自体は昔からあったようですが、特にリアの上面一杯に窓が広がった、「ブル」や後継のエアロスター、富士5E等では際立って目立つ存在でした。
 神奈中は中古車が他社に譲渡されるケースが多いのですが、取っ手が残っていたり、撤去しても跡が残っていたりしていたので神奈中車だとすぐに解かったものです。
 1990年代にはなくなったようでした。
「ブル」のリアは、上面までガラス張りが一般的でしたが、横浜市営や京阪バス等は通常の3分割タイプでした。
 横長の行き先表示を採用していたからでしょうか。

◆ 西日本車体工業 歴代バスボディ徹底解説
 スケルトンタイプに大幅なモデルチェンジがなった、58MC。

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 車両の写真は「バスマガジン」らしく、メジャーなのもマイナーなのもたくさんあって見ごたえがあります。
 今号の特集といえる、呉市営バスの貸切・路線兼用車(俗に言う「ワン・ロマ」)も、90MC車を交えて詳しく取り上げられています。
 全国の公営バスでも1・2を争うデラックス車か。
 この頃はまだ東日本では西工はほとんど採用されていないはずで、譲渡車両ながら関東自動車あたりは貴重でしょう。
 他に小型バスでマツダ・パークウェイも。

◆ おじゃまします バス会社潜入レポート vol.45 ジェイアール九州バス

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 もう分社から10年になるのか。早いものです。
 一般路線は1999年の加治木線以降順次廃止になって大分少なくなってしまい、いまや3エリアで小規模な路線が残るのみ。
 特に大分県は最初から高速バスがなかったので、完全にJRバスの空白域になってしまいました。
(ちなみに高速も含め、全くJRバスが走っていない県は、沖縄を除くと三重、鳥取、そして大分)
 ただ、福間や薩摩郡山ではコミュニティバスの運行があり、残存エリアではノンステップバス等の新車の導入も進んでいるので、これらの路線は当面安泰と考えていいのか。
「あいばす」のポンチョは通称「1型」の扱いになりますが、かつて国鉄時代には、宮崎県内のローカル支線用のDBRなどが在籍していたものでした。
 確か「ライトバス」と呼んでいたようでした。
 中古車両の導入は、単にコスト削減だけでなく、鉄道直営時代は鉄道車両の更新が多くなるとバスの更新が少なくなってしまった事で、年式のアンバランスが生じてしまったためという下りが興味深い。
 JRグループに限らず、これも鉄道会社からのバス分社の理由の一つという事でしょうか。

 やはり差し迫った課題は開業が迫った九州新幹線の開業で、在来高速バスへの影響はどうなるのか。
 一方で新八代~宮崎の高速バスはもう車両が用意されていますが、車体には「TSUBAME」と書かれているものの、新八代には<さくら>も停車するので、あるいは800系同様ロゴを書き換えてからの運行開始なのか、それともこれが新たなJR九州バスのアイディンテティという事か。
 個人的には、赤一色のデザインが引き続き踏襲される事になると思います。
 後部の二桁の番号は、全くランダムに付与されていると聞いていて、選手の背番号とか、特定の意味はないと思いますが、それだけに自分のお気に入りの番号が見つかったら嬉しいのではないでしょうか。
 車両そのものでは車齢が20年以上になったP-規制の貸切車が残っているのが注目されます。
 初代エアロバスも残っているのか。

◆続報 ガラリと変わる 青森県のバス事情
 いよいよ東北新幹線が新青森まで開業し、それに合わせてバス路線も再編されました。
 新青森もさる事ながら、七戸十和田駅付近の路線についてもページが割かれ、路線図も掲げられています。
 野辺地までは急行バスが設定されているようです。
 写真で見る下北交通はいすゞか(FHI「マキシオン」)。
<シリウス>の七戸十和田駅乗り入れは少々意義が不明だったのですが、純粋に七戸町へのサービス改善、利用者の取り込みという事でしょうか。

◆ いすゞ純正バスボディ大研究 最終回:補遺事項
 いすゞ純正ボディの中でも、多少異形と呼べる車両が並んでいます。
 東都観光の「クリスタル」って、あったなあ。

◆ 路線バス全方位レポートvol45 石川県
 地域分社を含め、ほぼ北陸鉄道グループが独占。
 そんな中で金沢地域では西日本JRバス路線もあり、北陸鉄道が撤退した後の高速バス引き受ける例も多くなっています。
 金沢のJRバスは「オンデマンド運行」が行われているという事は簡単には触れられていますが、具体的にどのようなシステムなのか、という事も触れられれば良かったと思います。
 また、そのJRバスとの共同運行の形で加越能鉄道の金沢乗り入れ(2往復)がありますが、ここでは触れられていません。
 ののいちバスのボディのキャラクターがユニーク。
 なお、北陸鉄道グループの2009年11月~2011年1月の新車導入情報があり、日産ディーゼル・スペースランナーAも数台ありますが、まだポスト新長期規制モデルの導入はないようです。

 今号はこの他にもポスト新長期規制のヒュンダイ・ユニバースの紹介やエアロキングのメカニズム、北海道中央バスの動静(首都圏からの移籍車の増加、旧塗装車の消滅など)、その他リムジンバスの燃料電池バスや松電バスのタウンスニーカーのリニューアルなど。
 ニュース欄で気になったのが、会津バスが企業再生支援機構による支援が決定したという事。
 これで福島県の大手3社全てが、経営再建のために、何らかの形で外部からの支援を受けるという事になります。
 大手航空会社でさえそうなってしまうのだから、地方のバス会社なんてひとたまりもないのか…?

 次号は、本来今月の特集になるはずだった希少車両の特集が、改めて組まれるようです。
 また、発売直前に開業になる九州新幹線関連のバスの再編が、少しでも取り上げられるでしょうか。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

《今日のニュースから》
グーグル 美術館の名画の鑑賞サービス開始

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