フランス旅行記を続けます。
サマータイムも終わり、ヨーロッパも秋本番。
10月31日(日)
今日は北駅から北部ピカルディ及びノール・パ・ドゥ・カレー地方を回ってこよう。クリシーのYHから北駅までは、RATPの54系統が直通で行く。日曜日は約15分間隔で運行されているようだ(日本のように、1便毎の出発時刻は記されていない)。途中、中央走行方式の区間が見られた。
北駅はさすがに国際色が豊かだ。列車そのものはもはやTGVやユーロスターが中心だが、色々な色の列車が集う。
TGV「タリス」
TGV?
その中で一つ驚かされたのが、「ユーロスター」もどきのTGV。というか、全く「ユーロスター」と同型・同色なのだが、マークは「TGV」だし、SNCFのマークも入っている。どういう事?転用、と考えていいのだろうか?運用方法が解からないからなんとも言えないのだが…。
SNCF 848561列車
カレー海峡に面するブーローニュを目指すつもりだが、まずはアミアン行のTERに乗る。新型ダブルデッカーだが、このタイプは、5年前にルクセンブルグで乗った事がある。車体の「PICARDIE LA REGION」のロゴが目につく。フランスの近郊列車「TER」では、形式自体は全国共通ながら、地方毎に異なったロゴがあしらわれている。
1等室
1等室は4両編成の2・3両目のうち、1・2Fのそれぞれ1/3を占めている。頭もたせ部やリクライニング・テーブルの有無の違いはあるが、基本的には2等と差がほとんどないように思えた。配置も同じ2-2だし。
シャルル・ド・ゴール空港に着陸する旅客機を眺めながら、列車は農村地帯を快走する。停車駅は少なく、ホームだけの無人駅を次々に通過する。アミアンの一つ手前のロングーは、構内は広いがどこか寂れた感じもなくはない。ただし、旧駅舎に相対して新駅舎が設けられていて、パークアンドライドを行っているようだ。
アミアン駅
アミアン駅は、駅舎自体はスクエアな感じがする古いものだが、駅前広場には大きな屋根がかけられている。ストラスブールもそうだったが、せっかくの駅舎が遮られるのはもったいない気がする。
ところで、コンコースのお知らせを見ると、なんと後続のブーローニュ行は、アヴヴィルから先が工事のため運休になり、バスで代行になるとの事だ。これではつまらないので、直接リールに向かう事にして、先に世界遺産にも登録されている大聖堂を見に行く事にする。
ペレ塔
駅前に立つペレ塔。「コンクリートの父」オーギュスト・ペレの設計による鉄筋コンクリートの塔。アミアン駅舎と共通したスクエアな印象だが、やはり駅舎も同じペレの設計だそうだ。
アミアン大聖堂
そして大聖堂。フランス最大の大聖堂なのだそうだが、とにかくそびえるように大きい。それと、気味悪い位人物の像が多い。昔の建物の事はよく解からんけれど、人柱、って事なのか?
アミアン11時55分発のリール行も同型のダブルデッカー。ただし3連で、1等室の設定がない。2等に改装されたようだ。側面には「Region Nord-Par-de-Calais」のロゴ。沿線は農村地帯が続く。日曜日という事もあるだろうが、複線なのに他の列車と全くすれ違う事がなかった。
リール・フランドル駅
リール・フランドル駅ドーム
ノール・パ・ドゥ・カレー地方の中心、リールのフランドル駅。もちろんパリほどではないが、駅舎がクラシカルで、ホームが大きなドームで覆われた大駅だ。ただし、こちらも構内を出入りする列車はそれ程多くなかった。
ベルギー リエージュ行EC
そんな中で目についたのは、ベルギーのアントワープへ行くベルギー国鉄(NMBS/SNCB)の電車。ベルギー国内ではインターシティでも運用されるタイプ。リールはベルギー国境に近く、1時間間隔で電車が乗り入れてくる。
さて、パリへの帰りは少々困った事になった。本当は18時過ぎのTGVに乗るつもりだったのだが、「満席」という返事。どうやら空席自体はあるが、フランス・レイルパス利用時に適用される「パスホルダー」の枠が埋まっているという事らしい。一番早くて20時02分という回答だった。
(「パスホルダー」枠については、この先、何度も悩まされる事になる)
それで、最初はリールでも走っているLRTに乗るつもりだったが、プランを変更。在来線経由で一番早いのはアミアン経由だが、それでは今乗ってきたルートをストレートに逆行するだけなので面白くない。他のルートは時間が合わず、今日中にパリへ帰れないかも知れない。そこで本来最初に向かうはずだったブーローニュへ行き、そこから代行バスでアプヴィルに向かい、パリまで在来線の列車で帰る事にする。
リール LRT
リールのLRTは地下駅に発着する。フランスのLRTの中では古参で、電車はイタリア製らしい。風光明媚な所を走るらしいが、残念ながら今日の乗車は見送り。
SNCF 844857列車
SNCF 844857列車車内
リール14時21分発のカレー経由ブーローニュ行は旧型2階建てPCのプッシュプル編成。リール出発時点では機関車は後部だ。客車は旧塗装で、SNCFのマークも古い。車内に入って驚いた。窓ガラスが恐ろしく汚い。まっ茶色。それに、トイレは水が全く出ない。どうした事だろう?
沿線はのどかな農村地帯が続き、美しいと思うのに、窓自体がほとんど開かないから「茶色のフィルター」越しに眺める事になる。なんてもったいない。車内を歩いてみると、特に2階席の汚れがひどいようだ。また、この列車は全部2等だが、かつては1等だったと思われる2-2配置の部分もある。しかしモケットが破けていたりして、見た目は純2等より悪い。在来線の他の列車でも多かれ少なかれこんな所があり、高速鉄道の売り込みで日本の最大のライバルであるフランスだが、こと在来線に限ると、はっきり日本より劣るのではないだろうか?
ユーロスター
大西洋
ブーローニュ駅
カレーで進行方向が変わり、機関車が先頭に立つ。すぐ右手に高速新線が現われ、フレタン駅を掠める。在来線側には駅がなく、市中心部へは基本的にはバス連絡となるようだ。やがて普通のTGV編成に続いてユーロスターが現れる。それにしてもこうも窓が汚くて、開閉する部分が小さいと撮りづらくてしょうがない。
ブーローニュが近づくと、ついに大西洋を見る。フランスに来てからは初めての海だ。イギリス・ドーバーへの船が出る港町だが、駅は海からは離れているようだ。駅のすぐまん前にYHがある。
代行バス
代行バス 運転台
D940号線
夕陽
アプヴィル駅
アプヴィルへ行く代行バスはベンツ製。座席が15列並んでいて、はっきり言って窮屈。シートピッチがかなり狭い。古い車ではないように見えたが、MT車。
ベルクまではD940号線を南下していく。交差点はほとんどがロータリー式で、信号はほとんど見かけない。たまに運休になっている鉄道線を見るが、複線ながら電化はされていないようだ。工事用の作業車の明かりが遠くにポツンと見えた。
今日から1時間遅くなっているので、17時過ぎにはもう夕陽が西に沈む事になり、みるみるうちに暗くなってくる。エタプル、ベルクと停車し、バイパスを経由してアプヴィルの駅に就く頃にはもう真っ暗だ。18時を過ぎたばかりだが…。ブーローニュから約1時間30分かかった。
SNCF 2042列車
やはりこの路線は非電化で、パリ行2042列車はDCが牽引する。フランスに来て非電化の路線は初めて。客車9両編成のうち、2等車1両は窓が破損しているため職員が添乗、通り抜けができない。1等車の片隅に落ち着く。
SNCF 2042列車
小駅通過
アミアンからはEL牽引。旧塗装で、SNCFのマークも2つ3つ位前のクラシカルなものだ。まさか旧塗装復刻?
とにかく沿線は駅以外は真っ暗で、人工的な光(信号とか、街路灯とか)が全く見えない事が多い。最後部車両のデッキの窓から後方を見た感じでも、鉄道の信号もほとんど見かけない。閉塞区間がかなり長いようだ。
パリ・ノール駅は定刻より13分の遅れで着いた。もう20時30分を過ぎている。
ところで、少々マズイ事になった。本来のプランでは明日日中はバス・ノルマンディのカンへ行き、LRTに乗った後ル・マン経由でトゥールに向かい、トゥールからTGVの大西洋線でパリへ戻って、スペイン国境のラ・トゥール・ド・キャロルへ夜行で行く予定だった。
ところが、そのラ・トゥール・ド・キャロルへの夜行が確保できない。迂闊だったが、明日11月1日はフランスでは諸聖人の祝日になり、かの地では3連休の最終日という事になるのだった。ラ・トゥール・ド・キャロルから出る「トラン・ジューヌ」と、ベジェ~クレルモン・フェラン間のローカル線(ガラビ橋を通過する)には乗りたかったから相当悩んだが、とりあえず明日の朝考えて見る事にしよう。
どの道11月3日には三度パリで一夜を過ごす事になるので、YHで予約。先の話なのに支払いを済ませた上、早々に部屋の番号まで指定される事となった。もう遅いので、シャワーは明日の朝。
ずいぶんフラフラした1日になってしまった。さて、明日以降はどうしよう…。
申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
《今日のニュースから》
陸上自衛隊定員 1000人削減で財務・防衛両大臣が合意
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