№392 JTB時刻表大研究 2010年

 今年も今日が終われば、残す所あと2日になります。
 私は明日・明後日と仕事が入っていますので、今年の当ブログの更新は、今日が最後になります。
 そこで、昨年連載したJTB時刻表からその年の交通業界を振り返る「JTB時刻表大研究」の2010年版をお送りし、今年の交通界の動きを簡単ですがまとめてみたいと思います。

 最近の話ですが、ついに東北新幹線が全通しました。
 分岐する新在直通を含めると、東北6県の県庁所在都市全てに東京からの新幹線が到達した事になります。
 JRでは3月13日に統一改正が行われた後、12月4日の東北新幹線延伸に伴うJR東日本・北海道の改正がありました。
 また、今年は航空が注目を集めた1年でもありました。
 航空会社そのものもそうだし、空港や、さらには空港に乗り入れるアクセス鉄道にも大きな動きがあり、連日TVや新聞で大きく取り上げられる事になりました。
「日本航空の会社再建問題」「高速道路一部無料化」「上海万博開催」などもありますが、ここではJTB時刻表の上で現れた事項について記します。
 今年書いてきた事ばかりですから、簡潔に行きます。
 
《2010年の十大トピックス》
◆ 東北新幹線全通 東京~新青森間最短3時間20分
 12月4日開業。
 八戸まで開業してから8年で、県庁所在都市まで乗り入れた事になります。
 新青森駅は、事前に奥羽本線の津軽新城~青森に、地域の足として開業していました。
 また、中間には七戸十和田駅も開業しています。
 当面は<はやて>のみが乗り入れ。
 最速は上りの<はやて12号>。

 青森  6:31 → 9:51 東京 途中停車駅:八戸・盛岡・仙台・大宮

 来年3月5日には<はやぶさ>の運行が始まり、東京~新青森が最速3時間10分に短縮されます。
 
◆ ハイブリッド・リゾート列車運行開始
 まず信越地域で10月2日より快速<リゾートビューふるさと>として、長野~松本~南小谷を運行。
 本格的には東北新幹線延伸に合わせて、12月4日より東北地域で新青森・青森を起点に3系統で運行を開始しました。

<リゾートしらかみ> 青森~秋田(五能線経由・2往復設定のうち1往復) 
<リゾートあすなろ下北> 新青森~大湊(2往復設定)
<リゾートあすなろ津軽> 新青森~蟹田(1往復設定)

<リゾートビューふるさと>については、11月号の「新のりもの風土記シリーズ118」で取り上げられています。

◆ 東北本線八戸~青森間 青い森鉄道に移管
 東北新幹線延伸に合わせ、並行在来線である東北本線の八戸~青森が、第3セクター鉄道「青い森鉄道」に移管されました。
 青い森鉄道は目時~青森120.0㎞となり、第3セクター鉄道としては最長となりました。
 八戸~青森で新たに快速が設定された他、JR八戸線・大湊線への直通も残され、先のハイブリッド・リゾート列車も運行されています。

 なお、八戸発着の特急<スーパー白鳥><白鳥>は新青森発着にシフトされ、<つがる>は<かもしか>として運行されてきた青森~秋田の特急の愛称になりました。
 いずれも青森~新青森は、特急でも自由席なら乗車券のみで乗れるようになります。
 これにより、1958年のスハ44系<はつかり>に始まる栄光の東北昼行特急は、事実上全滅となりました。

◆ 成田スカイアクセス開業 新「スカイライナー」運行開始

画像

 北総鉄道・印旛日本医大~空港第2ビルに建設されていた新アクセス鉄道が完成し、北総鉄道が営業していた京成高砂~印旛日本医大を含め、「成田スカイアクセス」として7月17日に開業しました。
 同路線は成田高速鉄道鉄道アクセス等が線路を保有し、京成電鉄が営業運行するものです。
 新規開業区間は在来線では最高の160㎞/h運転を行います。
 同時に<スカイライナー>が160㎞/h運転対応の新AE系に置き換えられ、日暮里~空港第2ビルは最速36分と大幅に短縮されました。
 また一般列車も120㎞/hを行う「アクセス特急」が設定され、日中は羽田空港への直通運転を行い、両空港間のアクセスの便を図っています。
<スカイライナー>は8月号の「新のりもの風土記シリーズ116」で、スカイアクセス線共々取り上げられています。
 一方、これに対抗する形でJRも特急<成田エクスプレス>のE259系への置き換えを進め、スカイアクセス開業直前の7月1日に完了しました。

◆ 羽田空港新国際線ターミナル開業 再国際化

画像

 一方、羽田空港では国際線の新ターミナルが空港敷地の西側に10月21日に開業。
 旧ターミナルから出発していたアジア各地への定期チャーター便が移転しました。
 そして10月31日、本格的な再国際化がスタート、深夜・早朝を中心に北米・欧州への路線も設定され、在来アジア路線も拡充が図られました。
 ANAは羽田発着の定期国際路線は初めてになります。
 11月にはマレーシアのLCCの乗り入れもあり、一般の話題も集めました。
 
◆ 東京モノレール・京急線 国際線新ターミナル駅開業
 これに対応して、東京モノレールと京急線では共に新駅が開業しました。

画像

 東京モノレールは、4月10日に事前に線路切り替え工事を行い、国際線ターミナル経由のルートになりました。
 浜松町からだとホームが出発ロビーと同じレベルに到着するのが売り。

画像

 京急線は、ホームは地下ですが、駅舎はやはりターミナルビル内に設けられています。
 京急ではこれに先立って5月17日にダイヤ改正を行い、品川~羽田空港ノンストップの「エアポート快特」及び「エアポート急行」を設定。
 横浜方面への直通列車の拡充も図られていますが、「エアポート快特」に関しては京急蒲田が通過になった事で、地元との軋轢も表面化しました。
 この他、空港バスも大半が国際線ターミナルまで延伸したほか、早朝・深夜には国際線直行便の設定も行われています。
 
◆ 茨城空港開港
 もともと自衛隊の百里基地だったところに民間の空港施設を建設したもので、3月11日に開港しました。
 当初より大手の乗り入れは想定しておらず、LCCの乗り入れが中心になるとして、ターミナル設備も簡素なものになっています。
 当初は国際線(アシアナ航空のソウル便)のみで、後にスカイマークの神戸線も就航しましたが、航空祭開催時のフライトの確保に疑念があるとして一時休止になるなど、運営には不安定さも残っています。

◆ 寝台特急<北陸>・急行<能登>廃止
 上野~金沢の夜行2往復が、そろって廃止になってしまいました。
<能登>のみ、週末を中心に臨時列車として運行されています。
 これで、毎日運転の夜行列車は、特急<サンライズ瀬戸・出雲><ドリームにちりん><日本海><あけぼの><北斗星>・急行<きたぐに><はまなす>のみ。
(<ドリームにちりん>は来年3月11日一杯で廃止)

◆ 水害で岩泉線・美祢線長期運休
 岩泉線でキハ100形が土砂崩れに巻き込まれて脱線した映像はショッキングでした。
 この両路線は、今の所運転再開のメドが立っていないようです。
 名松線も、結局今年の運転再開はありませんでした。
 この他、呉線や平成筑豊鉄道田川線も水害で一時運休になりました。
 
◆ 「平安遷都1300年祭」開催
 4月24日~11月7日の間、奈良・平城宮跡で開催されました。
 JRでは4月3日~6月27日の土・休日を中心に臨時特急<まほろば>を新大阪~奈良で運転。
 近鉄も期間中の土・休日に名古屋~西大寺の臨時特急を設定しています。
 
◆その他
○ 横須賀線・湘南新宿ライン 武蔵小杉駅開業
○ 東海道・山陽新幹線500系 <のぞみ>から退役
○ 餘部鉄橋架け替え
○ <はまかぜ>新型車両に置き換え
○ <ゆふDX><あそ1962>運行終了
○ 鹿島鉄道廃線跡利用 「かしてつバス」運行開始
○ 長野電鉄屋代線 実証実験実施
○ 九州一周「BSデジタル号がゆく」運行 
 
《表紙の写真・グラビア連載》
1月号 サンダーバード〈呉羽~富山〉
 背後は立山連峰。
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第40回 JR東海 名古屋運輸所 新幹線運転士
●新のりもの風土記シリーズ110 東海道新幹線を西へ旅立つ 500系『のぞみ』
●駅弁細見270 ごきべんべんとう(松江駅)
「みなとみらい線一日乗車券でめぐる 横浜OLD・NEW」で、沿線の観光名所が取り上げられていました。
 このためか「駅旅本線」はお休み。

2月号 金沢駅
 廃止目前の寝台特急〈北陸〉が出発を待っています。
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第41回 JR九州 客室乗務員 サブチーフ
●新のりもの風土記シリーズ111 消えゆく夜行列車 さようなら 『北陸』『能登』
●駅弁細見271 あったけぇ きりたんぽ弁当(秋田駅)
平安遷都1300年祭の特集記事があり、「駅旅本線」はお休み。
(なお、この特集記事は、「駅旅本線」の杉﨑行恭氏が執筆)

3月号 常磐線 (臨)偕楽園~赤塚間
<スーパーひたち>と梅の花。
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第42回 奥津軽トレインアテンダント
●新のりもの風土記シリーズ112 ひむかの国のリゾート特急 日南線『海幸山幸』
●駅弁細見272 母恋めし(母恋駅)
「駅旅本線」はお休み。

4月号 
『JTB時刻表』1000号記念フォトコンテスト真島満秀賞受賞作品(湖西線 新旭~安曇川)
 485系と桜の花ですが、来年、この組み合わせは多分見られない…。
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第43回 寝台特急トワイライトエクスプレス ダイナープレヤデス アシスタントマネージャー
●駅旅本線 第53駅 下小代駅駅舎
 新駅舎建設により、広場の反対側に移動した旧駅舎の方にスポットが当てられています。
●駅弁細見273 御柱祭弁当(茅野駅)
「新のりもの風土記シリーズ」はお休み。  

5月号
 九大本線(野矢~由布院)
 特急<ゆふいんの森>。
 久し振りに4大連載が揃いました。
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第44回 JR四国 高松運転所 運転士
●新のりもの風土記シリーズ113 龍馬の故郷を走る 土讃線特急と土佐の鉄道
●駅旅本線 第54駅 高野山駅舎
●駅弁細見274 「ワンコインとチョット駅弁」駅弁いなり(東京駅)
 
6月号 磐越西線(猿和田)
 キハ112+111と紫陽花。
●駅旅本線 SPECIAL 一畑電車
 映画「RAILWAYS」公開に合わせた特別編。
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第45回 JR四国 高松運転所 運転士
※先月号とは別の方
●新のりもの風土記シリーズ114 ドラマチックな船旅へ 豪華カーフェリー『きそ』
●駅弁細見275 「ワンコインとチョット駅弁」仙台ハイカラ寿し(仙台駅)
 
7月号 富士急行 富士登山電車
 撮影区間は不明ですが、背後に富士山がそびえています。
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第46回 ㈱片上鉄道 代表取締役社長
※この方は2007年5月号の「駅旅本線 第25駅(吉ヶ原駅)」でも、紅一点としてお顔の写真があります。
●駅旅本線 第55駅 下吉田駅
●新のりもの風土記シリーズ115 爽やかな夏の北海道を楽しむ 特急『旭山動物園号』
●駅弁細見276 「ワンコインとチョット駅弁」きぬ巻時雨壽司(吉野口駅)
 
8月号 北斗星(洞爺-有珠)
 DD51重連の牽引はいつまで見られるのか。
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第47回 くま川鉄道 アテンダント
●駅旅本線 第56駅 白河駅
●新のりもの風土記シリーズ116 開業!成田スカイアクセス スカイライナー
●駅弁細見277 「ワンコインとチョット駅弁」かしわめし(西都城駅)

9月号 SL人吉号(鎌瀬~瀬戸石)
 58654牽引のSL列車が球磨川を渡ります。
「BSデジタル号がゆく!」の特集グラビアが6ページに渡って掲載されています。
 運行は9月3日~5日に駆けてでした。
 定期連載は全てお休み。

10月号 信濃境-富士見
 E351系が、山間部の高架線を快走します。
 ただ今回改めて調べてみると、このアングルは2001年12月号と全く同じ。
 当時はE257系で、撮影場所は「富士見-すずらんの里」となっていました。
 どうなっているんだろう?
 「信州諏訪・温泉泊覧会 ズーラへ行こう!」の特集グラビアが4ページ。
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第48回 新京成電鉄㈱ 新津田沼駅員
●近鉄・駅旅 大和西大寺駅
 通常の「駅旅本線」とは別枠で、フィナーレが近づいていた「平城遷都1300年祭」のコラムあり。
●新のりもの風土記シリーズ117 秋の平城遷都1300年祭へ 奈良大和路の近鉄電車
●駅弁細見267 「ワンコインとチョット駅弁」あなご押し寿司(高松駅)

11月号 東京モノレール 羽田空港国際線ビル駅と国際線旅客ターミナル
 2000系がターミナル駅を出発。
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 第49回 わたらせ渓谷鐵道㈱ わ鐵アテンダント
●駅旅本線 第57駅 大涌谷駅
●新のりもの風土記シリーズ118 秋の信州へ!-ハイブリッドトレイン リゾートビューふるさと
●駅弁細見279 元祖 幕の内辧當(姫路駅)

12月号 東北新幹線<七戸十和田~新青森>
 三内丸山架道橋を横断するE4系。
●新のりもの風土記シリーズ119 12月4日、待望の全線開業!! 東北新幹線 新青森へ
●矢野直美のダイヤに輝く鉄おとめ 特別編
「JR人気列車で行く日本周遊の旅7日間」の同行取材で、記事になったのは5日目の北海道。
●駅旅本線 第58駅 三厩駅
●駅弁細見280 むつ湾産 帆立釜めし(青森駅)

《裏表紙の広告》
平城遷都1300年祭関連で、前年に引き続き近鉄の広告が目立ちます。

1月号 サーモス株式会社 サーモスマジック
2月号 丸沼高原 「WinterSeason 感動の雪」
3月号 近鉄 平城遷都1300年祭
4月号 東武ワールドスクエア 「東京スカイツリー」
5月号 近鉄 平城遷都1300年祭
6月号 近鉄 平城遷都1300年祭
7月号 近鉄 平城遷都1300年祭「奈良時代は、2度やってくる。」 
8月号 近鉄 平城遷都1300年祭「奈良時代は、2度やってくる。」
9月号 近鉄 平城遷都1300年祭「奈良時代は、2度やってくる。」
10月号 近鉄 平城遷都1300年祭「奈良時代は、2度やってくる。」
11月号 近鉄 まわりゃんせ
12月号 サーモス株式会社 真空断熱ケータイタンブラー

《その他》
 7月号より表紙に
「新幹線の文字が大きく見やすい!創刊85年の実績」
の文字が入りました。
 JR版への対抗なのでしょうか?
 
《定価》
1~12月号 1150円(本体1095円)

※その他のトピックス
◆ 宮崎県 口蹄疫被害
◆ 大相撲 野球賭博問題
◆ 小惑星探査機「はやぶさ」地球に帰還
プロ野球日本シリーズ ロッテ 4-2(1引分け) 中日 MVP:今江敏晃
日本ダービー優勝馬 エイシンフラッシュ 鞍上:岩田康成


「JTB時刻表大研究」1989年~2009年の加筆・修正は全て終わりました。
 よろしければ、こちらからご覧下さい。
「湘南新宿ライン」なんて、来年でもう10周年ですか…。

№51 1989年
№52 1990年
№53 1991年
№54 1992年
№55 1993年
№60 1994年
№66 1995年
№69 1996年
№71 1997年
№74 1998年
№76 1999年
№78 2000年
№80 2001年
№81 2002年
№84 2003年
№85 2004年
№87 2005年
№89 2006年
№92 2007年
№97 2008年
№101 2009年

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。


 今年の暮れ~来年の正月にかけては仕事のため遠出はしません。
 来年は元日から更新できる予定です。
 来年も本体共々、よろしくお願いいたします。
 皆様、良いお年をお迎え下さい。


《今日のニュースから》
ハローワーク全国19ヶ所 臨時の窓口を開設

この記事へのトラックバック